ミニチュアカー ミュージアム

自動車の歴史 時代/自動車メーカー別

 

BERLIET 1910 FRANCE

BERLIET
(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
BERLIET


RAMI 33 1/43 96㎜
 実車諸元 画像参照
外形寸法: 全長約4.3m 全幅約1.8m エンジン 変速機: 4気筒 2.4L 21HP 4段変速
性能: 最高速80km/h  データーベースでベルリエ のミニカー検索

ベルリエ フランス 1910年

 

 モーリス ベルリエ(Marius Berliet)は1894年に自動車の製作をはじめて単気筒/2気筒エンジン搭載車を完成させ1899年にベルリエ自動車会社を設立し、廃業した自動車メーカーの工場を引き継いで生産を始めました。1903年に登場した4気筒エンジン搭載車20CVは同時期のドイツのメルセデスとよく似ていました。この車は1906年にアメリカのアメリカン ロコモーティブ社がライセンスを買い取ってALCOという名前で販売したとのことで、当時としては優秀な車だったようです。(実車画像→ ベルリエ 20CV 1903)

 

 1910年代にはベルリエは4気筒/6気筒エンジンを搭載する乗用車とバス/トラックを生産していました。第1次大戦の勃発でフランス軍向けの軍用トラックの需要が急増し、ベルリエは工場を増設して対応しました。またルノーのライセンスによる戦車の生産も行うようになりました。戦後も乗用車の生産を行いましたが経営不振となり、1930年代後半に乗用車生産からトラックなどの産業用車両生産に転換しました。その後1974年にルノーに買収され、1978年にサビエムと合併してルノー トラックス社となり、1980年にベルリエ ブランドは消えました。

 

 

 ミニカーは1960-1970年代に発売されたラミー(RAMI)製です。モデル化している実車がはっきりとは分からないのですが、年式からおそらくタイプ Cと呼ばれる4気筒2.4Lエンジンを搭載した中型車をモデル化していると考えます。密閉されたキャビンを持つセダンですので当時としては高級車であったと思われます。実車のキャビンがこのような緑と白に塗り分けられていたとは思えませんので、このカラーリングはラミーの創作だと思います。ラミーのミニカーとしては後期のものなので、フロントグリル/ヘッドライト/ホイールにメッキしたプラスチックが採用されています。またカラフルなカラーリングと側面の木目模様のライン(デカール)など凝った仕上げで、当時としては良い出来ばえのミニカーになっていました。第2次大戦後のベルリエはトラック専門メーカーになりましたので、ベルリエのミニカーはほとんどがトラックです。(トラックのミニカー→ ベルリエ ストラデール トラック) トラック以外のベルリエのミニカーとしては、これと2015年に発売されたイクソ製のベルリエ 11CV ドーフィン 1939年式(ベルリエの最後の乗用車)ぐらいしかありません。 以下はフロント/リアの拡大画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)

BERLIET 1
BERLIET 2

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LORRAINE DIETRICH 1911 FRANCE

LORRAINE DIETRICH
(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
LORRAINE DIETRICH


RAMI 24 1/43 93㎜
 実車諸元 画像参照
外形寸法: 全長約4m エンジン 変速機: 4気筒 2.2L 28HP 4段変速
性能: 最高速 不詳  データーベースでロレーヌ ディートリッヒのミニカー検索

ロレーヌ ディートリッヒ フランス 1911年

 

 ディートリッヒ社はフランスのロレーヌ地方(ドイツとの国境地帯)で蒸気機関車を作っていた会社で、1896年に自動車製造に進出しました。後にブガッティ社を設立したことで有名な技術者エットーレ ブガッティを採用し、彼が設計した4気筒5.4Lエンジン搭載車24HPはこの会社の名前を上げました。1907年にはイソッタ フラスキーニ社と一時的に合併し、イソッタ フラスキーニの設計した高級車も製造しました。この頃から車の名前をロレーヌ ディートリッヒに改名し、高性能な車として評価されるようになりました。(実車画像→ ディートリッヒ 24HP 1903)

 

 1919年に高性能なOHC(オーバーヘッドバルブ)、アルミ製ピストンを採用した高性能な6気筒3.5Lエンジンを搭載した新型車15CVが登場しました。15CVのレース仕様車B3-6は1925年と1926年のルマンで連続優勝したことで有名です。15CVはエンジンを4Lに拡大した20CVに変更されて生産されましたが、その頃から自動車部門は採算が悪化しました。ディートリッヒ社は1930年にフランスの航空機メーカーに吸収されて航空機エンジンと軍用車両の生産を行うようになり、1935年に自動車生産から撤退しました。

 

 

 ミニカーは1960-1970年代に発売されたラミー(RAMI)製です。ラミーのミニカーを解説しているWEBサイトには実車画像が掲載されているので、どこかの自動車博物館に保管されていた車をモデル化しているのでしょうが、モデル化している実車が良くわかりません。年式から判断して4気筒2.2Lエンジンを搭載した中型車(タイプ LF?)をモデル化していると思われますが、確証はありません。独特の形状をしたフロントグリル形状(グリルが網目なのは時代を感じさせます)やボンネットとボディの接合部形状など当時の技術で実車をそれなりにうまく再現しています。セダンボディも実車に忠実な造形で当時のミニカーとしては良い出来ばえでした。これ以外のロレーヌ ディートリッヒのミニカーはMINIALUE(ミニオール)、イクソのB3-6、ミニチャンプスのB3-6などがあります。 以下はフロント/リアの拡大画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)

LORRAINE DIETRICH 1911 1
LORRAINE DIETRICH 1911 2

 以下は1960-1970年代に発売されたMINIALUE(ミニオール)製のロレーヌ ディートリッヒ 1905 (1/43 型番32)の画像です。これもモデルとなった実車が良くわからないのですが、WEBではタイプ CO 40 CV と書かれているサイトがありました。ただそのタイプ CO 40 CVの実車画像とはかなり違っているので、ボンネット周りの形状が似ている上記と同じ1910年頃の車をモデル化しているのではないかと考えますが、これも確証はありません。MINIALUEのミニカーはプラスチック製で、クラシックカーに付き物の灯火類や操作レバーがきちんと別パーツで取付けられているなど、当時のミニカーとしてはリアルに作ってありました。このロレーヌ ディートリッヒも独特の形状をしたフロントグリルがうまく再現されていて、サイクルフェンダーを持った当時の軽快なツーリングカーがうまく再現されていると思います。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
LORRAINE DIETRICH 1905 1
LORRAINE DIETRICH 1905 2

 以下はフロント/リアの拡大画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
LORRAINE DIETRICH 1905 3
LORRAINE DIETRICH 1905 4

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LEON BOLLEE TYPE G DOUBLE BERLINE 1911 FRANCE

LEON BOLLEE TYPE G DOUBLE BERLINE
(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
LEON BOLLEE TYPE G DOUBLE BERLINE


RAMI 28 1/43 95mm
 実車諸元 画像参照
外形寸法: 全長約4.2m 全幅約1.6m エンジン 変速機: 4気筒 2.4L 30HP 4段変速
性能: 最高速80km/h   

レオン ボレー タイプ G ダブル ベルリーヌ フランス 1911年

 

 フランスのレオン ボレー自動車会社はレオン ボレー(Leon Bollee)が1895年に設立しました。レオン ボレーは1878年にアメ デ ボレー蒸気車を開発したアメデ ボレー(Amedee Bollee)の息子でした。1895年にレオン ボレーが最初に製造した自動車は単気筒エンジンを搭載した3輪の小型車で、この車は数百台が売れたそうです。その後1899年に単気筒エンジン搭載の4輪車、1903年には4気筒4.6L/8Lエンジンを搭載した大型車、1907年に6気筒エンジンを搭載した大型車が登場し、1910年頃には9種類のモデルがあり年間600台の車を製造していました。

 

 レオン ボレーは1913年に亡くなりましたが、彼の未亡人が会社運営を続けました。1914年に勃発した第1次大戦中は機関銃などの武器を製造しました。第1次大戦後も自動車生産を行いましたが、1924年にイギリスのモーリス社に買収され、名前がモーリス レオン ボレー社に変更されました。その後同社はモーリス カウリー/オックスフォードのフランス版を生産するようになりました。フランス市場でのモーリス車の販売が芳しくなくフランス工場は閉鎖されることになり、1931年にレオン ボレー社の歴史は終わりました。

 

 

 ミニカーは1960-1970年代に発売されたラミー(RAMI)製です。1911年に登場したタイプ Gと呼ばれる車をモデル化しています。馬車を2台分連結したようなボディなのでダブル ベルリーヌと呼ばれています。実車はフランスのリヨンにある自動車美術館に保存されているようで、ラミーはその実車をモデル化しているようです。(この車をWEBで検索するとこのボディの実車画像が見つかりますので良く知られた車なのでしょう) 50年以上も昔に作られたビンテージミニカーですが、特徴的なボディが良く再現されていて当時の技術で実車を忠実にモデル化しています。フロントグリルのLEON BOLLEEのロゴとボディー側面の木目パネルを再現した部分はデカールを貼ってあり、当時のミニカーとしては凝った仕上げでした。なおカラーリングが実車に比べて派手なのは、カラフルな外観のほうが売れるからでしょう。レオン ボレーの量産ミニカーはこれしかありません。このような珍しい初期の自動車をモデル化しているラミーは、クラシックカーのミニカーが好きな方(あまり日本にはいませんが)には人気があったブランドです。 以下はフロント/リアの拡大画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)

LEON BOLLEE DOUBLE BERLINE 1
LEON BOLLEE DOUBLE BERLINE 2

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DE DION BOUTON (TYPE DN) 1912 FRANCE

DE DION BOUTON (TYPE DN)
(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
DE DION BOUTON (TYPE DN)


MINIALUXE 31 1/43 116mm
 実車諸元 画像参照
外形寸法: 全長約5m 全幅約1.7m エンジン 変速機: V型8気筒 7.8L 74HP 4段変速
性能: 最高速85km/h  データーベースでド ディオン ブートンのミニカー検索

ド ディオン ブートン (タイプ DN) フランス 1912年

 

 前述したようにド ディオン ブートン社は自社の高性能単気筒ガソリンエンジンを搭載した3輪車と4輪車を発売しました。さらにこのエンジンを他社にも供給していたので、1900年頃には当時最大の自動車メーカーになっていました。その後エンジンは2気筒、4気筒と大型化し、1910年にはV型8気筒まで開発していました。ただその後はエンジンの優位性がなくなりこれといった新規性のない車となり、だんだん人気がなくなっていきました。ただ堅実な設計で丁寧な仕上げがされていたので、1920年代の初めまではよく売れていたようです。

 

 1912年に登場したド ディオン ブートン タイプ DNは世界初のV型8気筒7.8L(74HP)エンジンを搭載した大型高級車でした。4段ギアボックスからプロペラシャフトを介して後輪を駆動し最高速85km/hの性能でした。リアアクスルは同社お得意のド ディオン アクスルでした。主にツーリングカーやセダンボディが架装されたようです。ド ディオン ブートン社は1932年に乗用車生産を止めてトラックや鉄道車両の生産に主力を移して1953年まで存続しました。

 

 

 ミニカーはクラシックカーを多く手がけていたフランスのMINIALUXE(ミニオール)製で1960-1970年代に発売されました。1912年式のタイプ DNをモデル化しているようです。MINIALUXEのミニカーはプラスチック製でクラシックカーに付き物の灯火類や操作レバーがきちんと別パーツで取付けられているなど、当時のミニカーとしてはかなり良い出来ばえでした。このタイプ DNはモデルとなった実車(リムジン仕様)の画像が見当たらないのですが、フロントグリルの形状は当時のド ディオン ブートン車らしい形状となっています。また大きなサイズの黒いリムジンボディは当時の高級車の雰囲気をうまく再現していると思います。なおMINIALUXEのミニカーはプラスチック製ですので、経年変化でボディが変形するものが多く、これもボディが少し弓なりに変形しています。1910年以降のド ディオン ブートン乗用車のミニカーは2023年現在でもこれしかないようです。(デルプラド製で1923年式の消防車がありますが) 以下はフロント/リアの拡大画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)

DE DION BOUTON (TYPE DN) 1
DE DION BOUTON (TYPE DN) 2

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BEDELIA SPORT  1913 FRANCE

BEDELIA  SPORT
(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
BEDELIA  SPORT


BRUMM R006 1/43 103㎜
 実車諸元 画像参照
外形寸法: 全長約4m エンジン 変速機: V型2気筒 1L 9HP 2段変速(ベルト架替え)
性能: 最高速80km/h  データーベースでサイクルカーのミニカー検索

ベデリア スポーツ フランス 1913年

 

 1910-1920年代に2輪車の部品を使って小型軽量で安価な自動車が製作されていました。単気筒/2気筒エンジンを搭載した3輪/4輪車で2輪車の延長のような車でしたのでサイクルカーと呼ばれています。サイクルカーは安価だったので簡便な自動車としてブームになり、ヨーロッパやアメリカに製作メーカーが非常にたくさんありましたが、ほとんどが弱小メーカーでした。それらの中でもフランスのベデリアやアミルカー、イギリスのモーガンやGNが良く知られたブランドでした。 しかし1920年代後半になると、イギリスのオースチン セブンやフランスのシトロエン 5CVなどの本格的な自動車が安価で登場したことで、サイクルカーは瞬く間に淘汰されました。

 

 ベデリアはフランス初のサイクルカーで、1910年から1925年まで製造されました。バイクのような2人乗りで、後席にステアリングホイールがありますので後席が運転席です。(前輪の操作はケーブルを介して行う) 車体前部にV型2気筒1056cc(9HP)エンジンを搭載し、後輪をベルト駆動しています。2段変速なのですが、変速はサイズの異なる2つのプーリーのベルト架替えで行うので、変速するにはまずベルト張りを緩める操作(クラッチがないのでベルト張りを緩めてクラッチ代わりとしていたのです)をしてからベルトを架替えるというやり方だったそうです。走行中でもやれたそうですが、ベルト架替えは前席の同乗者が操作したそうです。先端に付いている金色の円筒は燃料タンクです。なお1922年頃の改良型はボディが変更されて前席2座の2人乗りになり、通常の3段変速機が付くなどかなり一般的な仕様になっていました。

 

 

 ミニカーは1977年に発売されたイタリアのブルム製です。ブルム初期に作られた数種類のサイクルカーの1つです。ベデリアには様々なバリエーションがあったのですが、これは1913年にフランスで開催されたサイクルカーグランプリで優勝したレースカーにサイクルフェンダーと幌を追加した公道仕様をモデル化しているようです。(実車画像→ ベデリア 1913) レースカーなので変速プーリーなしでエンジン出力軸から直接後輪をベルト駆動しているようです。V型エンジン、ベルト駆動部などがそこそこリアルに再現され、前輪が操舵できるなど当時のミニカーとしてはなかなか良い出来ばえでした。ベデリアの量産ミニカーはこれしかないようなので車種的に貴重な面白いミニカーです。 以下はフロント(前輪操舵)/リアの拡大画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)

BEDELIA 1
BEDELIA 2

 以下はエンジン部の拡大画像と俯瞰/床下の画像です。後輪をエンジンからベルト駆動している構造が良く分かります。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
BEDELIA 3
BEDELIA 4

 以下は1977年に発売されたブルム製のベデリア スポーツ 1913 (1/43 型番R005)の画像です。これは上記の公道仕様のバリエーションでサイクルフェンダーなどを外したレースカー仕様をモデル化しています。こちらのほうが上述したレースカーの実車画像に近いです。当時のレースカーはヘッドライトが不要でしたから、ヘッドライトも取り外すのが正しいはずです。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
BEDELIA 5
BEDELIA 6

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