ミニチュアカー ミュージアム

自動車の歴史 時代/自動車メーカー別

 

OPEL LUTZMAN 1899 GERMANY

OPEL LUTZMAN
(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
OPEL LUTZMAN


VITESSE VCC99053 1/43 62mm
 実車諸元 画像参照
外形寸法: 全長約2.5m 全幅 約1.4m 車重 約520kg エンジン 変速機: 単気筒 1.5L 3.5HP 2段変速 後輪チェーン駆動
性能: 最高速20km/h  データーベースで戦前のオペルのミニカー検索

オペル ルッツマン ドイツ 1899年

 

 ドイツの技術者アダム オペルが1862年に創業したミシン製造会社がオペル社の起源でした。同社のミシンは高性能でヨーロッパ中に売れたようです。同社は1886年に自転車の製造を始め、アダム オペルの息子たちが自転車レースで勝利することで知名度を上げ自転車も高性能で良く売れたそうです。同社は次に自動車製造に進出することを決め、当時のベンツ ビクトリアを模した自動車を製造していたルッツマン社に目を付けました。オペル社はルッツマン社の特許と生産設備を買収し、オペル 1号車のオペル ルッツマンを1899年に完成させました。

 

 オペル ルッツマンは単気筒1.5L(3.5HP)エンジンをリアに搭載した小型車で、2段変速機を介して後輪をチェーン駆動し最高速20km/hの性能でした。この車は複数のエンジン(3.5HP/4HP/5HP)と2座/5座ボディのバリエーションで販売されました。ただ同時期のベンツなどと比べると性能が良くなかったので、1902年までに65台が生産されただけでした。オペルはこの車に見切りをつけ、その後はフランスのルノー社ダラック社と提携しました。

 

 

 ミニカーは1999年に発売されたビテス製です。オペルのロゴ入りの箱に収まっていることから、おそらくはオペルの100周年記念プロモーション用モデルとしても使われたものと思われます。プロモーション用モデルということで1/43サイズながら細部までリアルに再現されとても良く出来ています。特に床下部分の後輪駆動部はこのサイズとしてはかなりリアルに再現されていて、実車の構造が良くわかります。簡単に説明すると、エンジン出力は高速/低速用で切り変わる2本のベルトを介して後輪駆動軸に伝達され、後輪駆動軸がチェーンで後輪を駆動します。円形のステアリングホイールを回すと前輪操舵用チェーンで前輪が操舵されます。オペル ルッツマンの量産ミニカーはこれしかないようで、ビテスはこれの色違いにフィギュアを付けた物を「ミレニアム コレクション」シリーズとしてして2000年に発売しています。 以下はフロント/リアの拡大画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)

OPEL LUTZMAN 1
OPEL LUTZMAN 2

 以下は後輪駆動用ベルト/チェーンなど床下部分の拡大画像と、上述した「ミレニアム コレクション」シリーズのフィギュアが付いた色違いと並べてみた画像です。当時の紳士/淑女の服装のフィギュアもなかなか良く出来ていて、フィギュアを配置するとよりリアルな感じがして楽しいです。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
OPEL LUTZMAN 3
OPEL LUTZMAN 4

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OPEL DARRACQ 8HP 1902 GERMANY

OPEL DARRACQ 8HP
(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
OPEL DARRACQ 8HP


DUGU M04 1/43 70㎜
 実車諸元 画像参照
外形寸法: 全長約3m エンジン 変速機: 単気筒 1.1L 8HP 3段変速 後輪チェーン駆動
性能: 最高速20km/h  データーベースで戦前のオペルのミニカー検索

オペル ダラック 8HP ドイツ 1902年

 

 前述したようにオペルの第1号車 オペル ルッツマンは技術的に未熟で商業的には失敗作でした。そこでオペル社はフランスのルノー社やダラック社と提携しライセンス生産を行うことで自動車技術の習得に努めました。1902年に登場したオペル ダラックはダラックのライセンス生産車でした。オペル ダラックは単気筒1.1L(8HP)エンジンをフロントに搭載し、3段変速機を介して後輪をチェーン駆動し最高速20km/hの性能でした。

 

 ダラックは当時最も進んだ技術を採用していた車で、今日の自動車の基本的な構造は全て備えていました。オペル ダラックは商業的に成功し、オペルは自動車メーカーとしての基礎を固めることが出来ました。1906年にオペルはダラックとの提携を解消し、オペル ダラックは生産中止となりました。その後オペルは自社開発した車を発売するようになりました。

 

 

 ミニカーは1960年代に発売されたイタリアのドゥグー(DUGU)製です。ドゥグーは当時のクラシックカー専門ブランドで、「Miniautotoys」シリーズと「Museo」シリーズがありました。どちらのシリーズもトリノ自動車博物館が保管していたクラシックカーをモデル化していました。「Miniautotoys」シリーズは1/43スケールの高品質のミニカーで、「Museo」シリーズは1/43スケールでホイールなどの部品を共用し梱包箱を簡素化した廉価版ミニカーでした。このダラックは「Museo」シリーズの1台で、オペル ダラックではなくフランスの本家ダラックをモデル化したものですが、外観はほとんど同じだと思います。廉価版とはいえフロント床下のラジエータなど結構リアルな造形で、当時のクラシックカーのミニカーの標準以上の出来ばえでした。この車の後席にはリアシート背後のドアを開いて乗り込むようになっていて、リア中央に足を乗せるステップが付いています。これ以外ではガマもオペル ダラックをモデル化していました。 以下はフロント/リアの拡大画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)

OPEL DARRAQ 8HP 1
OPEL DARRAQ 8HP 2

 以下は1965年頃に発売されたガマ製のオペル ダラック 1903 (1/45 型番985)の画像です。メタリック塗装がクラシックカーらしくないですが、これも上記ドゥグー製と同じくらいの良い出来ばえです。フィギュアが付いているのは子供さん(元子供だった大人のコレクターも含めて)の興味を引くことを狙ったおまけです。ただクラシックカーの場合、フィギュアが当時の服装を反映しているので面白いです。(ただしこの時代の女性はドライバーではなく、同乗者だったと思われますが) (画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
OPEL DARRAQ 8HP 3
OPEL DARRAQ 8HP 4

 以下はフロント/リアの拡大画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
OPEL DARRAQ 8HP 5
OPEL DARRAQ 8HP 6

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OPEL 5/10HP STADT-COUPE 1908 GERMANY

OPEL 5/10HP STADT-COUPE
(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
OPEL 5/10HP STADT-COUPE


ZISS 22 1/43 83mm
 実車諸元 画像参照
外形寸法: 全長約3m エンジン 変速機: 4気筒 1.6L 12HP 4段変速
性能: 最高速55km/h  データーベースで戦前のオペルのミニカー検索

オペル 5/10HP シュタット クーペ ドイツ 1908年

 

 前述したようにオペルはフランスのダラック社と提携しオペル ダラックをライセンス生産することで技術を習得しました。オペルは1902年のハンブルク モーターショーで2気筒1.9L(12HP)エンジンを搭載した独自設計の小型車10/12HPを発表し、1906年から製造を始めました。(10/12HPとは課税上の馬力区分が10HPで実際の馬力が12HPという意味です) 1906年にはダラック社との提携を解消したので、オペル ダラックは1907年に生産中止となりました。

 

 このミニカーがモデル化している実車は、ニ玄社の書籍「世界の自動車 オペル」を参照すると10/12HPの改良型の5/12HPが該当するようです。5/12HPは4気筒1.6L(12HP)エンジンを搭載し4段変速で最高速55km/hの性能でした。このシュタット クーペ(STADT-COUPE 英語ではTOWN-COUPE)という名前は、密閉した客室(クーペ)形式のボディを意味しています。ミニカーでみてもずいぶん車高が高いですが、実際に車内で立っていられるほどの高さがあったそうです。なおこのシュタット クーペの年式はミニカーの底板に明記されている1908年ではなく1911年だと書いてあるWEBサイトもあります。またトリノ自動車博物館関係の書籍によると5/12HPは1912年式とも書かれていますので、どれが正しいか分かりませんが、ミニカーに明記された年式を優先しました。

 

 

 ミニカーは1960年代に発売されたチィス(ZISS-MODELL)製です。チィスはドイツのMINI-AUTO社のブランドでドイツ車中心でクラシックカー、乗用車、商用車などのミニカーを1960年代に製作していました。チィスのミニカーはフロントグリルや灯火類などに金属部品を使っていますので、がっちりとしたつくりとなっています。このシュタット クーペも金属製のロゴ入りラジエータグリルに独特の雰囲気があります。細かい部分もそこそこ良く再現されているので、当時のミニカーとして良い出来ばえでした。 以下はフロント/リアの拡大画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)

OPEL STADT-COUPE 1
OPEL STADT-COUPE 2

 以下は上記のバリエーションでオープン仕様のオペル トルペード 1908 (1/43 型番43)の画像です。キャビン部分を幌を開いたオーペン仕様に変更したもので、それ以外は上記と同じです。なおこの時代の車は馬車時代の名残りで右ハンドルが一般的でした。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
OPEL STADT-COUPE 3
OPEL STADT-COUPE 4

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OPEL 4/8HP DOKTORWAGEN 1909 GERMANY

OPEL 4/8HP DOKTORWAGEN
(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
OPEL 4/8HP DOKTORWAGEN


ZISS 20 1/43 72㎜
 実車諸元 画像参照
外形寸法: 全長約3.5m エンジン 変速機: 4気筒 1029㏄ 8HP 3段変速
性能: 最高速60km/h  データーベースで戦前のオペルのミニカー検索

オペル 4/8HP ドクトルワーゲン ドイツ 1909年

 

 オペル シュタット クーペの解説に記載したようにオペルの独自設計した車が1906年から登場しました。その当時のオペルの一番有名な小型車が1909年に登場した4/8HPでした。4/8HPは4気筒1029cc(8HP)エンジンを搭載し3段変速機で最高速度60km/hの性能でした。2シータの小型車で狭い路地などにも入っていけるので、患者を診察するために長距離を運転する地方都市のお医者さん向けということで「ドクトルワーゲン」の名前が付けられました。またこの車は信頼性が高く安価であったことから、お医者さんだけではなく一般人にも広く使われるようになりました。

 

 オペルはこのような実用車でその地位を固め、1910年頃には年間数千台を生産するドイツで最大の自動車メーカーになっていました。1911年に同社の工場は火事で大部分が焼失しました。工場の再建にあたり、オペルはミシン製造を止めて自動車製造に専念することを決め、自動車製造用の最新設備で新工場が建設されました。当時の自動車メーカーは自社の優秀性を示すためにレースに参戦していました。オペルも1904年から参戦し1907年のカイゼルプライス(Kaiserpreis) レースでは4気筒8L(75HP)エンジンを搭載したレースカーが3位/4位となりドイツ車として最高の成績を残しています。(優勝したのはフィアットでした) その後もオペルは1920年代半ばまでレース活動を続けていました。(実車画像→ オペル レースカー 1907)

 

 

 ミニカーは1960年代に発売されたドイツのチィス(ZISS-MODELL)製です。チィスはMINI-AUTO社のブランドでドイツ車中心でクラシックカー、乗用車、商用車などのミニカーを1960年代に生産していました。チィスのミニカーはフロントグリルや灯火類などに金属部品を使っていましたのでがっちりとしたつくりとなっていました。このドクトルワーゲンも上述したシュタット クーペ同様にロゴ入りのラジエータグリルに独特の雰囲気があります。灯火類や幌も金属製でややごついですが、当時のミニカーとしては良い出来ばえでした。これ以外のドクトルワーゲンのミニカーはマッチボックス、ガマなどがあります。 以下はフロント/リアの拡大画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)

OPEL DOKTORWAGEN 1
OPEL DOKTORWAGEN 2

 以下は1967年頃に発売されたマッチボックス製のオペル ドクトルワーゲン (1/38 型番Y04)の画像です。ヘッドライトがフロントグリル横から生えているなどマッチボックス流の簡略化がされていますが、実車の雰囲気はうまく再現されていて1960年代のミニカーとしては良い出来ばえでした。経年変化でフロントグリル(プラスチック製)の赤色が退色しています。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
OPEL DOKTORWAGEN 3
OPEL DOKTORWAGEN 4

 以下は1965年頃に発売されたガマ製のオペル ドクトルワーゲン (1/45 型番986)の画像です。前述したオペル ダラックと同じガマのクラシックカーで、メタリック塗装でフィギュアが乗っている点が同じです。ガマ流のデフォルメがされているので、実車とはイメージがやや違っていますが、ドクトルワーゲンであることは分かります。フィギュアは帽子とネクタイでなんとなくお医者さんという感じがします。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
OPEL DOKTORWAGEN 5
OPEL DOKTORWAGEN 6

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OPEL 4/12HP LAUBFROSCH 1924 GERMANY

OPEL 4/12HP LAUBFROSCH
(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
OPEL 4/12HP LAUBFROSCH


ELIGOR 1093 1/43 73㎜
 実車諸元 画像参照
外形寸法: 全長約3m エンジン 変速機: 4気筒 951cc 12HP 3段変速
性能: 最高速70km/h  データーベースで戦前のオペルのミニカー検索

オペル 4/12HP ラウプフロッシュ ドイツ 1924年

 

 1914年に第1次大戦が勃発すると、オペルは軍用車や航空機エンジンなどの軍需品の生産を行いました。1918年に戦争が終わるとオペルは戦前のモデルに手を加えた車を発売しましたが、戦後の不況下でそのような車は売れませんでした。そこでオペルは旧式な生産方式を止めフォード流の流れ作業による大量生産方式をドイツで初めて採用しました。この方式で1924年に登場した4/12HPは安価で実用的な2シーターの小型車で、4気筒951cc(12HP)エンジンを搭載し3段変速機で70km/hの性能でした。この車は全てが緑色に塗装されていたことからラウプフロッシュ(LAUBFROSCH ドイツ語で雨蛙の意)と呼ばれました。

 

 このラウプフロッシュは全く同じ発想で作られたフランスのシトロエン 5CVとラジエータグリル以外はほとんど見た目が同じでした。(証拠がないですがオペルがパクったようです) シトロエンは見た目がそっくりだということでオペルを告訴したのですが、最終的には色が違うという簡単な理由(シトロエンは黄、オペルは緑)でオペルが勝訴したそうです。4/12HPは1925年にエンジンを1018ccに拡大しホイールベースを延長した4/14HPに改良されました。ホイールベースを伸ばしたことにより4/14HPは4シーターボディを載せることができるようになり箱形のリムジーンも追加されました。ラウプフロッシュは大成功しエンジンのパワーアップなどの改良が行われ4/16HP、4/20HPに発展し、1931年まで生産され総生産台数は約12万台でした。(実車画像→ オペル 4/20HP 1929)

 

 

 ミニカーは1983年頃に発売されたエリゴール(ELIGOR)製です。実車に即した緑色のカラーリングで、ラウプフロッシュ(雨蛙)というニックネームどうりであることが良くわかります。なお実車同様にミニカーも同じエリゴール製のシトロエン 5CVの型を流用してフロントグリルだけを変更しています。エリゴールは商用バン仕様など十種類ほどをモデル化しています。これ以外のラウプフロッシュのミニカーはガマの4/14HP、ドイツのミニカー付雑誌「OPEL COLLECTION」のNo.22の4/12HPなどがあります。 以下はフロント/リアの拡大画像と室内の画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)

OPEL LAUBFROSCH 1
OPEL LAUBFROSCH 2

 以下は1960年代に発売されたガマ製のオペル 4/14HP 1925 (1/46 型番976)の画像です。ホイールベースを延長した4/14HPをモデル化していますので、上記の4/12HPより車体が長くなっていることが分かります。玩具的な作風で作りが大雑把でなのであまりリアルという訳ではありませんが、モデル化されていない車種なのではその点では貴重なミニカーです。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
OPEL 4/14HP 1
OPEL 4/14HP 2

 以下は1960年代に発売されたガマ製のオペル 4/14HP リムジン 1925 (1/46 型番977)の画像です。上記のバリエーションでラウプフロッシュのリムジン(セダン)です。車が小さいのであまりリムジンという名前が似合いませんが、室内は4シーター仕様です。これも大雑把な作りですが、実車の写真をみるとこんな感じの車でそれなりの出来ばえです。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
OPEL 4/14HP 3
OPEL 4/14HP 4

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