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ロールス ロイス (シルバー ゴースト) 装甲車 MK IA イギリス 1920年
ロールス ロイス シルバー ゴーストはその類まれな耐久性と信頼性を評価され、イギリス軍に装甲車用としてそのシャーシを供出することを求めれられました。1914年に80HPにパワーアップしたエンジンを搭載したシャーシに装甲したボディを架装し、ヴィッカース機関銃を装備する装甲車が作られました。この装甲車は第1次世界大戦に投入され、その後装甲の強化などの改修が行われて第2次世界大戦でも使われたそうです。
映画「アラビアのロレンス」で有名なイギリス軍のロレンス中尉は第1次世界大戦中のアラビア半島での作戦でロールス ロイス装甲車を愛用していました。彼は晩年にこの世で一番欲しいものを問われたとき、「シルバー ゴーストとそれに一生乗れるだけのタイヤ」と答えたそうです。これはシルバー ゴーストの高い信頼性を示す逸話の一つです。このように長持ちしたシルバー ゴーストのシャーシは、ボディを乗せ換えて最後は霊柩車として使われたものがたくさんあったそうです。(参照画像→ ロールス ロイス 霊柩車)
ミニカーはマッチボックス製で、1990年代に発売されたYシリーズのスペシャル エディションの一つです。イギリスの空軍(RAF)博物館に保存されている1920年に改修された装甲車 MK IAを忠実に再現してあり、非常に良く出来ています。機関銃の付いた砲塔が回転するギミック付きです。(参照WED サイト→ 空軍(RAF)博物館) ロールス ロイス 装甲車の量産ミニカーはたぶんこれしかないと思います。(レジン製やホワイトメタル製の少量生産ミニカーはあります) 以下はフロント/リアの拡大画像と砲塔可動ギミックの画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
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ロールス ロイス シルバー ゴースト イギリス 1922年
ロールス ロイスは1907年からシルバー ゴーストだけを作り続け、1925年までに6000台以上を販売し、その高い信頼性で「The Best Car of the World」の名声を確立しました。シルバー ゴーストは高価でしたので、顧客は王侯貴族などがほとんどで日本の皇室も1920年に2台を購入しています。
シルバー ゴーストは製造していた19年間に以下のような改良が加えられました。
1909年 オーバードライブ付の4段変速を3段変速に変更(当時はあまり変速せずに運転できるのが高級車らしかったとのことで変更)
1910年 エンジン排気量を7.5Lに拡大
1913年 変速機がオーバードライブ無しの4段変速となった
1914年 アセチレンガス式ヘッドライトを電気式に変更
1919年 スターター(電気モーター)を標準装備
1921年 木製スポークのホイールをワイヤースポークに変更
1923年 メカニカルサーボ式ブレーキを全輪に採用
初期はオープン ボディの4座セダンだけでしたが、その後密閉式のキャビンを持つセダンなども架装されました。1925年に後継車のファントム I が登場しました。
ミニカーはフランクリン ミント製の1/43クラシックカーシリーズの1つで、1990年頃に発売されました。シルバー ゴーストとしては後期のオープンカーをモデル化しています。同社の1/43のクラシックカーはややレトロな作風で独特の雰囲気があり、当時のミニカーとしては良く出来ていました。4ドアが開閉しボンネットを取り外すと6気筒エンジンが再現されています。フロントグリル上の有名なマスコット フライング レディ(The spirit of Ecstasy)は形状がわかるよう、かなりオーバースケールで再現されています。ボディサイドのスペアタイヤの白いカバーやリアのトランクに付いたRRの赤いロゴが目立つアクセントになっています。 以下はフロント(マスコット拡大)/リアの拡大画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
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フォーデン C タイプ 蒸気ワゴン イギリス 1922年
フォーデン トラック社は1887年に設立されたトラック/バス製造会社でした。1890年頃から蒸気ワゴンの製造を始め、1930年代まで製造しました。フォーデンの蒸気ワゴンは当時最も人気があったそうです。フォーデン社は蒸気エンジンをディーゼルエンジンに転換し2006年まで存続しました。アトキンソン 蒸気ワゴンの説明で蒸気ワゴンにはオーバータイプとアンダータイプの2タイプあることを説明しましたが、このフォーデン C タイプの蒸気ワゴンは蒸気エンジンをシャーシの上に配置するオーバータイプの蒸気ワゴンで、オーバータイプとしてはその最終的なモデルでした。
フロントに蒸気を発生させる煙突の付いた黒い筒型の横型ボイラーがあり、その上に蒸気エンジンが配置されていました。蒸気エンジンの出力は23HP(450rpm)で、後輪をチェーン駆動していました。最高速は25km/hぐらいで、特別な変速ギヤ設定がされたモデルでは42km/hが可能でした。蒸気エンジンはトルクが大きいので、蒸気ワゴンは変速機をもたないモデルが多く、面倒な変速機操作が必要ないので運転が簡単で大型トラックとして1920年代まで使われていたようです。
ミニカーは1984年に発売されたマッチボックス製のYシリーズです。フォーデン C タイプ 蒸気ワゴンの平ボディトラックをモデル化しています。荷台の幌に表示された「PICKFORDS」とは現存するイギリスの引越しサービス会社です。煙突が付いたフロント部分の造形は蒸気機関車にそっくりで、道路を走る蒸気機関車といった感じのトラックです。運転席にある金色のはずみ車が付いた黒い箱の部分が蒸気エンジンで、そこから長いチェーンで後輪を駆動する構造になっていました。これ以外のフォーデン 蒸気ワゴンのミニカーはマッチボックスのバリエーションが数種類とコーギーのデイズゴーン シリーズ 1/76などがあります。 以下はフロント/リアの拡大画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
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ロールス ロイス 20HP イギリス 1923年
第1次大戦後の不況で高価なシルバー ゴーストだけでは販売が厳しくなったロールス ロイスは、1922年に「ベイビイ ロールス ロイス」と呼ばれた20HP(TWENTY)を発表しました。価格はシルバー ゴーストの約半額で、シルバー ゴーストと同じ6気筒ですが半分の排気量の3150cc(約50HP)エンジンを搭載し3段変速機で最高速100km/hの性能でした。(注:名前の20HPは課税上の馬力を表示したもので、実際のエンジン出力は50HPということです) 外観的にはラジエータの前につくシャッターが横向きになっていることが特徴です。
初期の変速機は3段変速でしたが、1925年に4段変速に変わりました。同じ年に、ギヤボックスの回転力を使った精巧なメカニカルサーボのついたファントムと同じ4輪ドラムブレーキが採用されました。また当初横向きであったラジエータの前につくシャッターは、最終的に縦向きになりました。シルバー ゴーストより小型のエンジンを搭載していたので、あまり大型のボディを架装することは想定していなかったようですが、実際には大柄なリムジンボディが架装され動力性能不足が問題になったこともあったようです。そこで1929年にはエンジン排気量を3.7L(75HP)に拡大した20/25HPが登場しました。
ミニカーは1981年に発売されたリオ製です。コンパクトなパーソナルカーといった感じがする20HP 2ドアクーペをモデル化しています。このようなコンパクトなボディのロールス ロイスのミニカーは珍しいです。ミニカーがモデル化している2ドアクーペに良く似た実車の画像をWEBサイトで見つけましたが、ミニカーのキャビン部分は少し小さめにデフォルメされているようです。フロントグリル、フロントグリルのマスコット(スピリット オブ エクスタシー)とエンブレム(RR)など実車をうまく再現してあります。ボンネットを外すと6気筒エンジンが再現されています。リオのミニカーとしては標準的な出来ばえでしたが、当時のミニカーとしてはとても良い出来ばえでした。購入してからもう40年以上経過していますが、塗装はきれいなままです。ただホワイトリボンタイヤのリボン部分がタイヤの有機溶剤による腐食で少し変形しています。 以下はフロント(マスコット拡大)/リアの拡大画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
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モーガン MX-4 スーパースポーツ イギリス 1923年
1910-1920年代に2輪車の部品を使って小型軽量で安価な自動車が製作されていました。単気筒/2気筒エンジンを搭載した3輪/4輪車で2輪車の延長のような車でしたのでサイクルカーと呼ばれています。サイクルカーは安価だったので簡便な自動車としてブームになり、ヨーロッパやアメリカに製作メーカーが非常にたくさんありましたが、ほとんどが弱小メーカーでした。それらの中でもフランスのベデリアやアミルカー、イギリスのモーガンやGNが良く知られたブランドでした。
しかし1920年代後半になると、イギリスのオースチン セブンやフランスのシトロエン 5CVなどの安価ながら本格的な小型自動車が登場したことで、サイクルカーは瞬く間に淘汰されました。当時のサイクルカーメーカーのなかで、現在でも唯一生き残っているのがモーガン社です。同社は1909年にハリー モーガンが設立し3輪車を製造しました。同社の3輪車は高性能でレースで活躍して人気を得ました。その後もモーガンは高性能な3輪車を作り続け、現在でもクラシックな外観のモーガン 4/4(4輪車)などのスポーツカーを作っています。
ミニカーは1977年に発売されたブルム製です。ブルム初期にモデル化されたサイクルカーシリーズの1台です。モーガンの3輪車は1911年から1939年まで生産されましたのでエンジンの種類など様々なタイプがありました。これは金色のエンジンのバルブ駆動部上部に「M」の文字があるのでマチレス(MATCHLESS)製エンジンを搭載したタイプをモデル化しているようですが、このマチレス製エンジンは1933年以降に採用されたらしいので、ブルムが箱に明示している1923年式とは話が合いません。ブルム初期のミニカーにはこのように時代考証が適当なものがありましたので、このミニカーも正しくは1933年式ではないかと思いますが、これ以上の詮索はやめておきます。年式の件は別としてミニカーは実車の雰囲気をうまく再現していて、ラジエータの前の赤色のエンジン、その前面の金色のOHV駆動部、排気管などの細部も良く再現されています。1970年代のミニカーとしては良い出来ばえで、車種が珍しいことからブルム初期の傑作品の一つでした。幌を立てた色違いのバリエーションがあります。 なおモーガン 3輪車の量産ミニカーはこのブルム製しかありません。(スパークもモデル化していますがレジン製で少量生産です) 以下はフロント/リアの拡大画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)