ミニチュアカー ミュージアム

自動車の歴史 時代/自動車メーカー別

 

AUTO UNION TYPE A 1934 GERMANY

AUTO UNION TYPE A
(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
AUTO UNION TYPE A


MINICHAMPS 5031300313 1/43 ㎜
 実車諸元 画像参照
外形寸法: 全長約4.5m 全幅約1.66m エンジン 変速機: V型16気筒 4.36L スーパーチャージャー 295HP 5段変速
性能: 最高速280km/h  データーベースでアウトウニオン タイプ A-Dのミニカー検索

アウトウニオン タイプ A ドイツ 1934年

 

 1932年にホルヒアウディDKW、ヴァンダラーのドイツ民族系4社は協同でアウトウニオン社を結成しました。アウトウニオンは自社を宣伝する為に750㎏フォーミュラ グランプリ(現在のF1グランプリ)に出場することを決めました。またメルセデス ベンツ W25の解説に記載したように当時のドイツ ナチス政権はメルセデス ベンツとアウトウニオンのグランプリレース活動をバックアップしていました。

 アウトウニオンはF.ポルシェ博士(フォルクスワーゲン ビートルの設計者)にレーシングカーの設計を依頼し、博士はV型16気筒エンジンをリアに搭載する世界初のミッドシップエンジン搭載式レーシングカーを設計しました。この車はポルシェ博士の頭文字PをつけてPヴァーゲンと呼ばれ、タイプ Aからタイプ Dがありました。

 

 1934年にホルヒの工場でアウトウニオン タイプ Aが作られました。最初のレースは1934年のドイツのアヴァス GPで3位となりました。その後ドイツ GPで初勝利し、スイス GP 優勝、イタリア GP 準優勝などの成績でした。(メインのドライバーはH.スタック)

 

 

 ミニカーはミニチャンプス製で、アウディの特注品です。画像はアウディのWEBサイトから借用しました。画像で見ただけですが、良く出来ていると思います。これ以外のアウトウニオン タイプ Aのミニカーはシュコーの1/24 組立てキットぐらいしかないようです。

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AUTO UNION TYPE B 1935 GERMANY

AUTO UNION TYPE B
(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
AUTO UNION TYPE B


MINICHAMPS 5031300313 1/43 90㎜
 実車諸元 画像参照
外形寸法: 全長約3.92m 全幅約1.69m エンジン 変速機: V型16気筒 4.95L スーパーチャージャー 375HP 5段変速
性能: 最高速290km/h  データーベースでアウトウニオン タイプ A-Dのミニカー検索

アウトウニオン タイプ B ドイツ 1935年

 

 アウトウニオンのレーシングカー タイプ Aは1935年にタイプ Bに変わりました。タイプ Bはエンジン排気量を4.4Lから5Lに拡大して295HPから375HPにパワーアップし、ホイールベースを伸ばしトレッドを広げて操縦性を向上させました。またリアサスペンションがリーフからトーションバーに変更されました。タイプ Aとタイプ Bの外観はほとんど同じに見えますが、タイプ Bはコクピット左側のえぐりが深く左右非対称になっていました。

 

 1935年のGPレースではメルセデス ベンツ W25が圧倒的に強かったので、アウトウニオンはあまり活躍できませんでした。主なレース結果は、ドライバー H.スタックがイタリア GPで優勝 ドイツ GPで2位でした。新しいドライバーとしてB.ローゼマイヤーが参入し、彼はスイス GPでは3位となり、シーズン最後のチェコスロバキア GP (マサリク サーキット)で初優勝しました。なおハイパワーエンジンをリアに搭載するアウトウニオン レーシングカーの操縦はきわめて難かしかったとのことです。

 

 

 ミニカーはミニチャンプス製で、前述したタイプ Aと同じくアウディの特注品で、1935年ドイツGPで2位となった車(ゼッケン #1)をモデル化しています。ミニカーの画像はアウディのWEBサイトから借用しました。同じ物がミニチャンプスの型番410351900で2015年に一般市販されています。これ以外のタイプ Bのミニカーとしては、コクピットやリアタイヤをカバーした流線形の速度記録車をミニチャンプスとブルムがモデル化しています。

 以下は1984年に発売されたブルム製のアウトウニオン タイプ B 速度記録車 #4 (1/43 型番R108)の画像です。1935年にドイツのアウトバーンで速度記録320.267km/hを達成した速度記録車をモデル化しているようですが、実際の速度記録車にはゼッケン #4が付いていないようなのでこれはテスト段階の車なのかもしれません。ボディ全体に空力対策の流線形カバーが付いていますが、後輪のカバーがないタイプもありました。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)

AUTO UNION TYPE B RECORD CAR 1
AUTO UNION TYPE B RECORD CAR 2

 以下はフロント/リアの拡大画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
AUTO UNION TYPE B RECORD CAR 3
AUTO UNION TYPE B RECORD CAR 4

 以下は1984年に発売された同じブルム製のアウトウニオン タイプ B 速度記録車 #3 (1/43 型番R107)の画像です。上記のバリエーションで、こちらはゼッケン #3で後輪のカバーがないタイプになっています。上記の#4とは前輪ホイールとボディ側面の排気管の取り出し部の形状が少し違っています。(左側面のゼッケンのデカールが剥がれて分かりにくいですが) このゼッケン #3も同時期に速度記録320km/hを達成したそうです。(実車画像→ アウトウニオン タイプ B 速度記録車 #3 1935 ) (画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
AUTO UNION TYPE B RECORD CAR 5
AUTO UNION TYPE B RECORD CAR 6


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AUTO UNION TYPE C 1936 GERMANY

AUTO UNION TYPE C
(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
AUTO UNION TYPE C


BRUMM R038 1/43 91㎜
 実車諸元 画像参照
外形寸法: 全長約3.92m 全幅約1.69m エンジン 変速機: V型16気筒 6L スーパーチャージャー 520HP 5段変速
性能: 最高速340km/h  データーベースでアウトウニオン タイプ A-Dのミニカー検索

アウトウニオン タイプ C ドイツ 1936年

 

 1936年にアウトウニオン タイプ Bは排気量を6Lに拡大し過給圧を上げてエンジンを520HPまで大幅にパワーアップし、さらにホイールベースを伸ばしトレッドを広げて操縦性を向上させたタイプ Cに発展しました。外観的にはコクピット左右のえぐりが均等になり(レースによって多少異なるが)、フロントノーズの形状が少し変わりました。さらに1937年には排気量が6.3Lに拡大され、545HPにパワーアップされました。

 

 1936年は圧倒的に強かったメルセデス ベンツ W25の戦力が落ちたので、アウトウニオンが勝つレースが増えました。メインのGPレースでは、ドイツ、スイス、イタリアで優勝し(ドライバー B.ローゼマイヤー)、それ以外でもトリポリやフェルトベルク(ドイツ ヒルクライム)などで優勝しました。 1937年シーズンには、強力なメルセデス ベンツ W125が登場したので、タイプ Cはベルギー GPでの優勝(ドライバー R.ハッセ)以外ではW125の後塵を拝していました。タイプ Cは1938年にタイプ Dに変わりました。

 

 

 ミニカーはブルム製でブルム初期の1981年に発売されました。1936年のドイツ GPまたはスイス GPの優勝車(ドライバー B.ローゼマイヤー)をモデル化しています。ノーズが短いアウトウニオン GPカーの独特なスタイルがうまく再現されていて、ボディ細部やコクピット内の仕上げもそこそこリアルで、1980年代当時のミニカーとしては良く出来ていました。なおリアエンドの小さな丸い突起はエンジンを始動するスターターを接続する部分です。ブルムはバリエーションでリアにダブルタイヤを履いたタイプもモデル化しています。これ以外のタイプ Cのミニカーはメルクリンの戦前の当時物(超レア物)、シュコーのブリキ製 1/24?、ミニチャンプスのアウディ特注品/ドイツ GP仕様、CMCの1/18 超精密モデル、ブッシュの1/87などがあります。以下はフロント/リアの拡大画像です。なおこの上に載せたタイプ Cの画像は2006年に撮影したもので、以下の拡大画像は2021年に撮影したものです。以下の画像ではゼッケン #4のデカールが変形して別物のように見えますが、これは経年変化でデカールが膨潤したものです。今回この記事を更新したことで、デカールがこんな具合に経年劣化するものだということが良くわかりました。原因はデカールの質が良くないということですが、箱から出してガラスケース内で保管していたことも劣化を促進した要因でしょう。(どんなものにも寿命がありますので仕方ないことですが) (画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)

AUTO UNION TYPE C 1
AUTO UNION TYPE C 2

 以下は1984年に発売された上記のバリエーションでアウトウニオン タイプ C #6 ダブルタイヤ仕様 (1/43 型番R110)の画像です。タイヤの駆動力を高める為に後輪をダブルタイヤにしたタイプで、実際にレースで使用されたようです。(実車画像→ アウトウニオン タイプ C ダブルタイヤ仕様) これもゼッケンが多少膨潤していますが、あまりひどくはありません。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
AUTO UNION TYPE C 3
AUTO UNION TYPE C 4

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AUTO UNION TYPE C STREAMLINE RECORD CAR 1937 GERMANY

AUTO UNION TYPE C STREAMLINE RECORD CAR
(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
AUTO UNION TYPE C STREAMLINE RECORD CAR


BRUMM R352 1/43 128㎜
 実車諸元 画像参照
外形寸法: 全長約5.52m 全幅約1.84m エンジン 変速機: 12気筒 6.3L スーパーチャージャー 545HP 5段変速
性能: 最高速408km/h  データーベースでアウトウニオン タイプ A-Dのミニカー検索

アウトウニオン タイプ C 流線形 速度記録車 ドイツ 1937年

 

 ドイツ ナチス政権はグランプリレースだけではなく、レースカーをベースにした車による速度記録達成でも国威掲揚を図っていました。この時期のドイツ車の速度記録は国内の公道やアウトバーンで達成されていました。当時のほとんどの速度記録はアメリカのソルトレークで達成されていたのですが、ナチスは国内にこだわったのです。

 メルセデス ベンツの主な速度記録(フライング キロメートル 国際B級 5L-8Lエンジン)としては、1936年の364.4km/h (V型12気筒4.8L 540HPエンジン)、1938年の432.7km/h (V型12気筒5.67L 736HPエンジン)がありました。なおフライング キロメートルとは助走をつけた状態から計測をスタートし、1000メートルのコースを往復してその平均速度を計測するものです。

 

 アウトウニオンの主な速度記録としては、1935年のタイプ B LUCCAによる320.267km/h (V型16気筒5L 375HPエンジン)、1937年のタイプ Cによる406.3㎞/h(V型16気筒6.3L 545HPエンジン)がありました。なお1938年にメルセデス ベンツが432.7kmを記録した時に、同じ場所でアウトウニオンも速度記録に挑戦していました。アウトウニオンはテスト走行で同等以上の速度を達成していましたが、その後の正式アタックで時速450㎞/h走行中に横風にあおられてクラッシュし、ドライバーのB.ローゼマイヤーが即死するといった悲劇が起きました。

 

 

 ミニカーは2003年に発売されたブルム製です。1937年に史上初の400km/h超えの406.3㎞/hを記録した速度記録車をモデル化しています。流線形の滑らかなボディがうまく再現されていてとても良く出来ています。ブルムは同じ車のアヴァス サーキット仕様など数種類のバリエーションをモデル化しています。ブルム以外のミニカーではメルクリンの戦前の当時物(超レア物)、ミニチャンプス、レベルの1/18などがあります。なおメルセデス ベンツの速度記録車(1938年)もメルクリンの戦前の当時物(超レア物)があります。 以下はフロント/リアの拡大画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)

AUTO UNION TYPE C STREAMLINE RECORD CAR 1
AUTO UNION TYPE C STREAMLINE RECORD CAR 2

 以下は2003年に発売された上記のバリエーション アウトウニオン タイプ C ストリームライン #31 アヴァス サーキット 1937 (1/43 型番R353)の画像です。この車は1937年にアヴァス サーキットで行われたスプリント レースに参戦したレーシングカーをモデル化しています。レーシングカーですのでゼッケン #31がついています。このレースにはメルセデス ベンツのGPカーとその流線形仕様車なども参戦していたそうです。上記の速度記録車とほとんど同じように見えますが、このレースカーはホイール上のボディの一部が開放されていてタイヤが露出していました。(最近のルマンカーでも同様のタイヤの露出があります) ミニカーでは開放部を黒く塗装してそれを表現しています。レベルも同じ車を1/18でモデル化しています。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
AUTO UNION TYPE C STREAMLINE RECORD CAR 3
AUTO UNION TYPE C STREAMLINE RECORD CAR 4

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AUTO UNION TYPE D 1938 GERMANY

AUTO UNION TYPE D
(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
AUTO UNION TYPE D


BRUMM R109 1/43 99㎜
 実車諸元 画像参照
外形寸法: 全長約4.2m 全幅約1.66m エンジン 変速機: 12気筒 3L スーパーチャージャー 420HP 5段変速
性能: 最高速330km/h  データーベースでアウトウニオン タイプ A-Dのミニカー検索

アウトウニオン タイプ D ドイツ 1938年

 

 1938年にGPカー(F1)の新しい3Lフォーミュラ(排気量上限 過給3L 無過給4.5L 排気量に応じて最低重量400-850㎏)が施行され、それに対応したアウトウニオン タイプ Dが開発されました。タイプ Cをベースにしていましたが、エンジンがV型16気筒6LからV型12気筒3L(420HP)に変更されてサイズが小さくなったのでコクピットが後ろに移動して一般的なGPカーのスタイルに近くなりました。1939年にはスーパーチャージャーが2ステージ化され、485HPにパワーアップされました。

 

 タイプ Dの主な戦歴としては1937年にチームに加入したイタリア人ドライバーのT.ヌヴォラーリがドライブしてイタリア GPとイギリス(ドニントン) GPなどで優勝しましたが、あまり芳しい成績は残せませんでした。1939年のフランス GPではドライバー H.ミュラーで優勝しました。アウトウニオンのミッドシップレイアウトは操縦性に問題が多い(運転が難しい)レイアウトでしたが、第2次世界大戦後のレーシングカー設計に多大な影響を与えました。大戦後の1947年にクーパーがF3でミッドシップレイアウトを採用し、その後1960年代になるとミッドシップがF1の標準レイアウトになりました。

 

 

 ミニカーはブルム製で1984年頃に発売されました。1938年のイギリス GPの優勝車をモデル化しています。実車の雰囲気がうまく再現されていて、1980年代のミニカーとしては良く出来ていました。ただこれも前述した同じブルム製のタイプ Cと同様にデカールが経年劣化しています。ブルムは ドライバー T.ヌヴォラーリのフィギュア付でイタリア GP 優勝車もモデル化しています。これ以外のタイプ Dのミニカーは戦前のメルクリンの超レアな当時物、マーキュリーの古い当時物、ミニチャンプスのイギリス GPとイタリア GP仕様などがあります。 以下はフロント/リアの拡大画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)

AUTO UNION TYPE D 1
AUTO UNION TYPE D 2

 以下は2004年に発売されたブルム製のアウトウニオン タイプ D #22 イタリア GP 優勝 (1/43 型番S061)の画像です。1938年のイタリア GPの優勝車にドライバー T.ヌヴォラーリ(Tazio Nuvolari)のフィギュアを付けた限定生産品です。 T.ヌヴォラーリは1937年にスクーデリア フェラーリ(アルファ ロメオのワークスチーム)からアウトウニオンに移籍し、1938年のイタリア GPなどで優勝しました。彼は黄色のシャツを着てレースに臨んでいたそうですが、フィギュアはその服装や風貌などがうまく再現されています。当時はこのような軽装でF1レースをしていたのです。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
AUTO UNION TYPE D 3
AUTO UNION TYPE D 4

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