ミニチュアカー ミュージアム

自動車の歴史 時代/自動車メーカー別

 

FODEN C TYPE STEAM WAGON 1922 UK

FODEN C TYPE STEAM WAGON
(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
FODEN C TYPE STEAM WAGON


MATCHBOX Y27 1/72 全長112mm
 実車諸元 画像参照
外形寸法: 全長約8m? エンジン 変速機: 蒸気機関 
性能: 最高速40km/h  データーベースで蒸気車のミニカー検索

フォーデン C タイプ 蒸気ワゴン イギリス 1922年

 

 フォーデン トラック社は1887年に設立されたトラック/バス製造会社でした。1890年頃から蒸気ワゴン(トラック)の製造を始め、1930年代まで製造しました。フォーデンの蒸気ワゴンは当時最も人気があったそうです。フォーデン社は蒸気エンジンをディーゼルエンジンに転換し2006年まで存続しました。アトキンソン 蒸気ワゴンの説明で蒸気ワゴンにはオーバータイプとアンダータイプの2タイプあることを説明しましたが、このフォーデン C タイプの蒸気ワゴンは蒸気エンジンをシャーシの上に配置するオーバータイプの蒸気ワゴンで、オーバータイプとしてはその最終的なモデルでした。  

 

 フロントに蒸気を発生させる煙突の付いた黒い筒型の横型ボイラーがあり、その上に蒸気エンジンが配置されていました。蒸気エンジンの出力は23HP(450rpm)で、後輪をチェーン駆動していました。最高速は25km/hぐらいで、特別な変速ギヤ設定がされたモデルでは最高速42km/hが可能でした。蒸気エンジンはトルクが大きいので、蒸気ワゴンは変速機をもたないモデルが多く、面倒な変速機操作が必要ないので運転が簡単で大型トラックとして1920年代まで使われていたようです。

 

 

 ミニカーは1984年に発売されたマッチボックス製のYシリーズです。フォーデン C タイプ 蒸気ワゴンの平ボディトラックをモデル化しています。荷台の幌に表示された「PICKFORDS」とは現存するイギリスの引越しサービス会社です。煙突が付いたフロント部分の造形は蒸気機関車にそっくりで、道路を走る蒸気機関車といった感じのトラックです。運転席にある金色のはずみ車(フライホイール)が付いた黒い箱状の部分が蒸気エンジンで、そこから長いチェーンで後輪を駆動する構造になっていました。これ以外のフォーデン 蒸気ワゴンのミニカーはマッチボックスのバリエーションが数種類とコーギーのデイズゴーン シリーズ 1/76などがあります。 以下はフロント/リア(床下部分)の拡大画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
 

FODEN C TYPE STEAM WAGON 1
FODEN C TYPE STEAM WAGON 2

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MERCEDES-BENZ DIESEL TRUCK 5K3 1923 GERMANY

MERCEDES-BENZ DIESEL TRUCK 5K3
(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
MERCEDES-BENZ DIESEL TRUCK 5K3


CURSOR 474 1/43 全長135mm
 実車諸元 画像参照
外形寸法: 全長約6m エンジン 変速機: 4気筒 8.8L 45HP 予燃焼室式ディーゼル 
性能: 最高速 不詳  データーベースで1925年以前のベンツのミニカー検索

メルセデス ベンツ ディーゼル トラック 5K3 ドイツ 1923年

 

 ドイツのルドルフ ディーゼルは彼が考案した圧縮点火式エンジン(ディーゼルエンジン)の特許を1892年に取得しました。ベンツ社の従業員であったプロスパー ロランジュ(Prosper L'Orange)はこのエンジンの開発に取り組み、必須デバイスの燃料噴射ポンプと燃料噴射ノズルを開発し予燃焼室を備えるディーゼルエンジンの実用化に成功しました。ベンツ社は5t積みトラックのシャーシにこの予燃焼室式ディーゼルエンジンを搭載した世界初のディーゼルエンジン トラック 5K3を1923年に製作し実用化試験を開始しました。このエンジンは4気筒8.8Lで1000rpmで50hpを出力しました。このディーゼルエンジン トラックは数年後に正式に生産されるようになりました。

 

 この車の名前は厳密にいうとメルセデス ベンツではなくベンツとなります。1926年にダイムラー社とベンツ社が合併してダイムラー ベンツ社となりその時点でメルセデス ベンツというブランド名ができたのですが、ダイムラー ベンツ社ではこの車もメルセデス ベンツと称しているようです。(なおダイムラー社も合併以前にディーゼルエンジンを開発していました) ヨーロッパでは経済性から乗用車でもディーゼルエンジンが良く使われていますが、ディーゼルエンジンを初めて搭載した乗用車は1936年のメルセデス ベンツ 260Dでした。

 

 

 ミニカーは1970年代に発売されたカーソル(CURSOR)製です。このミニカーはダイムラー ベンツ社の100周年記念品として製作されたプロモーション モデルの一台でした。このプロモーション モデルは主にダイムラー ベンツ社のディーラーで100周年記念品として販売されたようですが、一般向けにも1978年頃にデパートなどで販売されました。 (参照ページ→ カーソルのミニカー) 細かいところまでリアルに再現されたプラスチック製のスケールモデルで、当時の玩具的なミニカーとは一線を画するレベルの高い出来ばえでした。荷台に「10 Jhare im Betrieb」と書かれたパネルを載せていますが、これは「10年間実用試験された」という意味のようです。カーソルは幌を付けた物や荷物を積載したバリエーションも発売していたようです。 以下はフロント/リアの拡大画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)

MERCEDES-BENZ DIESEL TRUCK 5K3 1
MERCEDES-BENZ DIESEL TRUCK 5K3 2

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CITROEN B2 CADDY 1923 FRANCE

CITROEN B2 CADDY
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CITROEN B2 CADDY


NOREV 153172 1/43 全長93mm
 実車諸元 画像参照
外形寸法: 全長約4m 全幅約1.4m エンジン 変速機: 4気筒 1452cc 22HP 3段変速
性能: 最高速90km/h  データーベースでシトロエン B2のミニカー検索

シトロエン B2 キャディ フランス 1923年

 

 シトロエン社初期のシトロエン B2にはたくさんのボディバリエーションがありました。その中で一番毛色の変わったモデルが、B2 キャディでした。B2 キャディはスポーティなボートテール型ボディを持つ、2座オープンカー(補助席付で3人乗り)で、見た目は当時の軽快なスポーツカーのようでした。標準のエンジン(20HP)を22HPに軽くチューンしてあり、最高速はセダンの70㎞/hに対して90㎞/hと高性能になっていました。さらにエンジンをパワーアップした仕様もあったそうです。

 

 ただしB2は基本的には実用車で、このようなスポーティな仕様のモデルはシトロエンのユーザー層には必要とされませんでした。その為、生産されたのはごく少数だったとのことです。B2 キャディはスポーティなパーソナルカーの先駆者のような車でしたが、この車でシトロエンにスポーティなイメージを与えるのは無理でした。その後1930年代にシトロエン ロザリーが速度記録に挑戦したことがありましたが、基本的に戦前のシトロエンにはスポーティなイメージはありませんでした。

 

 

 ミニカーは2019年に発売されたノレブ製です。最近のノレブはフランス車を中心にして堅実なミニカー開発を行っていて、ダイキャスト製で一級品の良い出来ばえです。このシトロエン B2 キャディも特徴的なボートテール型ボディがうまく再現され、細かい金具類やインパネのメーター類もリアルで、ノレブらしい良い出来ばえでした。なおB2 キャディの量産ミニカーはこれが初めてでしたので、同時期に発売された同じノレブ製のモデル Aともども、うれしいモデル化でした。シトロエンのファンでクラシックカーが好きな私はなんの迷いもなく2台とも即購入しました。(ただしシトロエンでも高価で劣化の心配があるレジン製は買いませんが) 以下はフロント/リアの拡大画像です。ヘッドライトのバルブが黄色いのは実にリアルです。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)

CITROEN B2 CADDY 1
CITROEN B2 CADDY 2

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CHENARD & WALCKER LE MANS 1923 FRANCE

CHENARD & WALCKER LE MANS
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CHENARD & WALCKER LE MANS


IXO LM1923 1/43 全長96㎜
 実車諸元 画像参照
外形寸法: 全長約4.1m 全幅約1.7m エンジン 変速機: SOHC 4気筒 3L 80HP 4段変速
性能: 最高速 不詳  データーベースでシェナール ウォーカーのミニカー検索

シェナール & ウォルカー ルマン フランス 1923年

 

 フランスのシェナール & ウォルカー社は鉄道技術者のE.シェナールと鉱山技術者のH.ウォーカーが共同で1901年に設立した自動車会社でした。最初の自動車は2気筒1.2Lエンジンを搭載した小型車で、その後4気筒3Lエンジン搭載の14/16HPや6気筒4.5Lエンジン搭載のタイプUなどが追加されました。第1次大戦中は軍用車を生産し、1920年代にはフランス第4位のメーカーとなりました。しかし上位メーカーとの競争に敗れ1936年に破産し、車体メーカーの傘下となりました。第2次大戦後数年間はプジョー傘下で商用車を生産しました。

 

 シェナール & ウォルカーは1923年の第1回ルマンで優勝したことで、自動車の歴史にその名前を残しています。最初のルマンに参加したのはほとんどがフランス車(ドラージュブガッティなど)で、フランスの国内レースといった趣でした。シェナール & ウォルカーは平均速度92㎞/hで優勝、2位と7位も同車でした。優勝したシェナール & ウォルカーは高性能なSOHCエンジンを搭載しサーボ付フロントブレーキを備えた当時最先端の高性能車でした。なおこのルマンにイギリスから唯一参戦したベントレー 3L は4位で、翌年の1924年第2回ルマンでは優勝しました。

 

 

 ミニカーはルマン優勝車をモデル化していたイクソ製のルマン24シリーズの1台で、2006年に発売されました。1923年ルマン優勝車をモデル化しています。このルマン24シリーズに共通する良い出来ばえで、実車に即した右フェンダー上に追加された補助灯やナンバープレートなどルマン仕様車の細部が良く再現されていました。これ以外のシェナール & ウォルカー ルマン優勝車のミニカーはスパーク(レジン製)があります。ルマン優勝車以外のシェナール & ウォルカーのミニカーとしては、スパークのタンク(TANK) ルマン参戦車、ノレブの戦後の商用車、フランスのミニカー付雑誌「Voitures francaises」のNo.28のタンク Y8 (1927年スポーツカー)があります。 以下はフロント/リアの拡大画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)

CHENARD & WALCKER LE MANS 1
CHENARD & WALCKER LE MANS 2

 イクソのルマン24シリーズのミニカー→ データーベースでイクソのLMシリーズのミニカー検索

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BUGATTI T32 TANK PROTOTIPO 1923 FRANCE

BUGATTI T32 TANK PROTOTIPO
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BUGATTI T32 TANK PROTOTIPO


BRUMM R466  1/43 全長89㎜
 実車諸元 画像参照
外形寸法: 全長約5m 全幅約1.7m エンジン 変速機: 8気筒 2L 90HP 3段変速
性能: 最高速180km/h  データーベースでブガッティ T32のミニカー検索

ブガッティ T32 タンク プロトタイプ フランス 1923年

 

 ブガッティ T32 タンクは1923年のフランス GPに参戦するために開発されたレースカーでした。タンク(水槽)という名前は、この独特のボディ形状から名付けられました。空気抵抗を低減するために側面が飛行機の翼断面の形状をしています。この形状はエットール ブガッティのアイデアだったそうです。彼はブガッティ T35のような官能的なデザインだけでなく、正面から見ると正方形に見えるこのようなスクエアなデザインも好みだったようです。ただこの形状だと高速では揚力が働くので、高速走行時の路面のグリップは良くなかったようです。

 

 T32 タンクは8気筒2L(90HP)エンジンを搭載し、最高速は180km/hの性能でした。1923年のフランス GPではT32が4台参戦し、ゼッケン#6が3位となりました。(残り3台はリタイヤ) T32の後継車は1924年に登場し圧倒的な強さを誇ったブガッティ T35でした。 なおブガッティ T57のレース仕様として1936年に登場したT57G タンクも基本は四角いボックスデザインでしたが、全体的に流線的なデザイン処理がされていました。T57Gは1937年のルマンで優勝しています。

 

 

 ミニカーは2010年に発売されたブルム製です。T32 タンクのプロタイプをモデル化しています。角ばったボディとリベット止めされた外板がうまく再現されていて、実車の雰囲気がうまく再現されていました。コクピット内の造形など細かいところも結構忠実にモデル化していました。ブルムはレース仕様(型番R467)と黄色のストリートカー仕様(型番R468)もモデル化しています。T32 タンクは最近までこれ以外のミニカーがありませんでした。2009年にトップモデル(レジン製)が初めて(たぶん)モデル化し、2010年にブルムがブガッティ創立100周年記念モデルとしてモデル化しました。トップモデルのT32 タンクはボディ外板のスリット部に墨入れしてありましたが、実車のボディ外板は割とあっさりしていてスリットもあまり目立たないので、ブルムの表現のほうが実車に即しているように思います。 以下はフロント/リアの拡大画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)

BUGATTI T32 TANK PROTOTIPO 1
BUGATTI T32 TANK PROTOTIPO 2

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