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フィアット タイプ 2 (15/20HP) イタリア 1910年
大型の高級車を作ってきたフィアットは1908年に小型車のタイプ 1(12/15HP)を発売しました。タイプ 1は4気筒1.9L(15HP)エンジンを搭載した小型車で、4段変速で最高速70km/hの性能でした。この車は基本的にはタクシーキャブで、イタリアだけではなく欧州の大都市のタクシー会社で大量に使われました。タクシーキャブを大量生産して市場を拡大するやり方は、同時期のフランスのルノー タイプ AGと同じでした。タイプ 1は1922年まで生産され、総生産台数は約6000台でした。(実車画像→ フィアット タイプ 1 1908)
1910年には一般向けとしてタイプ 1をベースにしたタイプ 2 (15/20HP)が登場しました。タイプ 2は4気筒2.6L(20HP)エンジンを搭載した中型車で、4段変速で最高速70km/hの性能でした。ただしまだ高価格で大衆車とは言えませんでした。タイプ 2はイタリアの軍隊に正式採用された最初の車となりました。1912年にエンジンを4気筒2.8L(28HP)に拡大したタイプ 2Bに変わりました。ボディ形式はランドレー型セダン、オープンのトルペード、商用バンなどがありました。1920年まで生産され、タイプ 2/2Bの総生産台数は約2.2万台でした。
ミニカーは1978年頃に発売されたリオ製です。お抱え運転手が運転するランドレー型セダン(後部が幌になっている)をモデル化しています。リオのクラシックカーはマニア向けで灯火類、操作レバー、フェンダーなどの細かいパーツから、シャーシやサスペンションなどのメカ部分までリアルに再現されています。このタイプ 2も折れ曲がったフロントスクリーンやボンネットからキャビンにつながる曲面的な造形など実車のボディ形状をよく再現しています。エドワード期のクラシックカーのミニカーとして非常に良い出来ばえです。タイプ 2のミニカーはこれしかありませんので、車種的にも貴重です。 以下はフロント/リアの拡大画像と運転席周りの画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
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フィアット タイプ 4 (35HP) イタリア 1911年
前述したように大型の高級車を作ってきたフィアットは1908年に小型車タイプ 1(12/15HP)を発売しました。1910年にはタイプ 2が登場し、フィアットは自社のラインアップを一新し、タイプ 1からタイプ 6まで6車種を設定しました。以下はその概要です。
タイプ 4は上から3番目の高級大型車ですが、タイプ 5/6は最上級車ですから一般向けでは一番上級の車だったはずです。4気筒5.7L(45HP)エンジンを搭載し、4段変速で最高速95km/hの性能でした。ボディ形式はランドレー、リムジン、オープンのトルペードなどが架装されました。トルペード仕様がイタリア国王が旅行の際に使用する車として使われたそうです。この車はアメリカのフィアット工場でも生産され、アメリカではタイプ 56(35HP)の名前で販売されました。1918年まで生産され、総生産台数は約700台でした。
ミニカーは1960-1970年代に発売されたクラシックカーの専門ブランドのドゥグー製です。タイプ 4のオープン仕様のトルペード(3列シート)をモデル化しています。ドゥグーは大人のマニア向けのミニカーで、イタリアのビスカレッティ自動車博物館に保存されている実車を忠実にモデル化していました。このタイプ 4も全体的なバランスが良く、フロントグリルや灯火類の細部も実車に忠実に出来ています。メッキパーツがピカピカではなく少し鈍いメッキになっているのが、いかにも古い車らしいリアルさがあります。(少し埃で汚れていることもありますが) また幌の前端をフェンダーに接続している革バンドは本物の皮革なので経年劣化で半分腐ってしまい、触ると完全に崩壊する寸前の状態になっています。なおドゥグーのミニカーにはホイールが溶ける問題があるのですが、このタイプ 4に関してはホイールの材質が異なるようでその問題は発生していません。これ以外のタイプ 4のミニカーはガマの1/45がありました。 以下はフロント/リアの拡大画像と運転席周りの画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
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フィアット S76 イタリア 1911年
前述したようにフィアット F2はGPレースの頂点を極めましたが、その後のGPレースでは大排気量エンジンを搭載した馬力重視型のレースカーは時代遅れになっていきました。そこでフィアットは大排気量エンジンのGPカーを使って自動車の速度記録樹立に挑戦することになりました。当時の速度記録は1911年に4気筒21.5L(200HP)エンジンを搭載したベンツ ブリッツェンがデイトナ ビーチで達成した時速228.1km/hでした。そこでフィアットはベンツ ブリッツェンを上回る排気量28354cc(290HP)という史上最大の自動車用4気筒エンジンを搭載したS76で世界記録樹立を目指しました。
S76は何度か速度記録に挑戦しましたがうまくいきませんでした。1913年のベルギーのオスランドでの速度記録挑戦では、往路で132.37mph(213.02km/h)が計測されましたが復路の計測ができず記録は達成できませんでした。(非公式ではアメリカで最高速290km/hに達したともいわれていますがこれは?です) S76は速度記録車なのでそれなりに空力的なデザインがされていますが、エンジンが巨大なのでボンネット部分が異様に高い独特の形をしています。見た目だけでも迫力がありますが、エンジンを始動させると強烈な爆発音が鳴り響きボンネット横の排気管からは炎が噴き出したそうです。
ミニカーは1960-1970年代に発売されたクラシックカーの専門ブランドのドゥグー製です。ドゥグーは大人のマニア向けのミニカーで、イタリアのビスカレッティ自動車博物館に保存されている実車を忠実にモデル化していました。このフィアット S76も独特の迫力のあるボディが良く再現され、実際に可動する後輪駆動用チェーンなど凝った作りです。ドゥグー初期のミニカーのホイールは経年変化で溶けてしまうという問題があり、このS76のホイールも似たようなデザインの別のミニカーのホイールに交換してあります。ホイールの色合いがボディと少し異なり違和感があるのはそのせいです。(オリジナルのホイールはボディと同色に塗装されていました) これ以外のS76のミニカーは2017年に発売されたAUTOCULT(レジン製)があります。 以下はフロント/リアの拡大画像と後輪駆動用チェーン部分の拡大画像です。チェーンとスプロケットは軟質プラスチック製で実際に回転させることができます。 (画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
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アルファ 60HP コルサ (レーシングカー) イタリア 1911年
20世紀初頭にイタリアでフランスのダラック社の自動車の組立てが行われていました。ダラック社が経営不振となり、そのイタリア工場を買収して1910年に設立されたロンバルド自動車製造有限会社(A.L.F.A.: Anonima Lombarda Fabbrica Automobili)はその頭文字から製品をALFAと名づけました。これが後のアルファ ロメオ社の始まりと名前の由来です。1918年に実業家のニコラ ロメオがA.L.F.A.の株を買い取り、会社名がSocieta Anonima Italiana Ing. Nicola Romeo(ニコラ ロメオ技師株式会社)に代わり、この時にアルファ ロメオというブランド名ができました。さらに1930年に社名がS.A. アルファ ロメオ(S.A. Alfa Romeo)に変更されました。
最初のアルファは24HPという名前で、4気筒 4084cc(45HP)エンジンを搭載し、4段変速機を介して最高速度100km/hの性能でした。この車は高性能でしたので、すぐにレースに参戦しました。この24HPに続いて30HP(4気筒4.2Lエンジン)、40/60HP(4気筒6.1Lエンジン)がレースで活躍したことで、アルファ ロメオはスポーツカーメーカーとしての地位を確立していきました。(実車画像→ アルファ 24HP)
ミニカーは1981年に発売されたブルム製で、自動車初期のレーシングカーのシリーズ物の一つです。まだアルファ ロメオというブランド名ではないアルファ 60HPのレース仕様車をモデル化しています。まだカーボンが使われていなかったので白い色をしているタイヤや、シート背後の「ALFA」のロゴが付いたタンクなどが再現され、当時のミニカーとしてはかなり良い出来ばえでした。これ以外の60HPのミニカーはポリトーイ初期のプラスチック製がありました。 以下はフロント/リアの拡大画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
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フィアット タイプ 0 (12/15HP) イタリア 1912年
前述したようにフィアットは1910年にタイプ 1からタイプ 6のラインナップを設定しましたが、自動車のさらなる普及を狙って1912年に小型車 タイプ 0を登場させました。タイプ 0は従来はカロッツェリアが架装していたボディをオープン4シーターに限定して自動車メーカー標準仕様とすることで大量生産しました。(この大量生産はアメリカのフォード T型と同じやり方です) 大量生産と小型化でタイプ 0は当時の同じクラスの車の約半値という低価格を達成しました。4気筒1846cc(19HP)エンジンを搭載し4段変速で最高速度62km/hの性能は小型車として十分なものでした。
フィアットとしてはボディの標準化もこのような小排気量エンジン搭載もタイプ 0が初めてでした。またボディが標準化されたので、灯火などの電装品も標準装備されていました。標準ボディ以外には2シーターのスパイダーなどが架装されました。低価格の小型車としてタイプ 0は大ヒットし、自動車の大衆化の先駆けとなりました。タイプ 0はイタリア国内だけでなくヨーロッパ諸国に輸出されました。イタリアが第1次大戦に参戦したので、タイプ 0の生産は1915年に中止となりました。約3年間で2200台以上が生産されたようです。
ミニカーは1970年代に発売されたイタリアのリオ製です。リオのクラシックカーはマニア向けで灯火類、操作レバー、フェンダーなどの細かいパーツから、シャーシやサスペンションなどのメカ部分までリアルに再現されていました。このタイプ 0はリオ初期のモデルですが、フロントグリルや灯火類などの細部がリアルで当時のミニカーとしては格段にレベルの高い仕上げでした。(2023年現在でも通用するレベルです) なお幌の前端とフェンダーを接続している革バンドは本物の皮革でできています。(ただし皮革が使われていたのは初期だけで、後にプラスチック製に変わりましたが) フィアット タイプ 0のミニカーはこのリオ製しかないようです。 以下はフロント/リアの拡大画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
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