ミニチュアカー ミュージアム

自動車の歴史 時代/自動車メーカー別

 

FIAT 75HP CORSA 1904 ITALY

FIAT 75HP CORSA
(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
FIAT 75HP CORSA


BRUMM R009 1/43 95㎜
 実車諸元 画像参照
外形寸法: 全長約4m エンジン 変速機: 4気筒10.6L 75HP 4段変速
性能: 最高速110km/h以上  データーベースで戦前のフィアットのミニカー検索

フィアット 75HP コルサ イタリア 1904年

 

 自動車創世期にはレースに参加することで技術が蓄積され、また勝つことが車の宣伝として有効でした。その為フィアットは設立当初からフィアット 6HPや12HPのコルサ(CORSA:伊語でレースの意)でレースに積極的に参加していました。1902年にレースカー仕様車フィアット 24HP コルサが登場しました。この車は量産車から派生したのではなく、レース用に特別に設計された最初の車でした。当時一般的であった木製シャーシではなくスチール製シャーシを採用し、4気筒6.4L(40HP)エンジンを搭載し最高速95㎞/hの性能で、国内では強かったようです。(実車画像→ フィアット 24HP コルサ 1902 )

 

 初期の国際レースの勝者は当時の自動車先進国のフランス車(パナールやプジョーなど)に独占されていました。そのなかでフィアットが初めて国際レースで優勝したのは1904年のイタリアのコッパ フローリオで、このときに使われたマシンは4気筒10.6L(75HP)エンジンを搭載したフィアット 75HPでした。

 当時のレースで勝つには強力なエンジンを搭載することが一番重要であり、1905年には4気筒16.3L(100HP)エンジンを搭載したフィアット 100HPが登場しました。この車はその年のフランスのモン ヴァントゥー ヒルクライムレースで優勝し、1906年のフランス GPで2位、1907年のフランスGPでは130HPにパワーアップしたフィアット F2が優勝するなど大活躍しました。なおこのような剥き出しのシートに座り時速100㎞/h以上で未舗装道路を走行したドライバーは命がけの仕事だったはずです。

 

 

 ミニカーは1978年に発売されたブルム製です。ブルム初期の型番R050ぐらいまでのミニカーは、それまであまりモデル化されていなかった自動車創世期のレースカーを多くモデル化していました。(参照ページ→ ブルムのミニカー一覧 1) これもその1台で、1904年のコッパ フローリオで優勝した75HPをモデル化しています。実車をかなり忠実にモデル化していて当時のミニカーとしてはかなり良い出来ばえでした。床下部分のエンジン/変速機や後輪のチェーン駆動部もよく再現されています。75HPのミニカーはこのブルム製しかありません。 以下はフロント/リアの拡大画像と床下部分の画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)

FIAT 75HP 1
FIAT 75HP 2

 以下は1978年に発売されたブルム製のフィアット 100HP 1905 (1/43 型番R010)の画像です。こちらは1905年のフランスのヒルクライム優勝車をモデル化しているようです。上記の75HP(型番R009)のバリエーションですが、リアにスペアタイヤを積みダッシュボード部分が変更されています。当時のタイヤはよくパンクしたので、このように複数のスペアタイヤが必要だったのです。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
FIAT 100HP 1
FIAT 100HP 2

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NAPIER 6 LAND SPEED RECORD CAR 1905 UK

NAPIER 6 LAND SPEED RECORD CAR
(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
NAPIER 6 LAND SPEED RECORD CAR


BRUMM R116 1/43 90㎜
 実車諸元 画像参照
外形寸法: 全長3.9約m 全幅1.4約m エンジン 変速機: 6気筒 15L 90HP 2段変速
性能: 最高速 168.41㎞/h  

ネイピア 6 速度記録車 イギリス 1905年

 

 イギリスの技術者デビット ネイピアが1808年に設立した D.ネイピア アンド サン社(D. Napier & Son Limited)は蒸気機関による印刷機を製造し、その後旋盤などのさまざまな精密機器を製造しました。デビットの息子のモンタギューは当時の自動車レースに熱中し、高性能なエンジンを搭載するレースカーを開発しました。その車はレースで活躍し、彼は自動車製造を始めました。1903年に発売した世界初の量産6気筒4.9L(30HP)エンジン搭載車は極めて高性能で商業的に成功しました。その後4気筒エンジン搭載車も追加され、第1次大戦前には年間700台を生産する高級車メーカーとなっていました。

 

 第1次大戦の勃発で自家用車は売れなくなり、軍用車と航空機用エンジンの生産が主流となり、1920年代には自動車の生産が終わりました。ネイピアは第2次大戦まで航空機や船舶用エンジンの生産を続け、戦後の1942年に同業のイングリッシュ エレクトリックに買収されましたが、その後も1960年代まで航空機用エンジンの製造を行いました。現在はネイピア ターボチャージャー社として産業用のターボチャージャーを製造しています。

 

 

 ミニカーは1984年に発売されたブルム製です。ネイピア 6 (6とは6気筒の意味)と呼ばれた当時のレースカーで、1905年にアメリカのオーモンド ビーチで168.41km/hの速度記録を達成した6気筒15L(90HP)エンジン搭載車をモデル化しています。ブルムの初期のミニカーで、実車画像と見比べると、実車がそこそこリアルに再現されていて良く出来ています。(ワイヤースポークホイールが実車画像と違っていますが、ワイヤースポーク仕様の実車画像もありました) ボンネット全体を取り囲む積層された管はラジエーターです。 カーボンブラックを使っていないホワイトタイヤが時代を感じさせます。なおネイピアの量産ミニカーは2023年現在でもこれしか無いようです。 以下はフロント/リアの拡大画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)

NAPIER 6 RECORD 1
NAPIER 6 RECORD 2

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DARRACQ V8 LAND SPEED RECORD CAR 1905 FRANCE

DARRACQ V8 LAND SPEED RECORD CAR
(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
DARRACQ V8 LAND SPEED RECORD CAR


BRUMM R115 1/43 92㎜
 実車諸元 画像参照
外形寸法: 全長4約m 全幅1.4約m エンジン 変速機: V型 8気筒 25.4L 200HP 
性能: 最高速 175.422km/h  データーベースでダラックのミニカー検索

ダラック V8 速度記録車 フランス 1905年

 

 フランスの技術者アレクサンドラ ダラック(Alexandre Darracq)はミシンの設計で成功し、その後自転車を製造する会社を興しました。彼はその会社を売却してレオン ボレー社の小型車の製造権を購入して自動車の製造を行うダラック社(Automobiles Darracq France)を1898年に設立しました。最初に開発した車は失敗作でしたが、その後に開発した単気筒エンジン搭載の小型車6.5CVは出来が良くイタリアのアルファ ロメオ社の前身の会社がライセンス生産し、ドイツのオペル社ではオペル ダラックとしてライセンス生産されました。(実車画像→ ダラック 6.5CV 1901)

 

 当時のダラックの小型車は評価が高く販売は好調で、レースでも活躍しました。しかし数年後にはライバルの登場で、ダラック車は売れなくなりました。アレクサンドラ ダラックは1904年に会社をイギリスの投資家に売却し、1911年には業績不振の会社を辞職しました。ダラック社は1919年にタルボ社と合併してタルボ ダラック社となり、さらにイギリスのサンビーム社とも合併しサンビーム タルボ ダラック社(STDモーター社)となりました。

 

 

 ミニカーは1984年に発売されたブルム製です。ダラックがレースで活躍していた1905年にフランスの高速道路で175.422km/hの速度記録を達成した車をモデル化しています。この車はスピード記録を達成する為に開発された専用車で、2つの4気筒エンジンをV字型に組合わせた世界初のV型8気筒エンジン(25.4L 200HP)を搭載していました。V字に折れ曲がったラジエターをフロントに配置し、エンジンの上にある砲弾型のタンクから冷却水を給水していました。ブルムの初期のミニカーで、実車画像と見比べると細部が多少異なりますが、V型8気筒エンジンなど実車が結構リアルに再現されていて良く出来ています。(鮮やかな青のカラーリングはブルムの脚色だと思いますが) 同時代のイギリスのネイピア 6 速度記録車と同様にカーボンブラックを使っていない初期のホワイトタイヤが再現されています。 これ以外のダラックのミニカーはガマのオペル ダラック、ドゥグー(DUGU)のオペル ダラックなどがあります。 以下はフロント/リアの拡大画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)

DARRACQ V8 RECORD 1
DARRACQ V8 RECORD 2

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