Sorry Japanese Only
シトロエン DS 21 ポリス フランス 1968年
シトロエン DS/IDが登場した1950年代から1960年代にかけて、フランスの国産大型乗用車(2Lクラス)でDS/IDに対抗できる車はありませんでした。当時のルノーには1960年に生産中止となったフレガートの後継車が1970年代まで登場せず、プジョーも1968年の504まで大型車がありませんでした。したがって政府/自治体の公用車、ポリスカー、救急車、消防車などをDS/IDが独占していました。また当時のドゴール大統領(1958~69年)がDSを愛用していたことから、DSは大統領専用車としても使われました。
そんな訳でDSは当時のフランス映画にも良く登場しました。ドゴールの暗殺を描いた映画「ジャッカルの日(1973年)」では大統領府にずらりと並んだ黒塗りのDSが壮観でした。(参照画像→ ジャッカルの日の1シーン) また怪盗ファントマの映画 「ファントマ/電光石火(1965年)」には翼が付いて空を飛ぶDSが登場します。(参照動画→ ファントマ/電光石火でDSが飛行するシーン) DSは1955年の登場から改良が続けられ1975年まで約20年間生産されました。IDを含めた総生産台数は約146万台(本国生産は約133万台)でした。
ミニカーは1985年に発売されたエリゴール製のシトロエン DS 21 ポリス仕様です。当時のエリゴールはノレブの型を流用したものが多かったのですが、これはノレブのシトロエン DS 21 ポリス(プラスチック製 1/43 型番158)の型を使って細部をリファインしたダイキャスト製でした。ヘッドライトがメッキパーツなのは現在の感覚ではやや物足りないですが、当時のミニカーとしては全体的にそこそこの良い出来ばえでした。ボンネット/4ドア/トランク開閉のギミックが付いています。セダンや消防車も同じ型でモデル化されていました。これ以外にもDS/IDのポリス/消防車やブレークを使った救急車のミニカーはたくさんあります。 またファントマの空飛ぶDSはノレブがプロバンスムラージュ(レジン製)でモデル化しています。(参照画像→ 空飛ぶ シトロエン DS ファントマ) 以下はフロント/ボンネットを開いたエンジンルームの画像とリア/トランク開閉の画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
このページではなくこの記事へのリンクURLは以下となります
https://minicarmuseum.com/historic/his_link.php?id=1837
シトロエン H (アッシュ) バン フランス 1968年
商用車ながら自動車の歴史上この車を紹介しない訳にはいきません。シトロエンらしい独創的なデザインで、名前のH(フランス式に発音すると'アッシュ'です)は型式名で、軽荷重用のHZと重荷重用のHY の2タイプがありました。シトロエン十八番の前輪駆動方式で、プラットフォーム型シャーシとトレーリングアーム方式リアサスペンションで、荷室の床は後輪をカバーするだけで完全に平らに出来ました。また車高も高いので、広大な荷室が確保できました。このデザインは後のキャブオーバー型商用車に多大な影響を与えました。
エンジンは当初トラクシオン アヴァン用の4気筒1.6L/1.9L(58HP)などが使われましたが、後に4気筒1.6L/1.9Lディーゼルエンジンも追加されました。標準的なボディーはバンとピックアップの2タイプでした。広大なスペースの荷室は様々なボディを自由に架装でき、各種貨物車をはじめ救急車、消防車、ポリス、レッカー車、ピックアップ トラック、移動販売車、マイクロバスなどたくさんのバリエーションがありました。 フランスでは「豚の鼻」の愛称で呼ばれていました。 1947年から1981年までの長期間生産され、総生産台数は約47万台でした。
ミニカーは1979年に発売されたトミカ ダンディの外国車シリーズです。フロントウィンドーが分割されていないので、1964年以降をモデル化しています。プロポーションが良く、実車の雰囲気がうまく再現されています。両側スライドドアとテールゲートが開閉するギミック付きです。これ以外にもパトカーや各種販促品などバリエーションがたくさんあり、カドーのブランドでも販売されました。当時物ミニカーとしては、CIJ、JRD、ディンキー(仏)などのレアな当時物や、マッチボックスのYTFシリーズ、エリゴール、ノレブ(1/43、1/18)、ソリド(1/43、1/18)、ブッシュ(1/87)などたくさんモデル化されています。また変わり種としてルパン 3世の秘密兵器仕様のH トラックをポピーがモデル化していてこれも結構面白いです。(参照ページ→ シトロエン H ルパン 3世 ギミックのページ) 以下はフロント/リアの拡大画像とテールゲートの開閉ギミック動作です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
このページではなくこの記事へのリンクURLは以下となります
https://minicarmuseum.com/historic/his_link.php?id=608
シトロエン SM フランス 1970年
シトロエンが自社技術を誇示する旗艦として1970年に発表したのがシトロエン SMです。シトロエン SMは前輪駆動車として初めて200Km/h以上の高速走行(最高速222km/h)を可能にした高級GTカーでした。シトロエン DSのハイドロニューマチックシステムを進化させた高度なステアリングとサスペンションの油圧制御システムとマセラティ製のV型6気筒2.7L(173HP)エンジンがその高速走行を可能にしていました。なおSMとはシトロエンの開発コードのSとマセラティのMを意味しているとのことです。
シトロエン SMの外観上の特徴は、なんといってもその未来的なフロントです。現在でも十分に未来的なこのデザインが発表されたのが1970年であることを考えると、いかに画期的なデザインであったかが分かると思います。フロントグリルの透明なガラスの中に左右3個ずつのライトが格納され、外側はロービーム、中央がハイビーム、内側がドライビングライトでライト全体がユニットになっていて車両の姿勢に応じてビームを水平に保つ油圧式のセルフレベリング機能を持っていました。またドライビングランプはステアリングと連動して首を振るようになっていました。最近の高級車にも同じような機能が付くようになりましたが、SMは50年も前に実現していました。シトロエン SMをベースにしたフランス大統領府のパレード車が作られるなど、シトロエン SMはシトロエンの最上級車としての役割を果たし1975年までに約13000台が生産されました。
ミニカーは2002年頃に発売されたミニチャンプス製です。ミニチャンプスらしい正確なプロポーションで、室内などの細部も実にリアルに仕上げられています。特にこのミニカーの最大の見どころはシトロエン SMの最大の特長である6灯式ヘッドライトをリアルに再現していることです。シトロエン SMの1/43量産ミニカーとしては2023年現在でもこのミニカーを超えるものはない傑作ミニカーです。(私はあまり色違いを買わないのですが、茶色の色違いを買ったぐらい気に入ってます) これ以外のシトロエン SMのミニカーは当時物ではソリド(べレムも含む)、コーギー、コーギーをコピーしたオートピレン、ノレブの初期物、マッチボックス、トミカの1/66などがありました。当時物以外ではノレブの1/43と1/18、イクソ、シュコー、国産名車コレクションなどがあります。大統領専用車やリムジン、シューティング ブレークなどの特注車もノレブやマトリックス(レジン製)がモデル化しています。 以下はフロント/リアの拡大画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
このページではなくこの記事へのリンクURLは以下となります
https://minicarmuseum.com/historic/his_link.php?id=604
シトロエン GS フランス 1971年
前述したシトロエン アミ 8の後継車でより上級な車として、1971年に登場したのがGSでした。ハイドロニューマチック システムを使ったサスペンションとブレーキ、空力に優れたボディなどDSの技術を盛り込んだ高度な内容の車で、シトロエンとして初めてヨーロッパ カー オブ ザ イヤーを受賞しています。当初のボディは2ボックスでしたがハッチバックではなく、リアには独立したトランクを持っていました。空冷水平対向4気筒1015cc(56HP)エンジンを搭載し、最高速147km/hの性能でした。(実車画像→ トランクを開いた実車画像)
1971年にワゴンのブレークと2ドアのバンが追加されました。1972年には1.2L(60HP)エンジンが追加され、1973年にはロータリーエンジンを搭載したビロトールが追加されました。(ビロトールはほとんど売れませんでしたが) GSは商業的に成功し、1979年にはボディがハッチバック化され1.3L(64HP)エンジンを搭載したGSAに発展し、1986年まで生産されました。総生産台数はGSが約190万台、GSAが約58万台でした。(実車画像→ シトロエン GSA 1984)
ミニカーは1972年に発売されたソリドの当時物です。ソリド最盛期の製品なので当時のミニカーとしてはレベルの高い出来ばえで、GSの雰囲気の再現では当時物ミニカーでベストでした。ドア開閉ギミック付で、1本スポークのステアリングホイールなど室内もそこそこ良く再現されています。GSの当時物ミニカーとしてはノレブ、ポリトーイ、ルーソトイ(LUSO TOYS ポルトガル製)のブレークなどがありました。最近の物ではノレブの新作 1/43と1/18、イクソ、ユニバーサルホビーなどがあります。 以下はフロント/リアの拡大画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
このページではなくこの記事へのリンクURLは以下となります
https://minicarmuseum.com/historic/his_link.php?id=603
シトロエン DS 23 フランス 1972年
シトロエン DSは1970年にボッシュの電子制御燃料噴射をフランス車で初めて採用し、翌年には3段自動変速機が設定されました。1972年には排気量を2347ccに拡大しDS 23となりました。(トルク重視の設定で2.2Lの139HPから130HPに少しパワーダウンするも最高速は同じでした) このように改良が行われたシトロエン DSですが、基本設計が古いことはいかんともし難く、1974年に後継車のシトロエン CXが登場し1975年に生産中止となりました。
シトロエン DSは1955年の登場から1975年まで20年間生産され、廉価版のシトロエン IDを含めた総生産台数は約146万台(本国生産は約133万台)でした。シトロエン DSは世界の名車を選考したカーオブ ザ センチュリー(名車100選)において、1位のフォード T型、2位のモーリス ミニに次いで3位という評価を受けています。私は学生時代に一度だけDS 21に乗せてもらったことがありましたが、当時の国産車とは全く別物のしなやかな乗り心地だったことを憶えています。
ミニカーは1976年に発売されたディンキー(仏)製の当時物です。スペインのオートピレンがディンキー(仏)のライセンスで生産したミニカーで、 スペイン ディンキー(DINKY(ES))とも呼ぶこともあります。本家のディンキー(仏)はシトロエン DS 23をモデル化していないので、これはオートピレンが型を起こした物のようです。ディンキー(仏)のDS 19(型番530)の型を変更しているので、ややレトロですがシンプルな良い出来ばえです。ボンネットとトランクが開閉するギミック付きです。オートピレンは自社ブランドでもほとんど同じ物を発売していましたが、そちらはホイールが車軸が貫通していないディスクタイプとなっていました。シトロエン DS 19/21に比べるとDS 23のミニカーは少ないのですが、これ以外のDS 23のミニカーはリオのバリエーションでセダンとラリー仕様、ノレブの1/64と1/43と1/18が10種類ほど、スパークのパリ-ダカール ラリー仕様などがあります。 以下はフロント/ボンネットを開いたエンジンルームの画像と室内/リア(トランク開閉)の画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)