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パナール ルヴァッソール ディナミク 160 フランス 1937年
1936年のパリ サロンに登場したパナール ルヴァッソール ディナミクは名前どうりの革新的なダイナミックな造形で話題となりました。はやりの流線型を取り入れたボディ デザインはフェンダーの形状やフロント グリルに同時期のドライエなどと同じようなフランス流のテイストがあり、個人的に好きなデザインです。またフロントグリルの形状に合わせたライトのカバーはガラスではなくグリルで構成されていて、これはプジョー402のフロントグリル内格納ライトと同じ処理でした。前輪独立懸架や油圧ブレーキなどメカ的にも新しく、前述したパナール 6CSと同じフロントウィンドー両端に曲面ガラスを組み込んだ「パノラミク」を採用し、3人掛けフロントシートで中央にステアリング ホイールがあるなどユニークな車でした。(1939年には左ハンドルに変わりました)
エンジンはディナミク 130が6気筒2.5L、ディナミク 140が6気筒2.9L、1937年に追加されたディナミク 160は6気筒3.8L(100HP)でパナール ルヴァッソールが得意としたスリーブバルブ エンジンでした。(これが最後の量産スリーブバルブ エンジンでした) ホイールベースは長短3タイプがあり、最短(2600㎜)の2ドアクーペはすぐ廃止され、大半は2800㎜のセダンでリムジンのディナミク 160は3000mmでした。第2次大戦の為1940年に生産中止となりました。高価な車だったので、総生産台数は約2700台と希少でした。。
ミニカーは2000年頃に発売されたエリゴール製で、ロングホイールベースのセダンをモデル化しています。エリゴール製のディナミクは1980年頃に発売されていたのですが、これはエリゴール愛好者のエリゴール クラブ向けの特注品として作られた物でした。フロントグリルのエンブレムやフェンダーのモールなど通常品より丁寧な塗装仕上げとなっています。実車のユニークなボディがうまく再現され、特徴的なヘッドライトもグリルではないもののそれらしく表現されていてとても良く出来ています。実車のデザインが好きなので、個人的にお気に入りのミニカーです。 以下はフロント/リアの拡大画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
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ルノー ジュバカトル フランス 1938年
前述したルノー セルタカトルの後継車として、全く新しい設計の小型車ジュバカトルが1937年に登場しました。モノコック構造ボディに4気筒1L(24HP)エンジンを搭載し、前輪に独立懸架サスペンションを採用し最高速度91km/hの性能でした。ボディは4ドアセダン/2ドアクーペと2ドアバン/ワゴンがありました。ライバルのシトロエン 7CVなどに技術的に追いついたこの車は、1938年に約1万台販売されて当時のルノーとしてはかなり成功した車となりました。
第2次世界大戦の勃発でルノーは乗用車の生産を中止し、工場は連合軍の空襲で壊滅状態となりました。1945年に戦後のルノー最初のモデルとしてジュバカトルの生産が再開されました。1956年に後継車のドーフィンが登場し、ジュヴァカトルの乗用セダンは生産中止になりました。しかしリヤにエンジンを搭載するドーフィンはバン/ワゴンには不向きでしたので、ジュバカトルのバン/ワゴンはエンジンをドーフィンと共通化するなどの変更が施され1960年まで生産が継続されました。特に1956年以降のワゴンはドーフィノワーズ(DAUPHINOISE)とも呼ばれています。(実車画像→ ルノー ドーフィノワーズ 1958)
ミニカーは1980年代に発売されたエリゴール製です。フロントグリルの造形など実車の雰囲気が良く再現されていて、1980年代のミニカーとしてはとても良く出来ています。リアのトランクが開閉できるギミック付で、そこにはスペアタイヤが格納されています。エリゴール初期のミニカーは同時期のノレブのプラスチック製ミニカーをコピーした物が多いのですが、これもノレブの型番10のジュバカトルをベースにしています。トランクのギミックもノレブをそのままコピーしています。(ただしエリゴールはダイキャスト製で、ホイールなど細部を少し変えていますが) これ以外のジュバカトルのミニカーは、ユニバーサルホビーのクーペ/ブレーク、最近のノレブのバン、ソリドのバン 1/18などがあります。 以下はフロントの拡大画像とリアトランクの開閉動作の画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
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シトロエン 11BL (レジェ) フランス 1938年
トラクシオン アヴァン 7CVの上級仕様であった7Sは1935年に11CV(11AL)となりました。4気筒1.9L(46HP)エンジンを搭載し、ボディサイズは7CVと同じホイールベース(2910㎜)で7CVと同じサイズのレジェ(LEGERE 英語でLIGHTの意)、ホイールベースが長く(3090mm)一回り大きいサイズのノルマーレ、さらにホイールベースが長く(3270mm)サイズが大きいリムジンと3列シートで7~8人乗りのファミリアーレがありました。またリアにテールゲートを付けた5ドアタイプは、リアに荷物を積んで商用車的にも使われました。セダン以外にもクーペ、カブリオレがありました。
当初のセダンにはトランクリッドがなく荷物は室内で出し入れしましたが、1936年にトランクリッドが設定されました。1937年のマイナーチェンジで名前が11BL(レジェ)と11B(ノルマーレ)となりました。1938年にテールゲートを持つ商用車が設定されました。ただトラクシオン アヴァンは荷物積載時の駆動性能に難があったので、戦後に商用車専用の前輪駆動車としてシトロエン Hが開発されることになりました。1941年に戦争でいったん生産中止となりましたが、戦後の1945年から生産が再開されました。
ミニカーは1984年に発売されたエリゴール製です。シトロエン 11BLのモデル化で縮尺1/20で全長215㎜の大きなサイズのミニカーです。縮尺1/20はやや中途半端なサイズで、今見るとあまりサイズに見合った出来ばえではありませんが、当時としてはそこそこ良い出来ばえでした。(当時の価格は8000円と高価でしたが、好きな車なので買いました) ボンネット/ドアの開閉ギミック付でエンジンや室内も再現されていますが、やや物足りないレベルです。なお同じ型を使った物がサフィール製の型番1904にもありますが、どちらがオリジナルなのかは分かりません。トラクシオン アヴァンのミニカーはたくさんあります。当時物ミニカーではCIJ、JRD、ノレブ初期物、2000年以前のものでは、ソリド(べレム)の15CV(後述)、エリゴールのセダン/クーペ/カブリオレ、ビテスのセダン/クーペ、最近の物ではノレブ、イクソなどがあります。 以下はフロント/リアの拡大画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)。
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シトロエン 15CV シックス フランス 1938年
トラクシオン アヴァンは年間6万台も生産される大ヒットとなり、シトロエンの財政状況は好転しました。そこで発売が中止された最上級仕様の22CVの代わりに1938年に登場したのが15CV シックスでした。シックスは6気筒エンジンを意味し、11CVの4気筒を6気筒化した2.9Lエンジン(76HP)を搭載していました。ホイールベース(3090㎜)は11CVのノルマーレと同じでしたが、ボディは11CVより少し大きく、11CVのファミリアーレと同じロングホイールベース(3270㎜)でより全長の長いリムジンもありました。3段変速で最高速130km/hと性能的にも向上していました。
トラクシオン アヴァンは1941年に戦争でいったん生産中止となりましたが、戦後の1945年から11CV/15CV シックスは生産が再開されました。戦後型は少し湾曲していた前後のバンパーが直線化され、1953年頃にはトランク部分が外に張り出して容量が拡大され外観が少しだけ変わりました。1950年代に外観を大幅に変更して大統領専用車にも使われました。1950年代になるとこの車もさすがに時代遅れになり、この車同様に画期的な後継車DS 19が1955年に発表されました。DS 19登場後も生産されていた11CVもDSの廉価版IDが発表された翌年の1957年には生産中止となりました。
トラクシオン アヴァンは23年間に約76万台が生産されました。トラクシオン アヴァンは長い間生産されていたので、昔のフランス映画には非常によく出てきました。ギャング物映画ではギャングとそれを追跡する警察のどちらもトラクシオン アヴァンを使っているといった場面がありました。
ミニカーは1974年に発売されたソリド製です。ソリドの全盛期に作られたミニカーで実車の雰囲気が見事に再現されていて、15CV シックス 戦前型の1/43ミニカーとしては今でもベストの出来ばえだと思います。ボンネット開閉ギミック付で、6気筒エンジンが再現されています。ソリドは戦時中のFFI(自由フランス軍)仕様や戦後型など別ブランドのべレムも含めてバリエーションを30種類以上だしています。これ以外の15CV シックスのミニカーはノレブの当時物と最近の物、Bブラーゴの1/24、マッチボックス ディンキーなどがあります。 以下はフロント/ボンネットを開いたエンジンルームの画像とリアの拡大画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)。
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ドライエ 165 フィゴーニ & ファラスキー フランス 1938年
1937年にドライエ 135の後継車としてドライエ 145が登場しました。ドライエ 145は主にレーシングカーとして使われた高性能車でした。この145をベースにして少量生産された市販ロードスターが165でした。エンジンは145の240HPを165HPにディチューンしていて、4段変速で最高速210km/hの性能でした。ダイナミックで美しいロードスター ボディはコーチビルダー フィゴーニ & ファラスキー(FIGONI FALASCHI)によるもので、実車はその独特のデザインで有名です。
この車のデザインは水上を疾走するボートをイメージしたものでした。フロントフェンダーの造形はボートの先端が掻き分けて盛り上がった波紋を表現しています。このデザインをより印象的にする為に、フェンダーには車輪を完全にカバーして見えなくするスパッツが付けられ、ボンネットから後方にかけて波をイメージさせるクロームモールも付いています。現代的な観点でみると見た目重視で意味のない無駄の多いデザインです。ただこのデザインはそのような現代的な考え方を超越しているので優雅で美しいのです。1930年代のフランス車として個人的に一番好きな車です。
ミニカーは2008年に発売されたイクソ製です。元々はフランスのミニカー付き雑誌「VOITURES CLASSIQUES」のNo.14として作られたもので、これはそれをベースにしてイクソのカタログモデルとして発売されたものです。実車の優雅なデザインが実にうまく再現された素晴らしい出来ばえです。クロームモールや室内などの細部も良く仕上げてあります。これ以外のドライエ 165のミニカーはイクソの別ブランドのホワイトボックス、ミニチャンプスの1/43と1/18、ギロイの1/18などがあります。 以下はフロント/リアの拡大画像と室内の画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
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