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プジョー ビクトリア フランス 1894年
前述した1894年の「パリ-ルーアン」トライアルレースの翌年には、史上初の自動車レース(スピードを争う)「パリ-ボルドー」(全行程1180kmと長距離)が開催されました。このレースで優勝したのはプジョーで、平均時速20km/hで走破しています。このレースは蒸気車(ド ディオン ブートンなど)も出場したのですが、完走したのはガソリン車のみで、ガソリン車の優位性が明らかにされました。このレースで使われたプジョーのエンジンはパナール ルヴァッソール社から供給されたダイムラー製でしたが、1896年には並列2気筒1645cc(4HP)エンジンを自社開発してタイプ 14に搭載し、以後はプジョー内製のエンジンに切り替えました。
プジョー ビクトリア(タイプ 8)は前述した前後向い合せの座席を持つヴィザヴィ(タイプ 3)のシャーシ前端をのばして、ドライバーが前に座れるように改良したものでした。(ドライバーの前方視界が確保されました) この当時自動車を生産していたのは、プジョーと同じフランスのパナール ルヴァッソールだけでした。プジョーには排気量が異なる2気筒エンジンを搭載した数種類のモデルがあったそうで、1900年の生産台数は約500台でした。エンジンを開発した本家ドイツの(ダイムラー)では自動車生産が本格化していなかった時期に、フランスでは自動車生産の企業化が確立されつつありました。
ミニカーは1960年-1970年代に発売されたフランスのクラシックカー専門ブランドのサフィール(SAFIR)製です。サフィールのクラシックカーは当時のミニカーとしてはスケールモデル的なリアルな作風で、細かいところまで良く再現され、かなり良い出来ばえでした。このプジョー ビクトリアも灯火/操作レバーなどがメッキパーツで再現され、黒/赤/白のカラーリングが綺麗で見ばえのするミニカーに仕上がっています。これ以外のプジョー ビクトリアのミニカーは、同じフランスのMINIALUXEがモデル化していました。 以下はフロント/リアの拡大画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
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ベンツ 最初のバス ドイツ 1895年
1880年代に世界初の実用的なガソリンエンジン自動車を開発したカール ベンツは、その技術をバスに活用すべく開発にあたりました。最初のバスはドイツのノルトライン-ヴェストファーレン州にあった「Netphener Omnibus-Gesellschaft(ネットフェン バス会社)」に納入されて1895年に運行されました。このバスは馬車バスを改造して単気筒(5HP)エンジンを車体後部に搭載したもので、平均速度は約11㎞/hの性能でした。乗車定員は8人で運転席にも2人乗れました。後部と屋根には荷物の収納スペースがあります。その後ベンツは2気筒(15HP)エンジンを搭載した馬車ベースの12人乗りバスを1898年に開発しています。
同時期に当時のライバルのダイムラー社もバスを開発していました。1898年にダイムラー社は馬車ベースではない本格的なバスを登場させました。このバスは2気筒(10HP)エンジンを搭載した10人乗りで最高速度は約20km/hの性能でした。また同年にダイムラーは2階建てバスを開発しイギリスの会社に納入しました。(参照画像→ ダイムラー 2階建てバス 1898) このバスは2気筒(12HP)エンジンを運転席下に搭載し、16人乗り(1階8人+2階8人)で、最高速18km/hの性能でした。このバスは成功しダイムラーのバスはドイツやイギリスに展開されていきました。1926年にダイムラーとベンツが合併しダイムラー ベンツ社が設立され、同社は現在もバスを製造しています。
ミニカーは1978年頃に発売されたドイツのカーソル(CURSOR)製です。元々はダイムラー ベンツ社の100周年記念プロモーション モデルとしてディーラー向けに12種類セットで製作されたミニカーでしたが、後に一般向けにも単品で販売されました。材質がプラスチックなので、灯火や操作レバーなどの細部が繊細に再現されていて、1970年代のミニカーとしては抜群に良く出来ていました。(ただし細かいパーツが壊れやすいので取り扱い注意です) 実車が忠実に再現されているので、ボディや車体構造が馬車そのままであったことが良くわかります。車体後部の箱の中にエンジンを搭載し、後輪をチェン駆動していました。屋根に表示された「Siegen-Netphen-Deuz」はジーゲンからネットフェン経由でドゥーズに至るドイツの国内路線であることを表示しています。 以下はフロント/リアの拡大画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
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ロシェット シュナイダー ヴィザヴィ フランス 1895年
ロシェット シュナイダー社は1984年から1932年まで存続したフランスの自動車メーカーでした。同社は自動車製造前は自転車を製造していました。最初の自動車はドイツのベンツ ビクトリアの構造を真似た単気筒の小型車で、外観はプジョーに似ていました。この車は後席下に単気筒エンジンを搭載し、エンジンから2段変速のベルトを介し後輪をチェーン駆動していました。照明用の2つのキャンドルランタンを装備し、後席上には日除けの白いパラソルを備えていました。また前席の足元にはラゲッジサポート(荷物置き)またはフットレストとして使うフロントプレートを備えていました。この車は1901年までに約240台が製造されました。
ロシェット シュナイダー社は1901年のパリ サロンで2気筒および4気筒エンジンを搭載したパナールを真似た車を発表しました。この車は信頼性が高いことで評判が良く成功しました。その後同社はフランスで当時有数の自動車メーカーに成長し、高級車や商用車を製造していました。第1次大戦中は戦時用のトラックを生産し、戦後に4気筒/6気筒エンジンを搭載する高級車を発売しました。これらの車は売れず、1932年にロシェット シュナイダー社は消えました。
ミニカーは1960年代に発売されたラミー(R.A.M.i.)製です。1895年に登場したロシェット シュナイダー 最初の小型車をモデル化しています。名前のヴィザヴィ(VIS A VIS)とは本来は前席と後席が向かい合わせとなっている座席配置を意味しますが、これは前席も前向きとなっています。(名前通りの向かい合わせの仕様もありました) 1960年代の古いミニカーですから素朴な作りですが、実車の雰囲気がうまく再現されています。この車の特徴であるランタン、パラソル、前席前のフロントプレートがきちんと再現されています。(このフロントプレートは可動します) また車体前部にはラジエータが再現されています。ロシェット シュナイダー車のミニカーはこれしかありません。 以下はフロント(フロントプレート作動)/リアの拡大画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
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ダイムラー 最初のタクシー ドイツ 1896年
ドイツのシュツットガルトの運送業者フリードリッヒ グライナーがダイムラー社にタクシー用途の車をオーダーし、ガソリンエンジン搭載車として世界初のタクシーが1896年に登場しました。ベースとなったのはダイムラーと彼の友人のマイバッハが設計し1895年に登場したダイムラー リーメンワーゲン(RIEMENWAGEN)でした。ボディはタクシー用として幌付の客室を持つランドレー形式で、1891年にドイツ人によって発明された正確なタクシーメーターを装備していました。リーメンワーゲンは2気筒2.2L(6HP)エンジンを車体後部に搭載し4段ベルト変速機を採用していたことが特徴でした。独語のリーメン(RIEMEN)とは変速ベルトの意味ですので、リーメンワーゲンはベルト変速車ということになります。
フリードリッヒ グライナーはタクシー会社を興し営業を始めましたが、ガソリンエンジン車タクシーの走行距離は1日で70㎞と馬車よりもはるかに多く、利用者にも新鮮味があって好評でした。なお1890年代後半には電気自動車や蒸気車のタクシーもありましたが、ガソリンエンジン車がそれらを駆逐し、ヨーロッパの主要都市にガソリンエンジン車タクシーが拡大していきました。1926年にダイムラーとベンツが合併しダイムラー ベンツ社が設立された後には、1927年にメルセデス ベンツとして初のタクシー(タイプ 8/38HP)が登場しました。また1936年には初めてディーゼルエンジンを搭載したタクシー メルセデス ベンツ 260Dが登場しました。
ミニカーは1978年頃に発売されたドイツのカーソル(CURSOR)製です。元々はダイムラー ベンツ社の100周年記念プロモーション モデルとしてディーラー向けに12種類セットで製作されたミニカーでしたが、後に一般向けにも単品で販売されました。材質がプラスチックなので、灯火や操作レバーなどの細部が繊細に再現されていて、1970年代のミニカーとしては抜群に良く出来ていました。(ただし細かいパーツが壊れやすいので取り扱い注意です) このタクシーはメルセデス ベンツ博物館が所蔵する実車を忠実に再現しているようです。実車の画像(イラスト)を見るとタクシーメーターは運転席の左側に付いている「FREI」(空車)と表示された部分ですが、このミニカーではタクシーメーターは再現されていないようです。 以下はフロント/リアの拡大画像と室内の画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
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ダイムラー LKW 最初のトラック ドイツ 1896年
前述したようにダイムラーと彼の友人のマイバッハが設計し1895年に完成させたしたダイムラー リーメンワーゲン(RIEMENWAGEN ベルト変速車)は、ガソリン車初のタクシーのベースとなりました。さらにリーメンワーゲンをベースにして、ガソリン車初のトラックも開発され、1896年にイギリスの会社に納入されました。これは荷物運搬用馬車の後部に2気筒(4HP)エンジンを搭載し、後輪をチェーン駆動していました。最大積載量は1.5tで、空荷状態で最高速16km/hの性能でした。
このトラックはすぐに改良されて、エンジンを運転席下に搭載する構造となりました。ダイムラーは1896年には積載量1.5t~5tのトラック シリーズを販売していて、1897年には乗用車とは明確に区別した構造(エンジンを車体前部に搭載し、ギヤボックス採用)のトラックを発売しました。(参照画像→ダイムラー トラック 1896) 同時期にライバルだったベンツは荷物配達用商用バンを発売していたようです。ダイムラーとベンツは後に合併してダイムラー ベンツ社となりましたので、ダイムラーの最初のトラックがメルセデス ベンツのトラックの1号車として公表されています。
ミニカーは1978年頃に発売されたドイツのカーソル(CURSOR)製です。元々はダイムラー ベンツ社の100周年記念プロモーション モデルとしてディーラー向けに12種類セットで製作されたものでしたが、後に一般向けにも単品で販売されました。材質がプラスチックなので、車体下回りのスプリングサスペンションなどの細部まで再現されていて、1970年代のミニカーとしては抜群に良く出来ていました。(ただし細かいパーツが壊れやすいので取り扱い注意です) このトラックもメルセデス ベンツ博物館が所蔵している実車を忠実に再現していました。荷物運搬用馬車に前輪操舵ハンドルと運転席が追加され、荷台の後ろのカバーで覆われた部分にエンジンが搭載されています。床下に見える2本のボンベのようなものは燃料タンクのようです。名前のLKW(Lastkraftwagen)とは貨物トラックの意味で、荷台横に表示された「Daimler-Motoren-Gesellschaft Cannstatt」とは「ダイムラー モーターズ社 カンシュタット工場」の意味です。 以下はフロント/リアの拡大画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
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