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ポルシェ GT ルマン (718 RS61 GTR) ドイツ 1963年
ポルシェ 550は550RS、550RSKと発展し、1957年に後継車の718 RSK(RSはレースカー、Kはショートホイールベースの意)が登場しました。718 RSKは空冷水平対向4気筒1.5L(142HP)エンジンをミドシップ搭載した2座スパイダーで、5段変速で最高速250km/hの性能でした。デビュー戦の1957年ルマンではリタイアしていますが、1958年ルマンではクラス優勝(総合3位)するなど各種レースで活躍しました。(実車画像→ ポルシェ 718 RSK)
1960年のレギュレーション変更でウインドー面積を広げ、リアサスペンションを改良しエンジンを1.6L(160HP)に拡大した718 RS60が登場しました。1961年のレギュレーション変更でリアにトランクが追加され、718 RS61となりました。RS61からクーペ仕様が設定され、4気筒2L/8気筒2L(210HP)エンジンが追加されました。ルマン、タルガ フロリオ、ヒルクライムなど各種レースで活躍しました。1996年に登場したボクスター 初代は718 RS60 スパイダーをイメージしたデザインだとされています。
ポルシェは718 RSKを単座に改造した718 F2で、1957年からF2(フォーミュラ2)レースに参戦しました。(実車画像→ ポルシェ 718 F2) 1960年には改良型の787が登場し、同年にF2のコンストラクターズ チャンピオンを獲得するなど活躍しました。(実車画像→ ポルシェ 787 F2) 1961年にF1レースの搭載エンジンが1.5Lに変わったことでF1に参戦し、1962年には新開発の804(水平対向8気筒1.5L(180HP)エンジン搭載)が登場しました。804は1962年のフランス GP(ドライバー D.ガーニー)で優勝しました。(実車画像→ ポルシェ 804 F1)
ミニカーは1964年に発売されたソリド製の当時物です。発売時期から考えると1963年のルマンに出場した718 RS61 GTR クーペをモデル化していると思われます。ミニカーのゼッケン#8は該当車がなく、モデル化していると思われる718 GTR クーペのゼッケンは#27で、事故に巻き込まれてリタイアしています。ソリドは当時からセンスの良いリアルな造形が特徴で、60年前に作られたミニカーとしては良くできていました。サイドラインの抑揚が少しオーバーですが、これはソリド流のデフォルメです。ドアが開閉するギミック付きです。ソリドは同時期にポルシェ F2 (787)も型番117でモデル化していました。(ミニカー画像→ ソリド製 ポルシェ F2 (787)) これ以外のポルシェ 718/787/804のミニカーはオートアートの804 F1 1/18、ミニチャンプスの718 RS、スパーク(レジン製)の787 F2と718 RSなどがあります。 以下はフロント/リアの拡大画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
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オペル レコード (レコルト) A ドイツ 1963年
前述した小型車オペル カデットに引き続き、中型車レコードも1963年にデザインを一新しレコード Aとなりました。ボディは大きくなり、カデットと同じようなシンプルで直線的なデザインでオペルとして統一されたスタイルとなっていました。当初はカデットと同様に2ドアセダンだけでしたが、後に4ドアセダン、ルーフを変えた2ドアクーペ、3ドアワゴン(バン)が追加されました。クーペには特注でカブリオレもあったようです。
レコード Aはサスペンションなどの主要な構造は先代のレコード P2を踏襲していました。エンジンは4気筒の1.5L(55HP)、1.7L(60HP)の2種類で、4段変速で最高速135km/h(1.7L)の性能でした。1964年に上級車のカピタンと同じ6気筒2.6L(100HP)エンジンを搭載し、最高速度160km/hのレコード L-6が追加されました。当時のレコード Aのドイツ国内のライバルはフォード タウナス 17Mでしたが、この両車は当時の中型車クラスで同じような販売実績でした。1965年にレコード B (2代目)にモデルチェンジしました。総生産台数は約88万台でした。
ミニカーは1964年に発売されたディンキー(仏)製の当時物です。1960年代のミニカーですのでグリルやバンパーが銀色の塗装処理となっていて素朴な出来ばえですが、プロポーション的にはかなり正確でスケールモデル的な作りとなっていました。ヘッドライトに黄色のラインストーンを使っているので、フランス仕様をモデル化しているようです。ドアが開閉するギミック付です。当時のミニカーは基本的には子供向けのおもちゃでしたが、ディンキー(仏)のミニカーは当時から既に大人のコレクターを念頭に置いた作りになっていたと思います。 以下はフロント/リアの拡大画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
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ポルシェ 911 ドイツ 1964年
基本的なスタイルを現在も変えていない偉大なスポーツカー ポルシェ 911の初代は、1963年に発表されました。フォルクスワーゲン ビートルをベースにしたポルシェ 356の後継車でしたが、911は全てが新規設計されました。モノコックボディ、空冷水平対向6気筒2L(130HP)エンジン、5段変速機、全輪独立懸架、全輪ディスクブレーキで、最高速210km/h、0-400加速16秒台と第一級の性能でした。また356の弱点であったオーバーステアー特性もかなり抑えられていたそうです。なお911は最初は901という名前でしたが、3桁で0を挟んだ名前を登録していたプジョーからクレームがつき911になったそうです。
1965年に356C用の4気筒1.6L(90HP)エンジンを搭載し室内を簡素化した廉価版の912とオープンルーフの911 タルガが設定されました。1967年にエンジンを160HPにパワーアップした高性能版の911Sと、210HPにパワーアップしたレース用の911Rが追加されました。その後エンジンは1969年に2.2L、1971年に2.4L、1973年に2.7Lと拡大されました。1973年に北米の安全基準に対応する為に、大型のバンパーが採用され外観が大幅に変わりました。これはビッグバンパーと呼ばれ、1975年に登場した930 ターボの特徴でもありました。なおビッグバンパーを持つ911 初代(930型ではないターボの付かないモデル)は1977年まで製造されました。
ミニカーは1987年頃に発売されたビテスの初期物です。約35年前に発売された昔のミニカーですがプロポーションが良く、実車の雰囲気がうまく再現されていました。室内などの細部もそこそこ良く再現されていました。購入者が後付するワイパーとエンブレムなどのデカールが付属品として付いていましたので、それらを使えば細かいところの見ばえが良くなります。(このミニカーにはそれらを使っていませんが) 以下はフロント/リアの拡大画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
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ポルシェ 904 GTS ドイツ 1964年
レーシングカー ポルシェ 718の後継車として904が1964年に登場しました。GT2クラスのホモロゲーション取得のため、100台以上が生産されました。バックボーンフレームにFRP製ボディを載せる構造のGTカーで、サーキットまで自走していく程度の実用性がありました。標準のエンジンはDOHC 空冷水平対向4気筒2L(180/155HP)で、ワークス用の904/6は911用の6気筒2L(210HP)、904/8は804F1用をベースとした8気筒2Lでした。
904のデビュー戦は1964年セブリング 12hで、クラス優勝(総合9位) しています。その後タルガ フロリオ優勝、ルマン クラス優勝などで活躍し、国際マニュファクチャラーズ選手権 GT2クラス チャンピオンを獲得し、1964年の第2回日本GPでもクラス優勝しています。(ドライバーは式場壮吉) 1965年にはプロトタイプクラスの904/6 904/8が主力となり、タルガ フロリオ GTクラス優勝、ルマン プロトタイプクラス優勝などで活躍し、GT2クラス チャンピオンを連続して獲得しました。後継車は1966年に登場した906でした。
ミニカーは2001年頃に発売されたビテス製です。倒産する直前のビテス絶頂期のもので、精密に再現されたエンジン/サスペンションが見えるようにリアカウルを外して配置したディスプレイケースに収められていました。ワイパーやリアカウル上の排気グリルにエッチングパーツを使うなどレベルの高い仕上げで、とても良く出来ていました。ビテスはルマン仕様などバリエーションを数種類出しています。これ以外の904のミニカーはポリトーイの当時物、ミニチャンプス、シュコー、スパーク(レジン製)などがあります。最近の新興ブランドのミニカー(主にレジン製)を「精密」と表現していることがありますが、私はこのミニカーのように内部構造を細かいパーツで再現していることを「精密」だと考えます。したがって外観はリアルながら内部メカを全く再現していないミニカーが「精密」であるとは思いません。なお「精密」と「出来の良し悪し」とはまた別の評価基準で、「精密」=「出来が良い」という訳でもありません。 以下はフロント/リアの拡大画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
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NSU (エヌ エス ウー) (ヴァンケル) スパイダー ドイツ 1964年
NSUはロータリーエンジンの考案者ヴァンケル博士と協力して1957年にロータリーエンジンの試作品を完成させました。NSU (ヴァンケル) スパイダーは実用型ロータリーエンジン(1ロータ 498cc 50HP)を搭載した世界初の市販車として1964年に登場しました。前述したスポーツ プリンツをベースにしたスパイダーでしたのでエンジンをリアに搭載していましたが、ロータリーエンジンが小さいのでリアにも荷物スペースがあったそうです。
車重が700kgと軽いこともあって、最高速度は150km/hと結構速かったようです。ただしこのロータリーエンジンはオイル消費が多く、アペックスシールが磨耗するなどロータリーエンジン特有の問題が解決されていなかったので、トラブルが多かったようです。またこの車はエンジン以外の完成度も低く、実際に販売されたのは約2400台でした。そんなわけで世界初のロータリーエンジン搭載車ながらほとんど知られていない車です。実用に使えたロータリーエンジン搭載車としては1967年に登場したNSU Ro80が最初といっていいでしょう。なおマツダのロータリーエンジン搭載車コスモ スポーツが登場したのも1967年でした。
ミニカーは2001年頃に発売されたミニチャンプス製です。プロポーションが良く、灯火類などの細部がリアルに再現されたミニチャンプスらしい良い出来ばえでした。オープンカーなので室内も良く再現されています。ただ世界初のロータリーエンジン搭載車であったNSU スパイダーをモデル化するならば、リアカバーを開いてロータリーエンジンが見えるといった演出が欲しいところです。細部がリアルなのはいいのですが、ちょっとした遊び心のセンスがミニチャンプスには足りません。NSU スパイダーは実車の知名度が低いせいで、ミニチャンプスがモデル化するまで量産ミニカーがありませんでした。(2023年現在でもミニチャンプス以外ではモデル化されていないようです) 以下はフロント/リアの拡大画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
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