ミニチュアカー ミュージアム

自動車の歴史 時代/自動車メーカー別

 

FIAT 16/24HP 1903 ITALY

FIAT 16/24HP
(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
FIAT 16/24HP


RIO 32 1/43 73㎜
 実車諸元 画像参照
外形寸法: 全長約3.3m 全幅約1.46m エンジン 変速機: 4気筒 4181cc 24HP 4段変速
性能: 最高速70km/h  データーベースで戦前のフィアットのミニカー検索

フィアット 16/24HP イタリア 1903年

 

 前述したフィアット 12HPの後継車として1903年に16/20HPが登場しました。16/20HPは4気筒4179cc(20HP)エンジンを搭載する全長3.3mほどの中型車でした。フィアット初の4段変速機を備え、後輪をチェーン駆動して最高速度は70km/hでした。1904年にはホイールベースを延長してボディを大きくした16/24HPが登場しました。エンジン排気量は16/20HPと同じでしたが、24HPにパワーアップしていました。1905年にはホイールベースをさらに延長してボディを大きくした16/20HPが登場しました。1906年には16/20HPに新型の4気筒4503㏄エンジンが搭載されました。16/20HPと16/24HPは1906年まで生産され、総生産台数は約700台でした。

 

 クラシックカーではこの16/24HPのような名前の表記が良く使われます。この「A」/「B」HP(フランスではHPではなくCV)という表記の意味は最初の「A」が公称課税馬力を示し、後の「B」が実馬力を示しています。公称課税馬力とは自動車に課せられる税金を決める為の排気量の区分を示すもので、気筒数や排気量に応じて計算式によって決まります。(日本の5ナンバーの小型乗用車と3ナンバーの普通車という区分と同じようなものです) この計算式は国や時代によって違っていますので、その詳細までは分かりません。

 

 

 ミニカーは1970年代に発売されたイタリアのリオ(RIO)製です。リオのクラシックカーはマニア向けで、灯火類、操作レバー、フェンダーなどの細かいパーツから、シャーシやサスペンションなどのメカ部分までリアルに再現されていました。この16/24HPはイタリアの自動車博物館に保管されていた実車を忠実にモデル化していて、フロントグリル、灯火類、床下の後輪駆動チェーンなどの細部がリアルに再現されかなり良い出来ばえです。さらに幌の前端をフェンダーに固定しているベルトは実車に即して本物の革で作られています。このミニカーは1970年代に購入したのですが、当時は本物の革を手作業で加工して製作していたのです。たださすがに1980年代以降に製作された物はプラスチック製になってしまいました。(本物の革ですので保管に注意しないと腐る可能性があります) ボディ後部に黒い扉のような部分がありますが、これは後席に載る為のドアで、ドアの下に足を掛けるステップが付いています。 以下はフロント/リアの拡大画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)

FIAT 16/24HP 1
FIAT 16/24HP 2

 以下は床下部分の画像です。後輪のチェーンドライブの構造が良く分かります。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
FIAT 16/24HP 2

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N.A.G. TOURING SPORT 1904 GERMANY

N.A.G. TOURING SPORT
(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
N.A.G. TOURING SPORT


ZISS 38 1/43 92mm
 実車諸元 画像参照
外形寸法: 全長約3.5m エンジン 変速機: 4気筒 5.2L 17HP 変速機不祥
性能: 最高速65km/h  データーベースでNAGのミニカー検索

N.A.G. (エヌ アー ゲー) ツーリング スポーツ ドイツ 1904年

 

 1902年ドイツの電気会社AEGは初期の電気自動車や単気筒エンジンを搭載した小型車を製造していた会社を買収し、会社名をN.A.G.(Neue Automobil Gesellschaft:新自動車会社の意)に変更しました。同社の最初の車は2気筒エンジンを搭載したタイプAと4気筒エンジンを搭載したタイプBで、同時期のメルセデスに似ていました。その後4気筒7.9Lエンジンを搭載するタイプB2が登場し、この車は1907年にドイツ王室の御料車として採用されドイツ皇帝ヴィルヘルム 2世の妻 アウグステ ヴィクトリア皇后に愛用されました。(皇帝ははメルセデスを使ったようです) その後AEGは自動車事業から撤退しましたが、N.A.G.は単独で事業を継続しました。

 

 1908年にK2パック(PUCK)と呼ばれる4気筒1.5Lエンジン搭載の小型車が登場し、このエンジンは高性能でレースで活躍しました。K2パックはK2 ダーリン(DARLING)というモデルに発展し、K2以外の1910年代のN.A.G.には8.5Lエンジン搭載の大型車60HPから2LエンジンのK4、3.3LエンジンのK5、5.1Lエンジンの25/35HPなどがありました。第1次大戦後に4気筒2.5Lエンジン搭載の中型車C4が登場し、この車もレースで活躍したのですが、会社の経営は不振でした。1927年に6気筒3L/3.6Lエンジン搭載の201/204、1931年にドイツ初のV型8気筒4.5Lエンジンを搭載した前輪駆動方式の218などが登場しましたが、それを最後にしてN.A.G.は1934年に消滅しました。

 

 

 ミニカーは1960年代に発売されたドイツのチィス(ZISS-MODELL)製です。チィスはMINI-AUTO社のブランドでドイツ車中心でクラシックカー、乗用車、商用車などのミニカーを1960年代に生産していました。チィスのクラシックカーのミニカーはフロントグリルや灯火類などに金属製パーツを使っていますのでがっちりとしたつくりとなっています。モデル化された実車の詳細はよくわからないのですが、年式から4気筒5.2Lエンジンを搭載したタイプ B (20/24HP)だと思われます。4人乗りのオープンカーで、リアにスペアタイヤを積んでいますのでレース仕様なのかもしれません。この当時のN.A.G.はこのミニカーのような丸いラジエーターグリルが付いていたようです。1960年代のクラシックカーのミニカーとしては良く出来ていました。バリエーションで幌の付いたフェートンもモデル化していました。これ以外のN.A.G.のミニカーはありませんが、N.A.G.を買収したビュッシングのトラックのミニカーがあります。 以下はフロント/リアの拡大画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)

N.A.G. TOURINGSPORT 1
N.A.G. TOURINGSPORT 2

 以下は同じチィス製のN.A.G. フェートン 1904 (1/43 型番27)の画像です。上記のバリエーションで、シートが3列に変わり幌が追加されています。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
N.A.G. PHAETON 1
N.A.G. PHAETON 2

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MERRYWEATHER FIRE ENGINE 1904 UK

MERRYWEATHER FIRE ENGINE
(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
MERRYWEATHER FIRE ENGINE


MATCHBOX YFE19 1/43 mm
 実車諸元 画像参照
外形寸法: 全長約4m 全幅約1.6m エンジン 変速機: 4気筒? 変速器 不祥
性能: 最高速 不詳   データーベースで戦前の消防車のミニカー検索

メリーウェザー 消防車 イギリス 1904年

 

 イギリスのメリーウェザー & サンズ(MERRYWEATHER & SONS)社の前身は消火器(ポンプなど)を製造していた会社でした。19世紀後半にこの会社の技術者であったモーゼス メリーウェザー(Mosses Merryweather)とその息子たちがこの会社を引き継いだのでメリーウェザー & サンズという名前になったようです。同社は手動式のポンプを販売していたのですが、当時実用化されていた蒸気機関の開発も行っていました。1873年には蒸気機関で走行する路面電車の製造メーカーに蒸気機関を供給しました。これらの路面電車はイギリスやパリで使用されました。

 

 メリーウェザー社は蒸気ポンプを馬車に載せた消防車も製作しました。1900年には「FIRE KING」と呼ばれる蒸気機関で自走する世界初の消防車を製作しました。ただこの消防車は車重が5.5tと重く、速度も20㎞/hほどと遅く操縦が面倒だったそうです。(実車画像→ FIRE KING 1900) このFIRE KINGの問題点に対応したのだと思いますが、メリーウェザーはガソリンエンジンで自走しそのガソリンエンジンで駆動するポンプを装備した画期的な消防車を製作し、1904年にロンドンの消防署に納入しました。すぐに多くの消防隊はガソリンエンジンで自走する消防車を使用するようになり、メリーウェザー社はそのような消防車を製作するトップメーカーになりました。メリーウェザー社は現在も消火器の販売やその検査サービスを続けているようです。

 

 

 ミニカーは1999年に発売されたマッチボックス製です。1904年に登場したガソリンエンジン搭載の消防車をモデル化しています。初期の消防車をモデル化したマニア向けのマッチボックス ファイアーエンジン シリーズの1台でした。ロンドンのサウスケンジントンにある科学博物館に収蔵されている実車を忠実にモデル化してあり、細部までとてもよく出来ています。ボンネットを開いた状態でモデル化されているので、エンジンも再現されています。(ボンネットを閉じることはできません) 後輪がチェーンで駆動されていて、後部の四角い箱が水タンクでその手前にある金色の円筒形の物が放水用ポンプでしょう。タンクの横にはこの消防車が納入されたフィッチリー消防隊「Finchley District Council Fire Brigade」のロゴが表示されています。備品のホースやホースリールもリアルに再現されています。以下はフロント/リアの拡大画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)

MERRYWEATHER FIRE ENGINE 1
MERRYWEATHER FIRE ENGINE 2

 以下は各部の拡大画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
MERRYWEATHER FIRE ENGINE 3
MERRYWEATHER FIRE ENGINE 4

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DELAUNAY BELLEVILLE 1904 FRANCE

DELAUNAY BELLEVILLE
(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
DELAUNAY BELLEVILLE


R.A.M.I. 20 1/43 85㎜
 実車諸元 画像参照
外形寸法: 全長約3.7m 全幅約1.5m エンジン 変速機: 4気筒 3.7L 38HP 4段変速
性能: 最高速 88km/h  データーベースでラミーのミニカーのミニカー検索

デローネ ベルヴィル フランス 1904年

 

 船舶用ボイラーを製造していたベルヴィル社を引き継いだルイス デローネ(Louis Delaunay)は1903年にデローネ ベルヴィル自動車(S.A. des Automobiles Delaunay-Belleville)を設立しました。この会社にベンツの技師長であったマリウス バルバロウ(Marius Barbarou)が入社して開発した最初の自動車が1904年のパリ サロンで発表されました。この車の1908年式は4気筒3.7L(38HP)エンジンを搭載する大型高級車で4段変速で最高速88㎞/hの性能でした。(1904年式もほぼ同じような性能だったと思います) この車は世界初のクランクシャフト圧力潤滑や水冷式ブレーキなどの高度な設計で製造品質も優れていたので高い評価を受けました。

 

 4気筒エンジン搭載車には排気量の異なる3モデル(16HP/24HP/40HP)があり、1909年にはフランスで初めて6気筒エンジンを搭載した70HP(排気量12L)が追加されました。デローネ ベルヴィルはその品質の高さから「フランスのロールス ロイス」と呼ばれ、当時の最高級車としてロシア皇帝やスペイン国王など当時の貴族/上流階級が購入しました。1919年に4気筒2Lエンジンを搭載する高級な小型車が登場しました。1914年にバルバロウが退社してからデローネ ベルヴィルの品質は低下しました。1920年代後半にはその名声が失われ、同社はトラックと軍用車を生産するようになりました。第2次大戦後に乗用車生産を復活させましたが、車はほとんど売れず1950年に会社は消えました。

 

 

 ミニカーは1960年代に発売されたラミー(R.A.M.I.)製です。デローネ ベルヴィルの最初の車をモデル化しています。 ラミーはフランスのミニカーメーカーJMK社のブランドで、この車のような初期の自動車を1/43サイズでモデル化していました。この車は当時は有名な最高級車でしたのでWEB上に画像がたくさんあります。それを見ると、このミニカーはドローネ ベルヴィルの外観上の特徴である丸いラジエーターとボンネットがうまく再現されているなど、実車の雰囲気が良く再現されています。1960年代のミニカーですからフロントグリルや幌も金属製パーツで、プラスチック製パーツよりリアルさは劣りますが、重厚な感じがします。実車は高級車らしい落ち着いたカラーリングでしたが、ミニカーは見ばえがするようカラフルに仕上げてあります。1910年代の名車であったデローネ ベルヴィルですが、量産ミニカーはこれしか無いようです。(レジン製の少量生産品があるようですが) 以下はフロント/リアの拡大画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)

DELAUNAY BELLEVILLE 1
DELAUNAY BELLEVILLE 2

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FIAT 75HP CORSA 1904 ITALY

FIAT 75HP CORSA
(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
FIAT 75HP CORSA


BRUMM R009 1/43 95㎜
 実車諸元 画像参照
外形寸法: 全長約4m エンジン 変速機: 4気筒10.6L 75HP 4段変速
性能: 最高速110km/h以上  データーベースで戦前のフィアットのミニカー検索

フィアット 75HP コルサ イタリア 1904年

 

 自動車創世期にはレースに参加することで技術が蓄積され、また勝つことが車の宣伝として有効でした。その為フィアットは設立当初からフィアット 6HPや12HPのコルサ(CORSA:伊語でレースの意)でレースに積極的に参加していました。1902年にレースカー仕様車フィアット 24HP コルサが登場しました。この車は量産車から派生したのではなく、レース用に特別に設計された最初の車でした。当時一般的であった木製シャーシではなくスチール製シャーシを採用し、4気筒6.4L(40HP)エンジンを搭載し最高速95㎞/hの性能で、国内では強かったようです。(実車画像→ フィアット 24HP コルサ 1902 )

 

 初期の国際レースの勝者は当時の自動車先進国のフランス車(パナールやプジョーなど)に独占されていました。そのなかでフィアットが初めて国際レースで優勝したのは1904年のイタリアのコッパ フローリオで、このときに使われたマシンは4気筒10.6L(75HP)エンジンを搭載したフィアット 75HPでした。

 当時のレースで勝つには強力なエンジンを搭載することが一番重要であり、1905年には4気筒16.3L(100HP)エンジンを搭載したフィアット 100HPが登場しました。この車はその年のフランスのモン ヴァントゥー ヒルクライムレースで優勝し、1906年のフランス GPで2位、1907年のフランスGPでは130HPにパワーアップしたフィアット F2が優勝するなど大活躍しました。なおこのような剥き出しのシートに座り時速100㎞/h以上で未舗装道路を走行したドライバーは命がけの仕事だったはずです。

 

 

 ミニカーは1978年に発売されたブルム製です。ブルム初期の型番R050ぐらいまでのミニカーは、それまであまりモデル化されていなかった自動車創世期のレースカーを多くモデル化していました。(参照ページ→ ブルムのミニカー一覧 1) これもその1台で、1904年のコッパ フローリオで優勝した75HPをモデル化しています。実車をかなり忠実にモデル化していて当時のミニカーとしてはかなり良い出来ばえでした。床下部分のエンジン/変速機や後輪のチェーン駆動部もよく再現されています。75HPのミニカーはこのブルム製しかありません。 以下はフロント/リアの拡大画像と床下部分の画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)

FIAT 75HP 1
FIAT 75HP 2

 以下は1978年に発売されたブルム製のフィアット 100HP 1905 (1/43 型番R010)の画像です。こちらは1905年のフランスのヒルクライム優勝車をモデル化しているようです。上記の75HP(型番R009)のバリエーションですが、リアにスペアタイヤを積みダッシュボード部分が変更されています。当時のタイヤはよくパンクしたので、このように複数のスペアタイヤが必要だったのです。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
FIAT 100HP 1
FIAT 100HP 2

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