ミニチュアカー ミュージアム

自動車の歴史 時代/自動車メーカー別

 

INNOCENTI 950 SPIDER 1960 ITALY

INNOCENTI 950 SPIDER
(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
INNOCENTI 950 SPIDER


MERCURY N10 1/45? 75㎜
 実車諸元 画像参照
外形寸法: 全長約3.42m 全幅約1.47m エンジン 変速機: 4気筒 950cc 41HP 4段変速
性能: 最高速140km/h  データーベースでイノチェンティのミニカー検索

イノチェンティ 950 スパイダー イタリア 1960年

 

 イノチェンティ社の前身はフェルディナンド イノチェンティ(Ferdinando Innocenti)が1920年に興した鋼管製造工場でした。1947年にイノチェンティ社が設立され、鋼管加工技術を生かしたスクーター ランブレッタ 125M (Lambretta)(空冷単気筒123㏄(4HP)エンジン搭載)を発売しました。イタリアのスクーターとしてはベスパ(Vespa)が有名ですが、1950年代にはベスパより高性能で人気が高かったそうです。(実車画像→ ランブレッタ LD125 1956)

 

 1960年にイノチェンティ社はイギリスのBMCのライセンス生産を行うことで自動車製造に進出しました。最初のモデルはオースチン ヒーレー スプライト 1958年(通称かに目)のシャーシに、ギヤがデザインしてカロッツェリア OSIがボディを架装した2座の950 スパイダーでした。950は4気筒950cc(41HP)エンジンを搭載し、4段変速で最高速140km/hの性能でした。1963年には本家のスプライト MK IIと同様に1.1L(50HP)に排気量を拡大し、全輪ディスクブレーキを備えたスパイダーSに発展しました。イノチェンティはBMCのミニやADO16シリーズのIM3もライセンス生産しました。

 

 

 ミニカーは1961年頃に発売されたマーキュリー製の当時物です。マーキュリーの本業は自動車部品メーカーでしたが、1940-1970年代にミニカー製造も手掛けていました。1960年代のミニカーですので素朴な作りで、実車が小さいのでミニカーも全長75㎜ほどの小さなサイズです。実車はベースとなったオースチン ヒーレー スプライトを近代的にした軽快な車で、ホンダ初期のスポーツカー Sシリーズはこの車に似ていました。ミニカーは全体的に平板な造形で実車のイメージから少し外れていますので、いまひとつの出来ばえです。ただミニカーのプロポーションがそんなに悪いわけではありません。イノチェンティ 950のミニカーは2020年現在でもこれしかないようです。 以下はフロント/リアの拡大画像と室内の画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)

INNOCENTI 950 1
INNOCENTI 950 2

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INNOCENTI IM3 1963 ITALY

INNOCENTI IM3
(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
INNOCENTI IM3


POLITOYS 508 1/43 88mm
 実車諸元 画像参照
外形寸法: 全長約3.75m 全幅約1.56m エンジン 変速機: 4気筒 1.1L 58HP 4段変速
性能: 最高速145km/h  データーベースでイノチェンティのミニカー検索

イノチェンティ IM3 イタリア 1963年

 

 前述したようにスクーターを製造していたイノチェンティ社は、1960年にイギリスのBMCのライセンス生産を行うことで自動車製造に進出しました。1963年に登場したイノチェンティ IM3はBMCのADO16シリーズ(1962年のモーリス 1100など)のライセンス生産でした。(IMとはINNOCENTI MORRISの意) ADO16シリーズはミニの上級車でミニと同じイシゴニス方式の前輪駆動車で、ラバー(ゴム)スプリ ングと液体によるハイドロラスティック サスペンションを採用していました。

 

 イノチェンティ IM3が搭載する4気筒1.1L(58HP)エンジンはMG 1100(55HP)よりも高性能なチューンがされ、4段変速で最高速145km/hの性能でした。またオリジナルのADO16のデザインを行ったピニンファリーナにより、フロントのライトまわりがスポーティなイタリア風デザインに変更されていました。1964年にエンジンや外装をモーリス1100と同じにした廉価版のオースチン I4が設定されました。オースチン I4は本家のADO16シリーズがMK IIに発展したのに合わせてI5にマイナーチェンジしました。(I4 I5はJ4 J5と呼ばれることもあります) IM3は1970年まで、I5は1972年まで生産され、シリーズの総生産台数は約6.5万台でした。(実車画像→ イノチェンティ オースチン I5 1971)

 

 

 ミニカーは1965年に発売されたポリトーイの当時物です。イノチェンティ IM3の初期型をモデル化しています。IM3で変更されたフロント周りの造形がうまく再現され、当時のミニカーとしては良い出来ばえでした。ボンネット/ドア/トランクが開閉するフルギミック付きで、ボンネット内の造形はポリトーイらしいリアルな出来ばえです。ポリトーイにはイノチェンティやアウトビアンキのモデルが結構ありました。これらの車はフィアットの大衆車より少し豪華で人気があったのでしょう。ポリトーイはIM3をファイバーグラス製(1/41)でもモデル化していました。ポリトーイ以外のIM3の量産ミニカーは2020年現在でもないようです。(ポリトーイをコピーしたUSSR製がありますが) 以下はフロント/ボンネットを開いたエンジンルームの画像とリア/トランク開閉の画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)

INNOCENTI IM3 1
INNOCENTI IM3 2

 以下は室内の画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
INNOCENTI IM3 3

 以下は1966年に発売された同じポリトーイ製の当時物 イノチェンティ IM3 1963 (1/41 型番86)の画像です。材質はファイバー グラス製(ガラス繊維強化プラスチック)で、縮尺が1/41なので1/43よりも少し大きめに出来ています。ポリトーイは初期(960年代前半)には1/41サイズのプラスチック製ミニカーを作っていました。このIM3はそのシリーズの後期の物で、単なるプラスチック製ではなくファイバーグラス製で塗装されているので塗装されていないプラスチック製の安ぽい感じはしません。出来ばえは上記のダイキャスト製と同じような良い出来ばえですが、ギミックはドア開閉だけです。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
INNOCENTI IM3 6
INNOCENTI IM3 7

 以下は上記のダイキャスト製と並べてみた画像です。サイズの違いが判ります。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
INNOCENTI IM3 8

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INNOCENTI MINI MINOR 1965 ITALY

INNOCENTI MINI MINOR
(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
INNOCENTI MINI MINOR


MEBETOYS A28 1/43 72mm
 実車諸元 画像参照
外形寸法: 全長約3.06m 全幅約1.41m エンジン 変速機: 4気筒 848cc 37HP 4段変速
性能: 最高速125km/h  データーベースでイノチェンティのミニカー検索

イノチェンティ ミニ マイナー イタリア 1965年

 

 BMCのADO16シリーズをライセンスしたイノチェンティ IM3に次いで、ADO15シリーズ(モーリス ミニ マイナー 1959)のイノチェンティ版が1965年に登場しました。イノチェンティのエンブレムがついて左ハンドルとなっている点が、イギリス本国仕様との外観的な違いでした。当初はオリジナルと同じ4気筒848cc(37HP)エンジン(最高速125km/h)が搭載され、翌年には4気筒1L(56HP)エンジン(最高速145km/h)のミニ クーパーが追加されました。多連メーターなどの独自内装が施され、IM3同様にスポーティな味付けがされていたようです。

 

 1968年にはミニ クーパー MK IIに発展し1972年にはミニ クーパーS用の1275cc(71HP)エンジン(最高速160km/h)も搭載されました。当初はBMCのパーツを使ったノックダウン生産でしたが、すぐにイタリアで調達されたパーツを使用するようになり、1975年まで生産されました。1974年にベルトーネがデザインしたハッチバックスタイルで外観を一新させた後継車の90/120が登場しました。

 1971年にイノチェンティ社はスクーター ランブレッタの生産を終了しました。イノチェンティ社は1972年にBL(旧BMC)に買収され、1976年にBLが破綻してデ トマソに譲渡されました。その後、1990年にフィアットに買収されてフィアット傘下となりました。

 

 

 ミニカーは1968年に発売されたメーベトイの当時物です。プロポーション的にはキャビンより前のフロント部分が小さめでドアの上下サイズが小さく、屋根に少し丸みが付きすぎているなど、メーベトイ流のデフォルメ?で少し変わった感じのミニに仕上がっています。ボンネット/ドアが開閉するギミック付きです。ライト周りに付いている茶色の汚れはラインストーン製ライトを固定する接着剤が変色した物で、初期のメーベトイ製ミニカーでよく見られる経年変化です。イノチェンティ ミニのこれ以外のミニカーはポリトーイの当時物でミニ クーパー(1/25と1/43)などがありました。 以下はフロント/ボンネットを開いたエンジンルームの画像とリア/室内の画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)

INNOCENTI MINI 1
INNOCENTI MINI 2

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INNOCENTI MINI DE TOMASO 1976 ITALY

INNOCENTI MINI DE TOMASO
(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
INNOCENTI MINI DE TOMASO


MEBETOYS A108 1/43 80mm
 実車諸元 画像参照
外形寸法: 全長約3.12m 全幅約1.5m エンジン 変速機: 4気筒 1275cc 71HP 4段変速
性能: 最高速162km/h  データーベースでイノチェンティのミニカー検索

イノチェンティ ミニ デ トマソ イタリア 1976年

 

 1974年にイノチェンティ ミニはベルトーネがデザイン した直線的なハッチバックボディを載せたミニ 90/120にモデルチェンジしました。90は4気筒1L(49HP)、120は4気筒1275cc(65HP)エンジンを搭載し、120は最高速155km/hの性能でした。1976年には高性能版の1275cc(71HP)エンジンを搭載したデ トマソが追加されました。なおこの当時イノチェンティの親会社がデ トマソでしたので、この名前が付けられました。1980年のマイナーチェンジでスラントノーズを採用して外見を変更したミニ ミッレが登場しました。本家BLのミニ クーパー Sは1971年に生産中止となっていたので、ミニ デ トマソは高性能な小型車として人気を博しました。(実車画像→ イノチェンティ ミニ ミッレ 1980)

 

 1982年にはデ トマソとBLの契約が終了し、BLのエンジンが入手できなくなりました。そこで1982年にエンジンを日本のダイハツ シャレード用の直列3気筒1L(52HP)(ガソリンとディーゼル)に変更し、エンジンが3気筒となったことから、名前をトレ(TRE イタリア語で3の意)に改名しました。このトレにもターボーチャージャーを追加した高性能版(72HP) デ トマソ ターボが1983年に追加されました。さらに1984年にダイハツ製の2気筒617㏄エンジンを搭載したミニ 650(1987年からは550㏄エンジンのミニ 500)が追加されました。1986年には全長を伸ばしたミニ 990が追加されました。このイノチェンティのミニ シリーズは人気があり、1993年まで生産されました。なおイノチェンティ社は1990年にフィアットに吸収合併され、その時点でミニはスモールに改名され、1993年にイノチェンティ ブランドは消滅しました。(実車画像→ イノチェンティ スモール 1990)

 

 

 ミニカーは1980年頃に発売されたメーベトイ製の当時物です。メーベトイは型番A86でミニ 90をモデル化していましたが、これはそれをデ トマソ仕様に変更したものでした。同じメーベトイ製のBL ミニはやや変わった感じの造形でしたが、このベルトーネ製ボディのミニの造形は実車のデザインをうまく再現していました。デ トマソ仕様なのでバンパーが変更されボディサイドには黒い紙シールが貼ってありますが、ボンネット上のエアダクトがないなどデ トマソ仕様への変更は中途半端でした。ドアが開閉するギミック付きです。これ以外のベルトーネ製ボディのミニのミニカーはマーキュリーの当時物、Bブラーゴの当時物 1/24、KESS MODEL(レジン製)のデ トマソなどがあります。 以下はフロント/リアの拡大画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)

INNOCENTI MINI DE TOMASO 1
INNOCENTI MINI DE TOMASO 2

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