ミニチュアカー ミュージアム

自動車の歴史 時代/自動車メーカー別

 

CHAPARRAL 2J 1970 USA

CHAPARRAL 2J
(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
CHAPARRAL 2J


MEBETOY 6628 1/43 91㎜
 実車諸元 画像参照
外形寸法: 全長約3.68m 全幅約1.98m エンジン 変速機: V型8気筒 7.6L 760HP 3段自動変速
性能: 最高速 不詳  データーベースでシャパラル 2Jのミニカー検索

シャパラル 2J アメリカ 1970年

 

 1968年にスポーツカー選手権はプロトタイプカーの排気量を3L、スポーツカーの排気量を5Lに制限したので、大排気量のフォード GT40やシャパラルなどは出場できなくなりました。そこでシャパラルはカンナムに専念することになり、1968年シーズンは1967年に投入した2Gの改良型で参戦しました。この年もマクラーレンが圧倒的に強く全勝しています。このシーズン最後にはJ.ホールがレース中の追突事故で重傷を負いました。 (実車画像→ シャパラル 2G 1967 )

 

 1969年に新開発したシャパラル 2Hが登場します。2Hは従来のスポイラーによる空力利用を見直して、ボディ全体を楔形にして空気抵抗を減らす新しいデザインを採用していました。このデザインは目論見どおりにいかなかったようで、シーズン終盤には異様なほど大きなスポイラーを付けた2Hが登場しました。(実車画像→ シャパラル 2H 1969 )

 

 

 1970年にはシャパラルで最も独創的な設計がされたシャパラル 2Jが登場しました。2Jは真空掃除機と呼ばれましたが、その名のとおり掃除機のように車体下部の空気をファンで後方に吸出すようになっていました。車体は地面に張り付くことになり(グランドエフェクト効果)、強力なダウンフォースが常時得られるのでした。ファン駆動は専用の小型エンジンで行い、地面との隙間を最小限にする為に車体下部にスカートと呼ばれる緩衝材が付いていました。この方式はシーズン後に禁止とされ、この決定に失望したJ.ホールはカンナムから撤退しました。結局シャパラルはカンナムではマクラーレンに一度も勝てませんでした。その後シャパラルはローラ T333で1977年から再開されたカンナムに参戦したり、シャパラル初のオープンホイールの2Kで1979年からCARTシリーズに参戦しました。最終的に1982年にシャパラルとしてのレース活動を中止しました。 (実車画像→ シャパラル 2K 1979 )

 シャパラルが先鞭をつけたレースカーにおける自動変速機、スポイラー、真空掃除機方式(グランドエフェクト)などの技術は、その後のレースカーで全て一般化されました。(ファンを使うグランドエフェクトは禁止されましたが) 独創的な発想で「白い怪鳥」と呼ばれたシャパラルは、その技術の熟成不足と不運であまり勝てませんでしたが、レースカーの歴史に偉大な足跡を残しました。

 ミニカーは1972年に発売されたメーベトイ(マテル グラントロス)製の当時物です。1970年頃にアメリカのマテル社に買収されたメーベトイのミニカーはマテルお得意のフリーホイールを採用するようになったのですが、それを除けばメーベトイらしいセンスの良さが残っていました。このシャパラル 2Jも、最大の特徴であるリアのファンやボディ下部のスカート(黒い部分)などが再現されていて、リアカウルを開くと簡単な造形ですがエンジンなどがメッキパーツで再現されています。全体的な出来ばえは当時のミニカーとしてはレベルの高い物でした。これ以外の当時物ではマーキュリーやポリトーイがありました。当時物以外ではミニチャンプスがあります。 以下はフロント/リアの拡大画像とコクピットの画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)

CHAPARRAL 2J 1
CHAPARRAL 2J 2

 以下はフロント/リアのパネルの開閉ギミックとリアパネルを開いたエンジンルームの画像です。リア車軸の上にある金色の部分がファンを駆動する為の小型エンジンだと思われます。なお実車のエンジン部分はミニカーのような派手なカラーリングではありません。ファンもオレンジ色で目立つように誇張されていますが、実物は白か灰色の目立たない色でした。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
CHAPARRAL 2J 3
CHAPARRAL 2J 4

シャパラルのミニカー→ データーベースでシャパラルのミニカー検索"

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PORSCHE 908/3 PROVA 1970 GERMANY

PORSCHE 908/3 PROVA
(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
PORSCHE 908/3 PROVA


BEST MODEL 9031 1/43 83mm
 実車諸元 画像参照
外形寸法: 全長約3.54m 全幅約1.95m エンジン 変速機: DOHC 空冷水平対向8気筒 3L 360HP 5段変速
性能: 最高速275km/h  データーベースでポルシェ 908のミニカー検索

ポルシェ 908/3 プローバ ドイツ 1970年

 

 ルマンに代表される国際(スポーツカー)メーカー選手権は1968年にプロトタイプカーの排気量を3L、スポーツカーの排気量を5Lに制限して両カテゴリーを統一しました。その為3Lを超える大排気量エンジンのフェラーリ330フォード GT40が出場できなくなり、ポルシェが総合優勝を狙えるようになりました。そこで空冷水平対向8気筒3Lエンジンを新開発し、907ベースのシャーシに載せた908が1968年に登場しました。

 

 当初は907とほぼ同じスタイルで、テール左右にサスペンションと連動して仰角が変わるフラップが付いていました。また高速サーキット用のロングテール仕様の908LHもありました。1968年のニュルブルクリングで優勝していますが、クーペタイプの908はあまり活躍していません。

 

 

 1969年のレギュレーション変更でオープンルーフが可能となり、ルーフを外して軽量化した908/2に変わりました。後にボディもフェンダーの膨らみが無くウインドスクリーンが無い平板なスパイダースタイル(フルンダー(FLOUNDER:ヒラメの意)と呼ばれた)に変わりました。1969年シーズンはタルガ フロリオ、スパなどで10戦中7勝(917の1勝含む)してポルシェはメイクスチャンピオンを初受賞しました。なおルマンでは僅差でフォード GT40に次ぐ2位でした。後継車の917が登場後も軽量化した908/3や、2Lターボエンジンを搭載した908/4、908/80として1980年頃まで活躍しました。

 ミニカーはベスト モデル製で、1992年頃の発売です。908/3のPROVA(試験車 プロトタイプ)をモデル化しています。1990年頃のベスト モデルのミニカーは当時としては非常に出来が良く、現在のミニカーと比べてもあまり遜色がありません。(エンジンなどの細部は多少甘いですが) ベスト モデルは908/2から908/4まで約80種類もバリエーションを作っています。それ以外ではソリドやマーキュリーの当時物、最近のものではミニチャンプス、エブロ、シュコー、スパークなどがあります。 以下はフロント/リアの拡大画像と俯瞰/運転席周りの画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)

PORSCHE 908/3 PROVA 1
PORSCHE 908/3 PROVA 2

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FERRARI 312P 1970 ITALY

FERRARI 312P
(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
FERRARI 312P


SOLIDO 7173 1/43 99㎜
 実車諸元 画像参照
外形寸法: 全長約4.23m 全幅約1.98m エンジン 変速機: DOHC V型12気筒 3L 420HP 5段変速
性能: 最高速 不詳  データーベースでフェラーリ 312P/PBのミニカー検索

フェラーリ 312P イタリア 1970年

 

 1968年のレギュレーション変更で、グループ6のプロトタイプ スポーツカーの排気量が3L以下に制限され、フェラーリ 330 P4やフォード GT40などが参戦できなくなりました。それらの大排気量プロトタイプ スポーツカーは北米のカンナム(CAN-AM:カナディアン アメリカン チャレンジカップ)で活動するようになりました。(最高速を抑制するという理由でしたが、ヨーロッパのレースからフォード GT40などのアメリカ勢を締め出すのが目的だったともいわれています)

 

 フェラーリはプロトタイプ スポーツカーへの参戦を1年見送り、1969年シーズンから312Pで参戦しました。312Pは330 P4とほぼ同じシャーシ/サスペンションで、312 F1用のV型12気筒3Lを耐久レース用にディチューンしたエンジンと自社製5速変速機を搭載していました。312Pのデビュー戦は1969年のセブリングで2位でした。その後スパで2位となりますが、ルマンではリタイヤするなどあまり良い結果がでないままシーズンを終えました。

 

 

 1969年にグループ4スポーツカー(排気量5L)の最低生産台数が50台から25台に引き下げれたことで、排気量の大きいグループ4がプロトタイプより実質的に有利になりました。そこでフェラーリはグループ4の512S(排気量5L)を1970年に登場させました。ところが同じ理由でグループ4に進出したポルシェ 917が圧倒的に強くなり過ぎてレースが成立しなくなった為、1972年からは耐久レースは排気量3Lまでのオープントップ プロトタイプカーに限定することになりました。(当時はころころ変わるレギュレーションに翻弄されていました)

 そこで1971年に新レギュレーションに対応したフェラーリ 312 PBが登場しました。オープントップの312 PBは312Pより小さく軽量化され、エンジンは312B F1のエンジンを耐久レース用にディチューンしたものを搭載していました。1971年の312 PBは信頼性が低く、リタイアが多く1勝もしていません。1972年は大幅に改良された312 PBが、出場しなかったルマン以外の10戦を全勝し、マニファクチャーとドライバーズタイトル(J.イクス)を獲得しています。 1973年はレース予算が削減され、強力なライバル マトラの参入もあって、モンザとニュルブルクリングで2勝しルマンは2位で、マトラにマニファクチャラータイトルを奪われました。1974年には親会社フィアットの意向で、フェラーリはスポーツカーレースから撤退し、F1に専念することになりました。(実車画像→ フェラーリ 312 PB)

 ミニカーは1992年に発売されたソリド製で、1960-1970年代のソリド製のフェラーリのミニカー 12台を再生産してセットにしたセット物の1台でした。このミニカーのオリジナルは1970年に発売された当時物 フェラーリ 312P (型番177 1969年ルマン仕様)で、オリジナルの金属製ホイールがプラスチック製に変更されていますが、それ以外はオリジナルのままです。付属していたデカールを貼っていませんが、1970年のデイトナ出場車(#24 4位)をモデル化しています。1970年代のビンテージミニカーですので細部は簡素ですが、プロポーションが良く実車のイメージがうまく再現されています。リアカウルが開きエンジンが再現されています。ソリドは312 PBもモデル化していました。312P/PBの当時物ミニカーはディンキー、マーキュリー、ポリトーイ、メーベトイなどがあり、最近の物ではベスト ボックス、ブルムなどがあります。 以下はフロントの拡大画像とリア/リアカウルを開いたエンジンルームの画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)

FERRARI 312P 1
FERRARI 312P 2

 以下は1992年に発売されたソリド製の フェラーリ 312 PB (1/43 型番7173)の画像です。これも上述したフェラーリ 12台セットの一台で、ほとんどオリジナルのままのようです。(オリジナルもプラスチック製ホイールでした) 長いステーのバックミラーはオリジナルで、1970年代のミニカーでこのような形状のミラーを再現していたのはソリド製ぐらいしかなかったと思います。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
FERRARI 312PB 1
FERRARI 312PB 2

 以下は1998年に発売されたブルム製のフェラーリ 312 PB(1/43 型番R259)の画像です。1971年モンザの参戦車をモデル化しています。ブルムの初期のレースカーのミニカーは時代考証などが適当で今一つの出来でしたが、1990年代後半になると時代考証なども含めて出来上がりが良くなりました。この312 PBもホワイトレター付タイヤ/ホイールやシートベルト付シートなど仕上げが良くなりました。ブルムは312 PBを10数車種モデル化しています。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
FERRARI 312 PB 3
FERRARI 312PB 4

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FORD CAPRI MK I DRAGSTER 'THE SANTA POD Glow-Worm' 1970? UK

FORD CAPRI MK I DRAGSTER 'THE SANTA POD Glow-Worm'
(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
FORD CAPRI MK I DRAGSTER 'THE SANTA POD Glow-Worm'


CORGI 163 1/43 114㎜
 実車諸元 画像参照
外形寸法: 全長約4.9m 全幅約1.7m エンジン 変速機: V型8気筒 5.4L? 変速機不祥
性能: 最高速 不詳  データーベースでドラッグスターのミニカー検索

フォード カプリ MK I ドラッグスター 'THE SANTA POD Glow-Worm' イギリス 1970?年

 

 ドラッグレース(DRAG RACE)とは停止状態からスタートし一定の距離を走り抜けるまでの時間を競うモータースポーツです。単純に速さを競うレースで、元々はアメリカの若者が夜間に行っていた路上レースに端を発するようです。レースに使用するマシンをドラッグスター(又はドラッグカー、ホットロッドなど)と呼び、バイク、乗用車、トラック、セミトレーラーのトラクターヘッドまで多種多様な外観の車(中身は全くの別物)が使われます。走行する距離は特に決められていませんが、1/4マイル(約402m)で行われることが多く、日本では400mのレースをゼロヨンと呼んでいます。(参照ページ→ ドラッグレースの動画)

 

 

 

 ミニカーは1971年に発売されたコーギー製の当時物で、前述した型番303のカプリの型を流用して作られました。SANTA PODとはレースが行われるレース場の名前で、Glow-Wormとは「発光する芋虫?」の意でこの車の愛称のようです。モデルとなった実車は実在し外観はある程度忠実にモデル化していますが、内部構造などはコーギーが見た目重視で創作した部分があるようです。実車はボディを持ち上げて内部を見ることができますが、ミニカーもフロントバンパーを押すとスプリングでボディ全体が跳ね上がるギミックが付いています。内部はV型8気筒エンジンを搭載したシャーシが再現されていて、ドライバーも乗っています。ホイールはコーギーの初期のフリーホイール「Whizzwheels」ですが、外観はドラッグスター風になっています。 以下はフロント/リアの拡大画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)

FORD CAPRI MK I DRAGSTER 'THE SANTA POD Glow-Worm' 1
FORD CAPRI MK I DRAGSTER 'THE SANTA POD Glow-Worm' 2

 以下は内部の拡大画像です。室内には耐火性のレーシングスーツを着たドライバーが乗っています。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
FORD CAPRI MK I DRAGSTER 'THE SANTA POD Glow-Worm' 3
FORD CAPRI MK I DRAGSTER 'THE SANTA POD Glow-Worm' 4

 ドラックスターのビンテージ物ミニカーとしては同時期のコーギーのドラッグスターが数種類、マテル傘下メーベトイのドラッグスターが数種類、ポリトーイのドラックスター ドラゴ、マーキュリーのドラッグスター ジャックス デモン、ディンキーのドラッグスター セットなどがありました。ディンキーのドラッグスター セットはミニカーを押し出す発射装置付で、以下の画像の青色の箱が発射装置で、ミニカーをセットしてボタンを押すとミニカーがスプリングで押し出される構造でした。またこのようなドラッグスターのミニカーでなくても、当時のマッチボックスやホットホイールなどの小スケールミニカーは、走らせて遊ぶ為にスムーズに回転するフリーホイールを使っていました。当時のミニカーメーカーは走行させて遊ぶ為のトラックコースのセットも発売していました。以下は1971年のマッチボックスのカタログの抜粋で、発射装置やトラックコースなどが豊富にそろっていたことがわかります。これらは最近の大人向けのミニカーしかご存じない方は興味がないでしょうが、現在のトミカのミニカーにも同じような発射装置やトラックコースがあります。(最近の物はマイコン内蔵でもっと凝ってますが)

ディンキーのドラッグスター セット
DRAGSTER SET DINKY
マッチボックスの1971年カタログ 抜粋(クリックするとPDFファイルが表示されます)
SUPERFAST MATCHBOX CATALOG

 以下は1970年に発売されたポリトーイ製のドラッグスター ドラゴ (1/43 型番602)の画像です。これもモデルとなった実車があるのだと思いますが、派手な見た目重視でモデル化されたものだと思います。ミニカーの全長は135㎜あるので実車の全長は5.8mとなり、ずいぶん細長い鉛筆のようなボディです。大きなリアスポイラー、大きな排気管のV型8気筒エンジン、自転車のように細い前輪と太い後輪などドラッグスターの特徴がすべて盛り込まれた面白いミニカーです。コクピットのキャノピーが開閉するギミック付きです。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
DRAGSTER DRAGO 1
DRAGSTER DRAGO 2

 以下は1970年に発売されたマーキュリー製のドラッグスター ジャックス デモン (JACK'S DEMON) (1/43 型番69)の画像です。これは型番70のフィアット バリッラをベースにして作られたドラッグスターで、実車が存在するのかどうかは不明です。(多分マーキュリーの創作だと思いますが) これもむき出しの派手なエンジン、太いタイヤ、ロールバーなどでいかにもドラッグスターらしい車に仕立てています。ドアが開閉するギミック付きです。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
DRAGSTER JACK'S DEMON 1
DRAGSTER JACK'S DEMON 2

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PORSCHE 917K 1971 GERMANY

PORSCHE 917K
(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
PORSCHE 917K


BRUMM R221 1/43 100mm
 実車諸元 画像参照
外形寸法: 全長約4.12m 全幅約1.98m エンジン 変速機: 空冷水平対向12気筒 4.9L 600HP 5段変速
性能: 最高速354km/h  データーベースでポルシェ 917のミニカー検索

ポルシェ 917K ドイツ 1971年

 

 1969年のレギュレーション変更で排気量5Lのグループ4(スポーツカー)の認証に必要な生産台数が50台から25台に緩和されました。そこでポルシェはグループ4への進出を決め、908の8気筒をベースにして開発した水平対向12気筒4.5L(520HP)エンジンを搭載する917が1969年に登場します。シャーシはアルミ合金のスペースフレーム構造で、ボディはFRP製です。908と同じサスペンション連動のテールフラップを持つクーペスタイルで、ショートテールの917(1970年から917Kと呼ぶ)とロングテールの917 LHがありました。

 

 デビュー戦は1969年のスパで、たった1周でリタイアしています。このシーズンはルマンはリタイアで、オーストリアで1勝しただけでした。ハイパワー過ぎて操縦性に問題があったようです。1970年のポルシェはワークス活動を休止し、JWオートモーティブにレース活動を委託しました。エンジンが4.9Lに拡大され、917のショートテールはテール後端を跳ね上げてダウンフォースを得るデザインに変更され917Kとなりました。この改良で917Kは操縦性が向上し、10戦で7勝する強さを発揮しました。ルマンではポルシェ初の総合優勝を遂げ、メイクスチャンピオンも連覇しました。

 

 

 1971年も917Kの勢いは続き11戦で7勝(ルマンは連覇)し、メイクスチャンピオンを3連覇しました。917があまりに強かったのでレースが成立しなくなり、1972年にメイクスチャンピオンの対象が排気量3Lまでのオープントップ プロトタイプカーに限定され、917は参戦できなくなりました。そこでポルシェはカンナム(CAN-AM:カナディアン アメリカン チャレンジカップ)に軸足を移し、ターボチャージャーで1000HPにパワーアップした917/10Kを開発しました。1972年には917/30Kを追加しマクラーレンなどを退けて1972年のシリーズチャンピオンとなりました。(参照画像→ ポルシェ 917/30K)

 ミニカーはブルム製で、1994年頃の発売です。1971年モンザの優勝車をモデル化しています。現在の感覚でみると、テールフィンが分厚いなど大味なところがありますが、当時としては結構良い出来ばえでした。ブルムは917だけで約50種類のバリエーションを作っています。917のミニカーは非常にたくさんあります。当時物ではソリドの917Kと917/10、コーギーの917Kと917/10、マーキュリー、ポリトーイ、メーベトイなど当時の老舗ブランドのほとんどがモデル化しています。最近のものではミニチャンプス、オートアート、ノレブ、エブロなど約270種類がモデル化されています。 以下はフロント/リアの拡大画像と俯瞰画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)

PORSCHE 917K MONZA 1971 1
PORSCHE 917K MONZA 1971 2

 以下は1994年に発売されたブルムのポルシェ 917K #23 ルマン 1970 優勝車(1/43 型番R218)の画像です。1970年ルマンの優勝車をモデル化しています。このルマンではポルシェ 917L #3が2位、ポルシェ 908/2L #27が3位になり、1-3位をポルシェが独占しました。上述したモンザ優勝車の917Kはテールフィンが付いていますが、この917Kはテールフィンはなくテール後端が跳ね上がったデザインとなっています。ブルムは1970年ルマン関係の917だけでも10種類以上をモデル化しています。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
PORSCHE 917K LE MANS 1970 1
PORSCHE 917K LE MANS 1970 2

 以下は2000年に発売されたブルムのポルシェ 917K #20 'スティーブ マックイーン 栄光のルマン' (1/43 型番なし)の画像です。このミニカーは1971年に上映された映画 '栄光のルマン' で、主人公に扮するスティーブ マックイーンがドライブした劇中車#20をモデル化しています。この映画は1970年ルマンの実際の映像と映画用の映像を組み合わせて編集した、本格的なカーレース中心の映画でした。ルマンの実際の映像は撮影用にカメラを搭載したポルシェ 908/02 #29が1970年のルマンに参戦して撮影しました。ミニカーの箱は実車と同じ空/オレンジ色の専用箱で、箱の中にはスティーブ マックイーンと映画のハイライトシーンの画像が印刷された背景が付いていました。1000台の限定生産品でこれには箱に'No.0763/1000'というシリアル番号が表示されています。(値段は通常品の約2倍と高かったです) なお残念なことにドライバーフィギュア(スティーブ マックイーン)は付いていません。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
PORSCHE 917K LE MANS 1970 3
PORSCHE 917K LE MANS 1970 4

 以下は1998年頃に発売されたブルムのポルシェ 917K #24 #25 スパ 1000㎞ 1970 (1/43 型番SR219)の画像です。1970年のスパ 1000㎞で優勝した917K #24とリタイアした917K #25の2台をセットにして、レースのスタートシーンを再現した物です。当時の実際の画像がWEB上にありましたので、それを再現しているのでしょう。(参照サイト→ SPA 1000㎞ 1970) 通常品にはドライバーフィギュアが付いていないのですが、これにはドライバーフィギュアが付いています。これも限定生産品で、値段が25000円とかなり高価でしたので、生産台数は多分500台以下でしょう。これと同じ物が梱包箱を変更して型番AS60(限定生産250台)で2015年に再販されました。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
PORSCHE 917K SPA 1970 SET 1
PORSCHE 917K SPA 1970 SET 2

 以下は2018年に発売されたルマン24時間レースカーコレクションの917K ルマン #21 1970年(1/43 No.009)の画像です。メーカーはスパークの関連会社です。このルマン24時間レースカーコレクション シリーズに共通する、従来の雑誌付きミニカーのレベルを超えた良い出来ばえです。モデル化しているこの#21はエンジンのトラブルでリタイアしています。なお2020年にルマン24時間レースカーコレクションはNo.054で、優勝車の#23もモデル化しています。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
PORSCHE 917K LE MANS 1970 5
PORSCHE 917K LE MANS 1970 6

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