ミニチュアカー ミュージアム

自動車の歴史 時代/自動車メーカー別

 

DAIMLER FIRST TAXI 1896 GERMANY

DAIMLER FIRST TAXI
(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
DAIMLER FIRST TAXI


CURSOR 05(371) 1/43 全長82㎜
 実車諸元 画像参照
外形寸法: 全長約3.5m 全幅約1.5m エンジン 変速機: 2気筒 2.2L 6HP ベルト式 4段変速
性能: 最高速18km/h  データーベースで戦前のダイムラーのミニカー検索

ダイムラー 最初のタクシー ドイツ 1896年

 

 ドイツのシュツットガルトの運送業者フリードリッヒ グライナーがダイムラー社にタクシー用途の車をオーダーし、ガソリンエンジン搭載車として世界初のタクシーが1896年に登場しました。ベースとなったのはダイムラーと彼の友人のマイバッハが設計し1895年に登場したダイムラー リーメンワーゲン(RIEMENWAGEN)でした。ボディはタクシー用として幌付の客室を持つランドレー形式で、1891年にドイツ人によって発明された正確なタクシーメーターを装備していました。リーメンワーゲンは2気筒2.2L(6HP)エンジンを車体後部に搭載し4段ベルト変速機を採用していたことが特徴でした。独語のリーメン(RIEMEN)とは変速ベルトの意味ですので、リーメンワーゲンはベルト変速車ということになります。

 

 フリードリッヒ グライナーはタクシー会社を興し営業を始めましたが、ガソリンエンジン車タクシーの走行距離は1日で70㎞と馬車よりもはるかに多く、利用者にも新鮮味があって好評でした。なお1890年代後半には電気自動車や蒸気車のタクシーもありましたが、ガソリンエンジン車がそれらを駆逐し、ヨーロッパの主要都市にガソリンエンジン車タクシーが拡大していきました。1926年にダイムラーとベンツが合併しダイムラー ベンツ社が設立された後には、1927年にメルセデス ベンツとして初のタクシー(タイプ 8/38HP)が登場しました。また1936年には初めてディーゼルエンジンを搭載したタクシー メルセデス ベンツ 260Dが登場しました。

 

 

 ミニカーは1978年に発売されたドイツのカーソル(CURSOR)製で材質はプラスチックです。元々はダイムラー ベンツ社の100周年記念プロモーション モデルとしてディーラー向けに12種類セットで製作されたミニカーでしたが、後に一般向けにも単品で販売されました。このタクシーはメルセデス ベンツ博物館が所蔵する実車の資料に基づいて再現しているようです。材質がプラスチックなので、灯火や操作レバーなどが繊細に再現されていて、1970年代のミニカーとしては良く出来ていました。 (ただし細かいパーツが壊れやすいので取り扱い注意です) 実車の画像を見るとタクシーメーターは運転席の左側に付いている「FREI」(空車)と表示された部分ですが、このミニカーではタクシーメーターは再現されていないようです。 以下はフロント/リアの拡大画像と室内の画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)

DAIMLER FIRST TAXI 1
DAIMLER FIRST TAXI 2

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DAIMLER LKW FIRST TRUCK 1896 GERMANY

DAIMLER LKW FIRST TRUCK
(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
DAIMLER LKW FIRST TRUCK


CURSOR 04 1/43 全長100㎜
 実車諸元 画像参照
外形寸法: 全長約4.3m 全幅約1.5m エンジン 変速機: 2気筒 2.2L 4HP ベルト式4段変速
性能: 最高速16km/h(空荷状態)  データーベースで戦前のダイムラーのミニカー検索

ダイムラー LKW 最初のトラック ドイツ 1896年

 

 前述したようにダイムラーと彼の友人のマイバッハが設計し1895年に完成させたしたダイムラー リーメンワーゲン(RIEMENWAGEN ベルト変速車)は、ガソリン車初のタクシーのベースとなりました。さらにリーメンワーゲンをベースにして、ガソリン車初のトラックも開発され、1896年にイギリスの会社に納入されました。これは荷物運搬用馬車の後部に2気筒(4HP)エンジンを搭載し、後輪をチェーン駆動していました。最大積載量は1.5tで、空荷状態で最高速16km/hの性能でした。

 

 このトラックはすぐに改良されて、エンジンを運転席下に搭載する構造となりました。ダイムラーは1896年には積載量1.5t~5tのトラック シリーズを販売していて、1897年には乗用車とは明確に区別した構造(エンジンを車体中央に搭載し、ギヤボックス採用)のトラックを発売しました。(参照画像→ ダイムラー トラック 1896) 同時期にライバルだったベンツは荷物配達用商用バンを発売していたようです。ダイムラーとベンツは後に合併してダイムラー ベンツ社となりましたので、このダイムラーの最初のトラックがメルセデス ベンツのトラックの1号車として公表されています。

 

 

 ミニカーは1978年に発売されたドイツのカーソル(CURSOR)製で材質はプラスチックです。元々はダイムラー ベンツ社の100周年記念プロモーション モデルとしてディーラー向けに12種類セットで製作されたものでしたが、後に一般向けにも単品で販売されました。このトラックはメルセデス ベンツ博物館が所蔵している実車を忠実に再現していました。材質がプラスチックなので、車体下回りのスプリングサスペンションなどの細部まで再現されていて、1970年代のミニカーとしては良く出来ていました。(ただし細かいパーツが壊れやすいので取り扱い注意です) 荷物運搬用馬車に前輪操舵ハンドルと運転席が追加され、荷台の後ろのカバーで覆われた部分にエンジンが搭載されています。床下に見える2本のボンベのようなものは燃料タンクのようです。名前のLKW(Lastkraftwagen)とは貨物トラックの意味で、荷台横に表示された「Daimler-Motoren-Gesellschaft Cannstatt」とは「ダイムラー モーターズ社 カンシュタット工場」の意味です。 以下はフロント/リアの拡大画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)

DAIMLER LKW FIRST TRUCK 1
DAIMLER LKW FIRST TRUCK 2

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DAIMLER Paul Daimler Wagen 1901 GERMANY

DAIMLER Paul Daimler Wagen
(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
DAIMLER Paul Daimler Wagen


SAFIR 20 1/43 全長63mm
 実車諸元 画像参照
外形寸法: 全長約3m エンジン 変速機: 2気筒 1.4L 8HP/850rpm 4段変速
性能: 最高速45km/h  データーベースで戦前のダイムラーのミニカー検索

ダイムラー PD ワーゲン ドイツ 1901年

 

 1886年にダイムラー 1号車を完成させたゴットリーブ ダイムラーは1900年に他界しました。ダイムラー自動車会社(DMG:Daimler-Motoren-Gesellschaft)ではダイムラーの友人であったチーフデザイナーのウィルヘルム マイバッハと、1897年から働いていた長男のパウロ ダイムラーが設計を行っていました。マイバッハとパウロは設計上の意見が対立し、パウロは独立して別の設計事務所を設立し1899年から独自設計車の開発を始めました。

 

 パウロが開発した車は当時のフランスでヴォワチュレット(VOITURETTE)と呼ばれていた小型車でした。この車はパウロ ダイムラーが設計したことから「PD ワーゲン(Paul Daimler Wagen)」と呼ばれています。2気筒1.4L(8HP)エンジンとギアボックスをフロントに搭載し後輪をチェーン駆動していました。6角形のラジエータグリルが付くなど馬車的な形態から脱却した進歩的なデザインとなっていて、同時期のダイムラー社のメルセデス 35HPとは雰囲気が違っていました。この車は>メルセデス 35HPとの競合に敗れ、大量生産されることはありませんでした。

 

 

 ミニカーは1960年-1970年代に発売されたフランスのクラシックカー専門メーカーのサフィール(SAFIR)製です。サフィールのクラシックカーは当時のミニカーとしてはスケールモデル的なリアルな作風で、細かいところまで良く再現されかなり良い出来ばえでした。このPD ワーゲンも特徴的な形状のフロントグリル、灯火類、ホワイトタイヤなどかなり実車に忠実にモデル化されていました。サフィールは幌を立てたバリエーションも作っていました。これ以外のPD ワーゲンの量産ミニカーはないようです。 以下はフロント/リアの拡大画像です。 (画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)

DAIMLER 1
DAIMLER 2

 以下は同じサフィールのバリエーションで幌を立てたダイムラー PD ワーゲン 1901 (1/43 型番15)の画像です。カラーリングと幌以外は上記と同じです。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
DAIMLER 3
DAIMLER 4

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MERCEDES 35HP 1901 GERMANY

MERCEDES 35HP
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MERCEDES 35HP


CURSOR 969 1/43 全長73mm
 実車諸元 画像参照
外形寸法: 全長約3m 車重 1200㎏ エンジン 変速機: 4気筒 5.92L 35HP/1000rpm 4段変速 後輪チェーン駆動
性能: 最高速86km/h  データーベースで初期のメルセデスのミニカー検索

メルセデス 35HP ドイツ 1901年

 

 当時のフランスの裕福な実業家 エミール イェリネック (Emil Jellinek)はダイムラー自動車会社(DMG:Daimler-Motoren-Gesellschaft)に製作させたレーシングカーでレースに参戦していました。彼は自分のレーシングカーに娘のニックネームであったメルセデスという名前を付けました。1901年にメルセデス 35HPの名前が付けられた新型レーシングカーが開発されました。この車はマイバッハ設計の簡潔で軽量かつ重心の低いシャーシに高性能な4気筒 5.92L(35HP)エンジンを搭載し、当時としては極めて進歩的な車でした。1901年にニースで開催されたレースで、メルセデス 35HPは最高速度86km/hを達成するなど他車を圧倒して優勝しました。この車が活躍したことでメルセデスという名前が有名となり、ダイムラーの車にメルセデスの名前が付けられようになりました。この後のダイムラー車の基本設計はこの車がベースになりました。

 

 ミニカーは1978年に発売されたドイツのカーソル(CURSOR)製です。材質はプラスチックで、ダイムラー ベンツ(現在はメルセデス ベンツ グループ)社の特注品でメルセデス ベンツの100周年記念品として作られた物でした。当サイトで紹介しているカーソル製のベンツ初期のミニカーは全てがその100周年記念品として販売されたもので、それらはメルセデス ベンツ博物館に展示されている実車をモデル化していました。それらはいずれも当時のミニカーとしてはかなり良い出来ばえでした。このメルセデス 35HPもフロントフェンダーや後輪を駆動するチェーンなど細部まで良く再現されていました。

 

 

 以下はフロント/リアの拡大画像と床下部分の画像です。床下部分にはエンジンの出力軸がボディ中央に搭載された変速機に接続され、その変速機出力のスプロケット駆動軸がチェーンで後輪を駆動する構造が再現されていました。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)

>MERCEDES 35HP 1
MERCEDES 35HP 2

 以下は2010年に発売されたイクソ製のメルセデス 35HP (1/43 型番MUS027)の画像です。上記のカーソル製と同じ車をモデル化しています。製作時期が新しいので、運転席周りのアクセルペダルや変速/ブレーキなどの操作レバーなどがリアルに再現されていました。底板部分のメカも再現されていて、後輪を駆動するチェーンがリアルに再現されていました。イクソはこれをベースにした乗用車仕様のジンプレックス 40HPも型番MUS036でモデル化しています。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
MERCEDES 35CV 3
MERCEDES 35CV 4

 以下はフロント/リアの拡大画像と床下部分の画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
MERCEDES 35CV 5
MERCEDES 35CV 6

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MERCEDES SIMPLEX 40HP 1902 GERMANY

MERCEDES SIMPLEX 40HP
(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
MERCEDES SIMPLEX 40HP


IXO MUS036 1/43 全長85mm
 実車諸元 画像参照
外形寸法: 全長約3m エンジン 変速機: 4気筒 6.8L 45HP/1400rpm 4段変速 後輪チェーン駆動
性能: 最高速70km/h  データーベースでメルセデス ジンプレックスのミニカー検索

メルセデス ジンプレックス 40HP ドイツ 1902年

 

 前述したレーシングカーメルセデス 35HPをベースにして乗用車に発展させたのがこのジンプレックス 40HPでした。35HPに楕円形のヘッドライト、前後のフェンダー、クラクションなどが追加されていました。実車はメルセデス ベンツ 博物館に保存されていて、茶色の木製スカットル パネルや黒いストライプが付けられた青いボディなど乗用車らしくなっていました。4気筒6.8L(45HP)エンジンを搭載し、4段変速機を介して後輪をチェーン駆動し、最高速70km/h の性能でした。

 

 ミニカーは2011年に発売されたイクソ製です。メルセデス ベンツ 博物館に保存されている実車を忠実にモデル化しています。(実車諸元 画像参照のリンク先に実車画像があります) イクソはレーシングカー 35HPも型番MUS027で2010年にモデル化しています。どちらもシャーシのメカ部分などの細かいところまでよく再現され、とても良く出来ていました。35HPと40HPが同じイクソ ブランドで作られているので、この2台を並べるとレースカーから乗用車に発展したことがよく分かります。

 

 

 縦長のヘッドライトはアセチレンガスを燃焼させる方式のアセチレンランプです。前後フェンダーに付けられた黒いラインとホイールに付けられた細い赤いラインは実に細かい仕上げでした。ドライバー正面にある木製のスカットル パネルには縦長の金属製円筒が並んでいる装置がありますが、それぞれの円筒がエンジン各部の潤滑系統に接続されていて、内蔵しているガラス管で潤滑系の作動状態をチェックしたりオイルを供給する装置です。運転席右側にある2本のレバーはハンドブレーキ レバーと変速機のシフトチェンジ レバーです。なおリアフェンダーがやや後ろに長すぎる点と、ドライバーシートの右側面に追加されたはずのクラクションがついていない点(付いていない実車もあるようですが)だけはいま一つです。以下フロント/リアの拡大画像とリアルに再現されたチェーン駆動/床下部分の画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)

MERCEDES SIMPLEX 40HP 1
MERCEDES SIMPLEX 40HP 2

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