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イスパノ スイザ H6 スペイン/フランス 1919年
高級車メーカーとして知られるようになったイスパノ スイザ社は第1次大戦前にフランスに主力工場を建設しました。同社が開発した高信頼性の戦闘機用V型12気筒エンジンは第1次大戦中に広く採用され、航空機用エンジン製造メーカーとしても成功しました。イスパノ スイザ車のマスコットは飛翔するコウノトリですが、これは同社エンジンを積むフランス空軍戦隊のエンブレムをベースにしたものでした。第1次大戦後の1919年に登場したイスパノ スイザ H6はこの戦闘機用V型12気筒エンジンの片バンクを流用したアルミニウム合金製SOHC6気筒6.6L(120HP)エンジンを搭載していました。(参照画像→ イスパノ スイザのマスコット)
イスパノ スイザ H6の特筆すべき先進機能として世界初のサーボ機能付き4輪ブレーキ(減速時にギヤボックスの回転力を使って制動力を機械的にアシストする)がありました。この技術はライバルのロールス ロイスなどにライセンス供与されました。H6は当時のコーチビルダーがセダンやトルペードなどの豪華なボディを架装しました。全長約5mの大型車で3段変速で最高速130km/hの性能でした。1922年にエンジンが少しパワーアップされてH6Bとなり、1924年にはエンジンが8L(145HP)に拡大されたH6Cに発展しました。ホイールベースを短縮し200HPまでパワーアップしたエンジンを搭載したレース仕様のH6Cもありました。H6は1933年まで生産され、総生産台数は約2350台でした。この車の成功でイスパノ スイザは世界的な最高級車として評価されるようになりました。後継車はV型12気筒エンジンを搭載したJ12でした。
ミニカーは1966年頃に発売されたソリド製です。キャビン部分を小型ボートのデッキ風にしたしゃれたデザインのH6B トルペードをモデル化しています。1960年代のソリドのクラシックカーは当時の一級品でとても良く出来ていました。このH6Bもカラーリングが綺麗で、特徴的なキャビンの造形や有名なマスコット(飛翔するコウノトリ)が見事に再現されています。フロント/リアのナンバープレートは箱に添付されていた紙製のシールを貼り付けたものです。これ以外のH6のミニカーは、ソリドのH6B、フランクリン ミントのH6B 1/24と1/43、イクソのH6Cなどがあります。 以下はフロント(エンブレム拡大)/リアの拡大画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
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イスパノ スイザ H6C チューリップウッド スペイン/フランス 1924年
イスパノ スイザ H6Cは前述したH6の6.6Lエンジンを8Lに拡大したスポーツ仕様でした。このチューリップウッドという名前の車は元々はレーシングカーで、フランスの富豪アンドレ デュポネ(レーシングドライバーでもあった)が、戦前の戦闘機メーカーNIEUPORT(ニューポール)社に製作させた特注品でした。ボディは軽量化の為に木製フレームの上に木の薄板を貼り付けた構造となっていました。「TULIPWOOD(ユリノキ材の意)」の名前は使われた木材にちなんだものです。
この車はレーシングカーとして1924年のタルガ フロリオで6位、コッパ フロリオでは総合5位でクラス優勝しています。その後実用的なフェンダーやスペアタイヤなどが付けられて、ツーリングカーに改装されました。6気筒8L(200HP)エンジンを搭載し3段変速で最高速170km/hの性能でした。アンドレ デュポネはこの車をイギリスに売却し、現在はアメリカのブラックホーク博物館に所蔵されているようです。
このミニカーは元々はフランスのミニカー付雑誌「VOITURES CLASSIQUESシリーズ」のNo.17向けに作られた物でした。これはその雑誌付きミニカーを流用して細部をリファインしてイクソのカタログモデルとして2010年に発売されたものでした。実車の板張りのボディがうまく再現されていてフロントグリルなどの細部もリアルで、とても良く出来ています。雑誌付きミニカーとカタログモデルでは細部の仕上げに大きな違いがありました。特にカタログモデルのスポーク ホイールはスポークが細くなりリアリティが圧倒的に向上していました。また木目を再現したボディの塗装や、メッキされた金属パーツも雑誌付きミニカーよりレベルの高い仕上げとなっていました。(詳細が知りたい方は当サイトのこちらを参照されたし→ 2010年新製品レビュー) なお側面についたスペアタイヤやフェンダーは取り付け部がプラスチック材なので強度がなく折れやすいので取り扱いに注意する必要があります。イクソ以外のH6C チューリップウッドのミニカーではフランクリンミントの1/24がありました。 以下はフロント/リアの拡大画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
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ミネルバ AL ベルギー 1930年
ミネルバは日本ではほとんど知られていませんが、ビンテージ期のベルギーの高級車メーカーでした。元々は自転車メーカーで、バイクを経て1904年から4輪車に進出しました。当初は単気筒から4気筒エンジンの小型車が中心で、1910年代にレースで活躍しました。その後当時の高級車によく使われたナイト式スリーブバルブ 4気筒/6気筒エンジンを搭載した大型車が成功したことで、1920年代後半にはロールス ロイスに匹敵するベルギーの高級車として知られるようになりました。
1930年に8気筒エンジンを搭載した大型車 AL(6.6L)とAP(4L)が登場しました。1929年に勃発した世界大恐慌の影響で不況となり、この類の高級車は販売不振となりました。そこで6気筒3Lエンジンを搭載したAR、1934年に4気筒2Lエンジンを搭載した小型のM4などが追加されましたが、売れ行きは回復しませんでした。結局1934年にベルギーの高級車メーカーのインぺリア社(Imp?ria Automobiles)と合併し、1938年に生産を中止しました。なおインぺリア社も1948年に企業活動を終えました。
ミニカーはフランスのミニカー付き雑誌「VOITURES CLASSIQUES」シリーズのNo.27用として作られた物でイクソ製です。当方はWEBオークションで入手しましたが、カラーリングなどが変更されてイクソの型番MUS042でも2012年に発売されました。当時のアメリカ製高級車とよく似た上品なデザインのリムジンボディで、ホワイトリボンタイヤを履いているので高級車の需要が多かったアメリカで使われた車をモデル化しているようです。ミニカーの出来ばえとしては「VOITURES CLASSIQUES」シリーズの標準的なもので、実車の雰囲気がうまく再現されていて、そこそこ良く出来ています。なおミネルバの量産ミニカーはこれしかないようです。 以下はフロント/リアの拡大画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
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