ミニチュアカー ミュージアム

VIP CAR VIPの車

フランス大統領専用車

 フランスのVIPカーとして大統領専用車を紹介します。フランスの大統領専用車については米国のようにまとまった情報源がみつからないので、各種の断片的な情報をまとめて記載しています。そのためやや正確さにかける部分もあると思いますが、あしからずご了承ください。

戦前の大統領専用車 ルノーの時代

 20世紀初頭のヨーロッパでフランスはドイツと並ぶ自動車先進国で、当時の自動車メーカーとしては、ルノー、プジョー、パナールなどがありました。その中でもルノーはタクシーや商用車で成功しフランス最大のメーカーとなっていきました。そんなわけで第二次世界大戦以前の大統領専用車は全てルノーが担当しています。

 

 1913年に発表されたルノー40CV(6気筒 7.5L)は1928年までの長い間ルノーの最高級車として君臨した車でした。この車のミニカーはいくつかありますが、ソリド(フランス)が大統領車をモデル化しています。ボディをフルオープンとして左サイドにフランス国旗(トリコロールカラーの三色旗)を付けて大統領車仕様としています。国旗がついているのが大統領車の証ですが、それ以外に特別な装備が付いていたのかどうかは資料がないのでわかりません。

 

 この当時のルノーは、特徴的なフロント部分の形状からアリクイとか象の鼻などと呼ばれており一目でルノーだと分かります。なぜこのような形状のフロント形状かというと、通常フロント先端に配置されるラジエターが運転席側に配置されているからです。(サイドにスリットがある部分(スペアタイヤの位置)にラジエターが内蔵されています)

renault 40cv president
RENAULT 40CV PRESIDENTIELLE 1926
SOLIDO製  1/43 画像をクリックするとフロントの拡大画像に変わります
   
 ルノーの旗艦40CVは1928年に8気筒 7.1Lエンジンを搭載したレナステラに変わります。1929年にはラジエータがフロントエンドに移され特徴であった「象の鼻」がなくなり、当時のアメリカ車のようなラジエータグリルを持つようになります。レナステラ以降の旗艦(8気筒モデル)としてはネルヴァステラ、ヴィヴァステラなどがありました。大統領車としては1930年代前半はレナステラ、後半はネルヴァステラ、ヴィヴァステラが大統領車として使われていたようです。ボディ形式としては運転席だけがオープンになっている古典的なクーペやカブリオレが使われています。

 

 ミニカーは大統領車仕様ではありませんが、1934年式のレナステラです。この車はまだライトが独立していますが、ネルヴァステラ、ヴィヴァステラではライトがフェンダーに埋め込まれています。  

renault reinastella 1934
RENAULT REINASTELLA 1934 SOLIDO製 1/43

戦後の大統領専用車 タルボ

 第二次大戦中ナチス ドイツがフランス全土を占領し、ルノーはやむなくナチス ドイツに協力することになりました。戦後ナチスに協力したことでルノーの経営者は国外追放となり、ルノーは1945年に「ルノー公団」として国有化され小型車を主体とした車種構成に変わります。そんなわけでルノーには大統領車として使える大型車がなくなりましたが、戦後しばらくの間はルノーの戦前モデル(1939年式スープラステラ)が大統領車として使われていたようです。

 

 1947年に就任したヴァンサン オリオール大統領(1947~53年)は大統領車をタルボに変えました。タルボはもともとイギリスとフランスに工場があった会社でしたが、この時期にはフランス工場を買収したアンソニー ラーゴのもとでタルボ ラーゴという名前の高性能な高級車を生産していました。なぜタルボが選ばれたかというとオリオール大統領がタルボ車のファンだったからだそうです。

 

 ベースとなった車は6気筒 4.5Lエンジン(170HP )を搭載したレコードという車で、170km/hを誇る高性能ツーリングカーでした。大統領専用車はこのベース車のシャーシを延長してソーティック製の特注ボディが載せられています。この車をフランスのHECO(へコ)がミニカーにしています。HECOはフランスの名車を中心にして1/43サイズのホワイト メタル完成品モデルを製作しているメーカーで、大統領車シリーズのひとつとしてこの車がモデル化されています。大統領専用車であることを示すエンブレム(トリコロールカラーの楕円形)がボンネットの先端についていますが、このエンブレムは戦前の大統領車の写真には見られないので、この車が最初に使用したのかも知れません。300台限定生産のミニカーで私は持っていませんので画像はHECOのWEBサイトから流用させて頂きました。

talbot president
TALBOT LAGO RECORD PRESIDENTILLE 1947  HECO製 1/43
   

大統領専用車 シトロエン 15CV

 大統領が変わると大統領専用車はすぐに別の車になってしまいます。1953年に就任したルネ コティ大統領(1953~58年)はシトロエンを大統領専用車に選びました。当時のシトロエンの大型車トラクシオン アヴァン15CV(6気筒 2.9L)をベースにして、特別注文ボディを載せた大統領専用車が2台作られました。一台はフォーマルなリムジーンでもう一台はパレード用のカブリオレです。そのカブリオレがHECOの大統領車シリーズでミニカーになっています。この画像もHECOのWEBサイトから流用させて頂きました。

 

 下の左側が大統領専用車で右側がベースとなった15CVです。大統領専用車はその証のエンブレム、国旗がついていて、ナンバープレートは「1-PR75」となっています。シャプロン製(フラネイ製との資料もある)のカスタム デザインのボディは当時の戦後型セダンの代表的なスタイルとなっていて、15CVがベースであることはわからないと思います。15CVは戦前のデザインですので、このように大幅に変更されたのはしょうがないと思いますが、シトロエンのファンである私としてはちょっとさびしい気がします。なお画像ではわかりにくいですがラジエータ グリルの真ん中にはシトロエンの象徴であるダブル シェブロンの丸いエンブレムが付いています。


 この車のデザインで唯一ユニークな点は後部ドアの後端が極端に下がっていることで、これは乗車している大統領やゲストの姿が良く見えるようにとの配慮だそうですがデザイン上の良いアクセントとなっています。この車は約20年後の1974年まで現役で使われたようで1970年代のポンピドー大統領時代に使われている写真があります。

 画像はありませんがもう一台のリムジーンのほうもシャプロン製で、フロント グリルが少し違ったデザインになっていてナンバープレートは「2-PR75」です。後部ドアは普通のドアでやや大きめのサイドウインドーがついたオーソドックスなリムジーンとなっています。

citroen 15cv president      citroen 15cv
CITROEN 15CV PRESIDENT 1956 HECO製 1/43
CITROEN 15CV 1938 SOLIDO製 1/43
   
2010年4月追加  HECOの大統領車のモデルにルノー フレガトのストレッチド リムジーン大統領専用車が追加されました。ルノー フレガトは1951年に登場した当時のルノーの最上級車でした。以下のシムカ プレジダンス大統領専用車と同じ時期に、このルノー フレガト大統領専用車も存在したようです。ただルノーは戦時中ナチスに(やむを得ず)協力したので、戦後は冷遇されました。この車はあまり情報がないので、ほとんど使われなかったように思われます。
   

大統領専用車 シムカ プレジダンス

 1958年に就任した有名なシャルル ドゴール大統領(1958~69年)の時代にはド ゴールが望んだわけではないと思いますが、大統領専用車にシムカが使われています。シムカはもともとフィアットのフランス版で始まった会社で1954年にはフォードと合併しており当時の車は小さなアメリカ車といった感じでした。生粋のフランス車ではないシムカが大統領専用車に選ばれた理由には、なんとなくアメリカの影響力を感じますがその辺の事情はよくわかりません。

 ベースとなったシムカ プレジダンス(V型8気筒 2.5L)は1958年に発表されたシムカの最高級車で、リアのテールフィン、側面のクロームモール、ホワイトリボンタイアなどにアメリカ車の影響が見て取れます。この車をベースにしてシャーシを延長してカブリオレ形式の大統領専用車が作られました。この車も製作はシャプロンが行っているようです。

 

 この車のミニカーはノレブとヘコが作っています。画像は大統領のフィギュアのついたノレブのもので大統領専用車の印である先端のエンブレム、ナンバープレート「4 PR 75」、国旗が再現されています。黄色のライトもフランス車の雰囲気をだしています。


ノーマルのプレジダンスのミニカーを改造して作ってあるので、実際の大統領専用車より全長が少し短かめに出来ています。(大統領専用車は後席部分が広くなっていて、後部ドアがそのぶん大きくなっています)  ヘコのミニカーは前述の大統領車シリーズのひとつで、WEBサイトの画像をみるとかなり精密にできているようです。ただミニカーとしてはフィギュアがついているノレブの方が面白いです。

simca president
SIMCA PRESIDENTIELLE 1959 NOREE製 1/43
画像をクリックするとフィギュアの拡大画像に変わります
 ちなみに国旗の取り付け位置ですが、本来は右側に一本だけフランス国旗を立てます。ただし外国からの国賓が乗車されている時には右に相手国旗を左にフランス国旗を立てるとのことです。(ただこれは現在の基準ですので昔もそうだったかどうかは?です)また大統領専用車のエンブレムで赤と青の配置が逆になっているのも何か意味があるのかも知れませんが??不明です。

ドゴール大統領のシトロエン DS19

 公式の大統領専用車はシムカだったようですが、ド ゴール大統領の車として有名なのは実はシトロエンDS19(4気筒 2L)です。シトロエンDS19については車好きの人にはあえて説明するまでもない車ですが、1955年に発表された極めて革新的な車で50年後の今日でも大変魅力的な車です。ド ゴール大統領はDS19がお好きだったとのことで何台ものDS19を公用車として使っていました。実際にド ゴール大統領がDS19に乗っている写真はたくさんありますが、上記のシムカに乗っている写真は見当たりません。また1962年にパリ郊外でド ゴール大統領が機関銃で狙撃された際、片方の後輪をパンクさせられながらも前輪駆動ゆえに止まらずに駆け抜けて大統領の命を守ったのもDS19(と優秀な運転手)です。

 

 DS19は非常にたくさんのミニカーが作られています。その中からド ゴール大統領の車をモデル化したものを紹介します。いずれも大統領のフィギュアが乗っていてパレードの模様を再現したモデルになっています。ただ大統領専用車を示す楕円形のエンブレムがどの車にもついていないので、少し格が落ちる大統領公用車といった扱いなのでしょうか。車そのものもDS19の標準的なボディで特注ボディではありません。(DSには特注のプレステージ仕様が用意されていたのですがその仕様でもなかったようです)

 

 上段の2台はパレード用に屋根をキャンバス トップに改造したもので、左側の車のナンバープレートは「3 PR 75」となっており右側の車は「2127 W16」(最近発売された改良版では「OJ-37-71」?)となっています。「3 PR 75」は大統領が乗ってパレードしている実車の写真がありますが、それをみるとこの車には下段の右側の車についているような補助灯がついているのが正しいようです。
下段の車は2ドアのカブリオレ仕様で、左側の車のナンバープレートは「43 E」となっており右側の車は「GPT-651」となっています。この2台についている旗はフランス国旗ではなく戦時中の自由フランス軍の旗となっています。右側のミニカーの箱には実車の写真と仏領ソマリア(現在のジブチ共和国)の地図を載せたパンフレットが付いていますので、そこで使用された専用車であると思われます。ちなみにド ゴール大統領のフィギュアとしてはこの車のフィギュアが一番それらしい感じがします。

citroen ds president1      citroen ds president2
CITROEN DS19 VITESSE製 1/43
CITROEN DS19 1962 RIO製 1/43
citroen ds president3      citroen ds president4
CITROEN DS19 1966 RIO製 1/43
CITROEN DS19 1959 RIO製 1/43
 

大統領専用車 シトロエン DS21

 DS19を愛用していたド ゴール大統領が新しい大統領専用車の開発を命じた先は当然ながらシトロエン社です。その結果1968年に完成したのがシトロエンDS プレジデンシャルです。ベースとなったのはおそらく1967年に発表されたDS21ですが、そのシャーシは全長6.5mまでストレッチされ、ユニークなDS21のスタイルがより一層強調された巨大な車となっています。ド ゴール大統領御用達ということで前述したテロ攻撃などに対応した厳重な防弾装備が施されたこの車の重量は2.6tを超えています。コーチビルダーはこの手の特注車には欠かせないシャプロン製で、革の内装はエルメスやルイ ヴィトンといった有名ブランドの職人が丁寧に仕上たものだそうです。

 ただエンジンはオリジナルのDS21のまま(4気筒2175ccでたったの106HP)だったそうで、米国の大統領専用車のようにハイスピードで突っ走るのは無理だったようで、この辺の割り切り方はシトロエンらしいです。またボディカラーがこの手の車の定番の黒ではなくグレーのツートンなのもシトロエンが作った大統領車ならではと思います。ルノーやプジョーもフランス車の代表ですが、個人的な好みをいうとシトロエンこそがそのユニークさで一番フランス車らしいと思いますので、フランス大統領専用車としてはこの車が最高傑作だと思います。

 このすばらしい車にはそれに見合った最高に出来のいいミニカーがあります。フランス ディンキイ社後期の作品で、当時の同社の技術の全てをつぎ込んだ気合いが感じられるミニカーです。実車がでかいのでミニカーも全長が15cmもある迫力の大きさで、フロントの特徴的な面構えや全体的なシルエットも実車に非常に忠実です。

citroen president1      citroen president2
 CITROEN DS PRESIDENTIELLE 1968 DINKY製 1/43
右側の画像をクリックするとDS23(DINKY製)と並べて大きさを比較した画像となります
   

 リアドアとトランクが開閉でき、ドアを開けてみると室内には起毛仕上げがされていて豪華な感じを醸し出しています。ついでにあまり必然性はないのですが、室内灯が点灯する当時としては凝ったギミックまでついています。(単四乾電池の収納部と点灯スイッチが底面にあります) また箱も特別仕様のでかいパッケージで、お値段も通常の3倍くらい(確か2700円)した特別なミニカーでした。(たぶんそれでも出血大サービスの値段だったと思いますが) 大統領専用車のエンブレム、国旗、「1 PR 75」のナンバープレートもしっかり再現されています。

 

 なお私の保有するミニカーは経年変化でリアのメッキ部分が剥離しています。何もしなくてもこのようになるのは残念ですが、最近の精密なミニカーも20年もたてばこのようなことが起こる可能性がありますね。 HECOもこの車をモデル化しています。HECOのWEBページは一番下にリンクがありますので、見たい人はリンク先へ飛んでください。

citroen president3
室内灯の点灯ギミック
画像の上にマウスカーソルを載せると点灯します
 

 2009年にノレブからもDS プレジデンシャルのミニカーが出ました。以下がその画像です。右側の画像をクリックすると、上記の仏ディンキー製と並べた画像が表示されます。大きさやプロポーションはほとんど同じで、これは仏ディンキーがスケールモデル的に正確であったことを実証しています。両車の違いでまずボディカラーですが、ノレブの方がグレーの色合いが薄いです。実車の写真を見ると、仏ディンキーの方がそれらしい色合いのように見えます。(HECOのモデルも仏ディンキーの色に近いです) 

 

 次に国旗と大統領専用車エンブレムです。ノレブは国旗が付いていませんが、これはこの車の性格上付けて欲しいです。またエンブレムの大きさですが、これはノレブの方がスケール的には正しいですが、仏ディンキーのように大きめにしても別にかまわないと思います。あとはフロント バンパーのスモール ライトなど細かいところの仕上げの違いがあり、ノレブにはドア開閉などのギミックがなく、室内の造形も素っ気なく、フィギュアも付いていません。そんなわけでノレブのミニカーは正確に出来ていますが、絶頂期の気合いが入った仏ディンキーと比べると、遊び心的な魅力がいまひとつといった気がします。

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CITROEN DS PRESIDENTIELLE 1968 NOREV製 1/43
右側の画像をクリックすると上記仏ディンキー製と並べた画像となります
 

大統領専用車 シトロエン DS23

 1975年まで生産されたDSシリーズの最終版であるDS23もジスカールデスタン大統領(1974~81年)が大統領車として使用しています。実車の画像がWEB上にありましたが、国旗がついていることを除けば普通の黒いDS23に見えます。

 この車はユニバーサル ホビーがモデル化しています。フランスのミニカー付き雑誌「Passion Citroen」向けに作られたもので、箱などが無い状態で入手しました。(多分製造メーカーから横流しされたものと思われます) 大統領車としての特別なところは国旗とフロント スクリーン上のトリコロールカラーの楕円形シールです。フロント バンパー下の左右にあるライト状のものはフォグランプのレンズカバーで、これは実車に即したものです。またリア バンパー下の左右にあるオレンジ色のライトはバックアップ ライトです。このフォグランプや室内の造形など、このDS23は結構細かいところまで再現されていてかなりいい出来映えです。なおフロントのライセンス プレートが付いていませんが、実車はここに「691A PR75」のプレートが付いています。

ds23 president1      ds23 president
CITROEN DS23 PRESIDENTIELLE 1972 UNIVERSAL HOBBIES製 1/43
   

大統領専用車 シトロエンSM

 DS プレジデンシャルがオープンタイプではなかったので、ド ゴールの後を継いだポンピドー大統領時代(1969~74年)の1972年にパレード用としてシトロエンSMをベースにした大統領専用車が作られました。シトロエンSMもあえて説明するまでもありませんが、1970年に発表されたマセラティ開発のV6エンジンを積んだ200km/hオーバーの高性能GTカーです。SMは2ドアですが、大統領専用車はやはりシャプロン製で、シャーシをストレッチして4ドア コンバーチブルにした全長5.6mのこれも長い車です。SMは当時のシトロエンの最高級車で華やかな車でしたからこの手の車にはまさにうってつけだったと思います。(当時SMの4ドア版をフランスの富豪層が望んでいたそうですが、結局実現しませんでした)この車のナンバープレートは「2 PR 75」です。

 

 この車のミニカーは何台かあります。そのなかで一番出来がいいのは数年前のノレブ製です。実はこのミニカーは1970年代に作られていた下段右側のミニカーをリファインしたもので、大統領車のエンブレム、国旗を追加し細部の仕上げを丁寧にすることによってもとのミニカーとはまったくの別物に仕上がっています。もちろん基本的なシルエットが悪くないからですが、同じ素材でもこれだけ変えられるということにです。下段の左側はレプリカーズ製となっていますが、閉じた状態の幌が付けられているだけで実はこれも本体の金型はノレブの物を使っているようです。結局この3台は同じ型を使った物ということです。なお保有していませんが、これ以外にもユニバーサル ホビーもこの車を作っていてそれは画像を見る限りでは型が別のような感じがします。なお上段のミニカーは先に紹介したノレブのSIMCA PRESIDENTIELLEと組み合わせてセットにしたものが2005年に発売されています。

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CITROEN SM PRESIDENTIELLE 1972 NORVE製 1/43
 
citroen sm president3      citroen sm president4
CITROEN SM PRESIDENTIELLE REPLICARS製 1/43
CITROEN SM PRESIDENTIELLE NORVE製 1/43
 

近年の大統領専用車 プジョー、ルノー、シトロエン

 これ以降の大統領専用車については、大統領専用車を示すエンブレムが付けられた実車の画像を見つけられないのではっきりしたことがわかりません。たぶん現在もSMの大統領専用車は現役でそれ以外に大統領が使う専用車は何台もあるのだと思います。したがって、以下の車は大統領専用車というよりは大統領が使用した公用車(装甲を施した専用車と思われるものもありますが)ということになります。

 

 ジスカールデスタン大統領は前述のようにシトロエンDS23の大統領車を使っていたようですが、彼の時代にシトロエンDSの後継車がプジョーになったようです。プジョー604((V型6気筒2.7L)はプジョーが1975年に発表した戦後初めての大型高級車で、この車をベースにしたストレッチド リムジーンが大統領車として使われたようです。

 

 ミニカーは当時のソリド製 この車は見てのとおり極めてオーソドックスなデザインの4ドア セダンですが、さすがはピニンファリーナのデザインだけあって品があります。大統領専用車やローマ法王専用車に採用されていて、プジョーにとって高級車市場への足がかりとなったモデルです。

peugeot 604
PEUGEOT 604 1974 SOLIDO製 1/43
   
 ミッテラン大統領の時代(1981~95年)の1990年に国有化されていた「ルノー公団」は株式会社となり、1996年には完全に民営化されました。1975年にルノーは上記プジョー604のライバルとなる最高級車ルノー30を発表します。(ルノー30のエンジンはプジョー、ボルボと共同開発したものでプジョー604と同じでした) この30の後継車として1983年に発表されたのが25で、この車が大統領専用車として採用されたようです。こうして戦後冷遇されてきたルノーが大統領車に復活しました。

 

 ミニカーは当時のソリド製 このクラスの車としては珍しいことに5ドア ハッチバック形式のボディです。高級車といえども、実用性を重んじるところが合理的なフランス人の作る車らしいところでしょうか。

renault 25
RENAULT 25 1983 SOLIDO製 1/43
 
 同じくミッテラン大統領ですが、プジョーも大統領車として使っています。1990年発表のプジョー605(V型6気筒3L)は604の後継車で、1991年に大統領車に採用されているようです。(フランスのプジョー博物館「MUSEE DE L'AVENTURE PEUGEOT 」に展示されているらしい)

 

 ミニカーは同じく当時のソリド製 デザインはやはりピニンファリーナですが、604の角ばったスタイルから一転して丸みを帯びたデザインに変わっています。ルノーのハッチバック形式とは違い604と同じオーソドックスな4ドア セダンとなっています。

peugeot 605
PEUGEOT 605 1990 SOLIDO製 1/43
 
 さらにミッテラン大統領ですが、プジョー、ルノーがあるなら、シトロエンも大統領車として使っていたはずです。フランス大統領車について2年ほど前に調べたときには大統領車を紹介するWEBページにシトロエンCXの画像が掲載されていたのでほぼ間違いないと思います。シトロエンCXはDSの後継車として1974年に発表され、1989年まで生産されて後継車XMに変わっています。

 

 ミニカーは最近のミニチャンプス製 通常のCXより長い高級仕様のプレステージュ(4気筒2.5L)のモデルです。DSのデザインを踏襲した流線型のデザインで5ドア ハッチバック形式です。

citroen cx
CITROEN CX PRESTIGE 1982 MINICHAMPS製 1/43
 
 ミッテラン大統領は就任期間が14年間と長いのですが、その間に発表された新型高級車のほとんどが大統領車となっています。ルノー25の後継車であるサフラン(1992発表 6気筒3L)も大統領車として使っています。この車はミッテラン大統領と現在のシラク大統領(1995年~)が使用したとのことで、見た目は普通のサフランに見えますが装甲が施されており重量が3.5t!もあったそうです。

 

 この車をモデルにしたと思われるミニカーがあります。箱に「1995年の大統領選挙」と記載されていてフィギュアが3体ついていることから、フィギュアはこの選挙の候補者3人(シラク、ル ペン 、ジョスパン?)ではないかと思います。背景は大統領府のエリーゼ宮です。同じミニカーでミッテラン大統領のフィギュアが付いたものもあります。

renault safrane
RENAULT SAFRANE 1995 VITESSE製 1/43
 
 2002年に発表された、ルノーの最高級車ヴェルサティス(V型6気筒3.5L)も紹介しておきましょう。この車はたぶんシラク大統領が使用していたはずです。5ドア ハッチバックで極めて個性的なデザインで日本人の感覚ではあまり高級な車には見えませんから、そのせいで国内には輸入されていません。(なおこのデザインはさすがにフランスでも人気が無いらしいですが ちなみにエンジンは日産製)

 

 ミニカーはノレブ製 ノレブからは1/64サイズでトリコロールカラーのステッカーをフロント スクリーンに貼り付けたモデルも発売されていましたが、これは大統領車をモデル化したものだと思います。

renault velsatis
RENAULT VELSATIS 2002 NORVE製 1/43 
 
 最近まで(2005年頃まで)シラク大統領が使っていた大統領車はプジョー607でした。1999年に発表されたプジョー607(6気筒3L)は605の後継車です。(606というモデルはありません) 大統領車はボディを引き伸ばしたストレッチド リムジーンの特別仕様車で防弾装備などが施されていると思われます。

 

 ミニカーはノレブ製 通常の607のモデルです。プジョーが先便をつけたツリ目のヘッドライトはだんだんとつりあがり方が派手になってきて、この次はどうするのかと気になりますが、このデザインはピニンファリーナではないそうです。

peugeot 607
PEUGEOT 607 1999 NORVE製 1/43 
 
 最新の大統領車はシトロエンC6です。シトロエンが久しぶりに大統領車に復活していることが分かり個人的に嬉しいです。シトロエンC6(V型6気筒3L)はXMの後継車で2005年に発表されました。XMは直線的でやや平凡なデザインでしたが、C6はいかにもシトロエンといったユニークなデザインです。特に逆Rのついたリアウインドーやリアライトのデザインは独創的です。


ミニカーはノレブ製のシトロエン社特注モデルで専用の化粧箱に納められています。実車はまだ見たことがありませんが、ミニカーを見た感じではかなり幅が広い大型の車という印象です。(実際にはCXのプレステージュとほぼ同じ長さで車幅は10cmほど広くなっています) なおノレブから大統領車専用車仕様のC6が発売されるとのことです。どのようなモデルなのか楽しみです。

citroen c6.
CITROEN C6 2005 NORVE製 1/43
画像をクリックすると後方からの画像に変わります
 
 2007年はフランス大統領の選挙がありますが、次の大統領さんもシトロエンC6をフランス車の代表として引き続き使っていただきたいと思います。 2007/06追記 新しい大統領にはニコラ サルコジ氏が就任されました。5月の就任式の映像にはシラク前大統領がシトロエンC6に乗ってエリゼ宮を去る様子が映されていました。

 

  2012年のフランス大統領選挙にて、サルコジ大統領の再選はならず、社会党のフランソワ オランド氏が大統領に選出されました。オランド大統領が自身の新しい専用車に選んだのは、シトロエン DS5のディーゼル ハイブリッドカーです。5月15日の大統領就任パレードでこの新しい大統領専用車がお披露目されています。(就任パレードの画像) パレード用に屋根が開くように改造されていますが、それ以外の見た目は普通のDS5のように見えます。ナンバープレートが公用車のものではないので、この車が公式の大統領専用車かどうかは不明です。なおフランスのTV局が歴代の大統領専用車を紹介した動画がこちらにあります。(最初に白いDS5が出てきますが、これが大統領専用車のベースとなった車です)  2012年7月追加

 

以上で フランスのVIP CARの紹介を終わります。

2007/02  作成   2007/04  シトロエンC6画像追加 
2010/04  ルノーフレガト大統領車の追記、ノレブDS大統領車の画像追加
2015/06  スマホ版ページ追加

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