Sorry Japanese Only


アルファ ロメオ 8C 2900B ルンゴ イタリア 1938年
アルファ ロメオ 16Cの解説に記載したようにアルファ ロメオのGPカーはメルセデス ベンツやアウトウニオンのドイツ勢に対抗できなくなったので、アルファ ロメオは国内のスポーツカーレースに軸足を移しました。6C、8Cで確立したスポーツカーレースでの優位を維持する為に開発されたのが8C 2900Aで、1935年に登場しました。エンジンはGPカー P3(ティーポ B)用の8気筒エンジンを220HPにディチューンして搭載していました。この車は1936年と1937年のミッレ ミリアで優勝しました。
アルファ ロメオ 8C 2900Bは8C 2900Aのエンジンを180HPにディチューンした市販スポーツカー(当時のスーパーカー)で、1937年に登場しました。ホイールベースが2900A(2718㎜)より長く、ショートホイールベース(2799㎜)のコルト(CORTO)とロングホイールベース(3000㎜)のルンゴ(LUNGO)の2タイプがあり、ほとんどはカロッツェリア トゥリングがボディを架装していました。市販車ながらもショートホイールベースのレース仕様が1938年のミッレミリアで、ロング ホイールベースのレース仕様が1947年のミッレミリアで優勝しています。8C 2900Bはたった30台ほどしか生産されませんでした。
ミニカーは2005年に発売されたミニチャンプス製です。ミニカーの収納箱(ディスプレイケース)には実車の写真が使われていて、解説には「世界で最も美しい最速の車と評された」と書かれています。後傾したフロントグリルと長いボンネットの古典的なスポーツカーの美しさが、このミニカーで見事に再現されています。良く出来たリアルなワイヤースポークホイール、ボンネットのルーバー部の墨入れ、室内の造形など細かいところもレベルの高い仕上げがされています。2005年前後に発売されたミニチャンプスの1/43のミニカーは、非常に凝った仕上げで出来が良いものが多かったです。(2023年現在では同社にそのようなレベルの1/43ミニカーを望むべくもありません 最近販売されている再生産のマキシチャンプスの仕上げレベルはコストダウンで雑誌付きミニカー並みです) これ以外の8C 2900のミニカーは約30数種類あります。レース仕様ではミッレ ミリア仕様をブルムとトゥルー スケールが、ルマン仕様(レース結果はリタイヤ)をミニチャンプスがモデル化しています。CMCの1/18 超精密モデルの8C 2900Bではレースカーだけではなくエンジン単体やフレームを再現したものもあります。 以下はフロント/リア(後輪拡大)の拡大画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)












このページではなくこの記事へのリンクURLは以下となります
http://minicarmuseum.com/historic/his_link.php?id=305


GM キャディラック V16 クーペ デビル アメリカ 1938年
1930年代中頃ののキャディラックのラインナップは50、60、70、75、80、85、90といった7シリーズ構成でした。50/60シリーズにはV型8気筒4.1L/5.3L/5.7L、70/75シリーズにはV型8気筒/5.3L/5.7L、80/85/90シリーズにはV型12気筒6L/V型16気筒7.4Lなどのエンジンが搭載されました。それぞれのシリーズにはリムジーン/セダン/クーペ/カブリオレなど様々なボディ形式が用意され、この車種構成で年間に約3万台弱を販売していました。一番売れたのはV型8気筒エンジン搭載の60シリーズだったようです。当時ライバルであったパッカードは約10万台を販売しており、この頃はまだキャディラックは販売台数で負けていました。
1938年にモデルチェンジしたキャディラックは次の1940年代への先駆けとなる斬新なデザインとなりました。当時流行していた流線型を取り入れつつ、リアフェンダーやトランクの形状が近代的な3ボックス スタイルに変わろうとしていました。1938年にはサイドバルブ式を採用した新しいV型16気筒エンジンが登場しました。このエンジンはVバンク角を従来のOHV方式90°から135°に広げ、従来の半分の部品で構成されていました。排気量は7.1Lと少し小さくなりましたが、185HPに性能は向上していました。このエンジンは高さが低くなったので、ボンネットを下げたボディデザインが可能となり重心が下がったことで操縦性が良くなりました。このエンジン搭載車は1940年まで生産されました。
ミニカーはこの時代のアメリカ車をモデル化していたフランスのレックストイ製で、1988年頃に発売されました。V型16気筒エンジンを搭載した最上級のキャディラック 90シリーズ クーペ デビルをモデル化しています。クーペ デビルとは運転席(前席)の屋根だけがオープンになっているフォーマルな用途に使われたセダンのことです。レックストイはダイキャスト製でグリルやバンパーなどが金属製パーツで構成された重厚な作風で、昔のアメリカ車をモデル化するのには打ってつけの作風でした。このキャディラックも実車の雰囲気に合わせたフォーマルなツートンのカラーリングで実車がうまく再現されていて、1980年代のミニカーとして良く出来ていました。フロントグリルの先端に付いたマスコット(翼の付いた「空飛ぶ女神像」)もそれらしく再現してありました。レックストイはこのほかにもバリエーションでクーペとカブリオレ、カブリオレ ルーズベルト大統領公用車などもモデル化していました。以下はフロント(マスコット拡大)/リアの拡大画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)










このページではなくこの記事へのリンクURLは以下となります
http://minicarmuseum.com/historic/his_link.php?id=317


ロールス ロイス ファントム III イギリス 1938年
1935年に新型のV型12気筒7.4Lエンジン(約160-180HP)を搭載し、前輪独立懸架サスペンションを採用したロールス ロイス ファントム IIIが登場しました。このV型12気筒エンジンは航空機エンジンで培った豊富な経験が生かされていて、非常に優れた静粛性を有していました。動力性能は車重約1.8tのボディを最高速160km/hで走らせ、しかもその速度で普通に話ができるほど静かだったそうです。ロールス ロイスとして初めて採用した前輪独立懸架サスペンションにより乗り心地がソフトになり、スピードに応じて減衰力が制御されるダンパーと相まってスポーツカー並みの操縦性だったそうです。
また前輪独立懸架サスペンションの採用で、ラジエーター位置が前進しエンジンを全車軸より前に配置できるようになり、その分室内の前後長を広くとることができるようになりました。この後1998年にシルバー セラフが登場するまで、V型12気筒エンジンを搭載したロールス ロイスはファントムしかありませんでした。ファントム IIIは1939年に第2次世界大戦の為に生産中止となり、総生産台数は約700台でした。1950年に後継車としてファントム IV/Vが登場しました。
ミニカーはダンバリー ミント製の1/24で、1994年に購入しました。ダンバリーミント社はコレクター向けの商品を扱うアメリカの会社で、同業のフランクリン ミント社と同時期に同じような1/24の精密ミニカーを販売していました。どちらも当時は通信販売でしか購入できませんでした。両社の1/24のミニカーは何れもプラスチック製パーツが少ない丈夫な作りで、ドア/ボンネットなどが可動しエンジンやサスペンションなどもリアルに再現された素晴らしい出来ばえでした。(当時の価格は約2万円で、出来ばえに見合って高価でした) このファントム IIIもロールス ロイスらしい古典的なスタイルがうまく再現されていてかなり良い出来ばえで、フェンダー下部につけられたモールが豪華さを感じさせます。ボンネット/4ドアが開閉するギミック付きで、ボンネット内にはエンジン関係、室内にはインパネのメーター類、足元のペダル、ドライバー用本革シート、オーナー用ファブリック シートなどが再現されていました。さらにステアリングホイールと連動する前輪操舵ギミックも付いています。(なお右側前輪はタイロッドが破損しているのでうまく動作していません) 以下はフロント(マスコット拡大)/前輪操舵ギミックの画像とリアの拡大画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)



このページではなくこの記事へのリンクURLは以下となります
http://minicarmuseum.com/historic/his_link.php?id=347


アルビス 4.3L 4ドア ツアラー イギリス 1938年
技術者T.G.ジョン(Thomas George John)が1919年に設立した「TG John and Co. Ltd」は当初はエンジン、キャブレターを製作していました。同社は1920年にアルビス 10/30HPという名前の4気筒1.5Lエンジンを搭載した2シーターの小型車を発表し、1921年に社名を「Alvis Car and Engineering Company Ltd」に変更しました。アルビス 10/30HPを改良して1923年に登場した12/50HPは、レースで活躍してアルビスの名前を有名にしました。1927年に6気筒1.9Lエンジンを搭載した14.75HPが登場し、この車には前輪独立懸架サスペンション、世界初のオールシンクロメッシュ変速機が採用されました。1925年にはイギリス初の前輪駆動車を発表しており、当時のアルビスは先進的な自動車メーカーとして知られていました。1930年代には6気筒エンジンを搭載したスピード20、スピード25、4.3Lがありました。1936年に社名を「Alvis Ltd」に変更しました。
第2次大戦中は航空機エンジンや装甲車の生産を行いました。戦後は戦前の4気筒エンジン搭載車をベースにしたTA14を生産しましたが、戦前の高性能なイメージは失われていました。1950年にTA14がモデルチェンジされ6気筒3Lエンジンを搭載したTA21が登場しました。その後も6気筒エンジン搭載車を生産していましたが、あまり売れなかったようです。1965年にローバー社に吸収合併され、そのローバー社も1967年にBL(ブリティシュ レイランド)傘下となり、アルビスの歴史は終わりました。
ミニカーは1990年に発売されたフランクリン ミント製です。フランクリン ミントの1/24のクラシックカーのシリーズは現在のオートアートなどの大スケールミニカーの先駆けで、シャーシ/エンジン/サスペンションなどのメカ部分が金属製パーツで再現されドアやボンネットが全て可動する当時最も精密なミニカーでした。これは1937年に登場したアルビス 4.3L 4ドア ツアラーをモデル化しています。アルビス 4.3Lは6気筒4387cc(137HP)エンジンを搭載した戦前のアルビスの最上級車でした。前輪独立懸架サスペンション、フルシンクロメッシュ変速機などの先進技術が採用され、最高速160km/hは当時のイギリスでは最速の車だったそうです。
ミニカーはメッキ仕上げされたボンネットとブリティッシュグリーンのカラーリングが綺麗で、スポーティな高級車であったアルビスが見事に再現されています。フロントグリルの赤い3角のロゴやマスコット(鷲)、灯火類、ワイヤースポークホイール、室内のインパネなどの細部も良く再現されています。ボンネット/4ドア/トランクが開閉し、エンジン/サスペンションもリアルに再現され、前輪はステアリングホイールと連動して操舵できます。さらにフロントスクリーンは前方に倒すことができ、幌は立てた状態と畳んだ状態の両方が付いていました。 これ以外のアルビスのミニカーはディンキー(英)のビンテージ当時物、オックスフォードの1/76、マトリックス(レジン製)などがあり、ソリドやディンキー(英)の装甲車もあります。 以下はフロント(マスコット拡大)とリア/トランク開閉の画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)




このページではなくこの記事へのリンクURLは以下となります
http://minicarmuseum.com/historic/his_link.php?id=353


ラゴンダ LG6 ドロップヘッド クーペ イギリス 1938年
アメリカ人のウィルバー ガン(Wilbur Gunn)はイギリスに渡り、バイクの製造から始めて自動車製造に進出しラゴンダ社を1906年に創立しました。初期には3輪のサイクルカーを手掛け、1907年に6気筒エンジン搭載の4輪車を製作しました。その車は1910年のモスクワ-サンクトペテルブルク 耐久レースで優勝しました。その後1913年に発売した先進的な構造で安価な4気筒1.1Lエンジン搭載車が主力モデルとなりました。1926年にはビンテージ期のラゴンダとして有名なDOHC 4気筒2Lエンジン搭載の高性能な14/60HPが登場しました。その後 6気筒2Lエンジンの16/80HPや4気筒DOHC 4気筒1.1Lエンジンのレイピアなどが登場しました。
1935年には販売不振から車種をイギリスのメドウズ(MEADOWS)社製 6気筒4.5Lエンジン搭載車に絞り、この車のレース仕様 M45R ラピードはルマンで優勝しました。その後ロールス ロイスから移籍してきたベントレー社の創業者 W.O.ベントレーが、6気筒エンジン搭載車をLG45に改良し1938年には前輪独立懸架のLG6に発展させました。またV型12気筒4.5Lエンジンも開発しそれを搭載したV12 ラピードが1939年に登場しました。1946年に実業家 デビット ブラウンはアストン マーチン社を買収し、翌年にはラゴンダ社も買収し、アストン マーチン社はアストン マーチン ラゴンダ 社となりました。1961年にはアストン マーティンの4ドア版としてアストン マーチン ラゴンダ ラピードが登場し、ラゴンダの名前が一時的に復活しました。(実車画像→ アストン マーチン ラゴンダ ラピード)
ミニカーは2005年頃に発売されたフランスのミニカー付き雑誌「VOITURES CLASSIQUES」のNo22です。ラゴンダ LG6 ドロップヘッド クーペ(カブリオレのイギリス式呼び名)のロングホイールベース版をモデル化しています。メーカーはイクソで、イクソのカタログモデルでは型番MUS039で発売されました。(イクソの別ブランド ホワイトボックスでも型番WB113で色違いが発売されています)「VOITURES CLASSIQUES」シリーズのクラシックカーは雑誌付きの安価なミニカーながらいずれも良く出来ていましたが、このラゴンダも実車の雰囲気がうまく再現されています。フロントグリル/灯火類とその下のトランペットホーン、カバー付スペアタイヤとそこに付いた小さなサイドミラー、室内などの細部も良く再現してあります。(ホワイトリボンタイヤが付いているのでアメリカで使用された車をモデル化しているようです) イクソはルマンで優勝したラゴンダもモデル化しています。これ以外のサラブレッド期のラゴンダのミニカーはディンキーのビンテージ物、マッチボックス、ウエスタンモデルなどがあります。 以下はフロント/リアの拡大画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)





