ミニチュアカー ミュージアム

自動車の歴史 時代/自動車メーカー別

 

RENAULT 40CV LANDAULET 1926 FRANCE

RENAULT 40CV LANDAULET
(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
RENAULT 40CV LANDAULET


SOLIDO 149 1/43 128mm
 実車諸元 画像参照
外形寸法: 全長約5.5m エンジン 変速機: 6気筒 9.1L 140HP 3段変速
性能: 最高速115km/h  データーベースでルノー 40CVのミニカー検索

ルノー 40CV ランドレー フランス 1926年

 

 1914年に第1次世界大戦が始まり、ルノーは砲弾などの軍需品の生産を行いました。第1次大戦中にルノーのタクシーは「マルヌのタクシー」として知られる作戦で戦勝に貢献しています。第1次大戦が終わるとルノーは戦前型のモデルを復活させました。この当時のルノーは旧式の設計を変えず新技術の開発が遅れていたので、シトロエンなどの新興メーカに比べると旧態化しつつありました。例えばフロントブレーキを採用したのは大型車で1922年と他社よりかなり遅れていました。

 

 その古い設計を代表していたのが1911年に登場した6気筒7.5Lエンジン搭載の40CV(タイプ CG)でした。40CVはルノーの最上級の大型高級車で、フランス大統領専用車としても使われました。40CVは1920年にエンジンが9.1Lに拡大されるなどの変更がありましたが、基本的な設計を変えないまま1928年まで生産されました。ラジエータをエンジンルーム後方に配置する基本設計を変えなかったので、「象の鼻」と呼ばれた特徴的なフロントノーズも長い間続きました。ただ40CVは同じクラスの高級車(ロールス ロイスなど)よりも価格が安かったので生産台数は多かったとのことです。1928年に40CVはルノー初の8気筒エンジンを搭載したレナステラにモデルチェンジしました。

 

 

 ミニカーは1960年代に発売されたソリド初期のクラシックカーシリーズの1つです。エンジンが9.1Lに拡大された後期型の40CV ランドレーをモデル化しています。1960年代のソリドのクラシックカーのミニカーは、当時としてはレベルの高いものでした。この40CVも実車の雰囲気が良く再現されています。「象の鼻」のボンネットが開くギミック付でエンジンも再現されています。バリエーションとして少しスポーティなフェートン仕様とフランス大統領車仕様がありました。ソリド以外では、リオのトルペード、ノレブの大統領車仕様がありました。 以下はフロント/ボンネットを開いた状態の拡大画像とリアの拡大画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)

RENAULT 40CV 1
RENAULT 40CV 2

 以下は1980年に発売されたソリド製のルノー 40CV フェートン 1926年 (1/43 型番1159)の画像です。上記のランドレーとの違いはフルオープンのフェートンでソフトトップを閉じた仕様となっていることとフロントウィンドー横に補助灯、リアにトランクが付いていることです。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
RENAULT 40CV 3
RENAULT 40CV 4

 以下は1990年頃に発売されたソリド製のルノー 40CV 大統領車 1923年 (1/43 型番4165)の画像です。フルオープン仕様となっていて、フランス国旗が付いています。(実車画像→ルノー 40CV フランス大統領車 1923) (画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
RENAULT 40CV PRESIDENT 1
RENAULT 40CV PRESIDENT 2

 以下は1970年代に発売されたリオ製のルノー 40CV トルペード 1923年 (1/43 型番52)画像です。リオはイタリアのメーカーなので、このフェートン(オープン仕様)をイタリア式にトルペードと呼んでいます。ボディ上面にボートのように木が張ってあり、上記のソリド製の40CVよりフロントウィンドーの傾きが大きくドアのオープニングラインが傾いているなど、よりスポーティなデザインのボディとなっています。リオのクラシックカーのミニカーの出来ばえは当時最もレベルの高いものでした。これも特徴的な「象の鼻」のボンネットが開きエンジンが再現されています。ソリド製より細部がリアルに仕上げられていて、床下のシャーシやサスペンションなどのメカ部分まで再現されています。2023年の現時点でもルノー 40CV の1/43サイズのミニカーでこれ以上に出来の良い物はありません。 (画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
RENAULT 40CV 5
RENAULT 40CV 6

 以下はフロント/ボンネットを開いた状態の拡大画像と室内の拡大画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
RENAULT 40CV 7
RENAULT 40CV 8

 以下は1970年代に発売されたリオ製のルノー 40CV スポーツ 1923年 (1/43 型番53)の画像です。上記のバリエーションで、前席と後席に独立したカウルを持つダブルカウル フェートンで後席のみ幌を立てた仕様となっています。当時のロールス ロイスなどに比べて見劣りするエンジンを少し強化して動力性能を上げたタイプがスポーツでした。後席のみ幌付なので面白い見た目になっています。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
RENAULT 40CV 9
RENAULT 40CV 10

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ROLLS ROYCE PHANTOM I 1926 UK

ROLLS ROYCE PHANTOM I
(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
ROLLS ROYCE PHANTOM I


MATCHBOX Y36 1/45 115mm
 実車諸元 画像参照
外形寸法: 全長約5m エンジン 変速機: 6気筒OHV 7668cc 約100HP 4段変速
性能: 最高速141km/h  データーベースでロールス ロイス ファントムのミニカー検索

ロールス ロイス ファントム I イギリス 1926年

 

 ロールス ロイスは1907年からシルバー ゴーストだけを作り続け、1925年までに6000台以上を販売し、その高い信頼性で「The Best Car of the World」の名声を確立しました。シルバー ゴーストは高価なため顧客は王侯貴族がほとんどで日本の皇室も1920年に2台を購入しています。そのシルバー ゴーストもさすがに性能的に時代遅れになり、1925年に後継車として登場したのがファントムでした。(なお1929年にファントム IIが登場してからはファントム Iと呼ばれるようになりましたが、これは公式の名前ではありません)

 

  旧型のサイドバルブ式エンジンは新型のOHV6気筒 7668cc(90-100HP)エンジンに変更されました。技術的な特徴としてはギヤボックスの回転力を使った精巧なメカニカル サーボのついた4輪ドラムブレーキが採用されていることで有名でした。ファントム Iはイギリスとアメリカに製造工場があり、イギリスでは1929年まで約2200台が生産され、アメリカの工場では1931年まで約1200台が生産されました。なおイギリス版とアメリカ版ではステアリングホイールの位置、ホイールベース、変速機の仕様などが少し異なっていました。

 

 

 ミニカーは1990年に発売されたマッチボックスのYシリーズです。コーチビルダー フーパー(HOOPER)が架装した4ドア リムジンをモデル化しています。マッチボックスのYシリーズの初期物はカラーリングや造形にやや玩具的なところがあったのですが、1980年代後期になるとスケールモデル的な造形がされるようになりました。このファントム Iも縮尺1/45と標準的な縮尺の1/43より少し小振りなのがいまいちですが、プロポーションがしっかりしていてかなり良い出来ばえです。赤茶と黒のツートンのカラーリングもロールス ロイスの雰囲気によく似合っています。 以下はフロント/リアの拡大画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)

ROLLS ROYCE PHANTOM I 1
ROLLS ROYCE PHANTOM I 2

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BENTLEY 3L 1926 UK

BENTLEY 3L
(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
BENTLEY 3L


IXO CLC016 1/43 98mm
 実車諸元 画像参照
外形寸法: 全長約4.34m 全幅約1.74m エンジン 変速機: 4気筒OHC 3L 90HP 4段変速
性能: 最高速150km/h  データーベースでベントレー 戦前のミニカー検索

ベントレー 3L イギリス 1926年

 

 ベントレー社は第1次大戦中に航空機エンジン設計を手がけたウォルター オーエン ベントレー (Walter Owen Bentley)が1919年に設立しました。1921年に発売された最初のモデル 3Lは、当時のレーシングカー並のOHC 4バルブ4気筒3L(70HP)エンジンを搭載し4輪ブレーキを備えた高性能車でした。1923年に80HPにパワーアップしたスピード、1925年に85HPにパワーアップしたスーパースポーツが追加されました。1929年まで生産され、総生産台数は約1600台でした。

 

 ベントレーは1923年から始まったルマン 24hレースに参戦し、1924年のルマンで3Lが初優勝しました。当時の自動車レースではベンツ、プジョーなどが活躍していてイギリス車は不振でした。そんな訳でベントレーがルマンで初優勝したことはずいぶん画期的なことだったようです。当時のベントレーのレース活動を資金援助やアマチュアドライバーとしてサポートしたファクトリーチームは「ベントレー ボーイズ」と称されました。このベントレーボーイズの活躍で、ベントレーは1927年からルマンで4連勝してイギリスのスポーツカーとして有名になりました。なお1931年にベントレー社はロールス ロイス社に買収されレース活動から撤退しました。

 

 

 ミニカーは2002年に発売されたイクソ製です。イクソが作るクラシックカーはいずれも出来が良いのですが、このベントレーも実車のスパルタンな雰囲気がうまく再現されていて、ホイールや泥よけフェンダーなどの細部もリアルで良い出来ばえです。フロンスクリーンの横についたクラクションが時代を感じさせます。イクソは同じ型で1924年と1927年のルマン優勝車もモデル化しています。イクソ以外のベントレー 3Lのミニカーは1960年代のコーギーがストリート仕様と1927年のルマン優勝車をモデル化していました。 以下はフロント/リアの拡大画像です。ヘッドライトがやや下を向いていますが、これは多少のガタがあって撮影時に少し傾いたものです。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)

BENTLEY 3L 1
BENTLEY 3L 2

 以下は同時期に発売された上記のバリエーションでベントレー 3L 1924年 ルマン 優勝車 (1/43 型番LMC012)の画像です。ルマン仕様車といってもヘッドライトのストーンガードとゼッケンがついているぐらいしか外観の違いはありません。当時はストリート仕様車をパワーアップしただけの車がルマンで優勝できたのです。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
BENTLEY 3L LE MANS 1
BENTLEY 3L LE MANS 2

 以下は1964年に発売されたコーギーのベントレー 3L 1927年 ルマン優勝車 (1/43 型番9001)の画像です。1960年代のコーギーのクラシックカーのミニカーは数種類しかありませんが、いずれもマニア向けで当時としてはかなり出来の良いミニカーでした。このベントレーもホイール内側のドラムブレーキや真鍮パイプ製の排気管など凝った作りで、当時のミニカーとしては実に良く出来ていました。コーギーお得意のドライバーフィギュアが付いています。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
BENTLEY 3L LE MANS 3
BENTLEY 3L LE MANS 4

 以下はフロント/リアの拡大画像と床下部分の画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
BENTLEY 3L LE MANS 4
BENTLEY 3L LE MANS 5

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AUSTIN SEVEN AD TOURER 1926 UK

AUSTIN SEVEN AD TOURER
(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
AUSTIN SEVEN AD TOURER


VITESSE VCC092 1/43 67㎜
 実車諸元 画像参照
外形寸法: 全長約2.87m 全幅 約1.59m エンジン 変速機: 4気筒 747cc 10HP 3段変速
性能: 最高速74km/h  データーベースでオースチン セブンのミニカー検索

オースチン セブン AD ツアラー イギリス 1926年

 

 ウーズレー社の技術者であったハーバート オースチン(Herbert Austin)はウーズレー社を退社して1905年にオースチン モーター社を設立しました。最初のオースチン車は4気筒5Lエンジンを搭載した高級車でした。その後エンジンの種類を増やしレースに参加するなどして企業規模を拡大し乗用車ベースの商用車やトラック/軍用車なども手がけました。第1次大戦中は装甲車などの軍需品を生産し業績を伸ばしました。

 第1次大戦後は1919年に4気筒3.6Lエンジンを搭載する大型車トゥエンティ(20)を大量生産する方針を立てましたが、これはうまくいかず資金難に陥りました。そこで方針を変更して1921年に投入した4気筒1.7Lエンジン搭載の中型車トゥエルブ(12)はある程度成功し、この車はロンドンタクシーとして良く知られています。(実車画像→ オースチン トゥエルブ)

 

 1922年に4気筒747(10HP)㏄エンジンを搭載した小型車セブン(7)が登場しました。発売当初は専門家に「まるでおもちゃだ」と評価されましたが、簡素ながらも普通車と同じ本格的な構造で大量生産による低価格で人気を博しました。セブンは同じようなコンセプトのフランスのシトロエン 5CVと同様に、当時の低価格車であったサイクルカーを駆逐して大ヒットしました。当社はオープンカーだけでしたが、密閉型ボディのセダンや商用バンも追加され、1939年までに約29万台が生産されました。この成功でオースチンはイギリスを代表する自動車会社に成長しました。

 

 

 セブンの2シーター ロードスターのスポーツ仕様はモータースポーツで活躍しました。1931年にはスーパーチャージャー付きの750ccエンジン搭載車がこのクラスとして初の最高速100マイル/h(160km/h)オーバーの記録を達成しています。セブンは小型車のお手本としてドイツのBMW ディキシーなどでライセンス生産されました。オースチンはその後モーリス、ウーズレー、ライレーと合併しBMCとなり、セブンという名前は戦後のオースチン セブン(ミニ)に使われました。

 ミニカーは2000年に発売されたビテス製です。セブン初期のAD ツアラー(オープンカー)をモデル化しています。実車が小さいのでミニカーも全長67㎜ほどと小さなサイズながら、実車の雰囲気がうまく再現されています。初期型の特徴である黒い枠のラジエータグリルと運転席手前(スカットル)両脇につけられたヘッドライト、リアルなワイヤースポークホイール、そこそこ良く再現された室内など細部も良く出来ています。ビテスはセダンのRK サルーンもモデル化していました。これ以外のオースチン セブンのミニカーはイクソのセダンとバン、マッチボックスのバン、オックスフォードのセダンとバン 1/43と1/76などがあります。 以下はフロント/リアの拡大画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)

AUSTIN SEVEN AD TOURER 1
AUSTIN SEVEN AD TOURER 2

 以下は室内の画像と俯瞰/床下部分の画像です。床下部分にはセブンが採用した特殊な三角形のフレーム構造やリアサスペンション構造などが簡単な表現ながら再現されています。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
AUSTIN SEVEN AD TOURER 3
AUSTIN SEVEN AD TOURER 3

 以下は2002年に発売されたイクソ製のオースチン セブン RK サルーン 1927 (1/43 型番CLC014)の画像です。密閉式キャビンを持つRK サルーンをモデル化しています。イクソは倒産したビテスの業務を引き継いだので、これはビテスのセダンをそのまま流用したものです。キャビン部分が変更されてドアが大きくなり、ラジエータグリルの枠がメッキされ、ヘッドライトがラジエータグリルの横に付いていることなど細部まできちんと変更されています。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
AUSTIN SEVEN RK SALOON 1
AUSTIN SEVEN RK SALOON 2

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BUGATTI T41 ROYALE No.41100 (PROTOTYPE) TORPEDO 1927 FRANCE

BUGATTI T41 ROYALE No.41100 (PROTOTYPE) TORPEDO
(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
BUGATTI T41 ROYALE No.41100 (PROTOTYPE) TORPEDO


RIO 94 1/43 145㎜
 実車諸元 画像参照
外形寸法: 全長約6.4m 全幅約2m 車重約3t エンジン 変速機: 8気筒 14.7L 300HP? 3段変速
性能: 最高速180km/h?  データーベースでブガッティ T41のミニカー検索

ブガッティ T41 ロワイヤル No.41100 (プロトタイプ) トルペード フランス 1927年

 

 1881年にイタリアのミラノで芸術家の家系に生まれたエットーレ ブガッティは美術学校で教育を受けましたが、10代から自動車技術に関心を持つようになりました。エットーレ ブガッティがその芸術的な才能をいかして設計した自動車が独特の個性をもったブガッティでした。ブガッティとしては1920年代のレーシングカー T35が有名ですが、それについで有名なのが史上最大の車といわれたT41 ロワイヤルです。

 

 この車は王侯貴族の為の超豪華車として開発されましたが、6台しか製作されず売れたのはたったの3台でした。T41 ロワイヤルが売れなかった原因は当時のロールス ロイスの3倍もの高価格であったことと、1929年に始まった世界大恐慌による不景気でした。T41 ロワイヤルは1920年代から1930年代に咲いた最高級のあだ花として非常に興味深い車でした。T41 ロワイヤルは私の好きな車であり、多彩なボディタイプがありますので1号車から6号車までを以下に詳しく紹介します。

 

 

 以下は1号車から6号車の解説記事へのリンクです。

  • 1号車 シャーシNo.41100 プロトタイプ トルペード → クーペ フィアクル → ダブル ブルーアム → ウェイマン(事故で破損)
  • 1号車 シャーシNo.41100 クーペ ナポレオン
  • 2号車 シャーシNo.41111 エズデール → クーペ デビル
  • 3号車 シャーシNo.41121 カブリオレ
  • 4号車 シャーシNo.41131 リムジン パークウォード
  • 5号車 シャーシNo.41141 コーチ ケルネル
  • 6号車 シャーシNo.41150 ベルリーヌ ド ヴォワヤージュ


 まずは1号車(プロトタイプ)を解説します。1927年に完成した1号車はプロトタイプで、ホイールベースは約4.5mで全長は約6.4m、直列8気筒SOHC 14.7L(300HP?)の巨大なエンジンを搭載していました。なお2号車以降のホイールベースは約4.3mで直列8気筒SOHC 12.7L(290HP?)エンジンを搭載していたので、1号車(プロトタイプ)は一回りサイズが大きかったようです。自動車のサイズとしてはメルセデス ベンツ 600のストレッチド リムジーンぐらいの大きさでした。ホイールは直径600mmのアルミニウム製でブレーキドラムと一体で鋳造され、ブレーキを冷却するための換気ブレードがありました。このホイールに合わせた非標準サイズの特注タイヤは、イギリスのダンロップ製でした。3段変速で最高速は180km/hとされていますが、実際にそんな高速で走行したことがあるのかどうかは不明です。1号車はブガッティ家の自家用車として長い間使われていて、ボディは5種類が載せ替えられました。最初のボディは当時のアメリカのパッカードのオープンタイプ(トルペード)を流用したとのことです。したがって長いボンネットから後ろの部分は当時の一般的なトルペードセダンのスタイルでした。

 ミニカーはリオ製で1992年に発売されました。リオのクラシックカーはマニア向けで、灯火類、操作レバー、フェンダーなどの細かいパーツからシャーシやサスペンションなどのメカ部分までリアルに再現されています。リオは1970年代に型番36と37でT41 3号車をモデル化していて、それをベースにしたバリエーションが約20種類ほどあります。この1号車もそのバリエーションですが、リオのクラシックカーとしては比較的新しいものとなります。実車が大きいのでミニカーも全長145㎜と大きなサイズで、実車がかなり忠実に再現されています。ボンネットを外すとエンジンが再現されていて、床下部分のシャーシやサスペンションも表現されています。同じボディで幌を畳んだバリエーションがあります。 以下はフロント/リアの拡大画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)

BUGATTI T41 ROYALE TORPEDO (PROTOTYPE) 1
BUGATTI T41 ROYALE TORPEDO (PROTOTYPE) 2

 以下はボンネットを開いたエンジンルームの画像と床下部分のシャーシ/サスペンションの画像です。エンジンの造形は実車に忠実なようですが、ギヤボックスや後輪を駆動するリアアクスル部の構造は実車とは全く違っているようです。たぶんリオが最初にモデル化した時には駆動部の詳細がほとんどわからなかったので一般的な構造にしたのだと思いますが、実際のT41の変速機(ギヤボックス)はリアアクスルと一体化されている特殊な構造(トランスアクスル)でした。後述するフランクリン ミント製の1/24 T41 1号車 クーペ ナポレオンではこの特殊な構造が再現されています。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
BUGATTI T41 ROYALE TORPEDO (PROTOTYPE) 3
BUGATTI T41 ROYALE TORPEDO (PROTOTYPE) 4

 以下は1992年に発売されたリオ製のブガッティ T41 ロワイヤル トルペード (プロトタイプ) 1927 (1/43 型番95)の画像です。上記のバリエーションで幌を畳んだ状態です。カラーリングと幌以外は上記と同じで、幌を畳んでいるので室内がよく分かります。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
BUGATTI T41 ROYALE TORPEDO (PROTOTYPE) 5
BUGATTI T41 ROYALE TORPEDO (PROTOTYPE) 6

 以下は1983年に発売されたリオ製のブガッティ T41 ロワイヤル クーペ フィアクル (1号車) 1927 (1/43 型番74)の画像です。この車に関しては、実車の画像や情報がほとんどなくミステリアスなモデルでしたが、最近のWikipedia(フランス)の情報などから上記のパッカード ボディの1号車に短期間だけ架装されたクーペ ボディのようです。(仏語FIACREとは馬車の意) リアには大きなトランクが積んであり、この次に架装された以下のダブル ブルーアムと共通するデザインとカラーリングでエットーレ ブガッティのデザインであることがわかります。この車はリオのカタログでは1929年式となっていますが、当サイトでは1927年式としています。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
BUGATTI T41 ROYALE TORPEDO (PROTOTYPE) 7
BUGATTI T41 ROYALE TORPEDO (PROTOTYPE) 8

 以下は1972年に発売されたリオ製のブガッティ T41 ロワイヤル ダブル ブルーアム (1号車) 1927 (1/43 型番54)の画像です。上記のフィアクルのボディはまもなく取り外されて、次にダブル ブルーアムという形式のボディとなります。(ブルーアムとは馬車の形式で本来は運転台が外にあるタイプのこと) フロントウィンドード上のカーブしたルーフの張り出しとリアサイドの楕円形の窓が特徴です。このような黄色と黒の塗り分けは他のロワイヤルにも有りますので、エットーレ ブガッティの好みだったのでしょうが、かなり人目を引く大胆な色使いです。なおこれも当サイトでは1927年式としています。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
BUGATTI T41 ROYALE TORPEDO (PROTOTYPE) 9
BUGATTI T41 ROYALE TORPEDO (PROTOTYPE) 10

 以下は1992年に発売されたリオ製のブガッティ T41 ロワイヤル ウェイマン (1号車) 1929 (1/43 型番96)の画像です。1929年に載せ替えられたボディはコーチビルダー(ボディ製造業者) C.T.ウェイマン製の2ドアセダンで、リアに革製のトランクを取り付けてありました。屋根が低くてスタイリッシュなデザインでした。この車は製作された年にパリのデザイン コンクールで優勝しています。その後1930年頃にこの車はエットーレ本人が運転中に事故を起こして大破し解体されたものと長らく思われていたそうです。ただし実際には修復されて、T41 ロワイヤルのなかでも一番よく知られているクーペ ナポレオンと呼ばれるボディが架装されました。(実車画像→ ウェイマン(1号車)の事故の画像) (画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
BUGATTI T41 ROYALE TORPEDO (PROTOTYPE) 11
BUGATTI T41 ROYALE TORPEDO (PROTOTYPE) 12

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