ミニチュアカー ミュージアム

GIMMICK ミニカーのギミック

シトロエン SM (CITROEN SM)

ミニカーのギミック

 今をさかのぼる45年前の1970年に画期的なスポーツカーが発表されています。極めて先進的なメカニズムを持ち宇宙船のような個性的なスタイルをしたシトロエン SMは、マセラティ製のV6エンジンで前輪を駆動し200km/hオーバーの高性能を誇る最高級GTカーでした。そのスタイルは現在でもなお魅力的で、DS19のシステムを発展させた油圧制御によるハイドロ ニューマチックサスペンションやパワステは現在のコンピュータ制御で実現している複雑な機能を先取りしてました。シトロエン SMはかつてのブガッティやドラージュのような高性能GTカーの再来のような車でいかにもフランスらしい魅力にあふれていましたが、その反面あまりにも精密なメカニズムから起こる問題もあり扱いづらい車でもあったようです。シトロエン SMは残念ながら商業的には失敗作で約1万台が生産されただけで1975年に生産中止となりました。

 

 ミニカーは型番284(生産期間1971~1975年)で、実車と同じような生産期間で約39万台が生産されています。コーギー最盛期(1/43サイズ)の終焉に作られたこのミニカーもこの前に紹介したジャガー E タイプと同様にコーギーらしさにあふれたミニカーです。したがってこのミニカーもSMのミニカーというよりもコーギーのSMといって良いと思います。

 

 このミニカーには特別に変わったギミックは付いていませんが、すこし変わった点といえば開閉できるドアに別部品のサッシュがついていることでしょうか。ドアの内張も兼ねているこの部品はドアを貫通してドアハンドルも形成しています。この部品は柔らかい材質で出来ていて角でけがをしないよう配慮されています。室内もシート形状やシトロエン独特の一本スポーク式ステアリングホイールなどそこそこに再現されていて大きく開くリアハッチ部分は棚の開閉も出来るようになっています。

 

 実車の忠実なスケールモデルとして見ると少し甘いところがありますが、現在の精密なミニカーにはない独特の魅力があると思いますので以下の動画を見てください。

 
 
 
 

シトロエンSMのミニカー、箱

 このミニカーは1972年に800円で購入しています。ボディカラーの黄緑に近い金色は発表当時の実車の金色よりはかなり派手な色ですがSMのミニカーとしてはよく似合っていると思います。(赤紫色のカラーバリエーションがあります) ホイールは例の「WHIZZWHEELS」ですが、ホイールディスクが別部品で構成されている初期仕様ですので見た目が良く実車とはデザインが異なりますがこれもSMによく似合っています。このミニカーは幸いなことに見た目の悪い「WHIZZWHEELS」版への変更はされませんでした。(「WHIZZWHEELS」とはコーギーのフリーホイールの商標です)

 

 SMは現在でも新製品のミニカーがでるぐらい人気のある車ですので発表当時から多くのミニカーが出ています。そのなかから代表的なものを選んでコーギーと並べてみました。以下の画像がそれらのミニカーです。(もっと別のSMを見たい人はこちらをどうぞ) 

citroen sm minicars1

 右側から、ソリド(型番184 生産期間1970~1978年)、ミニチャンプス(型番400-111020 生産2003年)、コーギーです。作られた時期が30年も違うので比較することはややナンセンスなのですが、精密さでいうと当然ですがミニチャンプスが圧倒的に優れています。特にこの車の特徴であるフロントの6灯式ライトの出来はさすがはミニチャンプスといったところです。ボディカラーも実車の金色を忠実に再現しています。

citroen sm minicars2

シトロエン SMのミニカー 

 ただしこれは現在の基準であって当時のミニカーとしてはソリドのSMが抜群の出来でした。特徴的なフロントの6灯式ライトもそれらしく再現されていて通信販売で入手したときにはその出来の良さにほれぼれとしてしまったことを覚えています。(ライトの間にあるナンバープレートは私が付けた物でオリジナルではありません)

 
citroen sm minicars birdseye
シトロエン SMのミニカー 

 コーギーの6灯式ライトは紙のシールで表現されています。カバーに色を付いているのは玩具的なやりかたですが、これでも6灯式ライトは簡潔に表現されていると思います。

 

 下の画像で平面的なシルエットをみると全体的なプロポーションにはあまり大きな違いがないことが分かります。SMの車幅はリアにいくほど狭くなっていますがミニカーでもそのことがよく分かります。

 

 寸法を測ってみると当たり前ですがソリドとミニチャンプスは1/43サイズぴったりに出来ています。ただやはりコーギーは前に紹介したジャガー E タイプほど極端ではありませんが、全長を短くして幅を広げたシルエットになっています。

citroen sm box
箱(マウスカーソルを載せると底面の画像にかわります)

 わずかな違いなのですが、この辺が現在のリアルなスケールモデルのミニカーとは異なるコーギーの味付けになっていて、もとの車のイメージを壊さずに全体的に親しみやすいフォルムを作っています。

 

 なおコーギーだけボンネット上のシトロエンマーク(<<)が逆向きになっていますが、これは剥がれたのを付け直した時に私が間違えたものでコーギーのミスではありません。

 箱は通常のタイプです。箱の底面にはギミックの説明図が描かれています。

 
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