ミニチュアカー ミュージアム

自動車の歴史 時代/自動車メーカー別

 

BERLIET STRADAIR TRUCK 1965 FRANCE

BERLIET STRADAIR TRUCK
(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
BERLIET STRADAIR TRUCK


DINKY(FR) 569 1/43 175mm
 実車諸元 画像参照
外形寸法: 全長約7.5m 全幅約2.5m エンジン 変速機: 4気筒 5.9L ディーゼル 120HP 5段変速
性能: 最高速110km/h 最大積載量 5t データーベースでベルリエのミニカー検索

ベルリエ ストラデール トラック フランス 1965年

 

 ベルリエは自動車創世期に設立されたメーカーです。第一次世界大戦中は、軍用トラックを生産していました。大戦後に乗用車生産を再開し、1920年代には4気筒の小型車から6気筒の大型車まで数モデルを販売していました。1929年のアメリカ株価大暴落による金融危機で景気が悪くなり、自動車の販売は低迷します。その影響で1930年代になると、ベルリエの乗用車は1934年に発売した11CVドーフィンだけになりました。この車もすぐに生産中止となり、その後のベルリエはトラック(後にバス追加)だけを生産するようになりました。

 

 ベルリエのトラックはほとんどが大型(一部中型)で、それををベースにしたバスもありました。1949年に登場したボンネット式トラックのGLシリーズは、そのトラクタ仕様のTL、全輪駆動仕様(3軸2駆動軸の6X4、3軸3駆動軸の6X6など)のGBなど派生車が多くあり、1970年代まで生産されました。1957年にはV型12気筒30L(600HP)ディーゼルエンジンを搭載した全長13mの世界最大のトラック T100が登場しています。ベルリエは1967年にはシトロエン傘下となり、1974年にはルノーに売却されて同じトラック製造のサビエムと合併しルノー トラックスとなりました。

 

 

 1965年に登場したベルリエ ストラデールは、トラックとしてはスタイリッシュなでユニークなデザインを採用していました。STRADAIRとはイタリア語のSTRADA(道路)とフランス語のAIR(空気)を組合わせた造語で、エアクッションとリーフスプリングを組み合わせた凝ったサスペンションを採用していることからつけられた名前のようです。登場後に合併したシトロエンがスタイルとサスペンションに影響を与えているように思います。なおエアクッションを使ったサスペンションは、荷重変化の大きいトラックに適したサスペンションで、現在のトラックでは主流となっています。

 ミニカーはディンキー(仏)製の当時物で、1967年に発売されています。ストラデールの長尺平ボディトラックをモデル化しています。ディンキー(仏)らしいスケールモデル的なリアルな造形で、特徴的なボディだけではなく、車体下部のシャーシ、エンジン、サスペンションなどのメカ部分も良く再現されています。昔のミニカーですから、トラックの機能を再現した面白いギミックが付いています。これ以外のストラデールのミニカーは、ソリド(ベレム)の当時物、最近の物ではイクソやノレブ CIJの物があります。ベルリエの商用車は、ボンネットタイプのトラックのGL、TL、GBや、世界最大のトラック T100などを、ディンキー、ソリド、ノレブ、ブレキナなどがたくさんモデル化しています。

  ストラデールのギミックについて、以下の簡易動画で詳しくお見せします。(画像のマウスオーバーやタップで動画がスタートします) まずはボンネットの開閉動作で、エンジン、ラジエータ、室内換気用?ダクトなどがかなりリアルに再現されています。次は平ボディの荷台部分で、側面のあおりが開閉します。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)

berliet stradair engine
berliet stradair steer

 次はこのミニカーの最大の特徴である荷台を左右どちらにも傾けることができるギミック動作です。左右どちらに傾けるかどうかは、荷台の底にある2本のスライドレバーの位置で決まります。左側の画像ではレバーを下にスライドさせることで、画像下側(荷台右側)が回転軸に固定され、後方のハンドルを回すと荷台左側が上がります。右側の画像はその逆でレバーを上にスライドさせることで、画像上側(荷台左側)が回転軸に固定され、後方のハンドルを回すと荷台右側が上がります。当方の拙い説明ですぐに構造が理解できる人は少ないと思いますが、画像を何度か見ていただければなんとなく分かっていただけるのではないかと思います。
berliet stradair dump1
berliet stradair dump2

 なぜこのミニカーのギミックについて詳しく書いているかというと、それはこのミニカーを設計した人の面白いものを作ってやろうという情熱とそれを実現させた創意工夫を知ってもらいたいからです。スケールモデル的に良く出来ている最近のミニカーも良いのですが、細かい部分を再現するのは単に工場で作る人の手間が掛かっているだけで、そこには設計した人の創意工夫といったものはあまり感じられません。現在のミニカーメーカー(特にレジン製)は矢継ぎ早に新製品をだしていますから、昔のように一つの新製品に時間をかけられないという事情があるのでしょう。しかし私のような昔からのコレクターとしては、あまり変わり映えのしない無個性な新製品をたくさん作ってもらうよりは、昔のコーギーやディンキーのような一味違うミニカーを少しづつ作って欲しいと思うのです。この私の考えに近いやり方をしているのは、国産ではトミカ リミッテドだと思います。(1/43サイズではないので私はあまり買いませんが、好きなブランドです)

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