ミニチュアカー ミュージアム

GIMMICK ミニカーのギミック

フォルクスワーゲン ビートル ポリス (VOLKSWAGEN BEETLE POLICE)

ミニカーのギミック

 前輪操舵ギミックのついたミニカーを紹介します。今回は実車について特に説明するまでもないフォルクスワーゲン ビートルのポリスカーです。ミニカー(型番492 生産期間1966~69年)の底板には「VOLKSWAGEN 1200 SALOON」と表示されていますので1950年代の1200ccをモデルにしているようです。また「POLIZEI」のシールが示すようにフォルクスワーゲンの本家ドイツのポリスカーです。このミニカーの前輪操舵ギミックの特徴は走らせながら前輪を操作することができるよう工夫されていることです。ポリスカーにつきものの屋根のパトライトを回すことによって前輪が操舵できるようになっています。つまり屋根のパトランプを持ってミニカーを走らせると、走る方向を自在に操作することが出来ます。

 

 ビートルのミニカーとしてはディンキーなど他社の1/43のビートルに比べると少し小さめに出来ていて、そのためか丸っこいビートルのデザインがより強調されていてコーギーらしいデフォルメが効いたビートルになっています。警察官のフィギュアが乗っているのもコーギーらしいところです。開閉出来るトランクとエンジンカバーの内部は当時のミニカーとしてはかなり細かく作り込んであり、子供向けとはいえこの辺は手抜きしていません。また上記のクーパーと同様に前輪部分が金属部品で頑丈に出来ているのもさすがといったところです。

 ビートルのミニカーとしても一級品といえるこのミニカーを以下の動画で見てください。

注意!!音楽が流れますので音を控えめにしておいてください!!
 
 

前輪操舵ギミックを持つミニカー、箱

 このミニカーは1969年に800円で購入しています。このギミックが最初に使われたのはオースチンA60 運転教習車(型番236 生産期間1964~68年)です。画像がなくて申し訳ないのですが、このミニカーは屋根にタイヤが載っていてそのタイヤで前輪を操作するようになっています。この独特なギミックがヒットしこのミニカーは100万台も生産されていて学校の交通安全教育の教材としても使われたそうです。たしかに車の動きを楽しく勉強するには最適な教材で、バックで車庫入れするときなどのハンドルの切り方の練習?にもなります。

 

 このギミックが今回のビートルにも採用されているのですが、同じ型でパトカーではなくラリーカーとして発売されたイースト アフリカン サファリ ラリー車(型番256 生産期間1965~69年:これは屋根にタイヤが載っています)もあります。 当時前輪が操作できるミニカーはたくさんありました。このギミックを最初に採用したのはディンキーで、1960年に発表されたジャガー MK II(型番195 生産期間1960~66年)はミニカーの車体を傾けることで前輪の向きを変えられるようになっていました。これに対抗してコーギーは翌年にベントレー コンチネンタル(型番224 生産期間1961~66年)を発表します。ディンキーと同様に車体を傾けることで前輪が操作できますが、かなり複雑な構造となっています。

 

 おそらくはディンキーの特許をかわすためにやむを得ずこのような構造となったものと思います。(当時のミニカーには箱や底板にやたらと特許番号が表記されていますのでこのようなギミックの特許を競い合っていたと思われます)

steeringminicar3
 代表的なミニカーの画像を紹介しておきます。右からコーギーのベントレー コンチネンタル(前述)、ディンキーのフォード コルセア 2000E(型番169 生産期間1967~1969年)、テクノ(デンマーク)のフォード マスタング(型番833 1967年発売)です。

 

なお当時のディンキーのミニカーのほとんどには前述のジャガー MK IIで採用されたギミックが使われていましたので、特別なミニカーではありません。またテクノについても同様でほとんどのミニカーに採用されていました。 

 各ミニカーについて前輪を操作したときの状態と前輪の構造をまとめてみました。前輪を操作するには車体を下に押しつけて左右に傾かせる必要があり、いずれも手を離すとスプリングで直進状態に戻るようになっています。したがって画像は前輪を作動状態に固定しておいて撮影したものです。

 
ベントレー コンチネンタル
経年変化の為か動きが渋く傾かせるのにかなりの力がいりました。構造的にはコイルスプリング(隠れて見えませんが)を使った独立懸架になっていて左右輪を結ぶタイロッドが付いているなどかなり本格的です。
操作した時の姿勢とタイヤの向き
bently1    bently2

前輪の構造
bently3

コルセア 2000E
車軸を支える部分に動くスペースを設けて軸全体が回転する構造になっています。簡単な構造ですがグッドアイデアかもしれません。ただ横から見ると車のタイヤの位置がかなり不自然になります。ずいぶんガタがある車軸だと誤解している人もいるかもしれません。
操作した時の姿勢とタイヤの向き
corsair1    corsair2
前輪の構造
corsair3
マスタング
キャスター角が付いた実車に近いしっかりした作りの構造になっています。車体の傾きが他の2台と逆になっていますが、本来の自動車の傾きはこちらが正しいです。ただ高速でコーナリングしない限りこんなふうにはロールしませんが。。。
操作した時の姿勢とタイヤの向き
mustang1    mustang2
前輪の構造
mustang3
 
 上記以外にも前輪操作可能なミニカー(1/43)で有名なものといえば、ソリドのランボギーニ ミウラ、ポリトーイ(イタリア)のアルファロメオ 1750GSなどがあります。(特に後者はラック&ピニオンの本格的な構造でステアリングホイールで前輪を操舵できます)またディンキーでも仏ディンキーのプジョー504クーペにはステアリングホイールと連動した前輪操舵ギミックが付いています。最近のミニカーでいうとオートアートのミニカーのほとんどで前輪が可動します。
vw beetle box
箱(マウスカーソルを載せると背面の画像にかわります)
 1/43サイズよりも大きなミニカーでは実車の忠実なスケールモデルという観点から前輪が操舵できるギミックなどはほぼ当たり前のように付いています。しかし1/43サイズではコストの問題などでドア開閉などのギミックが全く付いていないミニカーばかりです。最近値段が高いもののちょっとしたギミックを採用したミニカーも出てきています。

 

 値段が高くなるのは困りものですが、ちょっとしたギミックが付いている方が面白いし自動車のモデルらしいと思います。 昔子供だった現在の大人のコレクターが満足できるようなギミックが増えてほしいと思います。(昔とおなじようなギミックでも個人的にはかまいませんが)

 

 最後に今回のミニカーの箱を紹介しておきます。イラストが時代を感じさせる定番の黄色い箱です。背面にはギミックの説明図が書かれています。

 
 
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