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ルノー タイプ AG タクシー ド ラ マルヌ フランス 1914年
前述したようにルノー タイプ AGはタクシーとして使われました。タイプ AG タクシーは画像のようなランドレー形式のボディが一般的でしたが、密閉式キャビンのセダンやフルオープンのフェートン、商用バンなどもあったそうです。ルノーは1905年にタクシー会社を設立し自社のタクシーを大量に使用しました。この会社以外にも当時のパリにはタクシー会社が2つあり、1914年には約10000台のタクシーがあったそうで、その80%以上がルノー タイプ AGだったとのことです。
第1次大戦初期の1914年9月にドイツ軍がパリの間近に迫ったとき、パリのタクシー 1300台がフランス軍6000人を一夜にしてパリから50km離れたマルヌの前線に送り込み、フランス軍の勝利に寄与しました。この大活躍でルノー タイプ AG タクシーは「タクシー ド ラ マルヌ」(マルヌのタクシー)と呼ばれるようになりました。ちなみにタクシー料金は会社が運転手に支払ったそうです。また当時のタクシーはライトを標準装備していませんでしたので、夜間移動の際にはライト(石油ランプ式?)を追加したそうです。
ミニカーはミニカー付雑誌「TAXI DEL MONDO (世界のタクシー)」(参照WBサイト→ TAXI DEL MONDO)のフランス版用として作られたものです。メーカーはイクソ(アルタヤ)で、ルノー タイプ AG タクシー仕様(タクシー ド ラ マルヌ)をモデル化しています。雑誌付きの安価なミニカーですが、結構良く出来ています。幌の下に見える黒い四角い箱がタクシーメータです。このタクシーメーターは車軸の回転数から走行距離を機械的に算出して移動距離(又は料金)を表示する構造で、現在の自動車で走行距離を表示するオドメーターのようなものだったようです。同時代のルノー タクシーのミニカーはサフィールとラミーもモデル化していました。 以下はフロント/リアの拡大画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
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ルノー 40CV ランドレー フランス 1926年
1914年に第1次世界大戦が始まり、ルノーは砲弾などの軍需品の生産を行いました。第1次大戦中にルノーのタクシーは「マルヌのタクシー」として知られる作戦で戦勝に貢献しています。第1次大戦が終わるとルノーは戦前型のモデルを復活させました。この当時のルノーは旧式の設計を変えず新技術の開発が遅れていたので、シトロエンなどの新興メーカに比べると旧態化しつつありました。例えばフロントブレーキを採用したのは大型車で1922年と他社よりかなり遅れていました。
その古い設計を代表していたのが1911年に登場した6気筒7.5Lエンジン搭載の40CV(タイプ CG)でした。40CVはルノーの最上級の大型高級車で、フランス大統領専用車としても使われました。40CVは1920年にエンジンが9.1Lに拡大されるなどの変更がありましたが、基本的な設計を変えないまま1928年まで生産されました。ラジエータをエンジンルーム後方に配置する基本設計を変えなかったので、「象の鼻」と呼ばれた特徴的なフロントノーズも長い間続きました。ただ40CVは同じクラスの高級車(ロールス ロイスなど)よりも価格が安かったので生産台数は多かったとのことです。1928年に40CVはルノー初の8気筒エンジンを搭載したレナステラにモデルチェンジしました。
ミニカーは1960年代に発売されたソリド初期のクラシックカーシリーズの1つです。エンジンが9.1Lに拡大された後期型の40CV ランドレーをモデル化しています。1960年代のソリドのクラシックカーのミニカーは、当時としてはレベルの高いものでした。この40CVも実車の雰囲気が良く再現されています。「象の鼻」のボンネットが開くギミック付でエンジンも再現されています。バリエーションとして少しスポーティなフェートン仕様とフランス大統領車仕様がありました。ソリド以外では、リオのトルペード、ノレブの大統領車仕様がありました。 以下はフロント/ボンネットを開いた状態の拡大画像とリアの拡大画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
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ルノー NN フランス 1927年
当時のフランスで小型車として大ヒットしたシトロエン 5CVに対抗して、ルノーが1922年に登場させたのがのルノー KJ (6CV)でした。4気筒950cc(8.3HP)エンジンを搭載したやや旧式な設計の小型車でしたが、それ故耐久性には優れていたそうです。KJは1924年に改良されてNNとなりました。NNの4気筒950ccエンジンは17HPにパワーアップされて前輪ブレーキが装備され、3段変速で最高速約60km/hの性能でした。デザインはシンプルな大人しいもので、まだラジエータをエンジン後方に搭載していたのでフロントグリルのない「象の鼻」のフロントノーズでした。1929年にボディを大型化したNN2に変わり、1930年まで生産されました。
実車がどうだったか分かりませんが、画像を見る限りではNNは同時期のシトロエン 5CVよりも見た目がりっぱな車に見えます。このNNの雰囲気にルノーが一時代前の栄光の影を引きずっていたことがうかがえます。シトロエンは小型大衆車に特化して販売台数を伸ばしましたが、ルノーは大型高級車から小型車までフルラインナップの生産を続けていました。その為フランス最大の自動車会社だったルノーは次第にシトロエンやプジョーにつぐ第3位のメーカーとなっていきました。
ミニカーは1980年代に発売されたエリゴール製です。NNのトルペード(オープン仕様)の幌を立てた状態をモデル化しています。実車の雰囲気が良く再現されていて、当時のミニカーとしては良い出来ばえでした。ボンネット開閉ギミック付きでエンジンも再現されています。初期のエリゴールのミニカーは同時期のノレブのプラスチック製ミニカーをコピーした物が多いのですが、これもノレブの型番76のNNをベースにしてエリゴール流の変更がされていました。バリエーションとしてクーペ仕様とタクシー仕様がありました。これ以外のNNのミニカーはリーツェの1/87、ユニバーサルホビー、ノレブの最近のものなどがあります。 以下はフロント/ボンネットを開いたエンジンルームの画像とリアの拡大画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
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ルノー レナステラ RM2 フランス 1934年
ルノーの最上級車であった40CVは、1928年にルノー初の8気筒エンジン(7.1L)を採用したレナステラ(RM型)に変わりました。レナステラはロールス ロイスやパッカードなどの高級車をライバルとするルノーの高級車ステラ シリーズの最初のモデルで、大統領専用車にもなりました。ラジエーターがフロントに移されたので、特徴であった「象の鼻」がなくなり、当時のアメリカ車によく似たラジエーターグリルを持つようになりました。なおステラ(STELLA)とはラテン語でSTAR(星)の意味で、ステラ シリーズにはフロントグリル上部に星形のマスコットが付いていました。
1930年に8気筒4.2L(100HP)エンジンを搭載した廉価版のネルヴァステラ(NERVASTELLA)が登場しました。1933年にレナステラを軽量化してパワーアップしたスポーツ仕様のレナスポールが登場しました。レナステラは1933年頃に生産中止となり、総生産台数は数百台でした。後継車はネルヴァステラでした。なおレナスポールは左ハンドル仕様でこの車以前のルノーは全て右ハンドルでしたが、この時期から左ハンドルに移行していきました。(この時代以前のルノー車のミニカーをみると全て右ハンドルです) なお自動車以前の馬車では御者が右手でムチを扱いやすいように右側に座っていたので、その名残で初期の自動車はほとんどが右ハンドルでした。
ミニカーは1970-1980年代に発売されたソリド製です。レナステラの後期型RM2の重厚なリムジーンをモデル化しています。現代的な観点で見ると特別にリアルという訳ではないですが、当時としては良い出来ばえのミニカーでした。ボディ側面の籐細工模様やルーフに貼った布で高級な雰囲気に仕立てています。(模様の付いていない仕様もありました) なおこの車はまだ右ハンドルです。これ以外のレナステラのミニカーは最近のノレブのリムジンや大統領車などがあります。 以下はフロント/リアの拡大画像と室内の画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
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ルノー ヴィヴァスポール カブリオレ フランス 1934年
1930年代前半のルノーのラインナップは、前述した8気筒エンジン搭載の最上級大型車のネルヴァステラ、その下に6気筒エンジン搭載の中型車でヴィヴァステラ(VIVASTELLA)/プリマステラ(PRIMASTELLA)、その下の4気筒エンジン搭載の小型車にヴィヴァカトル(VIVAQUATRE)/プリマカトル(PRIMAQUATRE)/モナカトル(MONAQUATRE)がありました。(QUATREとはフランス語で4の意味で4気筒エンジンを意味しています) 1929年に登場したヴィヴァステラは6気筒3.2L(52HP)エンジンを搭載した、全長約4.5m-4.9mの4ドアセダンの高級中型車でした。ラジエーターはまだエンジン後方に配置されていましたが、フロントグリルが付いていました。(実車画像→ ルノー ヴィヴァステラ 1930)
1934年にエンジンが3.4L(85HP)に拡大され、1935年にはボディ全体が丸みを帯びた新型に変更されました。1933年に上級車として6気筒3.6L(80HP)エンジンを搭載したヴィヴァスポール(VIVASPORT)が登場しました。このスポール(SPORT)という名前は高性能の上級グレート車に付けた名前のようです。ヴィヴァスポールは1934年にはエンジンが4L(95HP)に拡大されました。2ドア/4ドアセダンやスタイリッシュな2ドアクーペ/カブリオレなどがありました。ヴィヴァスポールは1938年まで生産され総生産台数は約5000台でした。
ミニカーは1970年代に発売されたフランスのデュブレイ(DUBRAY)製です。デュブレイはフランスのプラスチック製ミニカーの老舗ブランドで、フランス車のクラシックカーを1/43でモデル化していました。これはヴィヴァスポールの2ドア4座カブリオレをモデル化しています。1970年代のミニカーとしてはリアルな造形で、実車の雰囲気がうまく再現されていて良い出来ばえです。プラスチック製ですが塗装されていますので、ボディには塗装による艶があります。プラスチック製ミニカーで問題となる経年変化がほとんどみられないので、ABS樹脂のような耐久性のある材質が使われているようです。これ以外のヴィヴァスポールのミニカーはユニバーサルホビー、ノレブなどがあります。 以下はフロント/リアの拡大画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)