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ピアス アロー モデル B ロードスター アメリカ 1930年
ピアス アロー社の前身は家庭用品(鳥籠が有名)を製造する会社で、1890年代から自転車/バイクの製造を始め、1901年からは自動車製造にも進出しました。最初の自動車はド ディオン ブートン製の単気筒エンジンを搭載した2シーターの小型車でした。1903年に2気筒エンジン搭載のアローを発表し、1904年には自社開発した4気筒エンジンを搭載した高級車グレートアローを発表しました。グレートアローはアメリカで開催された耐久イベントに優勝し信頼性の高さが知られるようになり、同社は高級車製造に専念することになりました。
1908年にピアス アロー社と改名し、1910年以降は6気筒エンジン搭載車だけを製造するようになりました。ピアス アローは当時の最高級車としてウィリアム タフト第27代アメリカ大統領の公用車に使われるなど富裕層に愛用されました。しかし1920年代になるとモデルの旧態化で採算が悪化しました。そこで1924年に廉価版の80シリーズを発売して挽回を図りましたが、結局1928年にスチュードベーカー社に吸収合併されました。1929年にそれまでの6気筒エンジンを止めて8気筒3LエンジンとV型12気筒6.5L/7Lエンジンを搭載したモデルが登場し、スチュードベーカーのディーラー網が使えるようになったことで売上げは改善されました。その後世界恐慌の影響でスチュードベーカーの業績が悪化し、1933年にスチュードベーカーはピアス アローを売却しました。
ミニカーはシグネチャー製で2006年に発売されました。シグネチュアーの1/32のクラシックカーのシリーズの1台で、当時の定価は約3500円ほどと比較的安価ながら、マニア向けの本格的な出来ばえに仕上げてありました。1930年に登場したタイプA/B/Cという3タイプのモデルのタイプ B ロードスターをモデル化しています。実車の雰囲気がうまく再現されていて良く出来ています。フロントグリル、灯火類、室内などの細部も結構リアルに再現されていて、特にフロントグリル上にあるマスコット(車名にちなんだ弓矢を構えた人物像)と、同社がその配置を特許化し外観上の最大の特徴としていたフロントフェンダー上に配置したヘッドライトもリアルです。またボンネットが開閉できエンジンや床下部分のドライブトレーンも再現され前輪は操舵可能になっています。ピアス アローは1930年代の有名な高級車メーカーでしたが、同社で一番よく知られているシルバー アロー以外でミニカーとしてモデル化されたのはこのシグネチャー製のタイプ Bとブルックリン(ホワイトメタル製)の1601 1936年ぐらいしかないようです。(なお最近の新興ブランドでESVAL MODELS(レジン製)が数種類をモデル化していますが) その為このミニカーはピアス アローのミニカーとして貴重な存在です。 以下はフロント(マスコットの拡大)/リア(折畳み補助席の開閉動作)の画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
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タルボ (タルボット) パシフィック リムジン イギリス(フランス) 1930年
フランスのクレメント-バイヤード(Cl?ment-Bayard)社は1920年代まで存在したフランスの自動車メーカーでした。イギリスのタルボ卿が1902年に設立した輸入会社クレメント タルボ(Cl?ment-Talbot)社がクレメント-バイヤード社の完成車を輸入して、「クレメント-タルボ」ブランドで販売するとともに、部品を輸入してロンドンの工場で組立ててタルボ ブランドで販売しました。これがタルボ ブランドの始まりでした。1906年に登場したイギリス製のタルボ 一号車は4気筒3.7Lエンジンを搭載した中型車で、この車はモータースポーツで活躍しました。(実車画像→ タルボ 20/24HP 1906)
1919年にクレメント タルボ社はダラック社に買収され、ダラック社はサンビーム社も買収し1920年にSTD(SUNBEAM TALBOT DARRACQ) モーター社と改名しました。(代表ブランドはタルボでした) 1926年頃に登場した6気筒1.7Lエンジンを搭載したタルボ 14/45HP(後にタイプ 65)は技術的に優れた低価格の中級車で、この車は大ヒットしました。その後この車は改良されて2.3Lエンジン搭載のタイプ 70/75、その高性能版タイプ 90に発展し1935年まで生産されました。またエンジンを3Lに拡張したタイプ 105はレーシングカーとして活躍しました。STDモーター社は財政難から1935年にイギリスのルーツグループに吸収され、1938年に「サンビーム-タルボ」ブランドができましたが第2次大戦後に消滅しました。タルボのフランス工場は起業家のアンソニー ラーゴ(Anthony Lago)が買い取り、後に「タルボ-ラーゴ」ブランドの車を製造しました。
ミニカーは1981年に発売されたエリゴール製です。上述したタルボ 14/45HPの高性能型で6気筒2.3Lエンジンを搭載したパシフィック(タイプ 90) リムジンをモデル化しています。実車と見比べるとフロントグリル形状とヘッドライトはそれらしく再現されていますが、それより後ろのボディ全体は同じエリゴール製のロールス ロイス 20/25HP(型番1030)の型をそのまま流用しています。(ホイールは変えてありますが) 当時の高級なリムジンは同じようなボディスタイルをしていたので、この方法でも違和感なくそれらしく見えます。したがってキャビン部分はサイズが大きめで窓の配置なども違いますが、当時のタルボ セダンのミニカーはこれぐらいしかありませんので、細かいところは気にしないことにしましょう。 以下はフロント/リアの拡大画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
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シトロエン C4 フランス 1930年
1925年にシトロエン B2/B10はB12にモデルチェンジしました。B12は外観的にはB2と変わりませんが、全綱製ボディを採用しサスペンションやブレーキなどが改良されていました。B12は1926年にエンジンを1539cc(22HP)に拡大したB14に変更されました。最高速はB12の70㎞/hから80㎞/hに向上し、前輪ブレーキのなかったB12に対してB14は4輪にブレーキが装備されました。B14は1928年まで生産されました。B12/B14の総生産台数は約16万台でした。
1929年にC4とC6が登場しました。C4はB14の後継車で、C6はシトロエン初の6気筒エンジン搭載車でした。C4は4気筒1.6L(30HP)エンジンを搭載し、3段変速で最高速90km/hの性能でした。C4には7座セダンから2座クーペまで様々なボディバリエーションがありました。C6はC4より一回り大きなボディを持つ豪華な高級車で、6気筒2.4L(45HP)エンジンを搭載し、3段変速で最高速105km/hの性能でした。なおC4とC6という名前は2000年代になって再度使われています。 1950年代の2CVやDSで革新的なイメージがあるシトロエンも、この当時は小さなアメリカ車といった感じで際だった特徴がありませんでした。(シトロエンに限らずこの時期のフランスの実用車はだいたい似たり寄ったりですが) C4は1933年に生産中止となるまでに約26万台が生産され、シトロエン社をヨーロッパ有数の自動車メーカに成長させました。
ミニカーは1970年代に発売されたフランスのデュブレイ(DUBRAY)製で、材質はプラスチック(レジン?)製です。デュブレイはハンドメイドの少量生産ミニカーで、主に1930年代のフランス車をモデル化していました。このC4は特徴的なフロントグリルがうまく再現されているなど、まずまずの良い出来ばえです。デュブレイはバリエーションで、オープンのトルペードと商用バンもモデル化していました。このデュブレイのミニカーはスイスのモデルカー販売店がTEK-HOBYというブランド名で1980年代以降にも販売しています。デュブレイ以外のC4の量産ミニカーはユニバーサルホビー製のC4Fがあります。C6の量産ミニカーは無いようです。(少量生産品ならありますが) 以下はフロント/リアの拡大画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
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シトロエン C4F バス ’パレス ホテル’ フランス 1930年
前述したシトロエン C4は改良されて1930年にC4F、1931年にC4Gとなりました。C4F/GにはC4と同じ1.6Lエンジン以外に1.8L(32HP)エンジン搭載車もあったようです。C4には2.78mと2.98m、C6には2.96mと3.13mの長短2タイプのホイールベースがあり、2ドア2座クーペ、4ドアセダン、4ドアカブリオレ、4ドア7座ファミリアーレなど様々なタイプのボディがありました。また商用車としては、取外し可能な後部座席と上下に分かれたテールゲートを備える商用バンや、カスタムボディを架装したトラック、小型バスなどもありました。(実車画像→ シトロエン C4 商用車)
ミニカーは1982年に発売されたソリド製です。ロングホイールベース版のC4F トラック シャーシにカスタム ボディを載せたマイクロバスをモデル化しています。ソリドらしいシャープな造形で良く出来ています。側面に「PALACE HOTEL」と表示されているので、フランスの高級ホテルの送迎バスのようです。荷台部分には7人分のシートがあり、後部のドアから乗降りするようで、その後部ドアが開くギミック付です。
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アルファ ロメオ 6C 1750 GS イタリア 1930年
1925年にアルファ ロメオ 6C 1500が発表され1927年から生産されました、アルファ ロメオ P2 GPカーをベースとした高性能車で、P2のエンジンを1.5Lに変更してスーパーチャージャーを外したSOHC 6気筒1.5Lエンジン(44HP)エンジンを搭載していました。1928年にはエンジンをDOHC化したC6 スポーツが追加されました。さらにスーパーチャージャーを追加して76HPにパワーアップした高性能版が追加され、それらの高性能版は1928年のミッレ ミリアで優勝するなどレースで活躍しました。
1929年に排気量が1750ccに拡大されました。標準仕様のツーリスモはSOHC 1.75L(46HP)エンジンで、DOHC 1.75L(64HP)エンジンのSS(スーパー スポルト)、スーパーチャージャー 付 DOHC 1.75L(85HP)エンジンのGS(グラン スポルト)などの高性能版があり、6C 1750も1930年のミッレ ミリアで優勝するなどレースで活躍しました。ボディはコーチビルダーのザガートやトゥーリングが架装しました。特にザガート製の軽快なボディを持つスパイダーは一番よく知られています。この6C 1750は1960年代にアルファ ロメオ社が公式のレプリカを製作しているほど人気のある車でした。6C シリーズはその後も排気量を拡大して1933年に6C 1900、1934年に6C 2300(8C 2300の廉価版)、1938年に6C 2500が登場し、戦後も6C 2500/3000が生産されました。1930年には新型の8気筒エンジンを搭載したレーシングカー仕様の8C 2300が開発されました。
ミニカーは2005年に発売されたブルム製です。高性能版の6C 1750 GSをモデル化しています。ブルムは1982年に型番R077で8C 2300をモデル化していて、これは当時としてはまずまずの良い出来ばえでしたが、1980年代のミニカーでしたので細かい点ではやや雑なところがありました。ブルムのミニカーは2005年あたりから仕上げレベルが上がっており、この6C 1750は内装の仕上げやワイヤースポークホイールなどがリアルになり、かなり良い出来ばえに変わっていました。フロントグリルのアルファ ロメオのエンブレムや室内のメーター類などの細部もきちんと仕上げてあり、スペアタイヤのカバーも凝ってます。 以下はフロント/リアの拡大画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)