ミニチュアカー ミュージアム

ミニカーの魅力/楽しみ

1 はじめに

 世の中には色々な趣味の方がいて、その一分野として「自動車」に関する趣味があります。大別して自動車マニアと呼ばれていて、運転することが好きな人、自動車のメカが好きな人、レースが好きな人など様々な方がおられます。自分用にミニカーを購入する人は基本的に自動車マニアであることは間違いないはずですが、その興味の分野次第でミニカーに対して求めるものはさまざまです。当サイトではミニカーの定義を「コレクションを目的とした自動車の完成模型」としたうえで、ミニカーの魅力(その楽しみ方)について私の個人的な見解を書きます。自動車模型を組立てることが好きなモデラーや走らせることが好きなRCカーマニアの方などには別の見解があるとは思いますが、その手のマニアさんは以下を読まないでください。

2. 「精密」、「実車に似ている」、「実車以上」の魅力

 実物の自動車の魅力は、デザイン(カッコよさ)、ステイタス、走行性能、実用性などがありますが、実際に乗ることができないミニカーに走行性能や実用性はありません。では何故ミニカーを買うのかというと、実際には買えない車をミニカーで所有したいからでしょう。実際に所有できるのであれば、実物を買いますよね。ということは、ミニカーは実物の代用品といえます。この観点からは、ミニカーは実物(またはそのイメージ)に似ている必要があるのです。一般的にその似ていることを「精密」だとか「良い出来ばえ」とか表現していますが、実際には「似ていること」と「精密」「良い出来ばえ」は同じではないのです。なお「精密」の本来の意味は「仕事などが非常に細かい点にまで注意深く及んでいること」で、形が似ていることではありません。当サイトで「精密」なミニカーと表現している場合、それは基本的に「ある程度の内部構造まで細かいパーツで再現している」ミニカーを意味しています。

 

 それでは、実物に似ているということは具体的にはどういうことでしょうか。ミニカーは実車より小さいので、ある比率で実車を縮小しています。単純に考えると、実物の寸法を正確にその比率で縮小した図面で製作すれば極めて正確なミニカーができそうです。この考え方は一見正しそうですが、現実的にはそのような物を作ることはほぼ不可能です。例えば1/43サイズで考えると、実車のAピラー(ルーフを支える一番前の柱)の寸法が幅43㎜であったとすると、1/43ではそれを幅1㎜で作ることになります。一般的なダイキャスト製法でそのような柱を成形することは多分できますが、強度が不足するので製品(ミニカー)としては成立しません。また1㎜の板厚があるボディ外板だって、1/43では0.03㎜となりますからそんなものは作れません。ですから、ミニカーが実車を正確に縮小していると考えることは明らかに間違いです。ただし1/10ぐらいの大スケールミニカーであれば、ある程度までは実車の縮小と考えることもできます。

 

 ほとんどの部分が縮尺どおりに作れないことは理解されたと思いますが、ボディ全体のプロポーション(外観形状)も実物を正確に縮小している訳ではありません。色々な部分が実物どおりに作れないので、それらをまとめた全体も実物を正確に縮小するというわけにはいかないのです。またそれ以上に人間が見るときの物の大きさの感覚が問題となります。ミニカーと実車は大きさが違うので、人がそれを見るときの視点の位置が異なります。実車の外観形状を極めて正確に縮小したミニカーを作ったとしても、そのミニカーは実車と同じようには見えないのです。したがって、ミニカーは実車のイメージを再現する為、意図的な形状変更が行われています。いわゆるデフォルメというものですが、このデフォルメは型を作成するモデラーの腕の見せ所となります。このあたりの話は、プロのデザイナーなどもっと詳しい方がWEB上で解説されていますので、以下のリンクを参照してください。(当サイトのランボルギーニ ミウラのミニカー5台の出来上がりの比較も参照されたし) 自動車デザイナー 山中俊治氏の「デザインの骨格」 ミニカーは実車の縮小ではない   トミカ企画責任者 小林新吾氏 トヨタ クラウン ブランドサイト | クラウン・クロストーク | 「"かたち"はどこから生まれるのか」(現在このページは削除されたようです)

 

 以上は実車に似せるための話でしたが、傑作と呼ばれるミニカーには実車の魅力とは別にそのミニカー自体が持つ魅力もあります。それは見る人の感性に訴えるもので、有名なプロモデラーによるハンドメイド作品が醸し出す芸術的な味わいや、量産ミニカーでもそのミニカーを作った設計者の情熱(努力)に対する感銘などです。ミニカーコレクターズクラブJMAC(Japan Miniature Automobile Club)の会長であった中島登氏の著書「日本のミニカー」の「ミニカーの味わい」という項に以下のような記述がありますので、引用させていただきます。

 

 「ミニカーは実車の忠実な模写でなければならないという主張が根強い。もしミニカーが実車を縮小して再現するだけのものだとしたら、どうしてミニカーは実車の持つ感激以上のものを人々に与えられるだろうか。完全にリアルに再現されたものは人を驚かし感嘆させることはできるが、決してそれは人の心を打たない。もちろんミニカーが実車とまったくかけ離れることはないだろう。

 

 しかしかつては記録のために生まれた絵画が、写真の精密さに敗れたときに、もう一つの典型化と抽象化の世界を創ってより良く芸術たり得たと同じように、ミニカーの世界にもデフォルメによる典型のついきゅうがある。ミニカーの縮尺は1/40以下である。最近は1/60以下のモデルも数多い。ミニカーは小さくなればなるほど細部の省略が避けられず、逆にそのきびしい制約の中でそれぞれの車の特色や独特なキャラクターを再現することが追及される。ミニカーは省略につぐ省略という条件の中で、かえって独自の芸術的価値を生み出していくのである。」

 

以下引用省略

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ロールス ロイス シルバーゴースト 1912 コーギー(CORGI)製 1/43 1966年発売 実車以上の魅力を持つ傑作ミニカーのひとつ
 最近の風潮として、単に「精密さ(外観)」だけがミニカーの評価基準となっているように思います。それもわからない訳ではないのですが、それ以上にもっと深いミニカーの魅力があることも知っていただきたいと思います。傑作といわれるミニカーの魅力を知ってもらうには、実物を見ていただくのが一番です。ただそれらのヴィンテージ物ミニカーはあまり目にする機会がないと思いますので、以下でいくつかを紹介したいと思います。

3. 傑作ミニカー

3.1 昔のコレクター向け精密ミニカー RIO

1990年代までほとんどのミニカーは玩具として作られていました。ただ欧米ではミニカーをコレクションする大人のコレクターがいましたので、これらのコレクター向けのミニカーを作るメーカーもありました。量産ミニカーのメーカーとしては、フランスのラミー(RAMI)とサフィール(SAFIR)、イタリアのリオ(RIO)とドゥグー(DUGU)、ドイツのチィス(ZISS)などがありました。これらのメーカーが作っていた車種はほとんどが自動車初期(1930年代以前)のクラシックカーでしたが、これは当時の子供向けのミニカーと車種的に競合しない為だったと考えられます。(当時のコレクターが全てクラシックカー好きだった訳ではないので) それ以外では少量生産でホワイトメタル製ミニカーを作るメーカーがたくさんありましたが、これらはハンドメイドゆえに値段が高く生産量も少なく、あまり一般的ではありませんでした。代表的なブランドとしてはウエスタンモデルやブルックリンなどがありました。  以上のマニア向けメーカーのなかでも、現存していて一番良く知られているブランドがリオです。リオは1961年に創業した老舗メーカーで、現在はM4社の傘下となっています。リオのミニカーはクラシックカーにつきもののランプ、レバー、ホーンなどの細かい部品だけではなく、ボディ下回りのフレーム構造やエンジン部分も忠実に再現されています。亜鉛ダイキャスト製のボディにプラスチック部品をハンドメイドで組み付けており、1970年代のリオ初期のミニカーは、当時もっとも精密なミニカーでした。 bianchi 1925 1 bianchi 1925 2
ビアンキ 24CV ランドレー 1909 リオ製 1/43 1963年発売
 ブガッティ ロワイヤルのシリーズなど1930年代の高級車のミニカーがリオの代表的なものです。それらを紹介しても良いのですが、ここではあえて現在ではあまり人気の無い自動車初期時代のミニカーを紹介します。この類のミニカーは現在ではほとんど作られていませんが、上述したように昔の精密なミニカーはほとんどがこの類でしたから、昔の精密ミニカーを語るにはまずここから始めるのが筋でしょう。

 

画像はリオが1963年に発売したビアンキ 24CV ランドーです。実車の簡単な説明は当サイトのここを参照ください。ビアンキは自動車初期のイタリア車メーカーとして有名ですので、クラシックカーの代表として選びました。(なおビアンキが特別に出来が良いわけではありません) このようなクラシックカーに興味がない方にはどれも同じように見えるかもしれませんが、このミニカーはビアンキの実車を精密にモデル化しているのです。 bianchi under body bianchi under body

ビアンキ 24CV ランドレー 1909 リオ製 1/43 1963年発売

 実車画像(このWEBサイトのまん中あたり)と見比べてみれば、かなり精密に作られていることがわかります。多分博物館に保存されていた車を参考にしているのでしょう。ヘッドライト、ラジエータグリル、フロントウインドー、ホイール、屋根の上のラックなど良くできていると思いませんか。

 

 ただ昔のミニカーですからディスプレーケースに固定させたままという発想はないので、触ると簡単に壊れるようなパーツは使っていません。また現在のようなタンポ印刷技術がなかったので、細かい印刷はされていません。その辺の事情を考慮すれば、このミニカーが現在の精密なミニカーにも引けを取らないものだということが理解いただけるでしょう。

 さらにボディの底を見ると、エンジン、トランスミッション、サスペンションなども再現されています。この車はリアシャフトをチェーン駆動しており、リアシャフトに接続されている銀色のパーツがそのドライブ機構です。ミニカーの箱に入っている説明書にそのことが解説されています。

最近の1/43サイズのミニカーは上から見えるところは細かく再現していますが、ボディ下のメカはマフラー以外ほとんど何も再現していないものが多いです。ディスプレーケースに固定したままで取り外さなければ下面は見えませんから、そんなところは無視して良いということでしょう。(透明なディスプレーケースに固定することが標準化された弊害でしょうか)

 

 車というものはメカの塊ですから、メカ部分を全く無視してモデル化するのはおかしなことだと思います。昔の精密なミニカーはメカ部分もできるだけ再現することが当たり前でした。最近でも1/18以上の大スケールミニカーではそれが売り物になっているわけですから、1/43でそれをやらないのは多分コストの問題なのでしょう。ただ簡単に壊れるようなパーツを付けるよりは、メカの再現にコストをかけてもらいたいですね。

 

 以上このミニカーの精密さについて説明しましたが、これは50年も前に発売されたものです。現在のような量産スケールモデルが全くなかった時代に、このようなミニカーを送り出したリオ社にはクラシックカーに対する深い思い入れがあったと思います。好きだからこそ、ここまで精密さにこだわったのでしょう。もちろん売るためにはコストを抑えなくてはならないので、ほかのモデルとホイール等の部品を共通化するなどの妥協もしていますが、リオのミニカーにはいいものを作ろうという職人気質が感じられます。そこがリオ初期のミニカーに魅力を感じる理由です。

 

 1970-80年代のリオのミニカーは高価で、国産ミニカーのダイヤペットが450円ぐらいの時に1200円~1500円もしました。もちろん値段相応の価値はありましたが、簡単に買えるものではありませんでした。ただリオは長期間同じミニカーを作り続けてくれたので、私は少しづつ買い揃えていくことができました。もうこのようなクラシックカーのミニカーが作られることはないと思いますので、リオの初期物を保有されている方はずっと大切にしてください。 リオの初期物をもっと見たいなら→ メーカー別リオのページ

 

3.2 昔のコレクター向け精密ミニカー DUGU

 上述したリオとほぼ同時期の1963年にイタリアのミニカーメーカー ドゥグー(DUGU)が登場しました。ドゥグーのミニカーはトリノ自動車博物館「The Museo dell' Automobile Carlo Biscaretti di Ruffia di Torino」に保存されているクラシックカーをモデルにしています。「Miniautotoys」シリーズと「Museo」シリーズという2つのシリーズがあり、「Miniautotoys」シリーズは1/43でリオと同等レベル以上、「Museo」シリーズは1/43~1/50でホイールなどの部品を共用したやや簡素な出来栄えの廉価版ミニカーとなっていました。

 

 ドゥグーは約10年間ほどしか存続していなかったので、販売されたミニカーは少ないです。それでも「Miniautotoys」シリーズはどれを紹介するか迷うほど傑作ばかりです。その中から一番ドゥグーらしい、マニアックなこだわりが感じられる フィアット F2を紹介します。 実車の簡単な説明は当サイトのここを参照ください。また実車の画像はこちらのサイトで見ることが出来ます。当時のフィアットが作り上げたレースカーの雰囲気/迫力を伝えるべく、ドゥグーが総力をかけて作り上げた傑作です。一目見ただけで普通のミニカーとは違う感じがしませんか?

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フィアット F2 1907年 ドゥグー製 1/43 1964年発売

 

 その理由は実際の革で作られたボンネットのストラップ、布で作られた運転席のサイドカバー、真鍮で作られた燃料パイプ、金属チェーンなどが醸し出す画一的ではない手作り感やそれを作った人の情熱が感じられるからでしょうか。これらの素材は当時でも、プラスチックでつくることはできたはずです。(実際にホイールやシートなどはプラスチックです)

 

 なぜプラスチックではなくて革や布などを使ったのかというと、できるだけ実車の雰囲気を再現したかったのでしょう。さらに金属チェーンですが、チェーンとスプロケットは今でも実際に可動します。とはいってもこの大きさでは、スケールモデルにこだわる人は馬鹿にするかもしれません。ただし実際の縮尺どおりに再現すれば、このように可動させることは不可能です。多少オーバースケールながらも実際に動かすことができるチェーンを組み込んだことに、このミニカーを設計した人のこだわりと遊び心を感じることができます。 fiat f2 rear

フィアット F2 1907年 ドゥグー製 1/43 1964年発売

 

 これは布のサイドカバーや真鍮の燃料パイプについても同じことなのです。本物そっくりの外観の物を作るか、本物のイメージを感じさせる物を作るかの違いです。正確にモデル化するだけではなく、このような面白いしかけ(ギミック)を付けているのも、昔の精密ミニカーの良い(楽しい)ところです。実車の魅了とは別の、そのミニカー自体が持つ魅力というものがこのような遊び心から生まれているのです。

 

 ただこのチェーンや燃料パイプの組み付けには、手間がかかったと思われます。このミニカーは上述したリオ同様に高価でそんなに大量に生産されたわけではないので、このような手の込んだことができたのでしょう。また当時の生産工場にそれができる技術があったからでしょう。(リオとドゥグーは同じ製造工場だったという話もあります) なおこのチェーンはドゥグーのほかのミニカーにも流用されています。  以上のことを踏まえて上の画像をクリックしてください。1979年に発売されたブルム製のフィアット F2の画像に変わりますので、2台を見比べてみてください。どちらのミニカーが魅力的ですか? スケールモデル的に実車に忠実なのはブルム製ですが、ドゥグー製のほうが存在感があって、たたずまいがそれらしく見えませんか。ドゥグーがこだわったチェーンなどのパーツがミニカー全体の雰囲気をそれらしくしているように私は感じます。

 

 このミニカーは40年前の1972年に大阪心斎橋の阪神デパートで購入しました。値段は1400円と当時学生だった私にとってはとても高い買い物でしたので、とても大切に保管していました。ところが6-7年後に ドゥグーのホイールのほとんどが溶けて変形しているのが見つかり、大変ショックでした。(溶けたホイールの画像と原因はミニカーの材質ページをご覧ください) このホイールが溶けたミニカーは他のミニカーから同じようなホイールを取り外して補修しました。ただ、フィアット F2だけはきれいな状態のものがほしかったので、その後オークションで2台を入手しました。ただそれも1台はまた数年でホイールが溶けてしまい、画像の1台だけがホイールが溶けずに残っています。このきれいな状態の1台はホイールの材質が変更されているようなので、当分は大丈夫そうですが、先のことはわかりません。

 

 このフィアット F2もそうですが、ミニカーそのものに魅了がある場合は、程度の良いものを見つけると同じものをまた買ってしまいます。財布の都合にもよりますが、同じものを重複して買ってしまうということは、そのミニカーが素晴らしいということの証でもあります。1台買ってしまうとそれ以上欲しいと思わないようなものは並のミニカーということです。(値段も関係しますが)

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3.3 昔のコレクター向け精密ミニカー SAFIR

   上述したドゥグーやリオはイタリアのメーカーですが、フランスにもマニア向けにクラシックカーのミニカーを作るメーカーがありました。RAMI(ラミー)、MINIALUXE(ミニオール)、SAFIR(サフィールなどが有名なブランドで、いずれも主に1930年以前の初期の自動車をモデル化しています。この3社のミニカーはドゥグーやリオのミニカーより安価で大量に生産されていました。値段が安い分だけそれなりの出来映えになっているものもありますが、現在ではモデル化されることがないような車がそろっているのがマニア向けたる所以です。それぞれのメーカーに数点づつ特別に出来の良い傑作があるのですが、ここではサフィールの特別に出来の良い一台を紹介します。

 

 サフィールの型番101 グレゴアール トリプル ベルリーヌ です。このミニカーの最大の特徴は、馬車を3ケ組み合わせたような変わったボディです。最初に見たとき、このボディはサフィールの創作だろうと思っていましたが、後に実在した車であることがわかりました。

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グレゴアール トリプル ベルリーヌ 1910年 サフィール製 1/43 1965年発売

 グレゴアール社は元々はエンジンのメーカーで、1904年から自動車製造を始めました。2気筒の小型車から6気筒の高級車まで様々なモデルを造りましたが、いずれもあまりうまくいかず結局1924年に倒産しています。1910年に発表された14/24HPは、アルミ合金ピストンをいち早く採用した4気筒3.2Lエンジンを搭載していました。この14/24HPにトリプル ベルリーヌと称するボディを架装したのが、ミニカーのモデルとなった実車でした。その変わったスタイル故に自動車初期の珍車の類に入る車でした。

 

 ミニカーは1965年に発売されていて、プジョーやルノーが多いサフィールのクラシックカーのなかでは全く趣が異なる一台です。型番がシリーズから外れて新設された101であることや全長132mmほどの大柄なミニカー用に特別に作られた大きな赤い箱など、このミニカーが特別な思いで作られたことがわかります。

ミニカーと実車を紹介しているWEBサイト

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グレゴアール トリプル ベルリーヌ 1910年 サフィール製 1/43 1965年発売

画像にカーソルを乗せるとボディ床下、クリックすると室内の画像に変わります

 

 この変わった形状の車をモデル化したのは、クラシックカーとしての見た目の面白さを重視したのでしょう。馬車時代のコーチワーク技法が色濃く残っているこの車のボディは面白く、並のクラシックカーをモデル化するよりはマニアの興味を引きます。(クラシックカーの魅力はこのような馬車スタイルへのノスタルジーでもありますから)

 

 実車の画像と見比べてもらうと、プロポーションが正確で、特異なボディが良く再現されていることがわかります。ドアノブ、ランタン、トランクなどの艤装だけではなく、シャーシ部分のエンジン、ミッション、後輪駆動チェーンなどもきちんと再現されています。さらに屋根を外すことによって、バスのような座席配置を再現した室内も見ることができます。黒と赤のカラーリングも大変魅力的です。(キャビン部分はプラスティック製で塗装ではなくプラ材の色です)

 先に紹介したリオやドゥグーほど凝っているわけではありませんが、このミニカーもそれらと同じような考え方で作られています。つまり外観だけではなく、メカ的な部分も再現されていて、それを楽しく見せる工夫がされています。屋根を外して室内を見せるといった工夫は、シンプルですがグッドアイデアです。

 

 このミニカーは1974年に大阪の心斎橋 大丸デパートで購入しました。当時の価格は800円で、それほど高いミニカーではありませんでした。ただ購入当初から細かい艤装パーツが欠品していました。(艤装パーツは差し込みだけで接着されていないので欠品していることが多い) このミニカーも完全なものがほしくて、オークションで欠品のあるものを複数台入手しました。画像は数台のパーツを組み合わせて作成した欠品の無い1台です。

 

 以上 このミニカーも実車にはないミニカー自体の魅力を持つ傑作であり、同じものを複数台買ってしまうほどの魅力を備えています。なおサフィールにはこれ以外にも初期のパナール、シトロエン B2のシリーズなど素晴らしいミニカーがあることも追記しておきます。 メーカー別サフィールのページ

以下 次回はポリトーイのMシリーズを紹介する予定です。