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プジョー タイプ BP1 ベベ フランス 1916年
ベベ(仏語BebeはBaby:赤ん坊の意)という愛称で呼ばれたプジョーの小型車は2つありました。最初のベベはアルマン プジョーが独立して興したプジョー社が1905年に生産したタイプ 69です。(参照画像→ プジョー タイプ 69) この車は全長約2.7mの2人乗りの小型車で、単気筒652㏄(5HP)エンジンを搭載し、3段変速のシャフトドライブで最高速40㎞/hと高性能でした。この車は安価だったので1905年に400台ほどが販売され、これは当時のプジョーの生産台数の半分以上を占める大成功でした。
2代目のベベはブガッティの創始者であるエットール ブガッティが設計して1913年に登場したタイプ BP1です。この車はプジョー社とリオン プジョー社が合併した後のプジョー社が製造しました。ブガッティが設計しただけあって、当時としては本格的な水冷4気筒855cc(10HP)エンジンを搭載し、2段変速(後に3段になる ブガッティの設計では4段だった)、最高速60km/hとこの時代の小型車としては高性能でした。1916年までに約3000台が生産され、シトロエン 5CVが登場する以前のフランスでは最も成功した傑作小型車となりました。
ミニカーは2007年に発売されたノレブ製です。タイプ BP1 べべの量産ミニカーとしてはこれが初めてのモデル化だと思います。実車が小さいので豆粒のような小さなサイズの灯火類や床下のサスペンションなどが実に良く再現してあり、素晴らしい出来ばえです。グリルなどのメッキパーツを敢えて鈍い光沢にしているのも、古い車の雰囲気を感じさせる良いセンスです。(この手のクラシックカーにはあまりピカピカのメッキは似合わないので) ただこのフロントサスペンションは繊細過ぎて壊れやすいので、取り扱いには注意が必要です。(現状でも左側全輪は外れそうです) なお閉じた状態の幌も付属していますので、交換して幌を閉じた状態にもできます。 以下はフロント/リアの拡大画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
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プジョー 172 R (5CV) フランス 1927年
プジョーは第1次大戦後の1921年に大型車156と小型車161を発表しました。156は6気筒6Lスリーブバルブエンジンを搭載したプジョーとしては最後の大型高級車となりました。(実車画像→ プジョー 156 1921) 161は大成功した小型車ベベの後継車で、クアドリレット(QUADRILETTE)と呼ばれた画期的な小型車でした。約350kgの超軽量ボディに4気筒667cc(9HP)エンジンを搭載し、3段変速で最高速60km/hの性能でした。後輪デフを省略した為後輪トレッドが750㎜で車幅が狭かったので2輪車のような前後2座席の2人乗りでした。161は乗用車としての性能はともかくとして燃費が良く価格が安かったので2年間で3500台を販売して成功しました。
1923年に161は改良されて172になり、安定性向上のため後輪トレッドと車幅が広げられて前席が2人掛けとなり、後方の荷物室も大きくなり居住性が改善されました。1924年に720cc(10HP)エンジンが追加され、4座トルペードや2座カブリオレなどの派生モデルが作られました。1925年からは名前が5CVとなり1929年まで生産されました。161の成功はシトロエン 5CVなど他社が小型車を開発するきっかけとなったのですが、161/172/5CVもトータルで約6万台が生産され、シトロエン 5CVにつぐヒット車となりました。
ミニカーは1960年代に発売されたノレブ初期のプラスチック製です。プジョー 5CVとも呼ばれた172の後期型である172 Rのモデル化で、実車が小さいのでミニカーも78㎜と小さいです。小さいながらも実車の雰囲気はよく再現されていて、1960年代当時のミニカーとしては良く出来ていました。室内を見ると前席に2座席ありますが、後席は荷物置き場か非常用のようです。ノレブ初期のプラスチック製ミニカーは経年変化でボディが変形するものが多いのですが、これは材質が変更された物のようでほとんど変形していません。プジョー 161/172のミニカーはこれしかないようですので、車種的には貴重なミニカーです。 以下はフロント/リアの拡大画像と室内の画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
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プジョー 201 フランス 1931年
前述したプジョーの小型車クアドリレット(5CV)の後継車としてプジョー 190が1928年に登場しました。190はプジョーとしては伝統的な木製フレームを採用した最後の車で、5CVと同じ4気筒695㏄(14HP)エンジンを搭載し、3段変速で最高速60km/hの性能でした。190は1931年まで生産され総生産台数約33000台と、先代以上に成功しました。なお190という名前はプジョーが190番目に開発した車という意味でした。(実車画像→ プジョー 190 1928)
プジョー 190の上級車として1929年に新型の小型車プジョー 201が登場しました。プジョーが最近まで続けていた0を挟む3桁の数字によるネーミングはこの201から始まりました。201は4気筒1.1L(23HP)エンジンを搭載し3段変速で80km/hの性能でした。1931年のマイナーチェンジで前輪独立懸架式サスペンションを採用した201Cとなり、この方式のサスペンションを採用した世界初の量産車となりました。201はセダン以外にもクーペや商用車があり、排気量拡大(1.5L 35HP)やボディの流線化などの改良を行い1937年まで生産され202にモデルチェンジしました。総生産台数は約14万台で世界大恐慌による不況化で安価な車として大ヒットしました。
ミニカーは1979年頃に発売されたエリゴール製です。1931年にマイナーチェンジした201Cをモデル化しているようです。シンプルで実用的な箱型ボディがうまく再現され当時のミニカーとして良く出来ていました。初期のエリゴールは同時期のノレブのプラスチック製ミニカーをベースにしているものが多いのですが、これもノレブの出来の良い201の型を流用したダイキャスト製でした。これ以外の201のミニカーは2007年にノレブがクーペをモデル化しています。 以下はフロント/リアの拡大画像と室内の画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
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プジョー 601 コーチ FUSELE フランス 1934年
プジョーの新しい命名法(3桁の数字)で登場した201から始まる初代01シリーズには、1932年に登場した201より少し大きいサイズの301(4気筒1.5L(34HP)エンジン搭載)、1934年に登場した中型車の401(4気筒1.7L(44HP)エンジン搭載)、1934年に登場した大型車の601(6気筒2.1L(60HP)エンジン搭載)の4モデルがありました。この01シリーズには201で採用された前輪独立懸架サスペンション、油圧ダンパー、シンクロメッシュ式変速機などの先進技術が採用されていました。1934年にはシリーズ全体で3万台以上を生産していました。
601は戦前のプジョーとしては最後の6気筒エンジン搭載車でした。長短2タイプのホイールベースがあり、4ドアセダン/リムジン、2ドアクーペ/カブリオレなどがありました。カブリオレには電動で収納できるハードトップを備えたエクリプスというモデルもありました。(401にも同じ仕様のエクリプスがありました) この601は2ドア4座セダンで、名前の「FUSELE」とはフランス語で「先細り/流線型」の意ですから、細長い流線型のボディ形状のことを示していると思われます。601は1935年までの1年半に約4000台が生産されました。
ミニカーは2005年に発売されたソリド製です。ソリドの型番4000-4100番台のシリーズはビンテージ期のクラシックカーをモデル化していたのですが、これはその4100シリーズとしては最近の物(といっても15年以上前ですが)となります。ソリドらしいシャープな造形で、実車の雰囲気が良く再現されています。当時の定価は2100円と安価ながら、フロントグリルや灯火類はリアルで、室内もそこそこ良く再現され、空/青のツートンカラーも綺麗でとても良い出来ばえです。 601の量産ミニカーはこれしかないようですので、その点でも貴重なミニカーです。 以下はフロント/リアの拡大画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
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プジョー 402 セダン フランス 1935年
1935年に最初のプジョー 02シリーズとして発表されたのが、画期的な流線型ボディで有名な402でした。前年に発表された革新的なデザインのシトロエン 7CVに対抗してこのようなデザインを採用したのだと思います。中身は01シリーズの発展型シャーシに新設計の4気筒2Lエンジンを搭載していました。このデザインは同時期のアメリカのクライスラー エアフローによく似ていますが、ヘッドライトがグリル内に格納されている点が異なります。奇抜なデザインでしたが、フランス人には好まれたようで商業的に成功しました。
1936年に402と同じフロントグリルで、ボディを一回り小さくして1.7Lエンジンを搭載した302が登場しました。また302のボディに402のエンジンを搭載した高性能車 402 レジュール(legere:lightの意)も登場しました。この402 レジュールには世界初のハードトップ(センターピラーのない2ドア)モデルもありました。また402 コンバーチブルには電動でハードトップを出し入れできるエクリプスがありました。この電動格納ハードトップも世界初で、当時のフランス車は時代の最先端を走っていました。402は1942年まで生産され総生産台数は約75000台でした。(実車画像→ プジョー 402 ハードトップ)
ミニカーは2006年に発売されたノレブ製です。特徴的なフロントグリルと流線形ボディがうまく再現されていて、室内などの細部もリアルで良く出来ています。ただこのスケールでフロントグリルの格子部分をプラスチック製で再現したので、格子が太すぎて肝心のヘッドライト(ちゃんと内蔵しているのですが)がよく見えないのが残念です。このグリル内格納式ヘッドライトについては後述しているイクソ製の202の再現方法が秀逸です。ノレブは402 エクリプスもモデル化しています。ノレブ以外の402のミニカーはデュブレイ(DUBRAY)製とフランスのミニカー付雑誌「PEUGEOT COLLECTION」のNo.3でモデル化されています。 以下はフロント/リアの拡大画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)