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ベンツ リムジン 20/35HP ドイツ 1910年
前述したメルセデス リムジンはダイムラー社の高級車でしたが、同時期にはベンツ社の高級車もありました。ダイムラー社とベンツ社が合併して「メルセデス ベンツ」ブランドが誕生したのは1926年でしたので、当時の両社はライバル関係にありました。1900年代当時のベンツは4気筒2Lエンジン搭載のの8/20HPから4気筒10Lエンジン搭載の39/100HPまで数種類のモデルがあり、それらは後輪駆動にドライブシャフトとデファレンシャルギヤを介するシャフトドライブ方式を採用していました。(従来のようなチェーンドライブ仕様もありましたが)
1909年に登場したベンツ 20/35HPは4気筒5.2L(35HP)エンジンを搭載した中型車で、4段変速機からシャフトドライブで後輪を駆動し最高速80km/hの性能でした。1910年にはエンジンが4.8Lとなりました。この車のようにベンツが後輪駆動にシャフトドライブを採用したのはライバルのメルセデスよりも早かったのですが、それ以外はメルセデス流の設計を真似ていたそうです。またベンツの6気筒エンジン搭載車は1914年の25/65HPが最初でしたが、これはメルセデスより6年ほど遅れていました。
ミニカーは1960年代に発売されたチィス(ZISS)製です。ミニカーの底板には「BENZ LIMOUSINE 1910」と表示されていますので、年式とボンネット形状から判断して上述した4気筒4.8Lエンジンを搭載していた20/35HPをモデル化しているようです。ツィスのミニカーの特徴はプラスチック部品の少ないがっしりとした作りで、これもシンプルな作りながら実車の雰囲気がうまく再現されています。屋根の上にある飾り枠はルーフラックで前述したメルセデス ジンプレックスと同じようなボディのリムジンですので、これも長距離旅行に使われたのだと思います。なおベテラン期で紹介した同じチィス製のメルセデス クーペでは後輪のチェーンが再現されていますが、このベンツはシャフトドライブですのでチェーンの表現はありません。なおフロントグリルにベンツの大きなロゴ(スリーポインテド スター)が付いていますが、これは実車には付いていなかったようですのでチィスの創作です。チィスの型番50で幌を開いたバリエーションもありました。 以下はフロント/リアの拡大画像と底板部分の画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
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ベンツ ブリッツェン ドイツ 1911年
1909年以降にヨーロッパでは各国の利害の対立でフォーミュラーカー規定がまとまらなくなり、GPレースが開催されなりました。そこで自動車メーカは自車の宣伝をする為に、レースに使えなくなった大排気量のレーシングカーを使って各種の速度記録に挑戦することになりました。ベンツはこの目的で1909年にレーシングカー ブリッツェンを開発しました。ブリッツェンは4気筒21.5L(220HP)の巨大なエンジンを搭載し後輪をチェーン駆動していました。なお名前の「ブリッツェン」とは稲妻という意味です。
ブリッツェンは1909年にイギリス ブルックランズで202.7km/hの速度記録(往復の平均速度)、1911年にアメリカ デイトナ ビーチで228.1km/hの速度記録を達成しました。この228.1km/hの速度記録は当時の鉄道や航空機よりも速く、1919年まで破られませんでした。この速度記録を出したブリッツェンのカウル付フロントグリルを持つ流線形ボディやカバー付ホイールなどの空気抵抗を考えたデザインは先進的でした。エンジンの燃料供給は手動の圧縮ポンプで行っていたので、狭いコクピット内の助手席には圧縮ポンプを操作するアシスタントが乗っていました。(コクピット内をよく見ると2シータなのです) 製造された6台のうち2台が現存し、メルセデス ベンツ博物館とアメリカの収集家が保有しているそうです。
ミニカーは1970年代に発売されたカーソル(CURSOR)製です。このミニカーはダイムラー ベンツ社の100周年記念品として製作されたプロモーション モデルの一台でした。このプロモーション モデルは主にダイムラー ベンツ社のディーラーで100周年記念品として販売されたようですが、一般向けにも1978年頃にデパートなどで販売されました。 (参照ページ→ カーソルのミニカー) このミニカーは228.1km/hの速度記録を達成した流線形ボディの車をモデル化しています。全体がプラスチック製で後輪のチェーン駆動部などの細部までリアルに再現されているなど、当時の玩具的なミニカーとは一線を画するスケールモデル的な出来ばえでした。これ以外のベンツ ブリッツェンのミニカーはブルムの初期型など4種類、ボスモデル(レジン製)の1/18などがあります。 以下はフロント/リアの拡大画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
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アウディ タイプ A (10/22) ドイツ 1911年
自動車創世記にベンツの工場長を務めていた技術者アウグスト ホルヒ(August Horch)はホルヒ社を設立し、1901年から自動車製造を始めました。アウグスト ホルヒは技術/品質にこだわって出資者の経営陣と対立し、1909年に自分が設立した会社を去りました。その直後に彼はまたホルヒという名前の会社を設立しましたが、元のホルヒ社からクレームが付き、1910年に名前をアウディに変更しました。なおホルヒとはドイツ語では「聞く」という意味があり、ラテン語で同じ「聞く」という意味のアウディ「AUDI」を使ったそうです。
アウディ社が生産した最初の車はタイプ Aでした。タイプ Aは4気筒2.6L(22-28HP)エンジンを搭載した後輪駆動車で、最高速75km/hの性能でした。1911年から1915年の5年間で137台が生産されたようです。その後1911年にはタイプ B(4気筒2.6L 28HP)、タイプ C(4気筒3.6L 35HP)、1912年にタイプ D(4気筒4.7L 45HP)が登場しました。さらにタイプ E、G、Kが続き1924年には初の6気筒4.7L(70HP)エンジンを搭載したタイプ Mが登場しました。この当時のアウディ車は高性能な高級車として知られていました。
ミニカーは2010年に発売されたミニチャンプス製です。もともとはアウディ社の100周年記念モデルとして製作された物で、そちらは実車参照画像と同じ緑のボディカラーで出来ているようです。メーカー特注品ということで、通常品よりレベルの高い仕上がりとなっています。特にエッチング パーツで出来たハンドルとボディ右サイドの変速レバー、細かな細工の灯火類、忠実に再現された前後のサスペンションなど非常にリアルに作ってあります。ちょっと変わっているのはヘッドライトの砲弾型のカバー(多分破損防止用)ですが、横にヒンジのような部分がありますので使用するときにはカバーを開くのだと思います。 ただし限定1000台ほどの少量生産品故にレジン製で軽くて安っぽい感じがするのがいまいちです。 以下はフロント/リアの拡大画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
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アウディ タイプ C アルペンジーガー ドイツ 1913年
戦前の高級車メーカー ホルヒ社の創立者アウグスト ホルヒがホルヒ社を辞めて1910年に設立したのがアウディ社でした。(アウディ社はその後1932年にアウトウニオン社に併合され、その後アウトウニオン社を傘下におさめたフォルクスワーゲン社によって1965年に名前が復活しました) 創立者のアウグスト ホルヒはモータースポーツに関心があり、初期のアウディ車は高級車ながらモータースポーツでも活躍していました。
1911年に登場したタイプ Cは4気筒3.6L(35HP)エンジンを搭載した中型車で、4段変速で最高速90km/hと高性能でした。アウグスト ホルヒはタイプ Cを自らドライブして、1912年のオーストリア アルペン ラリー(アルプスでの山岳レース)へ参戦し優勝しました。タイプ Cは同ラリーで3連覇を達成し、アルペン シーガー(アルプスの覇者)の名声を得ました。またこの勝利でアウディ車は国際的にも知られることになりました。タイプ Cは1916年まで生産され、総生産台数は約1100台でした。
ミニカーは1960年代に発売されたドイツのチィス(ZISS)製です。チィスは自動車創成期のクラシックカーを30種類ほどモデル化していました。(参照ページ→チィスのミニカー まとめページ) 1960年代のビンテージミニカーですので、金属パーツが多く頑丈にできていました。また当時のミニカーとしてはスケールモデル的な作風で良く出来ていました。このアウディ タイプ Cも尖ったテールのボディなど当時の軽快なスポーツカーの雰囲気がよく再現されています。タイプ C アルペンジーガーのミニカーはRICKOの1/87、ネオ(レジン製)などがあります。 以下はフロント/リアの拡大画像と室内の画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
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