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フィアット アバルト 2000 ピニンファリーナ スコルピオーネ イタリア 1969年
フィアット アバルト 2000は1969年のブリュッセル モーターショーで公開されたコンセプトカーでした。アバルトのレースカー(2000SP)をベースにしてピニンファリーナがデザインしたスポーツカーのランニング プロトタイプで、ルーフまで連なった大きなリアカウルが特徴でした。このカウルはキャビン横のエアインテークを形成しています。この車のエンジンは後車軸の上に縦置き配置されていてラジエータ等の冷却系もリアにありますので、エアインテークはエンジン冷却用です。
通常のドアはなく、ウインドとルーフがキャノピーのように前方をヒンジにして開くのでそこから乗り降りします。当時のピニンファリーナのデザインに共通する低いノーズの先端には6灯のライトを一体化したライトユニットがあります。名前のスコルピオーネとはサソリの意で、サソリはアバルトのシンボルです。(リアカウルにそのサソリのロゴが表示されています) この車のフロントノーズ左右のインテークはサソリの前足の爪、リアの上方に突き出た排気管はサソリの尻尾をイメージしたものだそうです。そのつもりでこの車を見るとなにやらそんな風に見えてきます。
ミニカーは1970年に発売されたディンキー(仏)製の当時物です。ディンキー(仏)は昔のメーカーながらスケールモデル的なリアルな造形が特徴で、このアバルト 2000も特徴的なリアカウルの黒いルーバーパネルやサソリのロゴなどかなりリアルな造形でとても良い出来ばえです。リアカウルが開閉するギミック付きで、カウル下にはエンジンが再現されてます。ただリアカウルの建付けが悪くルーフとスムーズにつながっていないのがやや残念なところです。これ以外の当時物ミニカーとしては同じ型を使ったディンキー(英)、ポリトーイ、ガマ、マルシンのミニスターシリーズ、中嶋製作所 DREAMCARシリーズなどがありました。当時物以外の量産ミニカーは2022年現在でもないようです。 以下はフロント/リアの拡外画像とリアパネルを開いたエンジンルームの画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
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アウトビアンキ ランナバウト (バルケッタ) ベルトーネ イタリア 1969年
アウトビアンキ ランナバウトは1969年のトリノ モーターショーで公開されたコンセプトカーでした。ベルトーネのデザインで、アウトビアンキ A112のシャーシを使いフィアット 128のエンジン/変速機をミドシップ搭載していました。この変わったデザインは競艇用のモーターボートから閃いたデザインだそうで、確かにそのような形をしています。オープンカーの安全上必要なロールバーにヘッドライトを付けるアイデアは斬新でした。ただしここの位置にヘッドライトを付けるのは、高さ/位置を規定している法規があるので実用化は難しいものでした。
またこのデザインはちょうど当時の若者に流行していたビーチ バギー(デューン バギー)に対するベルトーネ流の回答だったのかもしれません。このコンセプトカーは、1972年に登場したフィアット X1/9のベースになりました。X1/9はミドシップエンジン搭載のタルガトップのオープンカーで、ロールバーをアクセントにしたコンセプトカーのイメージが継承されていました。なおサブネームのバルケッタとはオープンカーのことで、イタリア語で小舟という意味です。
ミニカーは1970年に発売されたメーベトイ製の当時物です。プロポーションが良く細部も良く再現されていて、良く出来ていました。実車(白)とカラーリングが違っていますが、ボディ側面とボンネット中央に赤いラインが見えるのは実車と同じでうまく処理しています。ただしロールバーの色をオレンジに変えてボディとの一体感をなくしてしまったのは、この車をモデル化する上では好ましくないやり方でした。これ以外の当時物ミニカーとしてはコーギーやマッチボックスがありました。当時物以外では少量生産のレジン製キットがあるようです。 以下はフロント/リアの拡大画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
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アルファ ロメオ ジュニア Z (ザガート) イタリア 1969年
アルファ ロメオ ジュニアはジュリアに1.3Lエンジンを搭載したモデルでしたが、そのスペシャルモデルとして1969年にジュニア Z (ザガート)が登場しました。ザガートのデザインによる従来のジュリエッタ SZやジュリア TZはアルミ製の軽量ボディを持つレース用のスペシャルモデルでしたが、このジュニア ザガートは実用的な2シーター スポーツカーとして設計され、ボディはスチール製でした。
ウエッジシェイプを基調にしたボディ、4灯式ライトを透明カバーで覆ったユニークなフロントグリルなど、先進的で魅力的なスタイルで人気がありました。リアのハッチバックはベンチレーション用に電動モーターで僅かに開ける機能がありました。DOHC 4気筒1.3L(103HP)エンジンを搭載し、最高速175km/hの性能でした。1972年にはエンジンを1.6L(109HP)に拡大し、1600 ジュニア Z (ザガート)となりました。(1600 ジュニア Zはテールが100㎜ほど長くなるなど外観が少し変更されました) 1975年まで限定生産され、総生産台数は約1500台(1600 ジュニア Zが約400台)でした。
ミニカーは1971年に発売されたソリド製の当時物です。プロポーションが良く最大の特徴である独創的なフロントグリルが非常にリアルに再現されていて、購入した際にさすがはソリドと感心したものでした。(ソリドのミニカーは当時の一級品でした) 昔のミニカーに多いダイヤカットのラインストーンを使ったヘッドライトが妙にリアルに見えて、この造形は現在のミニカーとしても通用する良い出来ばえだと思います。ドアが開閉するギミック付きで、室内にはセンターコンソール中央から水平に突き出したシフトレバーが再現されています。これ以外の当時物ミニカーとしてはメーベトイがありましたが、そちらはフロントグリルの透明カバーを再現していない点でやや見劣りします。 当時物以外ではミニチャンプス、京商(サークルK)の1/64、スパーク(レジン製)などがあります。 以下はフロント/リアの拡大画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
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フェラーリ 512S ベルリネッタ ピニンファリーナ イタリア 1969年
フェラーリ 512S ベルリネッタは1969年のトリノ ショーで公開されたコンセプトカーでした。ベースはレースカーの512Sで、ミドシップのスポーツカーの未来像を提案したものでした。当時はこのようなウェッジシェイプのコンセプトカーが多かったのですが、フロントのフェンダーラインの抑揚などにピニンファリーナ流が感じられます。
またキャビン横にあるインテークの形状やそれにつながるリアカウルには当時のカンナム(CAN-AM)マシンの影響が感じられます。なお512Sを使ったコンセプトカーとしては翌年に発表された512S モデューロもありました。512Sよりもモデューロのほうが圧倒的に未来的なデザインだったので、512Sのコンセプトはかすんでしまいました。
ミニカーはメーベトイ製の当時物で1976年頃に発売されました。全体的にややシャープさが足りないような気もしますが、当時のミニカーとしては上出来だったと思います。トラクタブルヘッドライトが可動し、キャノピー式のドアも開閉します。リアカウルを開くとあまりリアルじゃないですが、派手な色合いでエンジンが再現されています。(メーベトイは1969年にマテル傘下となったので、この色合いはマテルの影響かも?) テールライト部分は紙シールで表現されていて、リアカウルのスリット越しにエンジンが見えるのは結構リアルです。これ以外の当時物ミニカーはポリトーイとマーキューリー、ポリトーイをコピーしたジョアル、メーベトイをコピーしたオートピレンがありました。当時物以外ではTOPMARQUES(レジン製)があります。 以下はフロント(ヘッドライト開閉)とリアの拡大画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
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フェラーリ シグマ グランプリ ピニンファリーナ イタリア 1969年
フェラーリ シグマ グランプリは1969年のジュネーブショーで公開されたコンセプトカーでした。1960年代後半のF1は排気量拡大でコーナリング性能が向上したことなどで、ドライバーが負傷する事故が増えました。例えば1967年のフェラーリ 312の車両火災によるL.バンディーニの死亡事故や1968年のロータス 48で車外に放り出されたことによるJ.クラークの死亡事故などがありました。そこでエンツォ フェラーリなどのF1関係者のサポートをうけて、ピニンファリーナが安全な構造のF1の具体例を提案したのが、このシグマ グランプリでした。
提案された具体例は主に以下のようなものでした。
1.車幅を拡大しコクピット周辺の強度向上
2.前後輪間にクラシャブルゾーンとなるサイドポンツーン追加
3.コクピット背後にロールバーを兼ねたウイング追加
4.ボディ先端にバンパー機能を持つフェンダー追加
5.リアタイヤ後ろにバンパー追加
6.6点式シートベルト、自己消火機能のある燃料タンクの採用
など 現在に通じるアイデアが盛り込まれていました。
1970年代以降に安全な燃料タンクや複合材モノコック構造によるコクピット周りの強度向上など、安全基準が強化されていきました。それでも1982年のG.ビルヌーブ(フェラーリ 126C2)や、1994年のA.セナ(ウィリアムズ FW16)などの死亡事故が発生し、そのたびに安全対策が追加されていきました。
ミニカーは1971年に発売されたマーキュリー製の当時物です。全体のプロポーションは悪くないのですが、ウインドスクリーン、ホイール、エンジン部形状などの細部が大雑把な作りで現在的な感覚で見るとあまり良い出来ではありません。(当時物としては標準的な出来ばえでしたが) ただこの車で具体化されたアイデアは、ミニカーでも良くわかると思います。シグマ グランプリの量産ミニカーは、マーキュリーの小スケール版のSPEEDY(1/66)とマーキュリーをコピーしたナコラル製ぐらいしかないようです。 以下はフロント/リアの拡大画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
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