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GM キャディラック 452 V16 インペリアル セダン アメリカ 1930年
1930年に登場したV型16気筒エンジンを搭載したキャディラック 452は初年度に約3000台が生産されました。コーチビルダーのフリートウッドがリムジーンやコンバーチブルなどのボディを架装し、価格は最低でも5000ドル(現在の2000万円ぐらい)と非常に高価でした。1929年に世界大恐慌が起こりアメリカは不況の真っ只中でしたので、452のような高級車を購入できたのはごく限られた富裕層だけでした。その中には有名なシカゴのギャング 'アル カポネ'が特注した防弾仕様車もありました。その車はカポネが1931年に収監された後は、アメリカ政府に接収されたとのことです。(実車画像→ GM キャディラック 452 防弾仕様車)
キャディラック 452 V16は初年度に購入できる人のほとんどが購入してしまったので、翌年はほんの300台ほどしか売れませんでした。また当時のライバルであったパッカード、ピアース アロー、フォード リンカーン コンチネンタルが次々とV型12気筒エンジン搭載車を登場させたことも影響して、452 V16の販売は低調になっていきました。452 V16は1940年まで生産されましたが、総生産台数は約4000台でした。なおその後V型16気筒エンジンを搭載したキャディラックの量産車はありません。
ミニカーはフランスのミニカー付雑誌「VOITURES CLASSIQUES」シリーズのNO.12でメーカーはイクソ(ALTAYA)です。フロントグリルとその上のマスコットなどよく出来ていますが、1/43よりやや小ぶりに仕上がっています。イクソではほぼ同じものがMUS012として発売され、それはアル カポネの車とされています。ただアル カポネの実車と見比べるとフロントの灯火類などが違っていますので、アル カポネの車と同じ車種といった程度のものです。 なおアル カポネの車はフランクリンミントの1/24でもモデル化されています。このミニカーは後部ドアガラスに開けられた丸い穴(銃眼)などが実車に忠実に再現してあり、アル カポネが愛用していた白い帽子やマシンガンまで付属しているといった凝ったものでした。(WEB掲載ページ→ GM キャディラック 452 アル カポネ仕様) 以下はフロント(マスコット拡大)/リアの拡大画像です。フロントグリル中央に付いている赤いVのエンブレムがV型16気筒搭載車の証です。またその上に付いているマスコットは女神像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
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デューセンバーグ J デュアル カウル フェートン ゲイリー クーパー アメリカ 1930年
ドイツから移民してきたデューセンバーグ兄弟が、レーシングカーを作る目的で1914年に設立したのがデューセンバーグ社でした。当初は航空機用エンジンを製造し、ブガッティの航空機用エンジンの国産化を行いました。1920年に8気筒4.3Lエンジンを搭載し世界初の油圧ブレーキを備えた、自社初の市販車モデル Aを発売しました。(実車画像→ デューセンバーグ モデル A) デューセンバーグのレースカーは1923年のフランスGPでアメリカ車として初めてのGP優勝、1924年と1925年のインディで優勝などレースで大活躍しています。ただモデル Aは高価すぎて売れず、ビンテージ期で述べたエレット ローバン コードが経営する「コード帝国」に1926年に買収されました。
コード傘下で1928年に発表されたモデル Jはデューセンバーグを一躍有名にしました。モデル Jはアメリカ最大、最速、最高品質を目指して開発され、値段も当時最高の超豪華車でした。サイズは全長約5.6m(リムジーン)、性能は当時レーシングカーしか採用していなかったDOHC方式8気筒6.9L(265HP)エンジンを搭載し最高速180km/h、コーチビルダーが特注ボディを架装して販売され、その価格は大衆車T型フォードの約40倍でした。この車を買えたのは当時のハリウッドの大スターや王侯貴族だけでした。
ボディは有名なコーチビルダーが担当し華麗なデザインのボディが架装されました。ボディ形式としては4ドアセダン、2ドアクーペ、スパイダー、フェートン(4座オープン)、デュアル カウル フェートン(前席/後席にスクリーンが付いた4座オープン)などがありました。デュアル カウル フェートンの後席のスクリーンはその下にあるハンドルで上下させることが出来ました。最も高価なモデルは当時の価格が2万ドルであったことから「トゥエンティ グランド」と呼ばれていました。
ミニカーは1987年に発売されたフランクリン ミント製の1/24で、す。(なお当時フランクリン ミントのミニカーは国内では同社の通信販売でしか購入できませんでした) 映画俳優ゲイリー クーパーが購入した黄/薄緑のツートンカラーのデュアル カウル フェートン(コーチビルダーのダーハム(DERHAM)社が架装)をモデル化しています。フランクリン ミントは現在のオートアートなどの大スケールミニカーの先駆けで、シャーシ/エンジン/サスペンションなどのメカ部分が金属製パーツ主体で再現されドアやボンネットが全て可動する、当時としては最も精密なミニカーでした。このデューセンバーグも実車の雰囲気がうまく再現されています。4ドアが開閉し室内が再現されていて、ボンネットを開くとリアルなエンジンが再現されています。さらにステアリングホイールと連動した前輪操舵ギミック付きです。当時の価格は18000円と安いものではなかったですが、その価格に見合った素晴らしい出来ばえでした。 以下はフロント(マスコット拡大 前輪操舵動作)/リアの拡大画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
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ハドソン グレート エイト アメリカ 1930年
ハドソン モーター社はデトロイトの事業家が共同して1909年に設立しました。ハドソンというブランド名は出資者でデパートを経営していたジョセフ L ハドソンに因んだ名前でした。1909年に発売した一号車モデル 20(TWENTY)は4気筒3.3L(20HP)エンジンを搭載した小型のロードスター/ツーリングカーでした。この車は平均的な性能とスタイルながら低価格であったので、初年度に4000台以上が売れて大成功を収めました。この販売台数は当時の大ヒット車フォード T型と同じくらいの人気があったことを示しています。(実車画像→ ハドソン モデル 20 ロードスター 1909)
ハドソン社はその後も手堅い車作りで事業を拡大し、1912年には6気筒エンジン搭載車が登場しました。1916年に登場したスーパーシックスには静粛性に優れたバランスド クランクシャフトを採用した6気筒エンジンが搭載されていました。1919年に低価格な大衆車としてエセックスが別ブランドとして登場し、さらに1932年にテラプレーン ブランドも追加されました。エセックスの追加で1929年にはハドソンの生産台数がフォード、シボレーに次ぐ第3位となりました。しかし1930年代からBIG3(フォード、GM、クライスラー)に押され業績が悪化し、1930年代にエセックス、テラプレーンが消滅しました。戦後の1954年にナッシュと合併してAMC(アメリカン モータース)となりハドソンは消滅しました。
ミニカーは2006年頃に発売されたシグネチャー製です。1930年に登場した8気筒車(3.5L)エンジンを搭載したグレート エイトの2ドアクーペをモデル化しています。シグネチャーの1/32は1920-1950年代の代表的なアメリカ車をモデル化していました。縮尺が1/32と中途半端なのですが、定価1800円ほどの安価ながら1/43より大き目のサイズを生かして結構細かいところまで仕上げてありました。このハドソン グレート エイトも実車を忠実にモデル化してあります。実車に即したカラーリングで、ボンネット/ドア/ランブルシート開閉と前輪操舵のギミックが付き、エンジンや室内などの細部も良く再現してあります。あまり際立った特長がなく端正な感じのするハドソン車の雰囲気もうまく再現されていると思います。 以下はフロント/前輪操舵の画像とリア/ランブルシート(補助席)開閉の画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
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ピアス アロー モデル B ロードスター アメリカ 1930年
ピアス アロー社の前身は家庭用品(鳥籠が有名)を製造する会社で、1890年代から自転車/バイクの製造を始め、1901年からは自動車製造にも進出しました。最初の自動車はド ディオン ブートン製の単気筒エンジンを搭載した2シーターの小型車でした。1903年に2気筒エンジン搭載のアローを発表し、1904年には自社開発した4気筒エンジンを搭載した高級車グレートアローを発表しました。グレートアローはアメリカで開催された耐久イベントに優勝し信頼性の高さが知られるようになり、同社は高級車製造に専念することになりました。
1908年にピアス アロー社と改名し、1910年以降は6気筒エンジン搭載車だけを製造するようになりました。ピアス アローは当時の最高級車としてウィリアム タフト第27代アメリカ大統領の公用車に使われるなど富裕層に愛用されました。しかし1920年代になるとモデルの旧態化で採算が悪化しました。そこで1924年に廉価版の80シリーズを発売して挽回を図りましたが、結局1928年にスチュードベーカー社に吸収合併されました。1929年にそれまでの6気筒エンジンを止めて8気筒3LエンジンとV型12気筒6.5L/7Lエンジンを搭載したモデルが登場し、スチュードベーカーのディーラー網が使えるようになったことで売上げは改善されました。その後世界恐慌の影響でスチュードベーカーの業績が悪化し、1933年にスチュードベーカーはピアス アローを売却しました。
ミニカーはシグネチャー製で2006年に発売されました。シグネチュアーの1/32のクラシックカーのシリーズの1台で、当時の定価は約3500円ほどと比較的安価ながら、マニア向けの本格的な出来ばえに仕上げてありました。1930年に登場したタイプA/B/Cという3タイプのモデルのタイプ B ロードスターをモデル化しています。実車の雰囲気がうまく再現されていて良く出来ています。フロントグリル、灯火類、室内などの細部も結構リアルに再現されていて、特にフロントグリル上にあるマスコット(車名にちなんだ弓矢を構えた人物像)と、同社がその配置を特許化し外観上の最大の特徴としていたフロントフェンダー上に配置したヘッドライトもリアルです。またボンネットが開閉できエンジンや床下部分のドライブトレーンも再現され前輪は操舵可能になっています。ピアス アローは1930年代の有名な高級車メーカーでしたが、同社で一番よく知られているシルバー アロー以外でミニカーとしてモデル化されたのはこのシグネチャー製のタイプ Bとブルックリン(ホワイトメタル製)の1601 1936年ぐらいしかないようです。(なお最近の新興ブランドでESVAL MODELS(レジン製)が数種類をモデル化していますが) その為このミニカーはピアス アローのミニカーとして貴重な存在です。 以下はフロント(マスコットの拡大)/リア(折畳み補助席の開閉動作)の画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
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GM キャディラック 452A V16 アメリカ 1931年
1902年に創業したキャディラック社は1909年にGM傘下となりましたが、技術的な先進性を重視する基本路線はその後も継承されました。1914年にV型8気筒エンジン搭載車を発表し、1928年には世界初のシンクロ機構付き変速機を採用するなど技術革新を進めました。1930年には世界初のV型16気筒エンジン7.4L(165HP)を搭載したモデル 452(452は立法インチでの排気量表示)が登場し、1931年にV型12気筒6L(135HP)エンジン搭載のモデル 370が登場しました。静かでスムーズに作動するV型16気筒/12気筒エンジンをラインナップに加えたキャディラックはライバル他社を圧倒し、アメリカの高級車No.1の地位を確立させました。
当時のキャディラックには標準ボディがありましたが、最上級車452のボディは全てオーダーメイドで、当時GM傘下となったコーチビルダーのフリートウッドが専門で架装していました。スポーティなコンバーチブルからフォーマルセダンまで30数種類のモデルがあったそうです。1938年にはサイドバルブ式を採用した新しいV型16気筒エンジンが開発されました。このエンジンはVバンク角を従来のOHV方式90°から135°に広げ、従来の半分の部品で構成されていました。排気量は7Lと少し小さくなりましたが、185HPに性能は向上していました。このエンジン搭載車は1940年まで生産されました。
ミニカーはソリド製で、1979年に発売されました。初期型の452Aをモデル化しています。オーソドックスなセダンのスタイルですが、後席がオープンになっていてアメリカ車としてはちょっとしゃれたデザインです。フロントグリル上に付いている女神像のマスコットなどフロント周りがリアルに再現されていて、とてもよく出来ています。ソリドはバリエーションでキャディラック V16の商用車やポリスカーなどもモデル化していますが、V16がそのような用途に使われたとはとても考えられないので、V16ではなくV8のはずです。(細かいことを言わないおおらかな時代のミニカーですから、実車がなくても派手なV16でモデル化していたわけです) 以下はフロント(マスコット拡大)/リアの拡大画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)