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ラクロワ ド ラヴィル 3輪車 フランス 1898年
前述したように自動車創世記にド ディオン ブートンがガソリンエンジンを搭載した小型の3輪車を製作していました。当時はこのような簡便な3輪車がいくつも製作されたようです。そのような3輪車のひとつがラクロワ ド ラヴィルの3輪車でした。フランス人の発明家ジョセフ ラクロワ(Joseph Lacroix)はガソリンエンジン搭載3輪車を試作し1899年に「La Nef自動車会社(Soci?t? des Automobiles La Nef)」を設立し、「ラクロワ ド ラヴィル」ブランドの3輪車を発売しました。この3輪車は1902年から1909年まで約200台が製作されました。
この3輪車はド ディオン ブートン製の単気筒エンジンを中央に搭載し、エンジンの横から出ている出力軸に付いたプーリーで後輪をベルト駆動していました。エンジンの後方にラジエータが配置され、前輪の操舵は長い舵棒式レバーで行いました。画像のものは4人乗りですが、2人乗りの仕様もありました。当初は変速用ギヤボックスがなかったそうですが、その後エンジン排気量が拡大されギヤボックスが追加されたとのことです。車重375㎏ほどと軽量だったので最高速75km/hと結構高性能だったようです。
ミニカーは1960-1970年代に発売されたクラシックカーを専門にモデル化していたラミー(RAMI)製です。年式が1898年となっているので、市販車ではなく試作車をモデル化しているようです。ラミーのミニカーとしては最後の頃に作られた物なので、初期に比べるとプラスチック製パーツの部品点数が多くなっています。ビンテージ物のミニカーですから現在のミニカーのように精密なわけではありませんが、プラスチック製パーツのラジエーター、金属製とプラスチック製パーツが組合わされたエンジン、エンジンの出力軸に付いたプーリーなど細かいところまで再現してあり、実車がどんなものであったのかよくわかります。なお前輪は実際にレバーで操舵できます。ラクロワ ド ラヴィルのミニカーはこれしかありません。あまりモデル化されない初期の自動車をモデル化していたRAMIのミニカーは貴重なものでした。 以下はフロント(エンジン部拡大)/リアの画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
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ゴブロン ブリリエ フランス 1899年
政治家グスタブ ゴブロン(Gustave Gobron)と技術者ウージェーン ブリリエ(Eug?ne Brilli?)は共同で、ゴブロン ブリリエ自動車会社を1896年に設立しました。最初の自動車は2気筒1.6Lの対向ピストンエンジンを車体後部に搭載した4人乗りの中型車でした。対向ピストンエンジンとはシリンダーの両端にピストンがあり、2つのピストンが対抗して圧縮/膨張/排気行程を行う内燃機関です。このエンジン搭載車は高性能だったようで、1904年のレースで速度160㎞/hを超える速度記録を達成しています。ゴブロン-ブリリエは年間約150台が生産され、イギリスなどでライセンス生産されました。
ブリリエは1903年にゴブロン-ブリリエ社を辞め自分の名前を付けた自動車会社を設立し、フランスの武器メーカー シュナイダー社の下で商用車/戦車などの開発を行いました。ゴブロン-ブリリエ社は、対向ピストンエンジン搭載車を改良して、4気筒/6気筒エンジン搭載車を製造していました。1918年に会社名をゴブロン自動車(Automobiles Gobron)に変更し、1922年まで対向ピストンエンジンを使用していました。その後一般的な他社製の1.5Lエンジン搭載車も追加しましたが、業績は芳しくなく1930年に破産しました。
ミニカーは1960年代に発売されたラミー(R.A.M.I.)製です。ラミーはフランスのミニカーメーカーJMK社のブランドで、この車のような初期の自動車を1/43サイズでモデル化していました。これはゴブロン ブリリエ社の最初の自動車をモデル化しています。実車は博物館に保管されていて、その実車を当時のミニカーとしてできる限り忠実に再現しています。フロントにボンネットのようなものがありその下には初歩的なラジエーターがありますが、そこにエンジンがあるわけではなく、エンジンは後席床下にありました。(ただし1904年以降はエンジン搭載位置が前に移動したらしいので、このボンネット下に配置されたのかもしれません) 実車のカラーリングは白ですが、ミニカーは派手な赤のカラーリングになっています。これ以外のゴブロン ブリリエのミニカーは、このラミー製のコピーだと思いますが、ポリトーイとデル(DELL)がプラスチック製でモデル化していました。 以下はフロント/リアの拡大画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
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ド ディオン ブートン ヴィザヴィ (タイプ G) フランス 1900年
前述した蒸気車だけではなく、ド ディオン ブートンはパイオニアとして黎明期の自動車に多大な貢献をしていました。後輪サスペンションでデファレンシャルギアを車体側に設けるド ディオン アクスルはド ディオン ブートンの発明でした。1895年に完成させた4サイクル単気筒ガソリンエンジン(137㏄)は電気コイル式の点火方式を採用し、当時としては驚異的な高回転(3500rpm)を達成した高性能エンジンで、ルノーのレースカーなど多くのメーカーで使われました。その発展型の単気筒240㏄(1.75HP)エンジンを搭載した3輪車(トライシクル)は1万台以上も生産され、ガソリン自動車の普及に貢献しました。(実車画像→ ド ディオン ブートン 3輪車)
この3輪車を発展させ前方にシートを追加した4輪車(クワドリシクル)が1899年に登場しました。(実車画像→ ド ディオン ブートン 4輪車) この車はさらに画像のような向かい合ったシート配列(VIS A VIS ヴィザヴィと呼ぶ)を持つようになりました。エンジンはシート下に配置され、中央にレバー式ステアリング/変速レバーが付いていました。この車あたりが実用的な自動車の始まりといえるでしょう。その後ド ディオン ブートンはV型8気筒エンジン搭載の大型車まで製造するようになりましたが、1930年代に自動車市場から撤退しました。
ミニカーは1960-1970年代にクラシックカーを専門にモデル化していたフランスのラミー(RAMI)製です。タイプ Gと呼ばれる初期のド ディオン ブートンをモデル化しています。実車が小さいのでミニカーも56㎜程の小さなサイズです。50年以上も昔に作られたものですから現在のミニカーのように精密なわけではありませんが、実車の雰囲気をうまく再現しています。実車はこのような派手なカラーリングではなかったのですが、ミニカーとしては見映えがします。カラーバリエーションで地味なカラーリングもありました。ラミーはこの他にも密閉式キャビンを載せたタイプ Gとレースカー仕様のコルスをモデル化していました。ラミーのミニカーはあまりモデル化されていない黎明期の自動車のミニカーとして貴重なものでした。 以下は拡大画像と地味な色違いのバリエーションです。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
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プジョー クーペ (タイプ 27) フランス 1900年
前述したように1989年にガソリンエンジン搭載の4輪車を開発したアルマン プジョーは1891年に「LES FILS DE PEUGEOT FRERES(プジョー兄弟の息子達)」社を設立しました。同年には自動車の生産を始めて車種を拡大していきました。1896年にアルマンは兄弟の会社から独立して乗用車/トラックの生産を行う「AUTOMOBILES PEUGEOT(オートモビル プジョー)」社を設立しました。兄弟の会社は工具/自転車/オートバイの生産を続けましたが、1906年には単気筒エンジンを搭載した小型自動車の生産を始めました。アルマンのプジョー車と区別する為、兄弟の会社の車は「リオン プジョー(LION-PEUGOET)」と名乗りました。その後1910年には両社は合併して「ANONYME DES AUTOMOBILES ET CYCLES PEUGEOT(オートモビル サイクル プジョー)」社となりました。
1900年頃のプジョーの車種ラインナップはタイプ 14 (2人乗り小型車)、タイプ 15 (4人乗りフェートン型小型車)、タイプ 16 (4人乗り対面シート小型車)、タイプ 17 (2人乗り小型車)、タイプ 20 (8人乗りワゴン車)、タイプ 21 (リムジン)、タイプ 25 (トラック)、タイプ 27 (密閉式キャビン付小型車)などがあり、いずれもプジョー社製2気筒エンジンを搭載していました。1900年の生産台数は約500台でした。エンジンを開発した本家ドイツ(ダイムラー)では自動車生産が本格化していなかった時期に、フランスでは自動車生産の企業化が確立されつつありました。
ミニカーは1960年-1970年代に発売されたフランスのクラシックカー専門メーカーのサフィール(SAFIR)製です。フランスの自動車博物館に保存されていた実車(タイプ 27)をモデル化したもので、クーペという名前はガラス窓付の密閉式キャビン(後部は幌ですが)を意味していて、密閉式キャビンを持つ自動車としては最も古いものだそうです。エンジンはキャビンの下に搭載されていて、フロント下部にはラジエーターがあります。サフィールのクラシックカーは当時のミニカーとしてはスケールモデル的なリアルな作風で、細かいところまで良く再現され、かなり良い出来ばえでした。このプジョー クーペはフロントのカーブしたダッシュボードとその下のラジエータや幌が開いたキャビン部など実車の雰囲気が良く再現されていて良く出来ています。 以下はフロント/リアの拡大画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
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ルノー タイプ B クペ フランス 1900年
上述したように、1899年にルノー フレール(ルノー兄弟)社が設立され、シャフトドライブを採用したヴォワチュレット(VOITURETTE フランス語で小型車の意) タイプ Aが販売されました。タイプ Aをベースにして、密閉式の客室を備えたタイプ Bが1900年に登場しました。馬車そのものの客室を小さな車に載せているのでたいへんアンバランスな形をしています。なお名前の「クペ」(COUPE 英語ではクーペ)とは本来は2座席の密閉客室を持つ馬車を意味します。
タイプ Aのエンジンは単気筒273㏄(1.75HP)でしたが、タイプ Bは単気筒450㏄(3HP)に排気量が拡大されて、サスペンションが改良されていました。実車諸元の画像参照では車体後部に何も付いていませんが、ミニカーでは旅行鞄らしきものが取り付けられています。この旅行鞄はまさしく現在のセダン型自動車のトランクといえます。また別のタイプ Bの実車画像では後部に補助席が付けられたものもありました。(ただしフロントにラジエータが付いているので、これはタイプ Cに改造されているようです)
ミニカーは1960-1970年代に発売されたサフィール製です。サフィールは1960-1970年代にクラシックカーのミニカーを20種類ほど発売していました。サフィールのクラシックカーは当時のミニカーとしてはスケールモデル的なリアルな作風で、細かいところまで良く再現され、かなり良い出来ばえでした。このタイプ Bも実車に忠実な造形で良く出来ています。ホイールのスポークが透明プラスチックで表現されていますが、これは初期のサフィールの特徴でした。サフィールのミニカーはほとんどが1/43サイズなのですが、このタイプ Bだけは1/43よりもかなり大きめのサイズで1/30ぐらいで作られています。おそらくは1/43で作ると小さくなりすぎて、同じシリーズの他ののモデルとつり合いが取れないので大きくしたのでしょう。 以下はフロント/リアの拡大画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
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