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レイランド CUB FK9 消防車 イギリス 1939年
イギリスのレイランド モーター社の前身は1986年に創業されたランカシャー蒸気自動車会社で、蒸気エンジンを搭載した乗用車やバスを製造していました。同社はガソリンエンジンの開発に着手し、1906年にはガソリンエンジンを搭載した車両の販売を始めました。1907年に同業のクルサード(COULTHARDS)社を買収して事業を拡大し、車名をレイランド モーター社に変更しました。1920年にはOHC 直列8気筒6.9L/7.3Lエンジンを搭載した大型の高級乗用車 レイランド エイトを発売しましたが、同社の主要な事業は大型トラックとバスの製造でした。(レイランド エイトは高価な車で売れませんでした)
第2次大戦後レイランド モーター社は他の商用車メーカーを取り込んで世界一のバスメーカーに発展しました。1968年にBLMH(ブリティッシュ モーター ホールディングス)と合併して国有化され、イギリスの民族系メーカーが結集したBLMC(ブリティッシュ レイランド モーター コーポレーション)の1部門となりました。BLMCはその後BLとなり、最終的にローバーグループとなりました。
このミニカーは1939年に登場したレイランド CUB FK9 消防車をモデル化しています。当時としては最新の消防車で4気筒3.7L(30HP)エンジンを搭載し、3000L/分の放水能力がありました。また全長15mまで伸びる救命用はしごも備えていて、このはしごは車輪付きで取り外して迅速に移動させることができました。ボディ側面下部に「NEWCASLE CITY FIRE BRIGADE」と表示されているのでニューカッスル市の消防署に配備された消防車のようです。
ミニカーはデルプラド(DEL PRADO)社のミニカー付雑誌「世界の消防車」の1台で2003年に発売されました。実車の画像と見比べてみると、特徴のあるフロントグリルや後方が円弧状のカーブを描いて下がっている独特のボディが良く再現されています。灯火類やホースなどの細部もかなり忠実にモデル化されています。3段重ねのはしごは取り外すことができ、実際に引き伸ばすこともできるなど凝った仕掛けになっています。メーカーは明記されていませんが、これとほとんど同じ物(レイランド FK7)をマッチボックスが型番Y09でモデル化しているので、それを流用していると思われます。これ以外にもオックスフォードがFK7 消防車をモデル化していますので、このFKシリーズはかなり良く知られた消防車だったのでしょう。デルプラド製の「世界の名車シリーズ」は安価故にあまりぱっとしないミニカーが多かったのですが、この「世界の消防車」のクラシックな消防車は面白い車種があり、いずれも値段(当時約2000円)以上の良い出来ばえでした。 以下はフロント/リア(はしご取り外し)の拡大画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)




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フォルクスワーゲン タイプ 82 キューベルワーゲン ドイツ 1940年
キューベルワーゲンとは第2次大戦中のドイツ軍の小型軍用車でした。独語のキューベル(KUBEL) とはバケツの意味で初期のシートがバケット(BUCKET:英語でバケツ)式だったことやボディがバケツ形状であったことから名前が付いたようです。フォルクスワーゲン タイプ 82は前述したフォルクスワーゲン KdFをベースにした軍用車でした。フォルクスワーゲン タイプ 82は生産台数が多く良く知られていたので、一般的にキューベルワーゲンといえばフォルクスワーゲン タイプ 82のことを示すことになりました。
フォルクスワーゲン タイプ 82は空冷4気筒985㏄(24HP)エンジンをリアに搭載した後輪駆動車で、駆動力を高める為に後輪のホイールハブ内に減速ギヤが内蔵されていました。さらに床下高を上げて悪路走破性を高めていましたが、4輪駆動方式ではありませんでした。派生車として4輪駆動方式を採用した水陸両用車のタイプ 166 シュビムワーゲン、KdF セダンと同じ外観のタイプ 287 指揮車などがありました。タイプ 82 キューベルワーゲンは終戦までに約52000台が生産されました。なお戦後の1969年にはタイプ 82と同じような構造のタイプ 181 キューベルワーゲン (軍用車とその民間仕様車)が登場しました。(実車画像→ フォルクスワーゲン タイプ 181)
ミニカーは2004年に発売されたシュコー(JUNIOR LINE)製です。構成部品のほとんどがプラスチック製でしたので、プラモデルの完成品といったほうが良いかもしれません。灯火類や左前フェンダーに装備したスコップ、室内の小銃など非常に細かい所まで再現されていて、実に良い出来ばえでした。私は軍用車のミニカーはほとんど買わないのですが、ミニカー コレクションを始める前にはプラモデルが好きで、このタイプ 82はプラモデルでよく見た懐かしい車だったので買いました。これ以外のタイプ 82 キューベルワーゲンのミニカーはディンキーのビンテージ物、ミニチャンプスの1/18、ビテスの軍用車ブランドのビクトリア、ホンウェル カララマ(このシュコー製と同じ型を使っていると思われる)などがあります。 以下はフロント/リアの拡大画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)


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フォード ウッディ ワゴン アメリカ 1940年
ステーション ワゴンとは車体が2ボックスで室内には座席とそれに連続する荷室を備えている車体形式を示します。ワゴンの前にステーション(駅)が付いている理由は、当初この形式の車が列車で駅に到着した人と荷物を最終的な目的地まで運ぶ役割をしていたからだそうです。この形式の車両は商用車として扱われていましたが、それを乗用車的に使うことを最初に提唱し積極的に進めたのはアメリカのフォードでした。1910年代にフォードがT型に初めてステーションワゴン的なモデルを製作しましたが、当時の車体はまだ手作業による木製でしたのでこの車は「ウッディ(Woody)」と呼ばれていました。
その後鋼鉄製ボディがあたりまえの時代になると、製作に手間がかかる木製ボディは高級な仕様となって行きました。少し前までステーションワゴンの後部に木製パネル(又はそれに似せた化粧パネル)が使われていたのはその名残りです。このウッディ ワゴンはV型8気筒3.6Lエンジンを搭載した1940年式フォードのステーションワゴンです。ウッディ ワゴンという名前のとおり荷室部分に本物の木材が使用されていました。1940年頃にはボディは既に鋼鉄製となっていたので、手間がかかる本物の木材を使ったこのワゴンは高級な乗用車でした。
ミニカーは1987年に発売されたアーテル(ERTL)製です。初期のアメリカ車をモデル化したアーテルの「VINTAGE VEHICLES」シリーズの1台です。ドアに「WHISPERING PINES LODGE」とロゴが付いていますが、「WHISPERING PINES LODGE」とはコテージタイプの宿泊施設(ホテル)の名前のようですから、これはホテルの送迎車だと思われます。1940年式フォードの特徴である突き出したノーズ/フロントグリルやフェンダーに埋め込まれたヘッドライトが良く再現されています。後部の木材風の仕上げもそこそこリアルで当時のミニカーとして良く出来ていました。同時期のフォード ウッディ ワゴンのミニカーはダンバリーミントの1/24、ヤトミン、ミニチャンプス、ホットホイールの1/64などがあります。 以下はフロント/リアの拡大画像です。ホイールキャップに表示されたロゴはひっくり返っているので読みにくいですが「DELUXE」です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)


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BMW 327 ドイツ 1941年
BMW 315の解説に記載したようにBMW 303をベースにして1935年に1.9Lの319が登場しました。1936年には6気筒2L(50HP)エンジンを搭載する326(4ドアセダン)が登場しました。326はBMW初の4ドア車で、トーションバー式のリアサスペンションや油圧ブレーキの採用など先進的な設計で、高価でしたが人気がありました。1937年に326のスポーツ仕様としてエンジンが55HPにパワーアップされた327(クーペとカブリオレ)が登場しました。327にはさらに80HPまでチューンした高性能版もありました。この327は戦後のスポーツカー503/507に繋がるものでした。
BMW 319は1937年に329(カブリオレのみ)に発展しましたが、すぐに326をベースにして同年に登場した6気筒2L(45HP)エンジンを搭載した320(2ドアセダン/カブリオレ)に切り替わりました。320は1938年には改良型の321に発展しました。321は戦後の1950年まで生産されました。
BMW 326の成功でBMWは高級車市場への進出を図り、1939年には326をベースにして6気筒3.5L(90HP)エンジンを搭載した335(4ドアセダンと2/4ドアカブリオレ)を登場させました。335は全長約4.84mと336より大きな4ドアセダンで、4段変速で最高速145㎞/hの性能でした。こんな具合にBMWの4輪車は徐々に充実していきました。(実車画像→ BMW 335)
ミニカーは1995年に発売されたディテールカー製で、327 クーペをモデル化しています。ディテールカーはイタリアのCDCグループのブランドで、1992年頃から主に1/43のダイキャスト製ミニカーを作っていました。ディテールカーはその名のとおりディテールにこだわった良い出来ばえのミニカーが多く、OEMで当時の他社ブランド(コーギーやソリドなど)でも販売されました。この327もプロポーションが良く、フロント周りがうまく再現されていて、当時としてはかなり良い出来ばえでした。赤/黒のカラーリングも綺麗で、室内も良く再現されていました。 これ以外のBMW 327のミニカーは、ブッシュの1/87、ユニバーサル ホビー(たぶんディテールカーのOEM?)などがあります。 以下はフロント/リアの拡大画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)






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パッカード 180 ダリン コンバーチブル アメリカ 1941年
アメリカのの自動車デザイナー ハワード ダリン(Howard A. Darrin)は、友人のトーマス ヒバード(Thomas L. Hibbard)と共同で、コーチビルダー ヒバード&ダリン社を1923年にフランスのパリで創立しました。ヒバード&ダリン社はヨーロッパに住むアメリカ人向けに高級車のカスタムデザインを架装していました。1937年に彼はアメリカに戻り、「パリのダリン(Darrin Of Paris)」という名前の会社でハリウッドの有名人(俳優クラーク ゲーブルやアル ジョルソンなど)向けにカスタムデザイン車を約20台ほど架装しました。これらの車のほとんどはパッカードがベースでした。
ハリウッドの著名人の車ということで、ダリンのパッカードは有名になっていきました。そこで1939年にパッカードはダリンと契約し、1940年のカタログにパッカード ダリン モデルが設定されました。1941年にはダリンのデザインした新型車クリッパーが発表されました。1941年末に太平洋戦争が勃発し、民間乗用車の生産が禁止されたので、パッカードも乗用車の生産を停止しました。パッカード ダリン モデルは1942年までに約50台ほどが生産されたようです。(半数はこのようなカブリオレだったようです) (実車画像→ パッカード クリッパー 1941)
ミニカーは2008年頃に購入したシグネチャー製のクラシックカーシリーズです。このクラシックカーシリーズは縮尺1/32と中途半端なスケールでしたが、そのサイズを生かしてドア/ボンネット開閉などのギミック付きで室内やエンジンもそこそこ良く再現してありました。ただし1/18ほど精密ではなかったので、その分値段は控えめ(約2500円)で、財布の軽い私のお気に入りのシリーズでした。このパッカード ダリンはプロポーションが良く、実車の雰囲気がうまく再現されていました。また細かいところも値段以上にきちんと作ってありました。ボンネット/ドア/トランクが開閉するギミック付きで、エンジンや室内も良く再現されていました。さらにステアリングホイールと連動しませんが、前輪操舵ギミックも付いていました。これ以外のパッカード ダリンのミニカーはフランクリン ミントの1/24、ウエスタンモデル(ホワイトメタル製)、最近のMATRIX(レジン製)などがあります。 以下はフロント(ペリカン マスコット拡大)/ボンネットを開いたエンジンルームの画像とリア/トランクを開いた画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)




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