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トヨタ TS010 ルマン 日本 1992年
トヨタのプロトタイプスポーツカーによるレース活動は、1970年のトヨタ 7の開発中止で一旦中断されました。1975年にシグマ オートモーティブ(現在のサード)のシグマ MC-75がトヨタの4気筒2.3Lターボ エンジンを搭載してルマンに参戦しました。(結果はリタイア なおシグマ MC-74は1974年にはロータリーエンジンを搭載して参戦) その後1982年にはグループCのトムス 童夢 セリカ Cに4気筒2.1Lターボエンジンを供給するなどして国内耐久選手権に参戦するようになり、1987年からトヨタ チーム トムスの名前でワークスのレース活動が再開されました。
1985年にトヨタのエンジンを搭載したトムス 85Cがルマンに参戦し、12位で完走しました。その後1986年ルマンではトムス 86Cで未完走、1987年ルマンではトヨタ 87Cで未完走、1988年ルマンではトヨタ 88Cで12位完走でした。1989年ルマンでは新開発のV型8気筒3.2Lターボ エンジンを搭載したトヨタ 89C-Vで未完走、1990年ルマンではトヨタ 90C-Vで6位入賞、1991年はレギュレーション変更でターボ エンジンが使えなくなりトヨタは参戦していませんが、マツダ 787Bが優勝しました。
1992年には、後にトヨタのF1に搭載された新開発のV型10気筒3.5L自然吸気エンジンを搭載したTS010で参戦し、優勝したプジョーに次ぐ2位となりました。(有力チームのジャガーやメルセデス ベンツはレギュレーション変更の為不参加で、出場したチームは少なかったのですが) 1993年ルマンではTS010が4位となりました。1991年のマツダの優勝、1992年のトヨタの2位など日本車が活躍したことで、当時の日本ではルマンがTV中継され注目を浴びました。TS010の後継車GT-ONE(TS020)が1998年に開発されました。
ミニカーは2012年に発売されたエブロ製です。1992年ルマンで2位となったTS010をモデル化しています。エブロらしいそつのないリアルな出来ばえになっています。リアカウル(プラスチック製)を取り外すことができ、リアルに再現されたエンジンやサスペンションなどを見ることができます。TS010などが活躍した当時はこの種のレースカーが量産ミニカーになることはほとんどなかったので、当時物ミニカーはありません。2000年以降になってイクソ、エブロ、hpiレーシングなどがモデル化しています。また1980年代の83C以降のプロトタイプスポーツカーも2000年以降になってからエブロ、Qモデル、スパークなどがモデル化しています。 以下はフロント/リアの拡大画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
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マクラーレン F1 イギリス 1994年
1960年代後半のカンナムで一世を風靡したマクラーレンは、グループ4スポーツカーへの参入を目指していました。グループ4の認証には50台を生産する必要があり、公道走行仕様も計画されていました。カンナム用のM6Bをベースにしたクーペボディの試作車 M6 GTが1969年に完成しました。しかし市販車としての完成度を高めていた開発途中の1970年に、B.マクラーレンが事故死しこの車の開発計画は頓挫してしまいました。(実車画像→ マクラーレン M6 GT)
その後1990年にマクラーレンの市販車部門としてマクラーレン カーズが設立され、高性能スポーツカー開発が再開されました。1994年にマクラーレン初の市販車 F1が登場しました。前方跳ね上げ式のドアでレースカーそのものの精悍なデザインのボディは、カーボン複合材のモノコックで非常に軽量でした。ミドシップ搭載するエンジンはBMW製のV型12気筒6.1L(627HP)で、当時の市販車では世界最高出力でした。最高速390km/h、お値段約1億円もほぼ世界一でした。
マクラーレン F1はこのような高性能車でしたが、従来のスパルタンな高性能車(フェラーリ F40など)とは違い市販スポーツカーとしての快適性や操縦性に重きを置いていました。ケンウッドのオーディオやエアコンが標準装備され、ドライバーシートが中央にある3人乗りシート配置は一人乗車時の重量バランスを考慮したものでした。またスペアタイヤを廃してトランクスペースをホイールベース内に収め、重量バランスを最適化し操縦性を高めていました。レース仕様のGTRは1995年ルマンで総合優勝し、1997年ルマンで総合2位になるなど活躍しています。1997年に生産中止となりました。
その後のマクラーレンの市販車としては、開発と生産を行った2003年のメルセデス ベンツ SLR マクラーレンがありました。2009年にはマクラーレン オートモーティブが設立され、2011年にMP4/12C、2012年にP1などが登場しています。
ミニカーは1995年に発売されたミニチャンプス製の当時物です。ミニチャンプスとしては初期の物でしたが、ダイナミックなボディが良く再現されていてなかなかの良い出来ばえでした。室内も良く再現されていて、ドライバーシートが中央にありバックミラーが2つあることがわかります。ミニチャンプスにはレース仕様など約50種類ほどのバリエーションがあります。マクラーレン F1は人気があり、オートアート、イクソ、hpi レーシングなど多くのミニカーがあります。なお試作で終わったM6 GTをスパークとプレミアムXがモデル化しています。 以下はフロント/リアの拡大画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
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日産 R390 GT1 日本 1997年
日産は1984年にニスモ(日産 モータースポーツ インターナショナル)を設立し、グループCでのスポーツカー耐久レースに参戦します。当初のスカイライン RSのグループC改造仕様では競争力不足で、ルマン ガレージの開発したLM04Cに日産のエンジンを搭載したグループCカー LM04C スカイライン ターボCが1984年に登場しました。さらに1985年にはイギリスのマーチ製シャーシに日産のV型8気筒エンジンを搭載したR85G スカイライン(後にスカイラインの名前は外れて単にR85G)が登場します。
日産のルマン初参戦は1986年で、R85Vと新開発したエンジンを搭載したR86Vが出場し、R85Vが完走しています。1987年ルマンにはR87EとR86Vが出場しますが全車リタイア、1988年ルマンにはR88Cが出場し完走しています。1989年ルマンにはR89Cで出場し善戦するもリタイア、1990年ルマンではR90CPが出場し初のポールポジションを獲得し、本選で総合5位となりました。日産のグループCカーでのルマン挑戦はこの1990年で終了します。
1991年にグループCのレギュレーションが変わり、ターボエンジンが使えなくなったことなどから自動車メーカーの撤退が相次ぎました。これでルマンにおけるグループCの時代は終わりを迎え、1994年頃からは従来のGTカーがルマンの主力に戻りました。日本でもグループCのレースは終わりJGTC(全日本GT選手権)が始まり、スカイライン GT-Rが主役となりました。日産は新しいグループC仕様のNP35を1992年に開発しましたが、この車は結局使われませんでした。その後スカイライン GT-R(R33)をベースにしたニスモ GT-R LMが1995年と1996年のルマンに参戦して完走していますが、GT-Rでは上位を狙うことは困難でした。
そこで1997年ルマンに向けて開発されたのがR390でした。R390はGT1クラスのプロトタイプレーシングカーで、イギリスのトム ウォーキンショー レーシング(TWR)の協力でジャガー XJR-15をベースにして設計され、エンジンはグループC時代のV型8気筒3.5Lを搭載していました。GTカーとして認証される為、ターボの付かないロードカーが1台製作されましたが市販されていません。1997年ルマンには3台のR390が出場し、予選でポールポジションを獲りましたが、本選では12位と不本意な成績でした。翌1998年ルマンでは改良されたR390が総合3位となり、日産はルマン初の表彰台を得ました。1999年ルマンではR391が参戦するもリタイアとなり、その後日産のルマン参戦は2015年まで中断されました。
ミニカーは田宮のコレクタークラブ ミニ シリーズ(ダイキャスト製完成品)で、1998年に発売されました。R390のロードカーをモデル化しています。キャビン部分がやや小さいように思いますが、風変りな造形のリアエンドの再現など全体的にはかなり良い出来ばえです。バリエーションでロードカーのニスモ特注品とレース仕様がありました。これ以外のミニカーとしてはロードカーではオニキス、レース仕様ではオニキス、京商の1/43と1/64、オートアートの1/18などがあります。 以下はフロント/リアの拡大画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
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トヨタ GT-ONE (TS020) ストリート仕様 日本 1999年
1991年のグループCカーのレギュレーション変更でターボエンジンが使えなくなったことで、自動車メーカーはグループCから撤退しました。ルマンにおけるグループCの時代は終わりを迎え、1994年頃からは従来のGTカーがルマンの主力に戻りはじめました。トヨタは1992年ルマンではグループCカーのトヨタ TS010で2位となり、その翌年の1993年ルマンではTS010が4位となりました。
1994年ルマンにはトヨタのワークスは参戦しませんでしたが、プライベーターが92C?Vを新しいグループC規定に変更した94C?Vで参戦し、首位となるも残り1時間でコース上でストップし2位となりました。1995年ルマンにはLMGT1規定に合わせたスープラ GT LM(DOHC4気筒2.1L)で参戦し14位で完走しました。この年は関谷正徳がマクラーレン F1 GTRで日本人初のルマン総合優勝を達成し、ホンダ NSXが8位でGT2クラス優勝、日産 スカイライン GT-R LMが10位となるなど日本勢が活躍していました。1996年もスープラ GT LMでルマンに参戦しましたが、早々にリタイアとなりました。1997年はルマンの参戦を見送りました。
1998年のルマンにはトヨタ チーム ヨーロッパ(TTE 後のTMG(トヨタ モータースポーツ))が開発したGT-ONE(TS020)で参戦しました。GT-ONEは当時のGT1規格のマシンで、ほぼプロトタイプレーシングカーですが、GTということでストリート仕様も1台製作されました。GT-ONEはF1マシンにフェンダーカバーをかけたような独特のフロントデザインで話題となりました。レースではファーステストラップを記録し早かったのですが、最終的には9位でした。なおこの年は日産 R390 GT1が3位となっています。1999年ルマンではGTP(プロトタイプ)クラスに変更したGT-ONEで参戦、ファーステストラップを記録するも残り1時間でタイヤバーストでストップし、またも2位で終わりました。(実車画像→ トヨタ TS020 1999) この後トヨタはレース活動の主軸をF1に移し、ルマン参戦は2011年まで中断となりました。その後2016年ルマンではTS050 ハイブリッドがあと少しのところでストップし2位となり、2018年にTS050 ハイブリッドが悲願のルマン初優勝を達成しました。
ミニカーは2005年に発売されたミニチャンプス製です。TOYOTA ロゴ以外のデカールがないのであっさりした外観ですが、その分独特のボディ形状がよく分かります。フロント周りの造形や丸みのあるキャビンなど実車がうまく再現されています。ミニチャンプスはレース仕様のGT-ONEを数種類モデル化していますが、このストリート仕様は京商の専売品で日本向け仕様のようです。ミニチャンプス以外ではオニキス、オートアート(1/18)、hpiレーシング、スパークなどがTS020をモデル化しています。トヨタ スープラ GT LMはhpiレーシングがモデル化しています。 以下はフロント(コクピット)/リアの拡大画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
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アウディ R8 #8 ルマン 優勝 ドイツ 2000年
1990年代のスポーツカーレース(特にルマン)は、BMW、メルセデス ベンツ、ポルシェ、トヨタ、日産などが参戦し人気がありました。この流れでォルクスワーゲン グループのアウディも参戦を検討し、1999年にフォルクスワーゲンが開発したV型8気筒3.6Lターボエンジンを搭載したアウディ R8R(LMPクラス オープン仕様)とアウディ R8C(LMGTPクラス クーペ仕様)が開発されました。初戦のセブリングではR8Rが3位と5位となり、ルマンではR8Rが3位と4位となりR8Cはリタイアしました。(このルマンではBMW V12が優勝、トヨタ GT-ONEが2位でした)
2000年はR8Rを改良したR8で参戦しルマンでは1-2-3フィニッシュで優勝しました。その後R8は2001年、2002年、2004年、2005年のルマンで優勝しました。(2003年はベントレー スピード8が優勝) R8がこのように連勝できたのはメルセデスやBMWなどの強豪が参戦しなくなったことがありますが、R8が耐久レースには付き物のトラブルに強い構造であったこともあります。R8はパワートレイン/リアサスペンションがモジュール構造となっていたので、トラブル時には修理ではなくモジュール交換で素早く対応できたからでした。
2006年にはV型12気筒5.5L ツインターボ ディーゼル(650HP)エンジンを搭載したR10 TDIが登場しました。(TDIとはTurbocharged Direct Injection 直噴ターボの略) R10 TDIは2006年にディーゼルエンジン搭載車として初めてのルマン優勝を達成し、2007年、2008年のルマンも連覇しました。2009年にはV型10気筒5.5L ツインターボ ディーゼル(600HP)エンジンを搭載し、ノーズの形状を変更したR15 TDIが登場しました。2009年ルマンではディーゼルエンジン搭載のプジョー 908 HDIが優勝しR15 TDIは3位でしたが、2010年ルマンではR15 TDIがプジョー 908 HDIを制して優勝しました。2011年にはレギュレーション変更で、エンジンがV型6気筒3.7L ターボ ディーゼルに小型化されルーフの付いたクーペ仕様のR18 DTIが登場しルマンで優勝しました。R18 TDIは軽量化されR18 ウルトラとなり、2012年には前輪を電気モーター、後輪をディーゼルエンジンで駆動するハイブリッド方式4輪駆動システムを採用したR18 e-tron クワトロが登場しました。R18 e-tron クワトロは2012年、2013年、2014年のルマンで優勝しました。2016年に車名はR18に変更されフロントノーズがハイノーズ化され外観が変更されました。なお2015年から2017年のルマンはポルシェ 919 ハイブリッドが3連覇しました。2018年にフォルクスワーゲングループのディーゼルエンジン排ガス不正問題が起こり、その影響でアウディはレース活動から撤退しました。2022年時点でのアウディのルマンでの優勝回数は13回でこれはポルシェの18回に次ぐ2位です。(実車画像→ ポルシェ 919 ハイブリッド)
ミニカーは2019年に発売されたアシェット製のルマン レースカー コレクションです。メーカーはスパーク(ダイキャスト製)で、2000年ルマンで優勝したR8 #8をモデル化してます。ルマン レースカーコレクションは定価2540円と安価な雑誌付きミニカーでしたが、いずれも値段以上によく出来ていました。(スパークはレジン製で同じ車をモデル化していることがほとんどなので、型設計などを省略できることで安く作れるのでしょう) このアウディ R8も実車画像と見較べてみると、プロポーションが良くカラーリングも含めて実車が正確に再現されていることが分かります。灯火類、ホイール、コクピット左右のバックミラー、リアフェンダー上の小さなエアダクト、ロゴステッカーなどの細部もリアルに再現されています。オープンカーなのでそこそこ再現されたコクピットを見ることも出来ます。 以下はフロント/リアの拡大画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)