ミニチュアカー ミュージアム

GIMMICK ミニカーのギミック

ルノー 16 (RENAULT 16)

ミニカーのギミック

 今回はフランスの大衆車 ルノー 16です。ルノー 16について簡単に説明しておきます。当時国有企業であったルノーが大衆車のルノー 4、6につづき1965年に発表したのが1.5Lの中型大衆車ルノー16でその年の「CAR OF THE YEAR」に選ばれています。その頃の1.5Lクラスの車としては大柄なボディで、リアシートを様々な形でたたむことができ大きなテールゲートとあいまって多目的な使い方ができる車でした。現在のミニバンもリアシートのアレンジに工夫を凝らしていますが、その元祖のような車です。当時の日本ではこのようなボディ形状の車は商用車(バン)しかありませんでしたので、車を実用的に使うと言う点ではフランスは何十年も先を走っていたわけです。

 

 ミニカー(型番260 生産1969年)は生産期間が短いので商売的にはあまりうまくいかなかったものと思われますが、すこし変わったギミックが付いていて良くも悪くもコーギーらしいテイストをもつミニカーと思いますので紹介することとしました。このミニカーはスケールモデル的な見方をしますとその点ではあまり実車に忠実ではなくかなり大げさなデフォルメがされています。先のVW ビートルもそうですがこのミニカーも全長が短くその上に車高が高いので全体的にユーモラスな感じにデフォルメされています。少し極端にいうとチョロQ的な味付けともいえます。(この辺はあとで他のミニカーと比較していますので見てください)

 

 ギミックはこのルノー 16の特徴である室内レイアウトを再現したものですが、リアシートではなくフロントシートのシートバックがミニカーの底板に付いているダイヤルで操作できるといった他愛もないものです。さほど面白くもありませんが、このようなギミックもあったということで見てもらえばいいかと思います。ドアが開閉できればあえてこのようなダイヤル式にしなくててもシートバックの動作など簡単にできるものですが、それをあえてこのようなギミックにしたてた点がコーギーのこだわりなのかもしれません。

 

 ルノー16の特徴である大きなリアゲートを開けて荷物棚を操作できるギミックもついていますのでそれも見てやってください。なおテールに付いているフックは別ページで紹介したビューイック リビエラと同じで別売りのトレーラなどを接続するものです。

 
 
 
 

ディンキーとの比較、箱

 このミニカーは1970年に600円で購入しています。このシートバックを操作するギミックが最初に使われたのはシトロエン ID19 サファリ (型番436 生産期間1963~1965年)で、これはダイヤルを回すことで後席全体が折り畳まれて荷物室がフラットになる仕掛けでたいへんうまく出来ています。(画像がなくてすいません) またヒルマン インプ(型番251 生産期間1963~1967年)もリアシートのシートバックが操作できますがこちらはダイヤルではなく後輪を回すことで操作するようになっています。(ただこれはタイヤが空回りするだけであまりうまく動作しませんが) ルノー 16のギミックはフロントシート左右を独立して操作できるようにしたものですが、シトロエン ID19のようにリアシートも操作できるようになっていればルノー 16の特徴をよく表した面白いギミックになっていたと思います。

renault16
コーギーとディンキーの比較
マウスカーソルを載せると後方からの画像にかわります

 ルノー 16のデフォルメについてですが、同じ時期の仏ディンキーのミニカー(型番537 生産期間1967~1970年?)と比較してみます。この仏ディンキーのミニカーにはリアシート全体を前後に移動できるギミックが付いていて似たようなギミックで張り合っています。2台を並べた画像ですが、横幅は同じですが全長はディンキーのほうが長いです。(コーギー 92mm ディンキー 97mm) 実車の全長(4230mm)から計算するとディンキーはほぼ正確に1/43サイズで出来ていますが、やはりコーギーは短くなっています。

 

 これだけ寸法が違うとやはりこれは意図的なデフォルメであるといえます。こうやって比べてみるとミニカーメーカーの個性が良く出ていると思います。仏ディンキーは端正な作りで実用的なルノー 16を再現していますし、コーギーはその実用車を面白み味のあるミニカーにしています。まあこのへんの味付けには好き嫌いがあるとは思いますが。

 
renault16box1
箱 マウスカーソルを載せると背面の画像にかわります
クリックするとギミックの操作説明書が表示されます

 コーギーのルノー 16は何故か車高が高いのでその分もあってよけいに寸詰まりな感じがしますが、この車高の高さは企画時期から考えると他のミニカーで紹介している「GOLDEN JACKS」を採用する予定で型を製作していたのではないかと思います。そう考えるとリアシートを作動させるダイヤルを付けるのは難しいので、フロントシートにしかギミックが付けられなかった理由も分かるような気がします。

 

 ただルノー16の場合はやはりスペースの関係でリアシートのギミックが出来なかったのというのが正解でしょうね。「GOLDEN JACKS」の件も少し考えすぎかもしれません。

 最後に箱の画像です。箱にはギミックの操作説明書が入っています。

 

 
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