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フォード ウッディ ワゴン アメリカ 1950年
フォードの大衆車の戦後型は1949年に登場しました。ボディは前後のフェンダーが完全に一体化されたフラッシュサイドの「ポントン」スタイルとなりました。この「ポントン(PONTOON)」スタイルはメルセデス ベンツやボルボなどの欧州車に影響を与えました。外観上の特徴はブリットノーズ(Bullitt-nose)と呼ばれた砲弾のような突起を持つフロントグリルで、このデザインはスチュードベーカー チャンピオンが模倣していました。1951年のマイナーチェンジでこの突起は2個に変更されました。(実車画像→ フォード セダン 1951)
搭載されたV型6気筒3.7L/V型8気筒3.9Lエンジンは先代と同じでしたが、シャーシ/サスペンションは全くの新設計でした。ボディ形式は2/4ドアセダン、2ドアクーペ/コンバーチブル、2ドアウッディ ワゴンがありました。1951年にGM シボレー ベルエアに対抗して上級グレードとして2ドアハードトップのビクトリアが追加されました。1952年にフロントスクリーンが一枚物になった新型にモデルチェンジしました。デザインが一新されたこの戦後型は大成功し、販売シェアでクライスラーより下であったフォードは勢いを盛り返し、1950年代末にはトップのGM シボレーに肉薄するようになりました。(実車画像→ フォード クレストライン ビクトリア 1952)
ミニカーは1990年頃に発売されたフランクリン ミント製です。フォードが得意としていた高級なウッディ ワゴンをモデル化しています。1950年代の代表的なアメリカ車を1/43でモデル化した50年代シリーズの1台で、このシリーズは全てボンネット/ドアの開閉ギミック付でエンジンや床下のサスペンションなども結構リアルに再現されていました。ややレトロな作風ですが、特徴的なブリットノーズや木目パネルが張られたボディ後部などがそれらしく仕上げてあり、実車の雰囲気がうまく再現されています。ボンネットを開くとV型8気筒エンジンが結構リアルに再現されています。これ以外の戦後型フォードのミニカーはこれと同じフランクリン ミントのワゴンとカブリオレ 1/24、ダンバリー ミントの2ドアセダン 1/24、ミニチャンプスのカブリオレ、アメリカン ヘリテージ(AMERICAN HERITAGE)のセダンなどがあります。 以下はフロント/ボンネットを開いたエンジンルームの画像とリアの拡大画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
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クライスラー ダッジ ピックアップ アメリカ 1950年
ダッジ兄弟が1901年に設立した自動車部品会社「ダッジブラザース バイシクル&モーターファクトリー社」は同時期に創立されたフォード社と提携し、フォード T型の製造をおこない業績を拡大していきました。同社は1914年にフォード社から独立し、フォード系ディーラーを取り込んで「ダッジブラザース バイシクル社」を設立しました。同社は一時的にはフォードに迫る業績を上げましたが、1920年代に業績が悪化して1928年にクライスラー社に買収されクライスラー社のブランドになりました。
ダッジは1917年にアメリカの自動車産業として初めてアメリカ陸軍に輸送用トラックを供給し、第1次大戦中の活躍で高い評価を得ました。その後ダッジは軍用トラックの主要な供給先となり、第2次大戦中の軍用トラック WC/WDシリーズは良く知られています。またそのノウハウを生かして生産した民間向けの商用車(ピックアップやバン)も高い評価がされました。1948年にダッジは戦前のトラックを一新してBシリーズのピックアップを登場させました。Bシリーズは6気筒エンジンを搭載し積載量1/2tから3/4tまで様々なバリエーションがありました。1954年にBシリーズはCシリーズにモデルチェンジしました。
(実車画像→ ダッジ Bシリーズ ピックアップ 1948)
(実車画像→ ダッジ Cシリーズ ピックアップ 1954)
ミニカーは1986年に発売されたソリド製です。ダッジのピックアップをモデル化していますが、モデル化した実車が明確ではありません。フロントグリルは1940年頃のダッジの乗用車とほぼ同じデザインなのですが、このフロントグリルを持つピックアップをWEB検索しましたが見当たりません。ソリドが実在しない車をモデル化したとも思えませんので、確証はないのですが、ダッジがヨーロッパ向けに生産したヨーロッパ仕様のピックアップをモデル化したのではないかと思われます。ドアには「SHIP CHANDLERS FOSTER.Co」と表示されていますが、SHIP CHANDLERSとは帆やロープなどの帆船設備販売業者の意味で、FOSTER.Coとは会社名でしょう。ソリドは同じ型を使ってタンカーなど15種類ほどのバリエーションを作っています。 以下はフロント/リアの拡大画像と荷台(カバーを外した状態)の画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
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ナッシュ ランブラー 2ドア コンバーチブル アメリカ 1950年
シカゴで自転車を製造していたトマス B ジェフリー(Thomas Buckland Jeffery)が自動車製造に進出し、1902年にトマス B ジェフリー社を創立しました。最初の量産車ランブラー タイプ C/タイプ D(単気筒エンジン搭載車)はヒットし初年度に1500台が生産され、これは同時期のオールズモービルに次ぐ台数でした。(実車画像→ ランブラー タイプ C) その後4気筒エンジン搭載の高級車やジェフリーという名前のトラックを発売しました。1916年にGMの5代目社長であったチャールズ W ナッシュがトマス B ジェフリー社を買い取り、ナッシュ モーターズ社を創立しました。この時点でランブラーはナッシュのブランド名になりました。
ナッシュ社の最初の車は6気筒4Lエンジン搭載の中型車でした。1920年代には中堅の中型車メーカーとなり、同業のラファイエット社やエイジャックス社を買収して高級車などのバリエーションを増やしました。1930-1940年代には温調付ヒーター、バキューム駆動式自動変速機シフト装置、流線形ボディを採用した1939年式アンバサダー 、アメリカ量産車初のモノコックボディを採用した1941年式600など新技術を採用した先進的な車を販売していました。(流線形ボディ実車画像→ ナッシュアンバサダー 1939) (量産車初のモノコックボディ実車画像→ ナッシュ 600 1941)
戦後の1949年にアンバサダーなどが戦後型となり、1950年には600から名前を変えたステーツマンが、エアフライトと称する前後フェンダーのホイール部分を完全にカバーした斬新なデザインになりました。(実車画像→ ナッシュ ステーツマン 1951) 1950年にはアメリカ初のコンパクトカー ランブラーを発表し、ランブラーの名前が復活しました。当初は2ドアセダン、コンバーチブル、ワゴンの構成で、後に4ドアも追加されました。ランブラーは装備の良い小粋な小型車として人気がありました。1954年にナッシュ社はハドソン社を吸収し、AMC(アメリカンモータース)社が発足しました。
ミニカーは1990年頃に発売されたフランクリン ミント製です。ルーフが幌仕様のランブラー 2ドアコンバーチブルをモデル化しています。フランクリン ミントの1/43のクラシックカーは現在のミニカーと比べるとやや古臭い作風ですが、それが実車の雰囲気に似合っていて、いずれも良い出来ばえでした。いずれもドア/ボンネットが開閉しエンジンやドライブトレーンが再現されている凝った作りでした。このランブラーもプロポーションが良く、フェンダーでホイール上部がカバーされた独特のデザインがうまく再現されていて良く出来ていました。ボンネット/ドアが開閉するギミック付きで、エンジンルーム内のエンジン、フロントのマスコットやオーナメント、室内などの細部も良く再現されています。ただこの個体だけかもしれませんが、ボンネットの建付けが悪くきちんと閉じません。最近までナッシュ ランブラーの量産ミニカーはこれしかありませんでしたが、2024年にオックスフォードが1/87でモデル化しました。以下はフロント(ノーズ部分拡大)/ボンネットを開いたエンジンルームの画像とリアの拡大画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
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スチュードベーカー チャンピオン 2ドア クーペ アメリカ 1950年
スチュードベーカーは戦前の1939年に低価格の6気筒エンジン搭載車チャンピオンで大衆車市場に進出し成功しました。1942年にスチュードベーカー チャンピオンは2代目にモデルチェンジしました。第2次大戦中のスチュードベーカーは軍用機エンジンや軍用トラックなど軍需品の製造を行いました。(実車画像→ スチュードベーカー チャンピオン 1942)
大戦後の1947年にチャンピオン 3代目が戦後型として登場しました。3代目のデザインは有名な工業デザイナーのレイモンド ローウィによるもので、フェンダーとボディを一体化したフラッシュ サーフェスと独立したトランクの3ボックス スタイルを量産車として初めて採用しました。ボディ形式には2/4ドアセダン、2ドアクーペ/コンバーチブルがありました。2ドアクーペのリアウィンドウは側面まで大きくラップアウンドした独特のデザインでした。(実車画像→ スチュードベーカー チャンピオン 1947)
チャンピオンは6気筒2.8L(80HP)エンジンを搭載し、1950年のマイナーチェンジで85HPにパワーアップしました。このマイナーチェンジで採用された特徴的な丸い突起を備えたフロントグリルは、同時期のフォードのデザインを模倣したようです。スチュードベーカーのフラッシュ サーフェスの3ボックス スタイルは他社に波及し、当時のセダンの基本スタイルとなりました。GMなどのBIG3は戦後の生産体制回復が遅れたので、いち早く発売された戦後型のチャンピオン 3代目は圧倒的な人気を博して大成功しました。1953年に4代目にモデルチェンジしました。(実車画像→ スチュードベーカー チャンピオン 1953)
ミニカーは2007年に発売されたヤトミン製です。チャンピオン 3代目の2ドアクーペ(スターライト クーペ) 1950年式をモデル化しています。1950-1970年代の代表的なアメリカ車を1/43でモデル化したヤトミンのビンテージ アメリカ車シリーズの一つです。このシリーズは定価1500円ほどの廉価版ミニカーでしたのであまり細かいところまでは再現していませんが、実車の雰囲気はうまく再現していました。このチャンピオンもフラッシュ サーフェスのボディ、特徴的な突起の付いたフロントグリル、ラップアウンドしたリアウィンドーなど時代を先取りしたこの車のデザインが良く再現されていました。室内もそこそこ良く再現されています。これ以外のスチュードベーカー チャンピオンのミニカーはダンバリー ミントのコンバーチブルとクーペ 1/24、ブルックリン(ホワイトメタル製)のクーペ、BOS MODELS(レジン製)のクーペなどがあります。なおLUCKY DIE CAST製のチャンピオンはこれと同じ物をヤトミンがLUCKY DIE CASTブランドとして再販した物でした。以下はフロント/リアの拡大画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
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フォルクスワーゲン T1 (タイプ 2) ピックアップ サービスカー ドイツ 1950年
フォルクスワーゲンの商用車は総称としてトランスポーターと呼ばれ、貨物運搬用のバンやトラック、多人数乗用のマイクロバス、貨物乗用兼用のワゴン(独ではKOMBI:コンビ)などの多くのバリエーションがあります。トランスポーターはその世代毎に第1世代(1950-1967)をT1、第2世代(1967-1979)をT2、第3世代(1979-1992)をT3、第4世代(1990-2003)をT4、第5世代(2003-2015)をT5、第6世代(2015-2022)をT6、最新のトランスポーターである第7世代(2022-)をT7と称しています。そのなかでもビートルと同じ後輪駆動のT3までをタイプ 2と呼び、世界中に多くのマニアがいます。
第1世代のT1はビートルをベースにしているので、リアにエンジンを搭載した後輪駆動車でした。リアエンジンはリアを荷台にする商用車には向いていないのですが、水平対向エンジンは荷台の下にコンパクトに収めることができたので成立した構造でした。ビートルと同じ空冷水平対向4気筒1134cc(25HP)エンジンで、商用車として駆動力重視の変速機だったので最高速は90㎞/hでした。1964年には1.5Lエンジンが追加されました。T1は丈夫で汎用性に優れていたので、商用車だけではなくマイクロバスやキャンピングカーなど乗用車としても使われました。1967年に2代目にモデルチェンジしました。なおT1は初期のT1aとフロントウィンドー上のルーフラインが異なるT1b、1963年以降のT1cに区分できるようですが、外観的な違いはミニカーではあまり良くわかりせん。
ミニカーは1967年に発売されたコーギー製の当時物です。コーギーは型番433/434でフォルクスワーゲン T1をモデル化していました。これはレーシング クラブのサービスカーという設定でクーパー マセラティ F1を搭載したトレーラーとフォルクスワーゲン T1をセットにしたセット物(ギフトセット型番GS06)として発売されました。T1は実車の雰囲気がうまく再現された良い出来ばえで、荷台にはスペアタイヤやツールボックスを積載し、リアエンドにはウインチが付いています。ツールボックスを開くとレンチやインパクトドライバーなどの工具が入っていて、ウインチは実際に巻き上げることが出来るなどコーギーらしいギミックの付いた楽しいミニカーになっていました。 以下はフロント/リアの拡大画像とクーパー マセラティ F1とセットにした状態の画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)