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ロールス ロイス 20/25HP イギリス 1928年
第1次大戦後の不況で高価なシルバー ゴーストだけでは販売が苦しくなったロールス ロイスは、1922年に「ベイビイ ロールス ロイス」と呼ばれた20HP(TWENTY)を発表しました。価格はシルバー ゴーストの約半額で、同じ6気筒ですが半分の排気量の3150cc(約50HP)エンジンを搭載し3段変速機で約100km/hの性能でした。(注:名前の20HPは課税上の馬力を表示したもので、実際のエンジン出力は50HPということです) 外観的にはラジエータの前につくシャッターが横向きになっていることが特徴でした。
1929年に20HPはエンジン排気量を3.7L(75HP)に拡大した20/25HPとなりました。20/25HPは同時に発表されたファントム II のホイールベースを短くしたもので、ファントム IIの優れた機能が全て採用されていました。20/25HPは自ら運転するユーザーに人気があり大ヒットし、1936年までに約3800台が生産されました。この成功はロールス ロイスの財政状況を改善しました。 1936年に20/25HPはエンジン排気量を4.3L(115HP)に拡大した25/30HPとなりました。このパワーアップは20/25HPに大型ボディを架装した場合に問題となったパワー不足を解消するものでした。25/30HPは1938年までに約1200台が生産されました。1938年には前輪独立懸架を採用するなどして改良され、新たにレイス(WRAITH:亡霊の意)という名前が付けられました。
ミニカーは1980年頃に発売されたフランスのエリゴール製です。ロールス ロイス 20/25HPの4ドアリムジーンをモデル化しています。エリゴール初期のミニカーはノレブ初期のプラスチック製ミニカーの型を流用したものが多いのですが、これはエリゴールのオリジナルと思われます。当時のミニカーとしてはかなりリアルな造形で良く出来ていました。なおホイールはディスクホイールのように見えますが、スポークホイールの上にカバーを掛けてあるタイプのようです。またミニカーの底板には1928と銘記されていますが、正しくは1929年式だと思われます。エリゴールはバリエーションでホテルの送迎車仕様もモデル化しています。これ以外の20/25HPのミニカーはオックスフォードの1/43があります。 以下はフロント/リアの拡大画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
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ロールス ロイス ファントム I キャブリオレ ドヴィル イギリス 1929年
ロールス ロイスは1907年からシルバー ゴーストだけを作り続け、1925年までに6000台以上を販売し、その高い信頼性で「The Best Car of the World」の名声を確立しました。そのシルバー ゴーストもさすがに性能的に時代遅れになり、1925年に後継車として登場したのがファントムでした。(なお1929年にファントム IIが登場してからはファントム Iと呼ばれるようになりましたが、これは公式の名前ではありません)
ミニカーはクラシックカーの大スケール(1/24)ミニカーで定評があったフランクリンミント製のファントム Iで、1989年に発売されました。客室部分が幌で覆われたカブリオレ形式となっています。ロールス ロイス社の公式認可モデルでしたので、細かいところまでリアルに再現されています。ドアやボンネットなどが開閉可能でエンジンが再現されていることなどはフランクリンミント製では当たり前ですが、フロントウインンドーを跳上げることができることや有名なマスコット(フライング レディ)部分が銀メッキ処理されているなど凝った仕上げとなっていて、公式認可モデルと謳っているだけのことはあります。またステアリングホイールと連動して前輪が操舵できるギミックも付いています。ただ質感が良く表現された幌を開閉することまでは出来ません。(この類の幌が開閉できるギミックが付いている量産ミニカーは私の知る限りではありませんが)
フロントグリル上部のロールス ロイスの赤いロゴも良く出来ています。現在のロールス ロイスのロゴは黒ですが、これは1933年に創立者の一人であったヘンリー ロイスが死去した際に、喪に服する意味でロゴが黒になったとのことです。なおもう一人の創立者のチャールズ ロールズは1910年に飛行機操縦中の事故で亡くなりました。 以下はフロント(マスコット拡大 前輪操舵ギミック動作)/リアの拡大画像です。マスコットは黒ずんだ色になっていますが、これは本物の銀が錆びた状態(硫化銀)になっているからです。プラスチックの蒸着メッキではこのようにはなりません。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
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ギャレット 蒸気ワゴン イギリス 1929年
ギャレット社(RICHARD GARRETT&SONS LTD)は1778年に設立された農業機械、蒸気機関の製造メーカーで1932年まで存続しました。同社は農業機械の製作から始め、蒸気エンジン、蒸気トラクター、蒸気トラック、電動トロリーバス、ディーゼルエンジントラックなどを製造しました。当サイトではエドワード期のギャレット社の4CD 蒸気トラクターのミニカーを紹介していますが、これはその約10年後の同じギャレット社の蒸気ワゴン(積載量約6tのボックストラック)です。蒸気エンジンはバルブなどが改良されてスムーズでパワフルになったそうです。
蒸気ワゴンの形式には、オーバータイプとアンダータイプの2タイプがありました。これはアンダータイプの蒸気ワゴンで、シャシー下に蒸気エンジンを配置し後輪をチェーン駆動していました。後輪にはゴムタイヤを使っていますが、空気が入っていないソリッドゴムタイヤでした。蒸気を発生させるボイラーがユニークな形状をした運転席内に配置されています。ボイラーが露出していないので、同時期のオーバータイプのフォーデン 蒸気ワゴンよりも自動車らしく見えます。ただ1930年代になるとより効率的で強力なディーゼル エンジンが使われるようになり蒸気トラックは姿を消していきました。
ミニカーは1985年に発売されたマッチボックス製のYシリーズです。荷台に表示された「CHUBB'S SAFE DEPOSIT」とは現存するイギリスの金庫メーカ「CHUBB」の貴重品保管庫という意味で、その会社のサービスカーをモデル化しているようです。これと同じボックストラックの実車画像は見つかりませんでしたが、同じモデルのダンプトラックの画像と見比べると、実車の雰囲気をうまく再現していると思います。また床下の蒸気エンジン/変速機やチェーン駆動の構造も結構リアルに再現されています。マッチボックスはバリエーションで平荷台トラックもモデル化していました。 以下はフロント/リアの拡大画像と床下部分の画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
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ソニークロフト トラック イギリス 1929年
ソニークロフト社はトラック/バスを製造していたイギリスの自動車メーカーでした。1896年にイギリス海軍技師のジョン アイザック ソニークロフト (John Isaac Thornycroft)がソニークロフト蒸気運搬車/バン会社「Thornycroft Steam Carriage and Van Company」を設立し、最初は蒸気トラック/バンを製造しました。同社は1902年にガソリンエンジンを搭載した自動車を製造し、1905年には4気筒ガソリンエンジンを搭載したバスを製造し、蒸気機関車から内燃機関車へ移行しました。第1次大戦では同社製のトラック(タイプ J)が5000台使われ、戦後は民間用として活用されました。
1948年に造船業のソニークロフト社との混同を避けるために、会社名がトランスポート エクイップメント (ソニークロフト)「 Transport Equipment (Thornycroft) Limited」に変更されました。その当時はガソリン/ディーゼルエンジンを搭載したトラック/バスや消防車用シャーシを製造していました。1961年にソニークロフト社はACV(Associated Commercial Vehicles)社に買収され、そのACV社は1962年にレイランド社に買収されソニークロフトの工場は1977年に生産を終えました。
ミニカーは1985年頃に発売されたコーギー製です。ミニカーの箱には年式が1929年と記載されているので、1924年に登場したタイプ A1/A2のトラックをモデル化しているようです。(実車の諸元はタイプ A1/A2という前提で書いています) 実車の写真を見ると、ロゴの付いたフロントグリルやウィンドースクリーンのないオープンの運転席のなどビンテージ時代のソニークロフト トラックがうまく再現されています。荷台に「East Anglian Fruit Company」と書かれているので果樹園で使われていたトラックなのでしょう。コーギーは同時期のソニークロフトの商用バンや2階建てバスもモデル化しています。これ以外のソニークロフトのミニカーは、コーギーの1940年代のトラック、オックスフォードの1970年代の消防車などがあります。 以下はフロント/リアの拡大画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
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タルボ (タルボット) パシフィック リムジン イギリス(フランス) 1930年
フランスのクレメント-バイヤード(Cl?ment-Bayard)社は1920年代まで存在したフランスの自動車メーカーでした。イギリスのタルボ卿が1902年に設立した輸入会社クレメント タルボ(Cl?ment-Talbot)社がクレメント-バイヤード社の完成車を輸入して、「クレメント-タルボ」ブランドで販売するとともに、部品を輸入してロンドンの工場で組立ててタルボ ブランドで販売しました。これがタルボ ブランドの始まりでした。1906年に登場したイギリス製のタルボ 一号車は4気筒3.7Lエンジンを搭載した中型車で、この車はモータースポーツで活躍しました。(実車画像→ タルボ 20/24HP 1906)
1919年にクレメント タルボ社はダラック社に買収され、ダラック社はサンビーム社も買収し1920年にSTD(SUNBEAM TALBOT DARRACQ) モーター社と改名しました。(代表ブランドはタルボでした) 1926年頃に登場した6気筒1.7Lエンジンを搭載したタルボ 14/45HP(後にタイプ 65)は技術的に優れた低価格の中級車で、この車は大ヒットしました。その後この車は改良されて2.3Lエンジン搭載のタイプ 70/75、その高性能版タイプ 90に発展し1935年まで生産されました。またエンジンを3Lに拡張したタイプ 105はレーシングカーとして活躍しました。STDモーター社は財政難から1935年にイギリスのルーツグループに吸収され、1938年に「サンビーム-タルボ」ブランドができましたが第2次大戦後に消滅しました。タルボのフランス工場は起業家のアンソニー ラーゴ(Anthony Lago)が買い取り、後に「タルボ-ラーゴ」ブランドの車を製造しました。
ミニカーは1981年に発売されたエリゴール製です。上述したタルボ 14/45HPの高性能型で6気筒2.3Lエンジンを搭載したパシフィック(タイプ 90) リムジンをモデル化しています。実車と見比べるとフロントグリル形状とヘッドライトはそれらしく再現されていますが、それより後ろのボディ全体は同じエリゴール製のロールス ロイス 20/25HP(型番1030)の型をそのまま流用しています。(ホイールは変えてありますが) 当時の高級なリムジンは同じようなボディスタイルをしていたので、この方法でも違和感なくそれらしく見えます。したがってキャビン部分はサイズが大きめで窓の配置なども違いますが、当時のタルボ セダンのミニカーはこれぐらいしかありませんので、細かいところは気にしないことにしましょう。 以下はフロント/リアの拡大画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
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