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メルセデス ベンツ 180 (W120) ポントン ドイツ 1953年
戦前の小型車メルセデス ベンツ 170Vは1949年にボディを大型化しトランクを付けた170Sに改良されました。170Sは1953年に戦後型の180(W120)に切り替わりました。エンジンは170Sの流用(4気筒 1.8L 52HP)でしたが、ボディは独立したトランクを持つ近代的な3ボックススタイルとなり、窓が大きくなり室内も広くなっていました。名前に付与された「ポントン」とは、フェンダーがボディと一体化したいわゆるフラッシュ サーフェス ボディのことを意味するもので、180/200/220系の俗称でした。この当時からディーゼルエンジン(1.8L 40HP)搭載の180Dも発売されていて、タクシーなどに使われ販売台数はディーゼルが3割ほど多かったとのことです。
メルセデス ベンツ 180系(W120)は1962年まで生産されましたが、その間に排気量を拡大した1.9Lの190/190D(W121)が追加されました。1954年に180系とほとんど同じデザインで一回り大きなボディに6気筒2.2Lエンジンを搭載した上級車(現在のSクラス相当) 220a(W180)が登場しました。220aは1956年に 220S(W180)に発展し、1958年に改良型の220SE(W128)となりました。
1959年に220SE(W128)は当時流行したテールフィンがついたボディを採用した220b(W111)にモデルチェンジしました。4気筒エンジン搭載の190系も1961年のモデルチェンジでテールフィンがついたボディが採用された190c/190Dc(W110)に変わりました。この車には4段オートマチック仕様もありました。このテールフィンのついたベンツは「羽ベンツ」と呼ばれました。
ミニカーは2000年に発売されたミニチャンプス製です。ミニチャンプスらしいそつのない造形で、フロントグリルや室内などの細部までリアルに仕上げてあり良く出来ています。ウインドーの手前に付けられたウインカー(オレンジ色)とテールライトが塗装で処理されていますが、これはあえてレトロな作風にしているように思います。ミニチャンプスはタクシーやポリスなどバリエーションが十数種類あります。ミニチャンプス以外のW120のミニカーは、古いものではテクノやジク(SIKU)がありました。最近の物ではデルプラドの世界の名車シリーズ、ブレキナの商用車なども含めて約30種類、ヘルパ、イクソなどたくさんあります。以下はフロント/リアの拡大画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
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メルセデス ベンツ 300SL (W198) ドイツ 1954年
1954年に発表されたメルセデス ベンツ 300SLはスポーツカーレースを制するために開発された車で、1952年のルマンで優勝した300SL プロトタイプ(W194)を一般向けに市販したものでした。ベースは前述した300Sで、エンジンは6気筒3Lで気筒内へ直接燃料噴射を行うことによりキャブレター方式の約1.5倍の215HPを引きだし、最高速度250km/hを達成していました。最近この技術は電子制御を用いて乗用車エンジンにも採用されるようになりましたが、メルセデス ベンツは70年以上も前に機械式の燃料噴射装置でこれを達成していました。これは燃料噴射装置が必須のディーゼル エンジン乗用車を初めて実用化したベンツならではの技術でした。
この車はドアがカモメの羽のように開くことから「ガルウイング」とも呼ばれています。自動車に初めて使われたこの特別な機構のドアもこの車のボディ構造から必然的に生まれたものです。ボディは軽量化のため鋼管スペースフレーム構造(鋼管を鳥籠のように溶接で組上げた構造)となっていて、ボディ外皮はその上にかぶせてあるだけです。したがってコクピット横のドアのスペースにも鋼管が通っており通常のドアが構成できないことからこのようなドアとなったわけです。300SLは1957年まで生産され生産台数は約1400台でした。1957年以降は300SL ロードスターが登場し1963年まで生産され生産台数は約1800台でした。
ミニカーは1995年頃に発売されたシュコー製です。シュコーは一度倒産してからブランドを復活させましたが、復活したシュコーはレベルの高い仕上がりのミニカーを作っています。1/43サイズではミニチャンプスと同等かそれ以上にリアルなミニカーですが、ミニチャンプスのようなスケールモデル的な作風ではなく、老舗らしいヴィンテージミニカーの雰囲気を少し残した作風です。(ピッコロ シリーズなどヴィンテージミニカー時代と同じ物も作っています) この300SLも実車の雰囲気を良く再現していてかなり良い出来ばえです。フロントグリルや灯火類もリアルで、特徴的なガルウイングドアが開閉するギミック付で、室内もリアルに再現されています。300SLのミニカーは非常にたくさんあります。当時物ではキラル(QUIRALU)、メルクリン、コーギーなどがあり、当時物以外ではバン(BANG)、Bブラーゴ、トミカ、京商の1/18、ソリド、ミニチャンプスの1/18と1/43、CMCの1/24と1/18、イクソなどがあります。なお300SL関係のミニカーをまとめたページもありますので、興味があればご覧ください。→ メルセデス ベンツ 300SLのページ 以下はフロント/リアの拡大画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
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メルセデス ベンツ W196 ドイツ GP ドイツ 1954年
第2次大戦の敗戦から立ち直ったダイムラー ベンツがグランプリレース復帰を目指し1954年から始まったの2.5Lフォーミュラ用に開発したのがメルセデス ベンツ W196でした。W196は現在のようなエンジンをミドシップ搭載するレースカーが一般的になる前のフロントエンジンレースカー世代の最後の究極的な車でした。ボディは鋼管スペースフレーム構造(鋼管を鳥籠のように溶接で組上げた構造)で、ブレーキはまだドラム式でした。
8気筒2.5Lエンジンはデスモドロミックバルブ開閉機構(バルブを閉じるのにスプリングを使わずカムで閉じる方式)と機械式直接燃料噴射という緻密なメカを採用し、268HP(後に290HP)の圧倒的なパワーを得ていました。(当時のライバルであったフェラーリの4気筒2.5Lは250HPほどでした) 当初のW196は車輪をカバーした流線型ボディ(ランス タイプと呼ぶ)でした。このタイプはランスなどの高速サーキットでは有利でしたが、視界が悪く操縦しにくいとのことで、すぐに車輪を露出したニュルブルクリング タイプが開発されました。
W196はサーキットに合わせて3種類のホイールベースを使い分け、外観もレース毎に細かな違いがあったようです。目立つ違いとしては当初はウィンドスクリーン手前に大きな吸気用ダクトがありましたが、1955年には無くなりました。W196はデビュー戦の1954年フランスGPで優勝しその後のドイツ、スイス、イタリアGPで3連勝しています。翌年の1955年もモナコGPとインディ以外のレース全てで優勝する圧倒的な強さでした。
ミニカーは1987年頃に発売されたブルム製です。1954年のドイツ GPで4位となったW196 ニュルブルクリング タイプ(ドライバー K.クリング)をモデル化しています。実車の雰囲気が良く再現されていて、1980年代のミニカーとしてはかなりレベルの高い出来ばえでした。ブルムはこれ以外のW196のレース仕様もモデル化していますが、細かな仕様の違いまではあまり再現していません。(実車の資料も少ないですし、当時のミニカーにそこまで望むのは酷ではありましたが) これ以外のW196のミニカーは、メルクリン、マーキュリーなどの当時物から、最近の物ではノレブ、ミニチャンプス、スパーク(レジン製)などたくさんあります。 以下はフロント/リアの拡大画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
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BMW 502 ドイツ 1954年
1952年に登場したBMW 501には高級車に見合う新型のV型8気筒エンジンを搭載する予定でしたが、開発が遅れていました。1954年にV型8気筒2.6L(100HP)が完成しそれを搭載した502が追加されました。502は戦後初のV型8気筒エンジン搭載の高級車で、メルセデス ベンツのV型8気筒エンジン搭載車600より9年も早かったのでした。ボディは501と同じですが、クロームメッキの装飾トリムが多くフォグランプが標準装備されていました。なお1958年には501にもV型8気筒エンジンが搭載されましたので、501は502の廉価版という扱いになりました。
502の最高速は160㎞/hで、これはメルセデス ベンツの同じクラスのセダンよりも早く、当時のドイツでは最速の4ドアセダンでした。最終モデルはV型8気筒3.2L(160HP)エンジンを搭載し、最高速は190Km/hに向上していました。502はBMWのイメージ再興に寄与しました。しかし前述したように敗戦直後のドイツではこのクラスの高級車の需要は限られていましたので、実績のあるメルセデス ベンツにはかないませんでした。501/502は1964年まで生産され、総生産台数は6気筒エンジン車が約9000台、V型8気筒エンジン車が約5500台でした。
ミニカーはBMW 501と同じシュコー製で、1995年頃に発売されました。シュコーは1970年代に一度倒産しその後1990年代に再起していますが、これはその再起したころに作られたものです。前述した501と同じように見えますが型が変更されていて、フロントグリルや室内がよりリアルに再現されています。(501には付いてなかった左側フェンダーミラーが再現されています) ただしギミックが全て削除されているのに501とほぼ同じ値段(当時の定価4500円)だったのは、あまり納得できませんでした。(ギミック削除はコストダウンですから) これ以外の501/502のミニカーは、ジク(SIKU)の当時物、ミニチャンプス、ディテールカー、オートアートの1/18などがあります。 以下はシュコーのフロント/リアの拡大画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
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メルセデス ベンツ 300SLR (W196S) ルマン ドイツ 1955年
メルセデス ベンツ 300SLRは前述したレーシングカー W196をベースにしてスポーツカーレース用として開発されました。ホイールベースを延長しシャーシやボディはW196より大きくなっていました。エンジンは3Lに拡大され、耐久性を考慮して出力はW196よりややデチューンした300HPでしたが 最高速度は300km/hを越えていました。300SLRの初戦は1955年のミッレ ミリアで、1、2フィニッシュで優勝しました。その後もツーリスト トロフィー、タルガ フロリオなどで勝利しました。
300SLRの弱点は旧式のドラムブレーキで、ブレーキを酷使するルマンでは補助ブレーキとしてエアブレーキが装備されました。コクピット背後のフラップが油圧で立上がるもので、高速からの減速には有効だったそうです。1955年のルマンでは300SLRが関わったルマン史上最悪の事故が発生しました。事故の概要は、グランドスタンド手前でトップのジャガー Dタイプ(#6)に2台の300SLR(#19と#20)が迫っていました。ジャガーがピット手前で前方の周回遅れのオースチン ヒーレーを左から追い抜くと同時に急減速して右のピットに入ろうとしました。前方をふさがれたオースチン ヒーレーは左に回避し、そこに300SLR(#20)が追突して舞い上がり客席に落下して炎上しました。
この事故でドライバーのP.ルヴェーと観客など80人以上が死亡しました。レースは続行されましたが、300SLRは翌日にレースを棄権し、結局ジャガー Dタイプが優勝しました。後日事故調査委員会が300SLRに責任がなかったと判断しましたが、メルセデス ベンツは道義的責任をとって1956年以降全てのレースから完全に撤退しました。これは1988年にザウバー メルセデスでレース活動を再開するまで継続されました。
ミニカーはメルセデス ベンツの特注品でミニチャンプスの前身のPMA(Paul'S Model Art)製の1/24で1993年に購入しました。(同じ物が2004年にはミニチャンプスの型番243000303で一般市販されました) 事故があった1955年のルマンでJ.M.ファンジオがドライブした#19をモデル化しています。当時の値段は30000円と大変高価でしたが、当時の1/24ミニカーとしては値段相応にかなりレベルの高い出来ばえでした。ドア/ボンネット/トランク開閉、ステアリングホイールによる前輪操舵ギミックは当たり前ですが、燃料噴射装置を再現したエンジン、本物の布張りシートを備えたコクピット、精緻なワイヤースポークホイールなど実にリアルに再現されており、リアのエアブレーキも実車同様に動作します。ミニチャンプスはバリエーションとして、ルマンに出た3台、タルガ フロリオやミッレ ミリア優勝車、設計者のR.ウーレンハウトが使った300SLR クーペもモデル化していました。これ以外の300SLRのミニカーは、ブルム、シュコー、CMCの1/18、スパーク(レジン製)などがあります。 以下はフロント/ボンネットを開いたエンジンルームの画像とリア/トランク開閉の画像です。エンジンや補器類がリアルに再現されています。金色のパイプは機械式燃料噴射装置から燃料を送るパイプです。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
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