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GM シボレー V8 アメリカ 1918年
イギリス系アメリカ人 デイヴィット ダンバー ビュイックがビュイック モーター社を1903年に設立しました。ビュイック社の業績は芳しくなく、馬車製造会社を経営するウイリアム C デュラントに援助を求めました。デュラントの采配でビュイック社は業績が回復しましたが、創業者のビュイックは会社を去りました。フォード社と売上げを競うほどに成長したビュイック社を土台にして、デュラントは1908年にGM(ジェネラル モータース)社を設立しました。GM社はキャディラック、オールズモービルなどを買収して拡大していきましたが、それが財務を悪化させデュラントは1910年に経営権を剥奪されました。
そこでデュラントは1911年にシボレー社を設立し、ビュイック社の技術者ルイ シボレーに低価格の大衆車を開発させました。この最初のシボレーは6気筒4.8Lエンジンを搭載していたのでクラシック シックスと呼ばれ、安価ながら高性能だったので人気車となりました。シボレーの成功でデュラントはGMの株式を買い戻し、1916年にGMの経営者として復帰し、その後シボレーはGMの1部門となりました。1915年にシボレーはフォード T型の対向車としてモデル 490(4気筒2.8Lエンジン)を発表し、名前どおりの490ドル(T型と同じ値段)で販売しました。この車はT型より装備が充実していたのでT型の牙城を脅かし始めました。(ただシボレーがフォードを生産台数で追い抜いたのは1930年代前半でした) 1918年にシボレーはV型8気筒エンジンを搭載するシリーズ Dを登場させましたが、この車は売れませんでした。デュラントはその後もデュラントモーターズを設立しましたが、成功しませんでした。
ミニカーは1969年頃に発売されたドイツのチィス(ZISS)製です。梱包箱に「CHEVROLET V8 1918」と表示されているので、上述したシリーズ Dをモデル化しているようです。ただ実車画像と見比べると、全体的な雰囲気が違っていて、フロントグリル形状が実車画像とはかなり違い、そこにあるはずのシボレーのエンブレムもありません。したがってモデル化された車種は良くわからないのですが、ドイツのチィスがモデル化しているので、欧州に輸出されたシボレーをモデル化しているものと考えます。実車諸元はシボレー シリーズ Dの仕様を記載しました。 以下はフロント/リアの拡大画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
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ウォーカー バン 電気自動車 アメリカ 1919年
ウォーカー モータービークル社(WALKER MOTOR VIHICLE COMPANY)はアメリカのシカゴで創立され1907年に電動トラックの生産を始めました。同社はいくつかの異なる会社に買収されましたが、1942年までさまざまな電気自動車(商用バン/トラック)を製造しました。これらの電気自動車は定格電圧66-88Vの電池(40Ah)を搭載し、電動モーター(3.5HP)で車両を駆動していました。最高速度は16-20km/hほどで、満充電で走行できる距離は約60-90㎞でした。ウォーカーの電気自動車はアメリカ全土とイギリスやニュージーランドでも販売されました。
画像のミニカーは1919年式のウォーカー電気自動車で、イギリス ロンドンの老舗デパート ハロッズ(HARRODS)で商品配送用に使用されていた電動バンをモデル化しています。ハロッズはこの電動バンを60台保有していました。当時配送業務にはまだ馬車が使われていましたが、馬は飼育に手間がかかる上に路上で排泄するので非衛生でした。その点電動バンは配達完了後に充電機に接続するだけでよかったので、配送業務用として重宝されたようです。なお当時の内燃機関(ガソリン)自動車はエンジン始動/変速機操作など運転が難しかったのですが、電気自動車は前後進のレバー操作だけで簡単に運転できたようです。
ミニカーは1985年に発売されたマッチボックス製です。最近レストアされたと思われる実車の写真がWEB上にありましたが、フロントに表示されたナンバー「LW6737」がミニカーと同じですので、この実車をモデル化しているようです。(実車画像→ ウォーカー バン 1919) 実車写真と見比べてみると、ミニカーはカラーリングやハロッズのロゴまでかなりリアルに実車を再現してありとても良く出来ています。ハロッズのコーポレートカラーであるオリーブのカラーリングはややくすんでいますが、レストア前はこんな感じだったのではないかと思います。なおウォーカーの量産ミニカーはこれしか無いようです。 以下はフロント/サイドの拡大画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
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マック AC タンク トラック アメリカ 1920年
アメリカのトラック専業メーカーのマック トラック社は1902年にマック ブラザーズ社(THE MACK BROTHERS COMPANY)として起業しました。最初はバスを製造し、1907年に最初のトラックを製造しました。同社は全ての部品を自社開発して品質管理を徹底することで、信頼性と耐久性を確保していました。その為1914年に登場したAB型トラックは故障が少ないことでヒットしました。(実車画像→ マック AB型トラック)
1916年に登場したAC型は、マックの名前を有名にした優れたトラックでした。AC型の最大の特徴はラジエーターをエンジンとキャビンの間に配置したことでした。この配置は当時のルノーも採用していましたが、跳ね石などによるラジエータの破損を防ぐことができました。またデフユニットをフレーム内に内蔵し後輪をチェーン駆動していました。この方式は過大な負荷がかかった時にチェーンが破損することで、それ以上の破損を防ぐことができました。当時のトラックはオフロードなど過酷な環境で使われており、故障の少ないマック トラックは頑丈であるという定評を築きました。AC型は1938年まで長く生産されました。
1922年にマック トラック社となり、ブルドッグが同社のシンボルとなりました。1930年代になると大型のBシリーズとFシリーズ(キャブオーバー)と中型のEシリーズが主流となり、市場で高く評価されました。1938年に大型ディーゼルエンジン(6気筒8.5L)を自社開発しています。1940年にはLシリーズが登場し、1950年代までマックの代表的なトラックとなりました。 (実車画像→ マック Bシリーズ マック Lシリーズ)
ミニカーは1995年頃に発売されたマッチボックス製のマニア向けYシリーズです。マック AC型のタンク トラック (タンクローリー) 'TEXACO' をモデル化しています。実車の雰囲気が良く再現されていて、黒と赤のカラーリングがきれいです。キャブ手前の金色の部分がラジエータで、タンクのバルブ関係や後輪のチェーン駆動部分がうまく仕上げてあります。(ただ縮尺が1/60と中途半端なのが、今一つですが) マッチボックスはAC型の消防車やボックスバンなど約10種類をモデル化しています。古いマック トラックはフランクリン ミントやヤトミンでもモデル化されています。 以下はフロント/リアの拡大画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
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アーレンス フォックス R-K-4 消防車 アメリカ 1924年
アーレンス フォックス社はアメリカのオハイオ州を拠点とする消防車メーカーでした。同社は1910年にジョン P.アーレンス(John P.Ahrens)とチャールズ H.フォックス(Charles H.Fox)によって設立され、1911年に最初のエンジン付き消防車を製造しました。その翌年には馬が引く馬車式消防車の生産が終了し、その後1970年代までに1500台以上の消防車が製造されました。アーレンス フォックス社の消防車は消防車のロールス ロイスと呼ばれて信頼されてきました。同社は2020年現在もHME アーレンス フォックス社として消防車を製作しています。(参照サイト→ HME アーレンス フォックス社 ホームページ)
画像のミニカーは1920年代に製作されたR-K-4 消防車をモデル化しています。1920年代のアメリカでは既に高層ビルが建築されていました。その為消防車には高所まで放水できることが要求され、アーレンス フォックス社の消防車は他社よりこの能力が優れていたそうです。ボンネットの前に付いているのが2気筒の送水ポンプ(毎分2270Lの送水量)で、その上にあるメッキされた球体は送水ポンプの圧力変動を滑らかにする為のエアチャンバーです。当時の消防車は送水ポンプを車体中央/後部に装備している場合がほとんどだったので、ボンネットの前に装備された送水ポンプとその上のエアチャンバー(球体)はアーレンス フォックス社の消防車の特徴でした。4気筒11L(130HP)ガソリンエンジンで後輪を駆動し、このエンジンで送水ポンプも駆動しました。後部には水タンク、消防用ホース、はしごを装備しています。
ミニカーは2003年に発売されたデルプラド製の「世界の消防車」の1台です。実車が大きいので縮尺1/64でモデル化されています。メーカーは明記されていませんが、アメリカのAMERCOM-HOBBYというメーカーの消防車シリーズに同じ物がありますので、それを流用しているようです。安価な雑誌付きミニカーでサイズが小さいので、あまり細かいところまでは再現されていませんが、R-K-4 消防車の特徴である送水ポンプやエアチャンバーはきちんと再現されています。はしごや消防用ホースもサイズが小さいですがそれなりに再現されています。当時の定価は2000円以下でしたから、値段を考えると良く作ってあると思います。これ以外のアーレンス フォックス 消防車のミニカーはヤトミンの1/24、シグネチャーの1/43、マッチボックスの1/43、フランクリン ミントの1/32などがあります。 以下はフロント/リアなど各部の拡大画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
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フォード TT型 バン BECKS アメリカ 1926年
フォード T型は商用車としても使われました。最初は安価な2座車の後部に荷台を取り付けた前述したランチ ワゴンのような改造車だったようです。2017年にT型をベースにしてメーカーが設計した商用車仕様のTT型が登場しました。TT型はホイールベースが60㎝ほど延長され、フレームと後輪駆動ギヤが強化されていました。当初はシャーシのみで販売され、ユーザーがバンやトラックや小型バスなどのボディをカスタムで架装していました。1924年にはフォードが架装したトラック ボディが設定されましたが、様々なボディの商用車があったようです。
フォード TT型は安価で丈夫でしたがエンジンや変速機はT型と同じでしたので、他社のトラックに比べると動力性能は劣っていました。最高速は標準で24km/hで、オプションのギヤボックスを付けても35km/hとかなり低速でした。(T型の最高速は70km/でしたが、駆動力を上げる為に後輪のデファレンシャルギヤ比が変更されていました) 1926年にはT型が約160万台生産され、TT型は約20万台生産されています。1928年にT型がA型にモデルチェンジし、TT型もAA型にモデルチェンジしました。
ミニカーは1993年に発売されたマッチボックス製です。ドイツのビール メーカー「Beck & Co」の配送用バンをモデル化しています。このフォード TT型はT型よりホイールベースが延長されていることがわかります。マッチボックスはこの類の商用車をたくさんモデル化していますが、それらの商用車のミニカーはカラフルなボディカラーと綺麗に印刷されたメーカーのロゴなどを楽しむものでもありました。このTT型もそこはきちんと押さえて作ってありますが、室内などもそこそこリアルに作ってあります。同じ型を使ったバリエーションがいくつかありました。 以下はフロント/リアの拡大画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
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