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シトロエン 11BL (レジェ) フランス 1938年
トラクシオン アヴァン 7CVの上級仕様であった7Sは1935年に11CV(11AL)となりました。4気筒1.9L(46HP)エンジンを搭載し、ボディサイズは7CVと同じホイールベース(2910㎜)で7CVと同じサイズのレジェ(LEGERE 英語でLIGHTの意)、ホイールベースが長く(3090mm)一回り大きいサイズのノルマーレ、さらにホイールベースが長く(3270mm)サイズが大きいリムジンと3列シートで7~8人乗りのファミリアーレがありました。またリアにテールゲートを付けた5ドアタイプは、リアに荷物を積んで商用車的にも使われました。セダン以外にもクーペ、カブリオレがありました。
当初のセダンにはトランクリッドがなく荷物は室内で出し入れしましたが、1936年にトランクリッドが設定されました。1937年のマイナーチェンジで名前が11BL(レジェ)と11B(ノルマーレ)となりました。1938年にテールゲートを持つ商用車が設定されました。ただトラクシオン アヴァンは荷物積載時の駆動性能に難があったので、戦後に商用車専用の前輪駆動車としてシトロエン Hが開発されることになりました。1941年に戦争でいったん生産中止となりましたが、戦後の1945年から生産が再開されました。
ミニカーは1984年に発売されたエリゴール製です。シトロエン 11BLのモデル化で縮尺1/20で全長215㎜の大きなサイズのミニカーです。縮尺1/20はやや中途半端なサイズで、今見るとあまりサイズに見合った出来ばえではありませんが、当時としてはそこそこ良い出来ばえでした。(当時の価格は8000円と高価でしたが、好きな車なので買いました) ボンネット/ドアの開閉ギミック付でエンジンや室内も再現されていますが、やや物足りないレベルです。なお同じ型を使った物がサフィール製の型番1904にもありますが、どちらがオリジナルなのかは分かりません。トラクシオン アヴァンのミニカーはたくさんあります。当時物ミニカーではCIJ、JRD、ノレブ初期物、2000年以前のものでは、ソリド(べレム)の15CV(後述)、エリゴールのセダン/クーペ/カブリオレ、ビテスのセダン/クーペ、最近の物ではノレブ、イクソなどがあります。 以下はフロント/リアの拡大画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)。
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シトロエン 15CV シックス フランス 1938年
トラクシオン アヴァンは年間6万台も生産される大ヒットとなり、シトロエンの財政状況は好転しました。そこで発売が中止された最上級仕様の22CVの代わりに1938年に登場したのが15CV シックスでした。シックスは6気筒エンジンを意味し、11CVの4気筒を6気筒化した2.9Lエンジン(76HP)を搭載していました。ホイールベース(3090㎜)は11CVのノルマーレと同じでしたが、ボディは11CVより少し大きく、11CVのファミリアーレと同じロングホイールベース(3270㎜)でより全長の長いリムジンもありました。3段変速で最高速130km/hと性能的にも向上していました。
トラクシオン アヴァンは1941年に戦争でいったん生産中止となりましたが、戦後の1945年から11CV/15CV シックスは生産が再開されました。戦後型は少し湾曲していた前後のバンパーが直線化され、1953年頃にはトランク部分が外に張り出して容量が拡大され外観が少しだけ変わりました。1950年代に外観を大幅に変更して大統領専用車にも使われました。1950年代になるとこの車もさすがに時代遅れになり、この車同様に画期的な後継車DS 19が1955年に発表されました。DS 19登場後も生産されていた11CVもDSの廉価版IDが発表された翌年の1957年には生産中止となりました。
トラクシオン アヴァンは23年間に約76万台が生産されました。トラクシオン アヴァンは長い間生産されていたので、昔のフランス映画には非常によく出てきました。ギャング物映画ではギャングとそれを追跡する警察のどちらもトラクシオン アヴァンを使っているといった場面がありました。
ミニカーは1974年に発売されたソリド製です。ソリドの全盛期に作られたミニカーで実車の雰囲気が見事に再現されていて、15CV シックス 戦前型の1/43ミニカーとしては今でもベストの出来ばえだと思います。ボンネット開閉ギミック付で、6気筒エンジンが再現されています。ソリドは戦時中のFFI(自由フランス軍)仕様や戦後型など別ブランドのべレムも含めてバリエーションを30種類以上だしています。これ以外の15CV シックスのミニカーはノレブの当時物と最近の物、Bブラーゴの1/24、マッチボックス ディンキーなどがあります。 以下はフロント/ボンネットを開いたエンジンルームの画像とリアの拡大画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)。
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ドライエ 165 フィゴーニ & ファラスキー フランス 1938年
1937年にドライエ 135の後継車としてドライエ 145が登場しました。ドライエ 145は主にレーシングカーとして使われた高性能車でした。この145をベースにして少量生産された市販ロードスターが165でした。エンジンは145の240HPを165HPにディチューンしていて、4段変速で最高速210km/hの性能でした。ダイナミックで美しいロードスター ボディはコーチビルダー フィゴーニ & ファラスキー(FIGONI FALASCHI)によるもので、実車はその独特のデザインで有名です。
この車のデザインは水上を疾走するボートをイメージしたものでした。フロントフェンダーの造形はボートの先端が掻き分けて盛り上がった波紋を表現しています。このデザインをより印象的にする為に、フェンダーには車輪を完全にカバーして見えなくするスパッツが付けられ、ボンネットから後方にかけて波をイメージさせるクロームモールも付いています。現代的な観点でみると見た目重視で意味のない無駄の多いデザインです。ただこのデザインはそのような現代的な考え方を超越しているので優雅で美しいのです。1930年代のフランス車として個人的に一番好きな車です。
ミニカーは2008年に発売されたイクソ製です。元々はフランスのミニカー付き雑誌「VOITURES CLASSIQUES」のNo.14として作られたもので、これはそれをベースにしてイクソのカタログモデルとして発売されたものです。実車の優雅なデザインが実にうまく再現された素晴らしい出来ばえです。クロームモールや室内などの細部も良く仕上げてあります。これ以外のドライエ 165のミニカーはイクソの別ブランドのホワイトボックス、ミニチャンプスの1/43と1/18、ギロイの1/18などがあります。 以下はフロント/リアの拡大画像と室内の画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
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サルムソン S4E フランス 1938年
1890年に創業されたエミール サルムソン社は蒸気機関やポンプの製造会社でした。第1次世界大戦中に航空機エンジンのメーカーとして発展し、その後イギリスのサイクルカー GNのライセンス生産で自動車製造に進出しました。(実車画像→ サイクルカー GN) 1921年に自社製の小型車(4気筒 1L)を発売し、この車のエンジンを1.25Lに拡大しDOHC化したレースカーが活躍し、初のDOHCエンジン搭載量産車 AL グラン スポールとして市販化されました。(実車画像→ サルムソン AL グラン スポール 1927)
1929年にDOHC 4気筒1.3Lエンジン搭載のS4が登場し、この車は前輪独立懸架サスペンションを備えたS4D(1.6L)に発展しました。1937年には高級仕様のS4E(2.3L)が登場しました。第2次大戦後サルムソン社はS4シリーズの生産を再開し、1953年に新型の2300 スポール(DOHC4気筒2.3Lエンジン搭載)が登場し、この車は1957年のルマンに出場してGTクラスで優勝しました。その後サルムソンは経営不振で1957年に自動車製造から撤退しました。(2022年現在もポンプメーカーとして存続しています)
ミニカーは2012年に発売されたイクソ製のMUSシリーズ(クラシックカーのシリーズ)です。サルムソン S4Eのカブリオレをモデル化しています。このミニカーは元々はフランスのミニカー付雑誌「VOITURES CLASSIQUES」のNo.21として作られた物でした。これはそれをイクソのカタログモデルとして発売したものです。フランスの高級スポーツカーらしい優雅なデザインで、鮮やかなカラーリングや寝かせたフロントウインドーなどでお洒落なパーソナルカーに仕上がっています。イクソのMUSシリーズとして標準的な良い出来ばえですが、ボディのほとんどの部分がプラスチック製で軽い点が個人的には安っぽい感じがしていまひとつです。なおサルムソンの量産ミニカーは2023年現在でもこれしかありません。以下はフロント/リアの拡大画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
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タルボ ラーゴ T150 SS クーペ フィゴーニ ファラスキー フランス 1938年
前述したようにタルボはイギリスとフランスに工場があった大衆車メーカーでした。1919年にタルボはサンビーム、ダラックと合併しSTD(サンビーム-タルボ-ダラック)グループを形成し自動車生産を行いました。STDグループは財政難から1935年にイギリスのルーツグループに吸収されて消滅しました。その後STDグループのフランス工場はエンジニア/起業家のアンソニー ラーゴ(Antonio Lago)が買い取りタルボ車の販売を続け、第2次大戦後はタルボ ラーゴという名前になり高級スポーツカーを1960年まで生産していました。
タルボは1937年に新設計のツーリングカー タルボ T4 マイナー(4気筒2.3Lエンジン搭載)を発表しました。この車には6気筒2.7L/3L/4Lエンジンが追加され、ホイールベースの長い6気筒3L/4Lエンジン搭載車とさらにホイールベースの長い(7人乗り)6気筒3L/4Lエンジン搭載車が追加されました。そのなかでT150は6気筒3Lエンジン搭載のホイールベースの短いスポーツカーで、T150 SSはさらにホイールベースを短くして6気筒4Lエンジンを搭載した高性能版でした。(なお150CとCが付くのはレース仕様で基本はロードスターでした) 個性的で美しい流線形ボディのT150 SS クーペは当時最速のスーパーカーでタルボ ラーゴのなかでも一番有名な車でした。コーチビルダーは前述したドライエ 165と同じフィゴーニ ファラスキーで、フロント回りは似たようなデザインとなっています。わずか十数台しか製作されなかったようです。
ミニカーはフランスのミニカー付き雑誌「VOITURES CLASSIQUES」のNo.6として作られた物でイクソ製です。これはオークションで入手したものですが、2007年にイクソの型番MUS007でも発売されました。ミニカーの出来ばえは雑誌付きミニカーの標準的なレベルですが、美しい流線形ボディの雰囲気がうまく再現されツートンカラーも綺麗です。室内もそこそこ良く再現されています。(フロントグリルが少し右に傾いているのは見なかったことにしてください) T150 SS クーペのミニカーはこれ以前に少量生産のWESTERN MODELS製がありましたが、量産ミニカーとしてはこれが最初のモデル化でした。最近になってミニチャンプスやスパークやCMCの1/18などでもモデル化されました。 以下はフロント/リアの拡大画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
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