ミニチュアカー ミュージアム

GIMMICK ミニカーのギミック

ミニ マーコス GT 850 (MINI MARCOS GT 850)

ミニカーのギミック

 今回はミニのエンジンとシャーシを流用して作られたスポーツカーを紹介します。マーコスというあまり知られていないスポーツカーメーカーですが、ロータスと同じように市販車のエンジンを使い独自のボディを袈装して個性的なスポーツカーを作っているメーカーで現存しています。ミニ マーコスはミニのエンジン、サスペンション、ブレーキ、ランプ類を流用しボディはFRP製で1965年に発表されています。エンジンは850ccまたはクーパーSの1275ccを使用し空気抵抗の小さい軽量ボディで最高速度160km/h(1275ccエンジン)となかなかの性能です。1966年のルマンでは最下位ながら完走するなど多くのレースで活躍しているようです。

 

 ミニカーは型番341(生産期間1968~70年)で、「GOLDEN JACKS」と名付けられたコーギーオリジナルのギミックが最初に採用されたモデルです。「GOLDEN JACKS」とは簡単に説明するとタイヤの取外しができるギミックです。タイヤの性能向上や道が良くなったことで最近はあまりやることも無くなりましたが、実車のタイヤ交換作業はあまり楽しいものではありません。このタイヤ交換をおもしろい?ギミックにしてしまったところがコーギーのコーギーたる所以です。タイヤ交換するときにはジャッキで車体を持ち上げますがそのジャッキアップも車体に内蔵したジャッキでできるようになっています。またこのギミックはスプリング サスペンションとも両立できる構造になっていて非常に良く考えられられています。

 

 ミニ マーコスのミニカーとして見ても少しユーモラスで特徴的なデザインのこの車をきわめて忠実に再現しています。量産タイプのミニカーとしてはコーギーしかモデル化していないこのユニークな車とタイヤ交換の巧妙なギミックを以下の動画でみてください。なお動画ではタイヤを一本だけ外していますが、もちろん4輪とも全部同じ手順で外せます。(全部のタイヤを外してジャッキアップされた状態にもできます)

 
 
 
 

マーコスのミニカー、箱

 このミニカーは1969年に700円で購入していて当時の購入時のメモにも「GOLDEN JACKS」とギミックのことが明記されていました。このギミックは同じ頃に発表されたいくつかのミニカーに展開されています。ほぼ同時期に採用されたのがローバー 2000TC(型番275 生産期間1968~70年) その後シボレー カマロ(型番338 生産期間1968~70年) ヒルマン ハンター(型番302 生産期間1969~72年) ロールス ロイス シルバーシャドー(型番273 生産期間1970年)などに採用されています。「GOLDEN JACKS」という名前にちなみ2番目のローバー 2000TC以降のジャッキ部分は金色になっていますが、このミニ マーコスは名前が決まる前の初期型なのか銀色となっています。

 

 ただこのギミックも残念ながら短命でした。タイヤを紛失しやすいとのクレームがあったことに加えて70年代になると走行性を重視したフリーホイール化の流れが始まりコーギーも「WHIZZWHEELS」という名前でフリーホイールを採用するようになり、「GOLDEN JACKS」を採用していたほとんどのモデルがこの「WHIZZWHEELS」に変更されてしまいこのギミックは消滅してしまいました。

 

 さてミニカーメーカーは自国の車にこだわった車種選択をしますが、コーギーもイギリスのスポーツカー精神を代表しているロータスやマーコスを応援しているかのような車種選択をしています。世界的にはあまり有名ではないマーコスが3台もモデル化されています。下の画像がそれらのミニカーですが、左からマーコス 1800GT(型番324 生産期間1966~1969年)、ミニ マーコス、マーコス マンティス(型番312 生産期間1971~1973年)となります。

corgi marcos minicars
 1800GTは当時のマーコスの代表的な車ですが、マーコス マンティス(Mantis:カマキリ)はその名前どうりのかなり変わったデザインの車でそのデザイン故に?たった32台しか生産されなかった珍車のたぐいに入る車ですので、この車種選択はあまり一般受けしない気がします。

 

 ただ変わったデザインということではおもしろいミニカーではあります。当時のコーギーにはアダムス プローブとかシボレーアストロ I などのように変わったデザインの実験的な車のミニカーが多かったように思いますので、このマンティスもその流れの一つなのだったのかもしれません。

 
mini marcos box

 とりとめのない話になりましたが、定番の箱の紹介をしておきます。箱はミニと同じタイプの箱です。見出し部分にはレース場でタイヤ交換しているマーコスのイラストが描かれていて売り物のギミックを強調しています。箱の背面にも同じ説明が印刷されていますが、左下部分には「SPARE WHEELS FROM YOUR CORGI STOCKIST ASK FOR No1361」と表示されていてホイールを無くした場合には専用のスペアホイールが注文できるようになっていました。

 

 その当時実際に日本から注文できたかどうかはわかりませんが、「GOLDEN JACKS」用のスペアホイールは実際に販売されていました。コーギーだけではなく当時のミニカーメーカーはこのようなタイヤやフィギュアなどのアクセサリーパーツをたくさん販売していました。現在ではオークションサイトなどで時々出品されていますが、それらはこの当時のミニカーの魅力の一つだったと思います。

 
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