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ランドローバー シリーズ I 消防車 イギリス 1952年
1878年に創業したイギリスのローバー社の前身スターレイ&サットン(Starley & Sutton Co)社は自転車を製作していました。1890年代にはエンジン付きのオートバイを製作しました。さらにガソリンエンジンの小型自動車を開発し、1904年にローバー 8として発売しました。(実車画像→ ローバー 8 1905) 1911年に発表したローバー トゥエルブ(12)は4気筒2.3Lエンジンを搭載した中型車で、安価ながら優れた品質でヒットしました。(実車画像→ ローバー トゥエルブ) その後空冷2気筒1Lエンジン搭載の小型車から6気筒2.5Lエンジン搭載の中型車までラインアップを広げましたが、業績は振るいませんでした。そこで1933年に車種を削減して生産合理化を行い、品質の向上をはかりました。その結果ローバーは高品質の中型車としての名声を確立していきました。第2次世界大戦中は軍用車のエンジン生産に専念しました。
戦後ローバー社が戦時中のジープにヒントを得て、小型の多目的車として開発したのがランドローバーで、1948年に登場しました。乗用車のローバー 60(P3)をベースにしており、当初は4気筒1.6L(50HP)エンジンを搭載し、4段変速機に2段のトランスファー(前後軸動力分配機)を追加し、後輪駆動と全輪駆動を切り換えられました。ラダーフレームの頑丈なシャーシにアルミ製ボディを載せ、最高速は90km/hほどでした。この車は発売されるとすぐに評判となり、軍用や民間用として世界中で大ヒットしました。戦後の復旧などでこの様な多目的車の需要があったのと頑丈で信頼性が高かったのが理由でしょう。ともあれこの車の大ヒットはローバー社の業績に大いに貢献しました。(実車画像→ ローバー 60(P3))
1952年に4気筒2L(52HP)エンジン、1957年に4気筒2L(55HP)ディーゼルエンジンが追加されました。当初はホイールベースが80インチ(2.03m)でしたが、1954年に86インチ(2.18m)に変更され、1954年には107インチ(2.72m)のステーションワゴン仕様が追加されました。1956年には86と107インチはそれぞれ2インチ伸ばされて、88インチ(2.24m)と109インチ(2.77m)に変わりました。1958年にシリーズ IIにモデルチェンジしました。
ミニカーはマッチボックスのYシリーズで、1994年頃に発売されました。ランドローバー シリーズ Iの消防車仕様のモデル化で、備品を収納したトレーラーを牽引しています。80インチの短いホイールベース(1/43換算で47㎜)で、ヘッドライトが中央に並んでいる初期型のランドローバーをうまく再現しています。屋根上のはしごや荷台のホースリール/ポンプなどの消防用備品もリアルに再現され、当時のミニカーとしてはかなり良い出来ばえでした。このYシリーズのYFEという型番はマニア向けの消防車シリーズの型番で、約20種類ほどのクラシックな消防車がモデル化されていました。(いずれも良い出来栄えで、デルプラドの世界の消防車シリーズにも流用されていました)
ランドローバー シリーズ Iの当時物ミニカーとしては、コーギー、マッチボックス、ディンキーのビンテージ物がありました。当時物以外ではバンガーズ、ミニチャンプス、オックスフォード、シュコーなどでたくさんモデル化されています。 以下はフロント/リアの拡大画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
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ランドローバー シリーズ II 109 レッカー車 イギリス 1958年
前述したようにランドローバーは戦時中のジープをヒントにした多目的の小型車として開発されました。したがって最初はホイールベースが80インチ(2.03m)と短いオープンの小型トラックでした。ボディはアルミ製のシンプルな物で、キャンバス製の屋根とドア上半分はオプションで、ヘッドライトは最初はフロントグリルの内側についていました。(多分オフロード走行を考量しての処置?) またエンジン始動は手動のクランク式ハンドル(知らない人もいるでしょうが)でも可能でした。
初期のランドローバーの4輪駆動方式は2段の副変速機を持つ本格的なフルタイム4WDでした。副変速機は通常は高速側で使い、極めて滑り易い路面などを極低速で走行する場合に低速側にセットします。フルタイム4WDながらトランスファーにフリーホイール機構を備えていたので、前輪の駆動力をカットすることもできました。後に高速では2WDと4WDを切り替えることもできるようにもなったようです。
農業用トラクターとしての需要も見込んでいたので、農業用のスキやクワを取り付けるアタッチメント接続機構やそれを駆動する為のPTO(Power Take Off:動力取出装置)も最初から設定されていました。この構造はドイツの多目的車 メルセデス ベンツ ウニモグと同じで、ウニモグ同様にランドローバーも乗用車だけではなく、消防車やレッカー車など様々な用途で使われることになりました。
ミニカーはコーギーの当時物で、1974年に購入しました。このランドローバー ピックアップをコーギーが最初にモデル化したのは1957年で、シリーズ Iをモデル化していました。その後この型を使って様々なバリエーションが作られ、1960年頃に型が少し修正されてシリーズ IIのモデルに変わったようです。(ただ小修正なので厳密にはシリーズ IIとは言えないかも) このレッカー車仕様は1960年に型番417で登場しその後3回仕様変更されて、最終的に型番477として1977年頃まで販売されたロングセラーのミニカーでした。(約170万台以上が売れました)
画像のレッカー車は型番477の最終型で、ホイールが見た目が良くないスピードホイールに変更されていました。1960年代に型が作られているので素朴な作りですが、プロポーションは良くできていました。クレーンは左側面のノブを回すことで巻上げることができます。単純なしかけですが、子供向けギミックとしては人気があったようです。これ以外のシリーズ IIの当時物ミニカーとしてはスポットオン、ディンキーなどで色々な仕様がありました。当時物以外では、ビテス、オックスフォード、ブレキナ、バンガーズなどたくさんあります。以下はフロント/リアの拡大画像と荷台のカバーを外したクレーンの巻上げ部分の画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
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ランドローバー シリーズ II 88 イギリス 1960年
ランドローバーは、1958年にシリーズ IIに変わりました。基本的なデザインはシリーズ Iと変わりませんが、サイドパネル上端に丸みが付き特徴的な横一線のウエストラインを持つデザインとなりました。(このウエストラインは最新のディフェンダーまで継承されています) シリーズ IIでエンジンは4気筒2.3L(72HP)に変更されました。1961年にはディーゼルエンジンも4気筒2.3L(62HP)に変更されました。2.3Lガソリンエンジンはディーゼルエンジンが主流となった1980年代中頃まで使われました。
ショートホイールベース 88インチのステーションワゴン仕様は7人乗りで、前列が3人掛けのベンチシートで後は2人掛けシートが対面式に配置されていました。ロングホイールベース 109インチのステーションワゴン仕様は10人乗りで、前列と2列目が3人掛けのベンチシートで、その後ろに2人掛けシートが対面式に配置されていました。さらにオプションで3人掛けシートが対面式に配置された12人乗りもあったそうです。(参照サイト→ランドローバーの歴史) なおこの12人乗りは税制上バスとみなされて税金が安かったそうで、ディフェンダーにも2002年までバスの設定があったそうです。
ミニカーはビテス製で、1989年頃に購入しました。シリーズ IIで一番良く知られているホイールベース 88インチのハードトップ仕様をモデルしています。ビテス初期のモデルですが、フロントの造形など結構リアルで当時のミニカーとしては良い出来ばえでした。画像では分かり難いですが、左ハンドルの輸出仕様で後席は対面シートになっています。ビテスにはバリエーションが約10種類ほどありました。シリーズ IIの当時物ミニカーとしてはスポットオン、コーギー、ディンキーなどで色々な仕様がありました。当時物以外ではバンガーズ、オックスフォード、ブレキナの1/87などがあります。 以下はフロント/リアの拡大画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
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ローバー 3000 P5 MK II イギリス 1962年
自転車メーカーとして起業したローバー社は、1904年に自動車の生産を始めました。1911年に発表したローバー トゥエルブは4気筒2.3Lエンジンを搭載した中型車で、安価ながら優れた品質で大ヒットしました。(実車画像→ ローバー トゥエルブ) その後空冷2気筒1Lエンジン搭載の小型車から6気筒2.5Lエンジンの中型車までラインアップを広げましたが、業績は振るいませんでした。そこで1933年に車種を削減して生産合理化を行い、品質の向上をはかりました。その結果ローバーは高品質の中型車としての名声を確立していきました。第2次世界大戦中は軍用車のエンジン生産に専念しました。
戦争が終わるとすぐに戦前型の生産が再開され、1948年には戦後型のローバー 60/ローバー 75(コードネーム P3)が発売されました。前輪独立懸架を採用したシャーシは60/75に共通で、60は4気筒1.6L、75は6気筒2.1Lエンジンを搭載していました。 1949年にはボディを新しくしたローバー 75(コードネーム P4)が登場しました。1953年には排気量を2.6Lに拡大した90(P4)、1956年にエンジンをパワーアップした105(P4)などが登場して、1964年まで生産されました。(実車画像→ ローバー 75 P3、ローバー 75 P4)
1958年には6気筒3L(106HP)エンジンを搭載した3000 P5が追加されました。P5はイギリス車らしい落ち着いたデザインの上質な中型車で、4速手動/3速オートマティック変速機で、最高速160km/hの性能でした。P5は歴代首相の公用車に採用されるなど、政府の公用車として非常に人気が高かったそうです。1962年にMK II、1965にMK IIIに発展し、最終型のP5Bは排気量を3.5L(160HP)に拡大し1973年まで生産されました。
ミニカーは2003年に発売されたバンガーズ製です。コーギーのブランドであるバンガーズはラインストーンを埋め込んだヘッドライトなど昔のコーギーを思わせるレトロな作風のミニカーが多いですが、プロポーションなどの基本はしっかりしています。このローバーも実車の雰囲気が良く再現されていて、なかなか良い出来ばえでした。また壊れやすいフェンダーミラーは添付されたパーツをユーザーが後付けするようになっているのも個人的には好ましく思います。P5の当時物ミニカーはスポットオンなどがありました。当時物以外ではネオ(レジン製)のクーペやMATRIX(レジン製)のセダンがあります。 以下はフロント/リアの拡大画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
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ローバー P6 2000TC イギリス 1966年
ローバーの主力中型車P5の後継車としてP6が1963年に登場しました。P5は保守的な設計でしたが、P6は高剛性の近代的なボデを持ち、ド ディオンアクスル、全輪ディスクブレーキと高度な足回りで、操縦性と乗り心地を両立させた先進的な車でした。4気筒2L(90HP)エンジンを搭載し、4段変速で最高速167km/hの性能でした。1964年には最初のヨーロッパ カー オブ ザ イヤーを受賞しており、商業的にも成功しました。
1966年には103HPにパワーアップした2000TCが追加され、1968年にはGMが開発したV型8気筒3.5L(144HP)の製造権を買い取り、そのエンジンを搭載した3500が追加されました。1970年にMK IIに発展し、1977年まで生産されました。P6の総生産台数は約32万台でした。なおローバー社は1967年にレイランド社に買収され、その後レイランド社はBLMC(ティッシュ レイランド モーター)社に統合されました。1975年にBLMCは破綻寸前で国有化されBL(ブリティッシュ レイランド)社となりました。
ミニカーは1968年に発売されたコーギー製の当時物です。1966年式のP6 2000TCをモデル化しています。実車の雰囲気がうまく再現されていて、コーギーのビンテージミニカーの傑作でした。コーギーは1963年にP6を型番252でモデル化していて、それには「TRANS-O-LITE」と称するライト点灯ギミックが付いていました。参照ページ→ TRANS-O-LITEを採用したミニカー その型番252を変更したのがこの型番275のP6で、ヘッドライトがラインストーンに変更されスペアタイヤ(ホイール)が交換出来る「GOLDEN JACKS」と称するギミックが採用されていました。 参照ページ→ GOLDEN JACKSを採用したミニカー なおトランク上に搭載したケースの中にスペアタイヤが入っていますが、このスペアタイヤの搭載方法は実車にもあったようです。このミニカーは1971年に型番281に変わり、コーギーのフリーホイールである「WHIZZWHEELS」が採用されました。P6の当時物ミニカーは何故かコーギーの物しかないようです。当時物以外ののP6のミニカーはバンガーズ、オックスフォード、ブレキナなどがあります。 以下はフロント/リアの拡大画像とトランク上に搭載したスペアタイヤ ケースの開閉画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
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