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メルセデス ベンツ 300SLR (W196S) ルマン ドイツ 1955年
メルセデス ベンツ 300SLRは前述したレーシングカー W196をベースにしてスポーツカーレース用として開発されました。ホイールベースを延長しシャーシやボディはW196より大きくなっていました。エンジンは3Lに拡大され、耐久性を考慮して出力はW196よりややデチューンした300HPでしたが 最高速度は300km/hを越えていました。300SLRの初戦は1955年のミッレ ミリアで、1、2フィニッシュで優勝しました。その後もツーリスト トロフィー、タルガ フロリオなどで勝利しました。
300SLRの弱点は旧式のドラムブレーキで、ブレーキを酷使するルマンでは補助ブレーキとしてエアブレーキが装備されました。コクピット背後のフラップが油圧で立上がるもので、高速からの減速には有効だったそうです。1955年のルマンでは300SLRが関わったルマン史上最悪の事故が発生しました。事故の概要は、グランドスタンド手前でトップのジャガー Dタイプ(#6)に2台の300SLR(#19と#20)が迫っていました。ジャガーがピット手前で前方の周回遅れのオースチン ヒーレーを左から追い抜くと同時に急減速して右のピットに入ろうとしました。前方をふさがれたオースチン ヒーレーは左に回避し、そこに300SLR(#20)が追突して舞い上がり客席に落下して炎上しました。
この事故でドライバーのP.ルヴェーと観客など80人以上が死亡しました。レースは続行されましたが、300SLRは翌日にレースを棄権し、結局ジャガー Dタイプが優勝しました。後日事故調査委員会が300SLRに責任がなかったと判断しましたが、メルセデス ベンツは道義的責任をとって1956年以降全てのレースから完全に撤退しました。これは1988年にザウバー メルセデスでレース活動を再開するまで継続されました。
ミニカーはメルセデス ベンツの特注品でミニチャンプスの前身のPMA(Paul'S Model Art)製の1/24で1993年に購入しました。(同じ物が2004年にはミニチャンプスの型番243000303で一般市販されました) 事故があった1955年のルマンでJ.M.ファンジオがドライブした#19をモデル化しています。当時の値段は30000円と大変高価でしたが、当時の1/24ミニカーとしては値段相応にかなりレベルの高い出来ばえでした。ドア/ボンネット/トランク開閉、ステアリングホイールによる前輪操舵ギミックは当たり前ですが、燃料噴射装置を再現したエンジン、本物の布張りシートを備えたコクピット、精緻なワイヤースポークホイールなど実にリアルに再現されており、リアのエアブレーキも実車同様に動作します。ミニチャンプスはバリエーションとして、ルマンに出た3台、タルガ フロリオやミッレ ミリア優勝車、設計者のR.ウーレンハウトが使った300SLR クーペもモデル化していました。これ以外の300SLRのミニカーは、ブルム、シュコー、CMCの1/18、スパーク(レジン製)などがあります。 以下はフロント/ボンネットを開いたエンジンルームの画像とリア/トランク開閉の画像です。エンジンや補器類がリアルに再現されています。金色のパイプは機械式燃料噴射装置から燃料を送るパイプです。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
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メルセデス ベンツ 190SL ロードスター (R121) ドイツ 1955年
メルセデス ベンツ 300SLほどの高性能/高価格の車は手に余るという人向けの300SL普及版が1955年に登場した190SLでした。見た目は300SLに似せていますが、中身は小型セダンの180(W120)のホイールベースを短縮しオープンカー用にシャーシ各部を補強した物でした。300SLよりサイズは一回り小さく、6気筒エンジンではなく新開発した4気筒1.9L(105HP)エンジンを搭載していました。最高速170km/hの性能は2Lクラスのスポティーカーとしては高性能でした。
当初はロードスターだけでしたが脱着できるハードトップ式のクーペも後に追加されました。オプションでシート背後に横向き補助シート(3人乗り可となる)が付けられました。高性能で300SLの半値(それでもアメリカでは高級なフォード サンダーバードと同じくらいの値段)で買えることから、人気が高く約25000台が販売されました。1963年に後継車の230SL(W113)にモデルチェンジしました。
ミニカーは1992年に発売されたリオ製です。全体的な雰囲気が190SLの雰囲気をうまく再現していて、当時のミニカーとしては良く出来ていました。この適度に古くさい感じがするリオの作風が私好みなので気に入ってます。ドアが開閉するギミック付きです。190SLのミニカーとしてはディンキー、ジク(SIKU)、メルクリン、ソリドなどの当時物、最近の物ではシュコーの1/87、ノレブの1/18、オートアートの1/18、ミニチャンプスの1/43と1/18などがあります。 以下はフロント/リアの拡大画像です。トランクには「スリーポインテッドスターのロゴ 190SL」と表示されたデカールが貼ってあるのですが、デカールが劣化して周辺が茶色に変色していています。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
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メルセデス ベンツ O3500 バス ドイツ 1955年
ガソリンエンジンを搭載した最初のバスは1895年のベンツとされていて、馬車にエンジンを追加したものでした。同時期に当時のライバルのダイムラー社もバスを開発していました。ダイムラーのバス用シャーシはイギリスに輸出され、ミルネス-ダイムラー(MILNES-DAIMLER)社でバスボディが架装され、有名な2階建てロンドンバスの最初のモデルが1904年に登場しています。
1926年にダイムラー社とベンツ社が合併してダイムラー ベンツ社となり、両社の商用車(トラック/バス)は統合されました。当時のバスはトラック用シャーシを低く変更したシャーシにバスの車体(木製)を架装していました。当時のメルセデス ベンツのトラックにはL1、L2、L5の3タイプがあり、それに対応してバスもN1(16人乗り)、N2(26人乗り)、N5(60人乗り)の3タイプがありました。1930年代になるとアウトバーンが建設されたことで長距離旅行が可能となり、バスの車体は鋼鉄製に変わり大型化されていきました。
O3500 バスは1949年に登場した戦後型で、当時最も成功したバスでした。路線バスや観光バスなどに使われ1955年までに約6000台が生産されました。路線バスは22人分の座席があり、ほぼ同数の立ち乗りスペースがありました。観光バスは37人分の座席(バックレストを倒せるなど快適仕様)があり、天井の角にも窓が設けられていました。屋根の半分ほどは開閉できるサンルーフとなっていて、残りは旅行用荷物を積載するルーフキャリアとなっていました。1951年にバス専用設計のO6600Hが登場し、最近はシターロなど名前で表記されています。
ミニカーは2002年頃に発売されたミニチャンプス製です。メルセデス ベンツ O3500の観光バスをモデル化しています。1/43なので、全長200㎜を超える大型のミニカーとなっています。フロントグリルや灯火類やルーフキャリアはミニチャンプスらしいリアルな出来ばえです。サンルーフのパーツを交換することで屋根を開けた状態にできます。屋根を開いた状態にすると室内が良く見えるのですが、室内の出来ばえはこのサイズのミニカーとしてはやや物足りない気がします。またルーフキャリアのパイプはプラスチック製で簡単に壊れるので、これは金属パーツにして欲しいものです。(サンルーフの交換中にパイプの一部が破損しましたので) このO3500は色違いなどのバリエーションが10種類ほどあります。これ以外のO3500 バスのミニカーはBUSCHの1/87や、PREMIUM CLASSIXXSのLO3500などがあります。以下はフロント/リアの拡大画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
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BMW イセッタ 250 ドイツ 1955年
戦後のBMWが進めた高級車路線は、敗戦直後のドイツではうまくいきませんでした。そこでBMWは高級車路線を転換して、小型大衆車の生産を始めました。量産に適した車種としてBMWがライセンス契約を結んだのはイタリアのイソ社の超小型車イセッタでした。おそらくBMWのモータサイクルのエンジンが流用できるので、イセッタが選択されたのだと思います。ただ高級車メーカーがこのような小型車に切り替えたのですから、よほど財政的に苦しかったのでしょう。
リアに搭載する2サイクル単気筒エンジンの騒音振動対策としてエンジンを自社の4サイクル強制空冷単気筒250cc/300ccエンジンに切り替えて、1955年に発表したイセッタ 250/300は大成功を収めました。この車は2人乗りで、前面にあるドアはステアリングホイールやメーターパネルもろとも前方に開く独特の構造でした。なお3輪車のように見えますが、後輪はデファレンシャルギヤを省略した狭いトレッドの2輪となっているので、4輪車です。全長2.4mの非常に小さな車ですが、ライトやワイパーもちゃんとついていて最高速度も84km/hという立派な小型自動車でした。また荷物台を付けて商用車としても使ったようです。この車をコピーした車がイギリスではハインケル トロージャンとして販売されましたが、そちらは税制上優遇される3輪車でした。
ミニカーは1996年に発売されたシュコー製です。全長54㎜の小さいミニカーながら、灯火類などの細かいところも良く再現されていて非常に良くできてます。特に最大の特長であるステアリング ホイールとともに前方に開くドアが、実際に開閉できるのはとても面白いギミックです。(ドアを開けるのには少しコツがありますが) シュコーは荷台の付いた商用車仕様や1/64や1/87もモデル化しています。イセッタは見た目が面白いので、ミニカーがたくさんあります。プレミアム クラシックスの1/12、BUBの1/87、ホンウェルの1/43と1/72、イクソのイソ イセッタ 1/43などがあります。 以下はフロント/リアの拡大画像と俯瞰画像/床下画像です。床下画像で4輪車であることが分かります。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
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フォルクスワーゲン カルマン ギア クーペ (タイプ 14) ドイツ 1955年
フォルクスワーゲン ビートルをベースにして1955年に登場したスポーティーカーがカルマン ギア クーペ (タイプ 14)でした。デザインはイタリアのカロッツェリア ギアによるエレガントなもので、カルマン社がボディを製作していました。1957年にはオープンのカブリオレが追加されました。ビートルがベースでしたので性能的にはたいしたことはありませんでしたが、値段と維持費が安くまた見た目がかっこよかったので「プアマンズ ポルシェ」といわれ人気がありました。
カルマン ギア タイプ 14の当初のエンジンはビートルと同じ1.2L(30HP)でしたが、その後ビートル同様に1965年に1.3L(40HP)、1966年に1.5L(44HP)、1969年に1.6L(50HP)と拡大され、1.6Lは最高速140km/hに性能が向上しました。1971年にテールライトが大きくなり、バンパーの形状が変更されました。タイプ 14は1973年まで生産され総生産台数は約44万台でした。ブラジルではタイプ 14をベースにしたカルマン ギア TCが1975年まで生産されました。(実車画像→ フォルクスワーゲン カルマン ギア TC 1972 )
1962年にフォルクスワーゲン 1500をベースにして同じギアのデザインながらタイプ 14とは異なるデザインを持つカルマン ギア 1500 クーペ (タイプ 34)が登場しました。このデザインは当時のアメリカ車(GM シボレー コルベア)を意識したものだったようです。(実車画像→ カルマン ギア クーペ (タイプ 34) 1966) タイプ 34のエンジンは1.5L(45HP)で最高速135㎞/hとタイプ 14より高性能でした。1965年に1.6L(54HP)が追加されました。タイプ 34はデザインが良くなかったのか? 人気が出ず、タイプ 14より先に1969年に生産中止となりました。総生産台数は4万台ほどで、稀少車の類でした。
ミニカーは1992年に発売されたミニチャンプス製です。ミニチャンプスとしては初期物ですが、古典的ながら魅力的なこの車のデザインがうまく再現されています。灯火類やロゴなどの細部もリアルに再現されています。カルマン ギア タイプ 14の当時物ミニカーはディンキー、メルクリン、国産のミクロペットなどがありました。当時物以外ではシュコー、ヴィーキング、フランクリン ミントの1/24、京商の1/64、NEO(レジン製)などがあります。カルマン ギア タイプ 34の当時物ミニカーはコーギー、ジク(SIKU)などがありました。当時物以ではミニチャンプス、ヘルパとブッシュの1/87があります。 以下はフロント/リアの拡大画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
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