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ロールス ロイス ファントム I イギリス 1927年
ロールス ロイスは1907年からシルバー ゴーストだけを作り続け、1925年までに6000台以上を販売し、その高い信頼性で「The Best Car of the World」の名声を確立しました。そのシルバー ゴーストもさすがに性能的に時代遅れになり、1925年に後継車として登場したのがファントムでした。(なお1929年にファントム IIが登場してからはファントム Iと呼ばれるようになりましたが、これは公式の名前ではありません)
これもファントム Iのミニカーですが、こちらはクーペ デビルと呼ばれる運転席の屋根がない馬車時代からの伝統的なボディ形式のセダンをモデル化しています。日本のダイヤペット製で、1979年に3種類発売されたクラシックカーシリーズの1つです。シリーズにはこれ以外にフォード リンカーン ロードスター 1927 (1/25)、デューセンバーグ J 1930 (1/27)がありました。日本のメーカーがこのようなクラシックカーをモデル化するのは珍しいことでした。1970年代後半はスーパーカーブームの後でミニカー市場は景気が良かったので、ダイヤペットはマセラティやシボレー コルベットなどの外国車をモデル化するなど、いろいろ新しいことをやっていましたので、その一環だったと思います。
この類のクラシックカーの大スケールミニカーでは定評があったフランクリンミント製と比べると精密さでは見劣りしますが、ダイヤペットとしてはかなりリアルに仕上げてあり、ファントム Iのミニカーとしては合格点の良い出来ばえでした。また細部の金具類もしっかりした作りで、室内が彩色してあるなどなかなか見応えのあるモデルになっていました。4ドア開閉、ボンエット取り外しのギミック付きでさらにこのシリーズは全て運転席のレバー操作でライトが点灯するといったギミックもついていました。(単3電池2本を使用します) 以下はフロント/リアの拡大画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
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メルセデス ベンツ SS トルペード (W06) ドイツ 1928年
前述したベンツ レースカーのスーパーチャージャーエンジンを成功させたフェルディナンド ポルシェ博士は6気筒スーパーチャージャーエンジンを設計し、メルセデス ベンツのツーリングカーに搭載しました。1926年に登場した最初のモデルはKヴァーゲンと呼ばれ、6気筒6.3L(110HP 過給時160HP)エンジンを搭載し、当時最速のツーリングカーでした。それをさらに発展させたのがSヴァーゲンで、その後のメルセデス ベンツのスポーツカー Sシリーズの最初のモデルとなりました。Sヴァーゲンは6気筒6.8L(120HP 過給時180HP)エンジンを搭載し、さらにそのエンジンを6気筒7L(140HP 過給時200HP)にパワーアップしたのがSSでした。
Sシリーズは当時のスポーツカーとしては非常に高価でしたが、その高性能と魅力的なデザインで富裕層に人気がありました。またSシリーズは市販スポーツカーでしたが、レーシングカーとしても1920年代後半から1931年までヨーロッパのレースで活躍しました。1928年にSSのホイールベースを短縮したSSKが登場し、1931年にはSSKを軽量化したSSKLが登場しました。SシリーズはスポーツカーレースだけではなくGPレース(現在のF1相当)にまで参戦していました。
ミニカーは1965年に発売されたフランスのソリド製です。ソリドが1960年代に発売したクラシックカーシリーズ(約10種類)は当時としては非常に出来が良いミニカーでした。このメルセデス ベンツ SSもその一つで型番を4137に変更して、その後20年以上も生産された傑作でした。ソリドの別ブランドのベレム(VEREM)でも発売されました。ドア開閉ギミック付きで、インパネのメーターは紙のシールで再現してありました。ソリド以外のメルセデス ベンツ SSのミニカーとしては、古いマッチボックスのYシリーズ、イクソとその廉価版ホワイトボックス(WHITE BOX)の物があります。イクソの物は元々はフランスのミニカー付き雑誌「VOITURES CLASSIQUES」(No30)用として作られた物でした。 以下はフロント/リアの拡大画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
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オペル 10/40HP タイプ 80 ドイツ 1928年
前述したようにオペルは小型車ラウプフロッシュが大成功し、1928年にはドイツ最大の自動車メーカーとなりました。ラウプフロッシュの上級車として10/40HP(税制上馬力/実馬力) タイプ 80が1925年に登場しました。10/40HPは4気筒2.6L(40HP)エンジンを搭載した中型車で、4ドアセダン、2ドアクーペ、ホイールベースを拡大した3列シートの6/7人乗りの4ドアワゴン、4ドアリムジンがありました。外観はそっけない四角い箱型ですが、同時期にフランスでフォード式大量生産方式を採用したシトロエン B2によく似ており、当時の大量生産車に共通するデザインでした。セダンは3段変速で最高速85km/hの性能でした。タイプ 80も大量生産方式により低価格で、1920年代のドイツでは一番ポピュラーな中型車だったそうです。
オペルは1927年に6気筒4.2Lエンジン搭載のタイプ 100、1929年には8気筒6Lエンジン搭載のレーゲント(REGENT)などの大型車を登場させました。1920年代後半になるとGMやフォードのアメリカ系メーカーがドイツ市場に本格的に進出し、小型車から中型/大型車への進出を図っていたオペルはそのクラスでは対抗することが難しくなりました。そこでオペルはGMと提携する道を選び1929年にGM傘下となりました。1931年にラウプフロッシュの後継車1.2Lなど小型車も登場し、1930年代半ばにはオペルは年間10万台以上を生産するヨーロッパ最大の自動車メーカーとなりました。 (実車画像→ オペル レーゲント 1929) (実車画像→ オペル 1.2L 1932)
ミニカーは2014年に発売されたイクソ製のミュージアムシリーズです。オペル 10/40HP タイプ 80の6/7人乗りのロングホイールベース版リムジンをモデル化しています。このミニカーは元々はドイツのミニカー付雑誌「OPEL COLLECTION」のNo.38でモデル化された物をイクソのカタログモデルとして発売した物でした。この地味なセダンがモデル化されたのはミニカー付雑誌ならではのことだと思います。(タイプ 80の量産ミニカーはこれ以外はありませんので) 実車の雰囲気がうまく再現され、少し大きめにデフォルメされたフロントグリル上のマスコット、側面の細いクロームモール、エッチング材の繊細なワイパー、そこそこ良く再現された室内などイクソのミュージアムシリーズに共通する良い出来ばえです。 以下はフロント(マスコット拡大)/リアの拡大画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
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BMW ディキシー (3/15) ドイツ 1928年
1916年に設立されたドイツの航空機エンジンメーカー BFW(Bayerische Flugzeug Werken)が名前を変更して、1922年にBMW(Bayerishe Motoren Werke(バイエルン発動機製造会社)が設立されました。青と白のBMWのエンブレムはバイエルン州の旗(青と白の格子模様)に由来するもので、良く言われている高速回転している飛行機のプロペラのデザインだという説は正しくないようです。1920年代に2輪車製造に進出し水平対向2気筒エンジン搭載の2輪車R32で有名になりました。(実車画像→ BMW R32 )
1928年にイギリスのオースティン セブンのライセンス生産をしていたディキシー社から製造権を得て4輪車のディキシーを発表しました。ディキシーの標準モデルは4気筒750cc(15HP)エンジン搭載で最高速75km/hでしたが、18HPにパワーアップし最高速90km/hの2シーターのスポーツ仕様や商用バンなどのバリエーションが追加されました。1929年には名前がディキシーから3/15に変更されました。1932年にオースチンとのライセンス契約を終了し、自社開発の3/20が登場しました。ディキシー(3/15を含む)は約2.5万台が生産されBMWの基礎を固めました。スポーツモデルが1930年のモンテカルロラリーでクラス優勝するなどディキシーは本家のオースティン セブン同様にレースで活躍しました。(実車画像→ BMW 3/20 )
ミニカーは1997年頃にBMW特注品として発売されたシュコー製です。実車が小さいのでミニカーも70㎜程のサイズですが、リアルなフロントグリルやディスクホイールなどシュコーらしいレベルの高い出来ばえです。画像がモノクロに見えますが、フロントグリル上の大きめに作られたBMWの青/白のエンブレムで分かるようにカラー画像です。シュコーはカブリオレや商用バンもモデル化しています。シュコー以外のディキシーのミニカーはチィス(ZISS)のカブリオレ、イクソ PREMIUM CLASSIXXSの商用バン、オートアートの1/18、ブレキナの1/87、RICKOの1/87などがあります。 以下はフロント/リアの拡大画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
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ロールス ロイス 20/25HP イギリス 1928年
第1次大戦後の不況で高価なシルバー ゴーストだけでは販売が苦しくなったロールス ロイスは、1922年に「ベイビイ ロールス ロイス」と呼ばれた20HP(TWENTY)を発表しました。価格はシルバー ゴーストの約半額で、同じ6気筒ですが半分の排気量の3150cc(約50HP)エンジンを搭載し3段変速機で約100km/hの性能でした。(注:名前の20HPは課税上の馬力を表示したもので、実際のエンジン出力は50HPということです) 外観的にはラジエータの前につくシャッターが横向きになっていることが特徴でした。
1929年に20HPはエンジン排気量を3.7L(75HP)に拡大した20/25HPとなりました。20/25HPは同時に発表されたファントム II のホイールベースを短くしたもので、ファントム IIの優れた機能が全て採用されていました。20/25HPは自ら運転するユーザーに人気があり大ヒットし、1936年までに約3800台が生産されました。この成功はロールス ロイスの財政状況を改善しました。 1936年に20/25HPはエンジン排気量を4.3L(115HP)に拡大した25/30HPとなりました。このパワーアップは20/25HPに大型ボディを架装した場合に問題となったパワー不足を解消するものでした。25/30HPは1938年までに約1200台が生産されました。1938年には前輪独立懸架を採用するなどして改良され、新たにレイス(WRAITH:亡霊の意)という名前が付けられました。
ミニカーは1980年頃に発売されたフランスのエリゴール製です。ロールス ロイス 20/25HPの4ドアリムジーンをモデル化しています。エリゴール初期のミニカーはノレブ初期のプラスチック製ミニカーの型を流用したものが多いのですが、これはエリゴールのオリジナルと思われます。当時のミニカーとしてはかなりリアルな造形で良く出来ていました。なおホイールはディスクホイールのように見えますが、スポークホイールの上にカバーを掛けてあるタイプのようです。またミニカーの底板には1928と銘記されていますが、正しくは1929年式だと思われます。エリゴールはバリエーションでホテルの送迎車仕様もモデル化しています。これ以外の20/25HPのミニカーはオックスフォードの1/43があります。 以下はフロント/リアの拡大画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
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