ミニチュアカー ミュージアム

自動車の歴史 時代/自動車メーカー別

 

戦後の日本国産自動車メーカーの動向 1945 JAPAN

 戦後日本の自動車産業はGHQ(連合国最高司令官総司令部)による統制下に置かれました。GHQはまず1945年9月にトラックの生産を許可し、1949年には乗用車の生産制限が解除されました。戦時中からの自動車産業の停滞により、国産メーカーの技術力は欧米メーカーに大きく遅れをとっていました。当時の通産省は自動車産業を保護・育成する政策を打ち出し、国産自動車技術の向上を図る為に「道路運送車両法」(1949年6月)を公布し、「乗用自動車関係提携及び組立契約に関する取扱方針」 (1952年10月)によって外国自動車メーカーとの技術提携の道を開きました。

 その方針に従って国産メーカー各社は優れた技術を吸収するべく、欧州メーカーとの技術提携を始めました。三菱自動車の前身の東日本重工業がアメリカのカイザー フレイザーと、日野自動車はフランスのルノーと、日産自動車はイギリスのオースチンと、いすゞ自動車はイギリスのヒルマンと技術提携を結び、ノックダウン方式による乗用車の生産を始めました。なお国産技術にこだわりを持つトヨタ自動車は欧米メーカーとの技術提携は行わず、独自技術による自動車開発を進めました。こうして1950年代になると、国産自動車メーカーから次々と自動車が発売されるようになりました。

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TOYOTA TOYOPET SA 1947 JAPAN

TOYOTA TOYOPET SA
(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
TOYOTA TOYOPET SA


REEN REPLICA 2 1/43 89mm
 実車諸元 画像参照
外形寸法: 全長約3.8m 全幅約1.59m エンジン 変速機: 4気筒 995cc 27HP 3段変速
性能: 最高速87km/h  データーベースでトヨタ AA型/SA型のミニカー検索

トヨタ トヨペット SA型 日本 1947年

 

 終戦後すぐにトヨタ自動車は小型車開発を決定し、1947年には試作車が完成しました。同年にGHQ(連合国軍最高司令官総司令部)から年間300台に限り乗用車生産が許可されたので、この車はトヨペット SA型として発表されました。なおトヨペット(TOYOPET)はこの時に付けられた愛称でした。SA型は全輪独立懸架の鋼板バックボーンフレームに鋼板ボディを載せた極めて先進的な構造で、戦前の欧州製小型車をお手本にしていました。流線型のボディも欧州的で、ちょっと変わったデザインのグリルが付いていました。新開発した4気筒995cc(27HP)のS型エンジンを搭載し、3段コラムシフトで最高速87km/hの性能でした。

 

 戦後いち早く発売されたSA型は意欲的な車でしたが、少し時代に先んじすぎていました。当時の乗用車はほとんどがタクシーに使われましたが、全輪独立懸架は当時の劣悪な道路で酷使される用途には不向きでしたし、2ドア仕様もタクシーには不向きでした。 そんなわけでSA型は1952年まで約200台ほどしか生産されず、営業的には失敗作でした。ただSA型はその後のトヨタの自動車開発にとって、極めて重要な布石となったと思われます。トヨタ自動車が欧米メーカーと技術提携せず、独自技術に拘ったのもこの車での経験が有ったからだと思われます。

 

 

 ミニカーは1970年代に個人コレクターが起ち上げたブランドのリーンレプリカ製です。リーンレプリカは1/43のホワイトメタル製ミニカーで、初期の国産車を6車種モデル化していました。個人が私費を投じて製作していたのでコストがかけられず、ウィンドーや室内の造形は省略されて初期のビンテージミニカーのような素朴な造りでした。リーンレプリカはそれまでミニカーになっていなかった車をモデル化しており、このトヨタ SA型もその一台でした。室内の造形がない素朴な作りですが、プロポーションはしっかりしていて実車の雰囲気が良く再現されています。トヨタ博物館や日本自動車博物館にある実車(レプリカ?)と比べると、屋根の形状が少し違っています。なお2022年現在でもトヨタ SA型のミニカーはこれしかありませんので、車種的に大変貴重なミニカーです。 以下はフロント/リアの拡大画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)

TOYOTA TOYOPET SA 1
TOYOTA TOYOPET SA 2

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TOYOTA TOYOPET CROWN RSD 1955 JAPAN

TOYOTA TOYOPET CROWN RSD
(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
TOYOTA TOYOPET CROWN RSD


JAPANESE CAR COLLECTION (NOREV) 24 1/43 100㎜
 実車諸元 画像参照
外形寸法: 全長約4.29m 全幅約1.68m エンジン 変速機: 4気筒 1.5L 48HP 3段変速
性能: 最高速100km/h  データーベースでトヨタ クラウン RS型のミニカー検索

トヨタ トヨペット クラウン RSD型 日本 1955年

 

 前述したトヨタ SA型と同時に発売されたSB型小型トラックは、ラダーフレームに固定車軸の丈夫な構造である程度売れていました。(実車画像→ トヨタ SB型小型トラック) そこでこのSB型シャシーにセダンボディを載せたSD型乗用車が1949年に発売されました。さらにこのSD型の乗り心地などを改良したSF型が1951年に登場しました。(実車画像→ トヨタ SF型) 1953年に新型の4気筒1.5L(48HP)R型エンジンが開発され、このエンジンを搭載したトヨペット スーパー RH型が登場しました。エンジンのパワーアップで最高速は100km/h以上になり、タクシーに多く使われたそうです。(実車画像→ トヨペット スーパー RH型)

 

 このRH型の後継車として1955年に登場したのが、トヨタを代表する国産高級車であるトヨペット クラウン RS型(初代)でした。クラウンは「王冠」の意で、初代から王冠のエンブレムがフロントグリルに付いていました。RS型は新たに開発した前輪独立懸架の乗用車用シャシに、RH型と同じ1.5L(48HP)エンジンを載せ、3段変速で最高速100km/hの性能でした。当時のアメリカ車をお手本にしたボディは、観音開きのドアを採用しているのが最大の特徴でした。なおSA型で失敗した前輪独立懸架は、耐久試験を繰り返して改良され、RS型ではタクシーでも問題が起こりませんでした。この前輪独立懸架に対するトヨタの拘りには、技術者の意地が感じられます。

 

 

 1955年末にRS型の高級仕様RSD型が設定されました。エンジンは55HPにパワーアップされ、外観的にはフロントウィンドーが1枚ガラスとなり、ボンネット先端のマスコット、サイドモールが追加されました。またフォグランプ、真空管式カーラジオ、時計、ヒーターなどが装備されていました。1958年のマイナーチェンジで後期型のRS20型となり、フロントグリルとサイドモールが変更されました。1959年には4気筒1.5L(40HP)ディーゼル エンジンC型が搭載された、国産初のディーゼル乗用車が設定されました。1960年には1.9L(77HP)エンジンを搭載したRS30型が追加されこの車はボディが少し大きくなり、2速AT車の設定もありました。クラウン RS型には当時の国産車として初めての技術がたくさん盛り込まれていました。1962年にクラウン 2代目(S40型)にモデルチェンジしました。

 ミニカーは2006年に発売されたアシェット 国産名車コレクション製でメーカーはノレブです。クラウン RS型の初期型をモデル化しています。プロポーションが良く、灯火類/クロームモール/フェンダーミラーなどの細部もリアルで、かなり良い出来ばえです。雑誌付きミニカーですのでコストの関係で室内は無彩色ですが、コラムシフトレバーが再現されているなどそこそこリアルに作ってあります。クラウン RS型の当時物ミニカーはモデルペットがありましたが、超レア物で写真でしか見たことがありません。当時物以外ではエブロのRSD型とRS21型、エブロを流用したトサ コレクション、J-43(アンチモニー製)のRS20/30型、REAL-Xの1/72、トミカ リミッテドの1/64、国産名車コレクションの1/43と 1/24などがあります。 以下はフロント/リアの拡大画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)

TOYOTA TOYOPET CROWN RS 1
TOYOTA TOYOPET CROWN RS 2

 以下は2000年に発売されたエブロ製のトヨタ クラウン RSD 1955 (1/43 型番43096)の画像です。高級仕様のRSD型をモデル化しています。エブロらしいそつのない良い出来ばえで、RSD型の特徴である1枚ガラスのフロントウィンドー、ボンネット先端のマスコット、サイドモールがきちんと再現されています。また右側の前後ドアが観音開きに開くギミック付なのですが、スムーズに開閉できません。(後ドアを無理に開くと壊れそうなので、開いていません) ドアを開くとRSD型に装備された時計(ダッシュボード中央に付いた円筒形状の物)が付いたインパネや操作ペダルなど室内も良く再現されています。ただここまでやるなら、フェンダーミラーも付けて欲しかったです。なおこれは左前ドアのドアノブが欠品しています。エブロは後期型のRS21型もモデル化しています。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
TOYOTA TOYOPET CROWN RSD 1
TOYOTA TOYOPET CROWN RSD 2

 以下はフロント/リアの拡大画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
TOYOTA TOYOPET CROWN RSD 3
TOYOTA TOYOPET CROWN RSD 4

 以下は1980年に発売されたカドー製のトヨタ クラウン RS 1955 (1/43 型番14)の画像です。カドーは卸問屋「可堂玩具」が1980年にマニア向けに興したブランドで、ホワイトメタル製でずっしりと重いです。フロントウインドーが2分割されている初期型をモデル化しており、ワイパーやドアハンドルは別部品でユーザーが取り付けるようになっていました。当時としても古くさい作風でしたが、プロポーションは悪くなく、この作風が実車の雰囲気をうまく醸し出しています。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
TOYOTA TOYOPET CROWN RS 3
TOYOTA TOYOPET CROWN RS 4

 以下は2001年に発売されたトサ コレクション製のトヨタ クラウン RS STD 1955 (1/43 型番213)の画像です。トサ コレクションは既存ミニカーの特注品を企画していたブランドでした。これは上記のエブロ製のの特注品で、RSD型のエブロをスタンダード仕様に変更しています。したがって基本的な部分はエブロ製と同じですが、RSD型のフロントウィンドーやモールをスタンダード仕様に変更し、室内もダッシュボード上の時計が外されて取付穴だけが残っています。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
TOYOTA TOYOPET CROWN RS20 1
TOYOTA TOYOPET CROWN RS20 2

 以下は2022年に発売されたアシェット 国産名車プレミアムコレクション製のトヨタ クラウン (RS31D) 1961 (1/43 No.15)の画像です。メーカーは中国のSUMS MODELで同社のオールモーストリアル(ALLMOSTREAL)ブランドでモデル化しています。1961年に登場した1.9Lエンジンを搭載した1900 デラックスをモデル化しています。1960年のマイナーチェンジで車体が全長4.7mX全幅1.68mに大型化されたので、このミニカーも上述したRSD型より少しだけ大きく(全長102㎜)なっています。また同時にフロント/リアの意匠も変更されたので、その変更点もきちんと反映されています。この変更されたフロントグリル/リアの造形など細部がリアルに再現されていてとても良く出来ています。また室内もよく再現されています。(実車画像→ トヨタ クラウン RS31D 1960) (画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
TOYOTA TOYOPET CROWN RS31D 1
TOYOTA TOYOPET CROWN RS31D 2

 以下はフロント/リアの拡大画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
TOYOTA TOYOPET CROWN RS31D 3
TOYOTA TOYOPET CROWN RS31D 4

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DATSUN (NISSAN) 112 1956 JAPAN

DATSUN (NISSAN) 112
(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
DATSUN (NISSAN) 112


EBBRO 44217 1/43 92mm
 実車諸元 画像参照
外形寸法: 全長約3.86m 全幅約1.47m エンジン 変速機: 4気筒 860cc 25HP 4段自動変速
性能: 最高速85km/h  データーベースでダットサンのミニカー検索

日産 ダットサン 112型 日本 1956年

 

 日産自動車は1952年にイギリスのオースチン社と技術提携を結び、当時最先端であったオースチン A40 サマーセットのノックダウン生産を始めました。(実車画像→ オースチン A40 サマーセット) 1953年に第1号車が完成し、当初はタイヤ、バッテリー、ドアのガラスが国産品でした。国産部品は次第に増やされ、1955年の日産 A50 ケンブリッジでは最終的に全部品が国産となりました。(実車画像→ 日産 A50 ケンブリッジ) 1959年に自社開発した日産 セドリックが登場し、役目を終えたA50は1960年に生産終了となりました。

 

 このノックダウン生産で培った技術を生かして、小型車のダットサン 110型が自社開発され1955年に発売されました。(ダットサンは日産自動車の小型車のブランド名でした) 110型は前後固定車軸のラダーフレームに、鋼板をプレスした車体を載せた構造でした。全長3.86mX全幅1.47m(現在の軽自動車より少し大きい)のボディに、サイドバルブ方式4気筒860cc(25HP)エンジンを搭載し、4段変速で最高速85km/hの性能でした。110型はシンプルで耐久性に優れており、小型タクシー用として人気を呼ぶなど日産の小型乗用車の基礎を固めました。フロントグリル変更やコラムシフト化などで改良され112、113、114、115型と発展し、1957年には210型にモデルチェンジしました。

 

 

 ミニカーは2009年に発売されたエブロ製です。日産自動車が保有しているレプリカを忠実にモデル化しているようで、フェンダーの上に付いている小さな赤いウインカー、フロントグリル、室内など細かい所までよく再現されています。国産車の歴史上重要な車をエブロがモデル化してくれたのはうれしいのですが、ウエストラインより上のキャビン部分の高さがやや足りない感じがして、プロポーション的にはいまひとつの感じがします。ダットサン 112型のミニカーは現在(2022年)でもこれしかないようです。 以下はフロント/リアの拡大画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)

DATSUN (NISSAN) 112 1
DATSUN (NISSAN) 112 2

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ISUZU HILLMAN MINX 1956 JAPAN

ISUZU HILLMAN MINX
(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
ISUZU HILLMAN MINX


VANGUARDS VA06800 1/43 95mm
 実車諸元 画像参照
外形寸法: 全長約4.08m 全幅約1.56m エンジン 変速機: 4気筒 1.4L 46HP 3段変速
性能: 最高速125km/h  データーベースでイスズ ヒルマンのミニカー検索

イスズ ヒルマン ミンクス 日本 1956年

 

 日本の自動車メーカーとして最も古い歴史を持つのがいすゞ自動車で、昭和初期から大型車とそれに搭載するディーゼルエンジンの製造を行っていました。戦後もトラック/バスなど大型ディーゼル車両の生産では日本の主力メーカーでした。なお「いすゞ」という表記がが正式ですが 当HPではデーターベース登録の都合で全て「イスズ」の表記で統一しています。 イスズは欧米の最新技術を導入して乗用車生産に進出するために、イギリスのルーツグループと技術提携し、1953年にルーツグループのヒルマン ミンクスのノックダウン生産を始めました。(実車画像→ ヒルマン ミンクス 1953)

 

 イスズ ヒルマン ミンクス 初代 PH10型は4気筒1.3L(38HP)を搭載する4ドアセダンの小型車で、4段変速、最高速度110km/hの性能でした。当時このような乗用車が購入できたのは、ごく一部の富裕層だけでした。1956年にはヒルマン ミンクス 2代目のPH100型に切り替わり、技術の習得が進むにつれ部品の国産化と細かい仕様変更が進み、1957年には国産化が完了しました。その後もエンジン排気量の1.5Lへの拡大などマイナーチェンジが続けられ、1964年まで生産されました。

 

 

 ミニカーは2004年に発売されたイギリスのバンガーズ製です。イギリスのバンガーズは老舗コーギーのブランドで、2000年頃に登場しました。1/43サイズで主に1960-1990年代のイギリス車をモデル化しています。これは本家ルーツグループのヒルマン ミンクス 1958年をモデル化しています。イスズのヒルマン ミンクス PH100型とはフロントグリルなど外観が多少異なりますが、基本的なスタイルはほとんど同じです。イスズ ヒルマン ミンクスの当時物のミニカーはモデルペットとミクロペットがありましたが、大変貴重なレア物で実物を見たことがありません。最近のミニカーではトミカ リミッテドが1956年式と1963年式をモデル化しています。 以下はフロント/リアの拡大画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
 

ISUZU HILLMAN MINX 1
ISUZU HILLMAN MINX 2

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