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ブガッティ T44 フィアクル フランス 1927年
ブガッティは1922年に独自設計の3バルブの8気筒2L(70HP)エンジンを開発し、そのエンジンを搭載したツーリングカー ブガッティ T30が登場しました。この車をベースにしてエンジンを90HPにパワーアップしたレーシングカー T35が1924年に登場しました。その後このエンジンをベースにしてT38、T40、T43、T44、およびT49が登場しました。(実車画像→ ブガッティ T30 1922)
1926年から1927年に製作されたT38はT35と同じ8気筒2L(65HP)エンジンを搭載し、スーパーチャージャー仕様(100HP)のT38Aがありました。1926年から1930年に製作されたT40は8気筒1.5L(45HP)エンジンを搭載していました。さらに8気筒1.6L(50HP)エンジン搭載のT40Aもありました。1927年から1931年に製作されたT43はT35Bと同じスーパーチャージャー付8気筒2.3L(120HP)エンジンを搭載していました。T43は量産車として初めて最高速100mph(160km/h)を達成した高性能車でした。(実車画像→ ブガッティ T43 1922)
1927年から1930年に製作されたT44はSOHC(シングル オーバーヘッド カム シャフト)方式を採用した8気筒3L(80HP)エンジンを搭載していました。ブガッティの8気筒シリーズでは一番量産(約1000台)されたモデルで、より大きなツーリングカーボディが架装されました。 1930年から1934年に製作されたT49はT44用を発展させた8気筒3.3L(88HP)エンジンを搭載していました。8気筒シリーズの最後のモデルでT44と同様のツーリングカーが多かったようです。
ミニカーは1983年に発売されたマッチボックス製のYシリーズの一台です。あまりモデル化されていないT44をモデル化しています。フィアクル(FIACRE)とはフランス語で馬車の意ですが、キャビンが馬車風のレトロなデザインであることから名付けられたのでしょう。Yシリーズは安価なクラシックカーのミニカーでしたが、縮尺が統一されていないことが最大の難点でした。このT44も1/38という中途半端な縮尺です。コストダウンでフロントグリルの横からヘッドライトが生えているなどマッチボックス流の造形簡素化がされていますが、プロポーションは良く黒/黄のカラーリングが綺麗で当時のミニカーとしては良い出来ばえでした。この人目を引く大胆なカラーリングはT41 ロワイヤルにも見られますが、エットーレ ブガッティのお好みだったようです。 以下はフロント/リアの拡大画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
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メルセデス ベンツ SSK (W06) ドイツ 1927年
メルセデス ベンツ SSKは前述したメルセデス ベンツ SSのホイールベースを短縮しサーキットでの性能を高めた高性能版でした。Kはドイツ語のKURZ(短いの意)です。エンジンは225HPに強化され最高速200km/hで、ヘッドライト/フェンダーなどを取り外せば即レーシングカーになりました。当時のグランプリレースはレーシングカーやスポーツカーが混在する状態でしたので、レースを意識して開発されたSS、SSKは各種レースで大活躍していました。
ベンツ SSKの純粋なレーシング仕様として、ファクトリーチーム用にはベンツ SSKLが数台だけ製作されました。SSKLのLはドイツ語のLeicht(軽いの意)で、SSKLは徹底的な軽量化をするためにフレーム各部に軽減穴が開けられていました。SSKLについてはサラブレッド期に記載してしていますので、こちらのページ→ メルセデス ベンツ SSKLをご覧ください。
ミニカーは1984年頃に発売されたイタリアのリオ(RIO)製です。リオのクラシックカーはほとんどが1990年以前に作られていますが、いずれも当時のミニカーとしては非常に出来が良いものでした。このSSKも実車の迫力のあるスタイルがうまく再現されていて、最近までこれを上回る出来ばえの1/43サイズの量産ミニカーはありませんでした。ただスケールモデル的な観点で見ると、ボンネット部の高さが少し高めなのですが、これは迫力を出すための意図的なデフォルメだと思います。また1/43よりも少し大きめにできているので、1/43の別のミニカーと並べた場合に少し違和感があるのが唯一の難点です。リオは同じ型を使ってSSKLもモデル化していました。リオ以外では1980年代以前の古いものばかりですが、ラミー、ガマ、ノレブのプラスチック製、ブラーゴの1/18などがありました。以下はフロント/リアの拡大画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
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ブガッティ T35B コルサ フランス 1927年
ブガッティは1922年に独自設計の3バルブの8気筒2L(70HP)エンジンを開発し、そのエンジンを搭載したツーリングカー ブガッティ T30が登場しました。T30は前述したT13のシャーシを流用していました。(実車画像→ ブガッティ T30 1922) この車をベースにしてエンジンを90HPにパワーアップしたレーシングカー T35が1924年に登場しました。T35は当時としては画期的なブレーキドラムと一体化したアルミホイール、独自構造のリーフスプリング式サスペンションなどエットーレ ブガッティの独創的な発想による革新的な設計がされた傑作車でした。
T35は当時のレースを席巻する圧倒的な強さを発揮し、数多くのレースで勝利しました。代表的な戦歴としてはイタリアのタルガ フローリオでの1925年から1929年までの5年連続優勝、モナコGPでの1929年と1930年の連続優勝などがありました。T35には廉価版のT35A、スーパーチャージャーで128HPにパワーアップしたT35C、排気量を2.3Lに拡大しスーパーチャージャーで138HPにパワーアップした最強モデルのT35Bなどがあり、総生産台数は約350台でした。T35の後継車としてT51が1931年に登場しました。T35はレーシングカーとして優れていただけではなく、芸術的な美しさも兼ね備えていました。芸術家でもあったエットーレ ブガッティのセンスやこだわりがいたるところに感じられ、この車に魅せられる人が多いのです。(私もその一人です)
ミニカーは1982年頃に発売されたフランスのエリゴール製です。1927年に登場した最強モデルのT35Bをモデル化しています。特徴的なアルミホイールやフロントサスペンションなどがリアルに再現されていて、素晴らしい出来ばえです。T35の1/43量産ミニカーとして当時最高の出来ばえでしたが、2023年現在でも十分一級品と言えます。エリゴールはレース仕様など10種類ほどをモデル化していました。これ以外のT35のミニカーはマッチボックスのビンテージ物、イクソ(ホワイトボックス)、フランクリンミントの1/24、ノレブの1/12、CMCの1/18 超精密モデルなどがあります。 以下はフロント/リアの拡大画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
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ルノー NN フランス 1927年
当時のフランスで小型車として大ヒットしたシトロエン 5CVに対抗して、ルノーが1922年に登場させたのがのルノー KJ (6CV)でした。4気筒950cc(8.3HP)エンジンを搭載したやや旧式な設計の小型車でしたが、それ故耐久性には優れていたそうです。KJは1924年に改良されてNNとなりました。NNの4気筒950ccエンジンは17HPにパワーアップされて前輪ブレーキが装備され、3段変速で最高速約60km/hの性能でした。デザインはシンプルな大人しいもので、まだラジエータをエンジン後方に搭載していたのでフロントグリルのない「象の鼻」のフロントノーズでした。1929年にボディを大型化したNN2に変わり、1930年まで生産されました。
実車がどうだったか分かりませんが、画像を見る限りではNNは同時期のシトロエン 5CVよりも見た目がりっぱな車に見えます。このNNの雰囲気にルノーが一時代前の栄光の影を引きずっていたことがうかがえます。シトロエンは小型大衆車に特化して販売台数を伸ばしましたが、ルノーは大型高級車から小型車までフルラインナップの生産を続けていました。その為フランス最大の自動車会社だったルノーは次第にシトロエンやプジョーにつぐ第3位のメーカーとなっていきました。
ミニカーは1980年代に発売されたエリゴール製です。NNのトルペード(オープン仕様)の幌を立てた状態をモデル化しています。実車の雰囲気が良く再現されていて、当時のミニカーとしては良い出来ばえでした。ボンネット開閉ギミック付きでエンジンも再現されています。初期のエリゴールのミニカーは同時期のノレブのプラスチック製ミニカーをコピーした物が多いのですが、これもノレブの型番76のNNをベースにしてエリゴール流の変更がされていました。バリエーションとしてクーペ仕様とタクシー仕様がありました。これ以外のNNのミニカーはリーツェの1/87、ユニバーサルホビー、ノレブの最近のものなどがあります。 以下はフロント/ボンネットを開いたエンジンルームの画像とリアの拡大画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
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プジョー 172 R (5CV) フランス 1927年
プジョーは第1次大戦後の1921年に大型車156と小型車161を発表しました。156は6気筒6Lスリーブバルブエンジンを搭載したプジョーとしては最後の大型高級車となりました。(実車画像→ プジョー 156 1921) 161は大成功した小型車ベベの後継車で、クアドリレット(QUADRILETTE)と呼ばれた画期的な小型車でした。約350kgの超軽量ボディに4気筒667cc(9HP)エンジンを搭載し、3段変速で最高速60km/hの性能でした。後輪デフを省略した為後輪トレッドが750㎜で車幅が狭かったので2輪車のような前後2座席の2人乗りでした。161は乗用車としての性能はともかくとして燃費が良く価格が安かったので2年間で3500台を販売して成功しました。
1923年に161は改良されて172になり、安定性向上のため後輪トレッドと車幅が広げられて前席が2人掛けとなり、後方の荷物室も大きくなり居住性が改善されました。1924年に720cc(10HP)エンジンが追加され、4座トルペードや2座カブリオレなどの派生モデルが作られました。1925年からは名前が5CVとなり1929年まで生産されました。161の成功はシトロエン 5CVなど他社が小型車を開発するきっかけとなったのですが、161/172/5CVもトータルで約6万台が生産され、シトロエン 5CVにつぐヒット車となりました。
ミニカーは1960年代に発売されたノレブ初期のプラスチック製です。プジョー 5CVとも呼ばれた172の後期型である172 Rのモデル化で、実車が小さいのでミニカーも78㎜と小さいです。小さいながらも実車の雰囲気はよく再現されていて、1960年代当時のミニカーとしては良く出来ていました。室内を見ると前席に2座席ありますが、後席は荷物置き場か非常用のようです。ノレブ初期のプラスチック製ミニカーは経年変化でボディが変形するものが多いのですが、これは材質が変更された物のようでほとんど変形していません。プジョー 161/172のミニカーはこれしかないようですので、車種的には貴重なミニカーです。 以下はフロント/リアの拡大画像と室内の画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
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