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DAF 32 ダフォディル オランダ 1965年
オランダの技術者ヨーゼフ ヴァン ドールネ(Jozef van Doorne)は、1928年に設立された自動車修理工場に勤めていました。その後彼は工場の経営権を得て会社名を「ドールネのトレーラ工場」(Van Doorne's Aanhangwagen Fabriek)に変更し、トラックや装甲車両の開発などを行いました。1949年から大型トラックやバスの製造を始め会社名を「ヴァン ドールネ自動車会社」(Van Doorne's Automobiel Fabrie 略称 DAF)に変更しました。1958年には小型乗用車DAF 600を発表しました。(実車画像→ DAF 600 1958)
DAF 600は空冷水平対向2気筒590cc(19HP)エンジンをフロントに搭載し後輪を駆動する4人乗りの小型車で、最大の特徴は同社が開発した世界初の無段変速機(CVT)を採用していたことでした。この無段変速機(バリオ マチック)はVベルトと金属ベルトを使ったもので、従来の複雑な変速操作が不要で前後進の切換えレバーとアクセルだけで操作できることから人気を博しました。最高速は105km/hでした。
1961年にはエンジンを750cc(26HP)に拡大し最高速が105km/hに向上し、上級グレードとしてDAF 30 ダフォディルが追加されました。DAF 30は1963年にDAF 31、1965年にはフロントグリルを変更したDAF 32、1967年にDAF 33と発展し1974年まで生産されました。DAF 30シリーズは20万台以上が生産され好評だったようです。上級車として1966年に2気筒850㏄エンジン搭載のDAF 44、1968年に4気筒1.1Lエンジン搭載のDAF 55と1972年にその改良版DAF 66が登場しました。(実車画像→ DAF 55 1968)
ミニカーは1966年に発売されたディンキー(仏)製です。DAF 32 ダフォディルをモデル化しています。1960年代のビンテージミニカーですからシンプルな作りですが、ディンキー(仏)はプロポーションがしっかりしているので、実車の雰囲気がうまく再現されています。ドア開閉ギミック付きで、室内には女性ドライバーのフィギュアが乗っています。このお嬢さんのフィギュアはディンキーの別のミニカーにも使われています。(同じフィギュアの乗ったミニカー→ トライアンフ スピットファイアー) これ以外のDAF 30シリーズのミニカーはノレブ初期の当時物DAF 32と最近のノレブのDAF 30、ネオ(レジン製)のDAF 33などがあります。 以下はフロント/リアの拡大画像と室内の画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
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紅旗 CA770 中国 1965年
中国初の自動車メーカーである第一汽車(China FAW Group Co.)は、ロシア(当時はソビエト連邦)の自動車メーカーであるジルの支援で1953年に設立されました。当初はソビエト連邦のトラック ZIS-150をベースとした 中国人民解放軍の中型トラック CA-10や軍用トラック 解放CA30などを製造していました。1958年にアメリカのクライスラー インペリアルをコピーして自社ブランドの乗用車 紅旗 CA72を開発し、この車は中国共産党の指導者専用車でした。(実車画像→ 紅旗 CA72 1958) (実車画像→ クライスラー インペリアル 1955)
1963年にはV型8気筒5.7Lエンジンを搭載したクライスラー インペリアルのプラットフォームをベースにした紅旗 CA770が開発され、この車は共産党指導者の公式車両に指定されました。1965年にリムジン仕様、1969年に防弾仕様のCA772が設定され約1600台が1980年まで生産されました。
1998年にアメリカ フォードの協力でフォード リンカーン タウンカー 3代目をベースとする紅旗 CA7460が登場しました。その後2005年にトヨタと提携したことで、トヨタ クラウン マジェスタをベースとした紅旗 HQ3が2006年に登場し、2012年にクラウンをベースにした紅旗 H7が登場しました。2009年には中国建国60周年記念式典に向け胡錦涛総書記専用車として中国初のV型12気筒エンジンを搭載した紅旗 HQEが登場しました。2014年にCA770のデザインを復活させたクラシックな外観のL5が登場しました。L5のV型8気筒4Lエンジン搭載仕様をCA7400、V型12気筒6Lエンジン搭載仕様をCA7600と呼ぶようです。また派生モデルとして全長約6.4mのリムジン L9、全長約6mのリムジン L7があるようです。(資料によって記載内容が異なるので、正確なことがわかりません) (実車画像→ 紅旗 HQE 2009) (実車画像→ 紅旗 L9)
ミニカーは2006年頃に発売されたCENTURY DRAGON製です。紅旗 CA770のリムジン仕様をモデル化しています。CENTURY DRAGONは2003年に設立された香港(中国)のメーカーで、主に中国のクラシックカー(紅旗や軍用車など)を1/43、1/24、1/18でダイキャスト製/レジン製でモデル化しています。これはダイキャスト製で、中国の最高級車ということもあって、かなりレベルの高い出来ばえとなっています。プロポーションは正確で、フロントグリル、灯火類、室内などの細部も丁寧に仕上げられています。ボンネット先端には赤い旗をイメージしたマスコット、フロントバンパー両端には国旗掲揚用のポールが付いています。ドアなどの開閉ギミックはありませんが、前輪の操舵ギミックが付いています。ミニカーが大きいこともありますが、並みのミニカーの2倍ほどもある大きなプラスチック ディスプレイケース付きで実車のイラストが描かれた立派な梱包箱に収められていました。CENTURY DRAGONはバリエーションでパレード用の閲覧車 CA770TJ、最近のCA7600やH7もモデル化しています。これ以外の紅旗のミニカーはブレキナのCA770とCA7202 センチュリースター(アウディ 100ベースのパレードカー) 1/87、トミカの中国特注品のCA7600 1/84などがあります。 以下はフロント(マスコット拡大)/リアの拡大画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
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DAF OSI シティカー オランダ 1966年
DAF OSI シティカーは1966年のトリノショーで公開された、シティカーのプロトタイプです。オランダのDAFがイタリアの自動車雑誌「QUATTRORUTE」との共同企画で開発し、イタリアのカロッツェリア OSI(Officine Stampaggi Industri)のセルジオ サルトレッリがデザインしています。DAF 32をベースにしているので、操作が簡単なベルトとプーリーによる無段変速機「バリオマチック」が使われています。第二次大戦後にはBMW イセッタやゴッゴモビルなどの超小型車が登場しましたが、1950年代後半にはフィアット 500やBMC ミニといった新世代の小型車が登場し、この車もその流れを受けて開発されたようです。
この車の最大の特徴はドアで、運転席の右側はスライドドア、左側はセンターピラーのない観音開きドア、さらに荷物用のハッチバックドアもついています。このようなドア構成になっているのは、狭い場所に駐車した場合に乗り降りし易いからでしょう。(タクシーとして使うことも想定していたようです) 現在の小型車でセンターピラーのないスライドドア仕様が増えていますから、この車はそれを先取りしていたと言えるでしょう。都市の駐車スペースの問題を解決できる小型のシティカーはたびたび提案されています。(1973年のミニッシマなど) ただ実際に個人が所有する車は様々な用途で使われるので、用途限定のシティカーが製品化されて成功したことはなく、このDAF シティカーも製品化されていません。(良く似た車が商用バンのDAF KALMARとして製品化されていますが)
ミニカーはコーギー製の当時物で、1971年に発売されました。コーギーはこのミニカーの縮尺を公表しておらず、実車の正確な寸法も分からないので縮尺が不明なのですが、おそらく1/43だと思います。実車の画像と見比べてみると、実車よりも全長が短め(チョロQ的に)にデフォルメされているようです。コーギーは親しみ易いスタイルにデフォルメすることがありますが、それはコーギーのミニカーの個性でもありました。(昔のミニカーはスケールモデルではなく、子供向けの玩具でしたから)
外形はデフォルメしていますが、この車の最大の特徴であるドア構成についてはお得意のギミックで巧みに再現しています。このサイズのミニカーにドア/ボンネット開閉などのフルギミックを採用している物は他にもあります。ただこのDAF シティカーのように建付けが良くスムーズに動作する物は少なく、コーギーの技術力が優れていたことを示しています。ただコーギーでも技術的にかなり難しかったようで、コストも高いものについたようです。なお屋根が黒の結晶塗装風になっていますが、これはルーフ左端のスライドドアのレールを目立たなくする為に敢えて採用しているのだと思います。DAF シティカーのミニカーはこれしかありません。このミニカーは約47万台が売れ、当時のコーギーでも標準以上の販売数量だったようです。以下ドアなどの開閉ギミックを簡易動画でお見せします。(画像のマウスオーバーやタップで動画がスタートします)
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ワルトブルグ (ヴァルトブルク) 312 カブリオレ 東ドイツ (現ドイツ) 1966年
ワルトブルグ(ヴァルトブルク)は旧東ドイツの小型車のブランドで、東ドイツの国営企業のアイゼナハ社(Eisenacher Motorenwerk 略してEMW社)が生産していました。アイゼナハ社は第2次大戦前はBMWのアイゼナハ工場でした。ワルトブルグ車は第2次大戦前のDKW車をベースにしていて、最初のモデル 311は1956年に登場しました。311は2サイクル水冷3気筒900cc(40HP)エンジンを縦置きに搭載した前輪駆動の4人乗り小型車で、4段変速で最高速は115km/hでした。なおワルトブルグという名前は工場所在地であるアイゼナハにあるワルトブルグ城に由来していました。
ワルトブルグ車には戦前のBMWやアウトウニオンの技術が生かされていたので、同時代の西側諸国の車に比べても見劣りしない性能の車でした。1962年にはエンジン排気量を1L(52HP)にアップしシャーシを改良した312が追加されました。クーペ、カブリオレ、ロードスター、ワゴンなどが追加され、1960年代には西ドイツやアメリカなどに輸出されました。1966年頃までに約25万台が生産されました。1966年に後継車の353が登場しました。1991年に東西ドイツが統一され、ワルトブルグの工場はオペルに買収されました。(実車画像→ ワルトブルグ 353 1986)
ミニカーは2003年に発売されたミニチャンプス製です。ワルトブルグ 311の改良型である312のカブリオレをモデル化しています。ミニチャンプスらしいそつのない良い出来ばえで、フロントグリルや室内などの細部までリアルに再現されています。ただ畳んだ幌が大きくかさばっていて目立ち過ぎの感じがします。この車は今見ると単に古臭いスタイルですが、1960年代当時としてはかなりかっこいい車だったのでしょう。ミニチャンプスは4ドアセダンと2ドアクーペもモデル化しています。これ以外のワルトブルグ 311/312のミニカーは、ブレキナのセダンとクーペとワゴン 1/87、イスト モデルのセダンとクーペとワゴン、ホワイトボックスのワゴンなどたくさんモデル化されていて、実車の人気が高かったことを反映しています。 以下はフロント/リアの拡大画像と室内の画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
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モンテヴェルディ 375L スイス 1969年
モンテヴェルディ社は元レーシング ドライバーでスイスの高級車ディーラーの経営者であったペーター モンテヴェルディ(Peter Monteverdi)が起こした小規模な高級車メーカーでした。最初の市販車は1967年に発表した2シータークーペの375Sで、自社製のシャーシにクライスラー製のV型8気筒7.2L(345HP)エンジンを搭載していました。当初のボディはトリノのカロッツェリア フルアのデザインでフルアの工場でボディが架装されました。1968年以降はカロッツェリア フィッソーレがボディを架装し、1969年からはフィッソーレのデザインしたボディに変わりました。(実車画像→ モンテヴェルディ 375S 1967)
375Sは全長4.56mの大柄なボディながら2シーターでした。1969年にホイールベースを延長した全長4.8mの2+2シータークーペとした、フィッソーレ デザインの375Lが追加されました。1974年には全長5.3mの4ドア5シーターセダンの375、1975年に2シーターコンバーチブル仕様のパームビーチ、1977年には375Lをベースにした4ドアリムジンの375/4などが追加されました。1977年頃までそれぞれ少数が生産されました。(実車画像→ モンテヴェルディ 375/4)
ミニカーは1970年に発売されたディンキー(英)製の当時物です。フィッソーレが架装した375Lをモデル化しています。金属製パーツのフロントグリルなどディンキー(英)らしいややレトロな造形ながら、375Lの流麗なクーペボディが見事に再現されていて、全盛期のディンキー(英)の傑作の一つといえます。(サイズが1/43よりやや大きめですが) ボンネット/ドア/トランクが開閉するフルギミック仕様で、メタリック塗装も綺麗です。これ以外のモンテヴェルディ 375のミニカーはノレブ初期のプラスチック製当時物の375L、マトリックス(レジン製)の375S、NEO(レジン製)の375Lなどがあります。 以下はフロント/ボンネットを開いたエンジンルームの画像とリア/トランク開閉の画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)