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シーグレイブ AC53 消防車 アメリカ 1907年
消防に必要なポンプなどの備品はとても重いので、それを運搬する為に使っていた馬車が動力付き自動車に移行したのは早かったようです。(馬は維持する費用/手間が大変なのです) 1905年にアメリカのノックス オートモーティブ(Knox Automobile)社がガソリンエンジンで走行するトラックに消防ポンプを積載することで近代的な消防自動車を開発し、この方式の消防自動車が国内外の自動車メーカーで製造されるようになりました。(実車画像→ ノックス オートモーティブ製消防車 1905)
アメリカのシーグレイブ(SEAGRAVE)社は消防用はしごを製造する会社として1881年に設立されました。軽量で丈夫なシーグレイブ社のはしごは全米の消防署で採用されていました。1907年にシーグレイブ社は自動車メーカーのフライヤー ミラー(Frayer-Miller)社と共同でガソリンエンジンで走行する消防車を製作しました。画像のミニカーはこの車をモデル化しています。この消防車は運転席の下にガソリンエンジンを搭載し後輪をチェーン駆動していました。(エンジン始動用のクランクハンドルが車体前部についています) 後部に積んでいるのは真鍮製の大型化学消火器とホースで、放水用ポンプや貯水タンクは装備していませんでした。(ポンプやタンクを積んだ仕様もあったと思いますが) この消防車は多くの消防署で採用され、シーグレイブ社は現在も主要な消防車メーカーです。
ミニカーはデルプラド(DEL PRADO)社製のミニカー付雑誌「世界の消防車」の1台で2003年に発売されました。1907年に製作されたシーグレイブ AC53 消防車をモデル化しています。WEB上で見つけた実車の写真を見ると、灯火類や消防用備品など実車をかなり忠実にモデル化してあり良く出来ています。ボディ全体に施された金色の飾り模様は凝った作りです。なおこのミニカーは1999年頃に発売されたマッチボックス製のミニカー(型番YFE21M)とほとんど同じ物でそれを流用しているようです。そのマッチボックス製ミニカーは約3000円ほどの値段でしたので、それが定価1880円の「世界の消防車コレクション」で買えたのですからずいぶんお得でした。同じような理由で「世界の消防車コレクション」にはコスパの良いミニカーが付いていることが多かったです。 以下はフロント/リアの拡大画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
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フォード T型 アメリカ 1908年
ヘンリー フォードが生み出した自動車史上最も有名な車が1908年に発表されたフォード T型です。ヘンリー フォードは1903年にフォード モーター社を設立し、T型以前にもA型から始まる名前の車を開発して販売していました。(実車画像→ フォード A型 1903) T型とはその開発番号に由来する名前でした。T型はレールで移動する台車を使った流れ作業による大量生産方式で低価格を達成し、最終的に1500万台が生産されました。初期のT型の標準的なボディは画像のようなオープン4座セダンでした。なお大量生産が始まったのは1912年頃からで、それまでは組立て作業中の車を作業者がロープで引っ張って移動させていたそうです。大量生産が始まるとそれまでは数色あったボディカラーが黒のみになりました。
初期のT型は4気筒2895cc(20HP)の実用的なエンジンを搭載し、半自動式クラッチによる2段半自動変速機を介して最高速70km/hぐらいの性能でした。特筆すべきはこの半自動変速機で、足元の3つのペダルの操作のみで2段変速/後退が行えるもので、運転が簡単になったことが自動車の大衆化に大きく寄与しました。アメリカ車で早くから自動変速機仕様が一般化されていたのは、大量に販売されたT型が実績を作ったからなのです。
フォード T型のミニカーはたくさんあります。ここでは1960-70年代に作られたビンテージミニカーのなかで、クラシックカーを主に手掛けていたメーカーの物をまとめてみました。まずはドイツのチィス(ZISS)製です。チィスは1960-1970年代にドイツ車中心で1/43のクラシックカーを作っていました。1960年代に作られたということもあって、あまりプラスチックが使われておらず、幌部分も金属で出来ています。金属製パーツが多いので、頑丈な感じが強調されていますが、T型のイメージには合っています。なおこのミニカーのようにFORDのロゴが大きく正面に付いているフロントグリルは初期のT型の特徴でした。 以下はフロント/リアの拡大画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
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トーマス フライヤー ニューヨーク-パリ レース優勝車 アメリカ 1908年
アメリカ人のエドウイン ロス トーマス(Edwin Ross Thomas)は1900年にトーマス自動車会社を設立し、原動機付自転車の販売を始めました。1902年からは自動車の製造も始め、第1号車は2気筒エンジンを搭載する小型のオープンカーで、1904年にはトーマス フライヤーという名前の3気筒エンジンを搭載した5人乗りツーリングカーが登場しました。1905年には4気筒エンジン搭載の40/50HPや6気筒エンジン搭載の60HPが登場しオープンカーやリムジンが架装されました。トーマス社は1908年に開催されたニューヨーク-パリ間の長距離レースで優勝したことで世間に知られるようになりました。
このレースはイターラの解説に記載した北京-パリ間レースの翌年に開催された、ニューヨーク-パリ間を走破するとてつもなく壮大なレースでした。経路はニューヨークからカリフォルニアまで北米大陸を横断しアラスカへ向かい、そこから船でベーリング海峡を日本を経由して渡りシベリア大陸を横断してパリに向かう全行程22000㎞でした。(日本を経由していました) 米、独、伊、仏などの代表6台が参戦してトーマス フライヤーが170日間で走破し優勝しました。優勝車は4気筒9375cc(60HP)エンジンを搭載したオープンツアラーをベースにした車で4段変速で後輪をチェーン駆動していました。(参照動画→ The New York to Paris Race 1908)
トーマス自動車はこのレースの優勝で有名になりましたが、その後に登場したモデル Lが不具合で評判を落としたことなどで経営が悪化しました。E.R.トーマスは1911年に会社を金融会社に売却しましたが1913年に破産しました。なおE.R.トーマスは1906年にトーマス デトロイト社という別会社を設立しています。この会社はチャルマーズ デトロイト社となり後にマックスウェル社と合併してクライスラー社の一部となりました。
ミニカーは1975年頃に発売されたリオ製です。博物館が保存していたレストアされた実車をモデル化しているようです。リアに括られたスペアタイヤ、誇らしげに掲げられた星条旗、「NEW YORK TO PARIS」のロゴ、後輪を駆動するチェーンなど実車が忠実にモデル化されていて、1970年代のミニカーとしてはとても良く出来ていました。リオはこれとほとんど同じ物を2011年に型番4304でリメイクしています。これ以外のトーマス フライヤーのミニカーはフランクリン ミントのレース仕様車 1/24、マッチボックスのフライアバウト 1/48などがあります。 以下はフロント/リアの拡大画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
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フォード T型 ツーリング (セダン) アメリカ 1909年
1908年に登場したフォード T型は基本的なデザインを変えずに20年間生産されました。一番生産量が多かった1923年には年間で約200万台が生産され、当時アメリカで生産されていた車の約半数がT型だったそうです。この台数は2022年の日本の軽を含めた自動車販売台数(約420万台)の約半数にあたる台数ですから、とてつもない台数であったことが分かります。しかもほとんどのボディカラーが黒だったのです!
1920年代になると、フォード T型は密閉式ボディの採用や装備が充実していくことで増加した車重に対して、エンジン性能が不足してきました。競合他社(GM シボレーなど)には6気筒エンジン搭載車があり、動力性能で見劣りするようになりました。また安価な大衆車とはいえ、多彩なボディカラーや目新しいデザインを採用する他社に対して商品の魅力という点でも見劣りするようになりました。そこでファード T型もボディカラーのオプション設定などの対抗策をとりましたが、もはや時代遅れな車であることは明白でした。1927年に生産中止となり、1928年に後継車のA型にモデルチェンジしました。
フォード T型のミニカーはたくさんあります。ここでは1990年以降に発売されたミニカーで、スケールモデル的にリアルな出来ばえの物をまとめてみました。初めに紹介するのは2001年頃に発売されたイクソ製です。初期のT型を極めて忠実に再現しています。プロポーションが正確で、白タイヤと折畳まれた幌の具合も実車に忠実です。室内もハンドル下のスロットル操作用の2本のレバー、足下の3つの操作ペダル、ハンドブレーキなどT型フォードの特徴的な操作系がきちんと再現されています。また底板部分の前後サスペンションもリアルに再現されています。私の知る限りでは、2023年現在でもフォード T型の1/43ミニカーとしてこれが最高の出来ばえです。バリエーションで幌を立てた状態のミニカーもありました。またイクソは2002年に1925/1926年式のT型最終仕様のランナバウトもモデル化しています。以下はフロント/リアの拡大画像と床下部分の画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
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チャルマーズ デトロイト アメリカ 1909年
チャルマーズ デトロイト社の前身はミシガン州デトロイトで1906年に設立されたトーマス デトロイト社でした。1908年にNCR(National Cash Register)社の副社長であったヒュー チャルマーズ(Hugh Chalmers)が社長に就任し、車名がチャルマーズ デトロイトに変わりました。さらに1910年からはチャルマーズとなりました。同社の第1号車は4気筒3.7Lエンジンを搭載した中級車のチャルマーズ 30(Therty)でした。
チャルマーズ社はストックカーレースなどのモータースポーツに参戦して優勝することで、自社の宣伝を行いました。その結果チャルマーズは1910年代には国内でよく知られた自動車メーカーとなりました。1920年代になり第1次大戦後の不況で売上げが低下したことで、マックスウェル社と協力関係を結びました。チャルマーズ社は1922年にマックスウェル社に吸収合併されましたが1923年まで高級車の生産を続けました。最終的には1925年に設立されたクライスラー社傘下となりました。
ミニカーは1971年頃に発売されたリオ製です。チャルマーズ デトロイトの第1号車であるチャルマーズ 30をモデル化しています。リオとしては初期のものですが、クラシックカーには付き物の灯火類や操作レバーなどがうまく再現されていて良く出来ています。特に幌先端を固定している革ベルトに本物の皮革を使っているのは、初期のリオの特徴でした。(ただし経年変化で革は腐る可能性が高いので要注意のパーツでしたが) チャルマーズのミニカーはこれしかないようですので、車種的には貴重なミニカです。 以下はフロント/リアの拡大画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
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