ミニチュアカー ミュージアム

自動車の歴史 時代/自動車メーカー別

 

PEUGEOT 302 DARL'MAT ROADSTER 1937 FRANCE

PEUGEOT 302 DARL'MAT ROADSTER
(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
PEUGEOT 302 DARL'MAT ROADSTER


NOREV HACHETTE   1/43 97mm
 実車諸元 画像参照
外形寸法: 全長約4.2m 全幅約1.68m エンジン 変速機: 4気筒 2L 70HP 4段変速
性能: 最高速140km/h  諸元は標準仕様でルマン出場車のものではない データーベースでプジョー ダールマのミニカー検索

プジョー 302 ダールマ ロードスター フランス 1937年

 

 ダールマはパリの有力なプジョー販売店のオーナー エミール ダールマ (Emile Darl'mat)の発案で製作されたプジョーをベースにした少量生産のスポーツカーでした。当初はダールマの工場で製作されたようですが、1936年頃からはプジョーの工場で製作されました。代表的なモデルはプジョー 302のシャーシに70HPにチューンした402の4気筒2Lエンジンを搭載した302 ダールマで、コーチビルダーのプルート(POURTOUT)がクーペやカブリオレのボディを架装していました。1938年にはプジョー 402のシャーシを使った402 ダールマも登場しました。

 

 プジョー 302 ダールマのレース仕様車は1937年ルマンに出場し総合7、8、10位でクラス準優勝し、1938年ルマンでは総合5位でクラス優勝しました。このレース仕様のダールマはそのボンネットサイドの見た目から「八目鰻」とあだ名されました。この連続する丸い穴は模様ではなくエンジンの熱気抜き用の通気穴でしたが、フランス流のセンスでうまいアクセントになっています。戦後の1947年にプジョー 202をベースにした202 ダールマが1.1Lクラスの速度記録を達成し、1953年にプジョー 203をベースにした203 ダールマが少量生産されました。

 

 

 ミニカーは2006年頃に発売されたフランスのミニカー付雑誌「PEUGEOT COLLECTION」のNo.8で、メーカーはノレブです。(国内販売されなかったのでオークションで入手しました) 1937年のルマンで8位となった車(#25)をモデル化しています。実車の雰囲気がうまく再現され、フロントグリルや特徴的なボンネットサイドの通気孔など細部もそこそこリアルで、良く出来ています。ノレブはカタログモデルでは型番473201で10位となった車(#27)をモデル化していますが、それはこれより内装の仕上げが良く幌が付いています。ダールマのミニカーはノレブが1/18も含めて約10種類を発売していてほぼ独占しています。なおノレブがモデル化する以前は、エリゴール初期の402 ダールマが唯一のミニカーでした。 以下はフロント/リアの拡大画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)

PEUGEOT 302 DARL'MAT ROADSTER 1
PEUGEOT 302 DARL'MAT ROADSTER 2

 以下は上述したエリゴール製のプジョー 402 ダールマ 1938 (1/43 型番1033)の画像です。1979年頃に発売されたものですが、これはダイキャスト製の量産ミニカーではなく、ホワイトメタル製の少量生産ミニカーでした。(少量生産ミニカーながら当時の定価は2400円で、何故かエリゴールのダイキャスト製と同じような定価でした) プロポーションが良くボンネットサイドの通気孔やインパネなどの細部もリアルで、当時のミニカーとしては良い出来ばえでした。この当時はプジョー 402 ダールマのミニカーはこれしかなかったのでその点で貴重でした。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
PEUGEOT 302 DARL'MAT ROADSTER 3
PEUGEOT 302 DARL'MAT ROADSTER 4

 以下はフロント/リアの拡大画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
PEUGEOT 302 DARL'MAT ROADSTER 5
PEUGEOT 302 DARL'MAT ROADSTER 6

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MERCEDES-BENZ W154 1938 GERMANY

MERCEDES-BENZ W154
(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
MERCEDES-BENZ W154


SPARK S1032 1/43 ㎜
 実車諸元 画像参照
外形寸法: 全長約4.6m 全幅約1.85m エンジン 変速機: DOHC V型12気筒 3L スーパーチャージャー 483HP
 5段変速
性能: 最高速309km/h  データーベースでメルセデス ベンツ W154のミニカー検索

メルセデス ベンツ W154 ドイツ 1938年

 

 1938年に新しい3Lフォーミュラ(過給3L 無過給4.5L 排気量に応じて最低重量400-850㎏)が施行され、それに対応したメルセデス ベンツ W154が開発されました。W125をベースにしてサスペンションを改良し、エンジンが小さくなった分ボディが低くなり空力的に改善されました。W125同様にW154も圧倒的に強く1938年の主要な6レースで勝利しています。1939年は戦前最後のグランプリシーズンとなり、W154はスーパーチャージャーを2ステージ化してパワーアップし、フロントグリルの形状などを変更したボディが載せられました。この1939年式のW154をW163と呼ぶこともあるようですが、これは厳密には正しくないようです。W154は1939年に5勝しています。

 

 ドイツと同じようにムッソリーニ政権下のイタリアでもグランプリレースを国威発揚に利用していました。ドイツ勢に対抗すべくイタリアは1939年5月のトリポリ GPを自国に有利な1.5Lフォーミュラで行うことを1938年8月に決定します。これに対してメルセデス ベンツは8ヶ月ほどでW165を開発しました。W165はW154のミニチュア版で、ホイールベースが短く、V型8気筒1.5Lエンジン(278HP)を搭載していました。W165はトリポリ GPで1-2フィニッシュし、イタリアの思い通りにはなりませんでした。

 

 

 ミニカーは2009年に発売されたスパーク製です。画像はスパークのWEBサイトから借用しました。1938年のトリポリ GPで優勝したW154(ドライバー H.ラング)をモデル化しています。スパークはメルセデス ベンツの特注品としてW25、W125、W154、W154(1939)、W165をモデル化していて、このW154はそれを一般市販したものです。これ以外のW154のミニカーは、かなり昔のビンテージ物のメルクリンとマーキュリー、最近のブルムなどがあります。

 以下は1981年に発売されたブルム製のメルセデス ベンツ W154 1939 (1/43 型番R037)の画像です。1939年のドイツ GPで優勝したW154 #12 (ドライバー R.カラツィオラ)をモデル化しているようです。ただしミニカーの全長が88㎜程なので1/43換算で計算すると全長が3.7mとなり、W154の寸法と合いません。このサイズはW154の小型版W165の全長3.7mと一致します。ブルムは型番R037と同じ型を使った型番R037Bで1939年のトリポリ GPで優勝したW165をモデル化していますので、この型番R037はW154ではなく正しくはW165をモデル化したようです。ブルム初期のミニカーにはこんな具合に実車考証が適当なものがありました。(ただしこれが分かったのも最近のことで、それまでは全然気がつきませんでしたが) (画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)

MERCEDES-BENZ W154 1
MERCEDES-BENZ W154 2

 以下はフロント/リアの拡大画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
MERCEDES-BENZ W154 3
MERCEDES-BENZ W154 4

 以下は1989年に発売されたブルム製のメルセデス ベンツ W154 #46 インディアナポリス 1947 (1/43 型番R175)の画像です。年式が1947年となっていますが、これは戦後になって発見された車でアメリカのレーシングカーチームのオーナーのドン リー(Don Lee)が購入したものでした。そのW154は1947年のインディアナポリスに参戦しましたが、このミニカーはその車をモデル化しています。(ただしこれもW165のサイズになっていますので実車とは少し外観が違っていますが) ボディにはオーナーの名前「Don Lee」が表示されています。なおレースの結果はエンジン破損でリタイヤでした。(実車画像→ メルセデス ベンツ W154 1947 ) (画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
MERCEDES-BENZ W154 5
MERCEDES-BENZ W154 6

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AUTO UNION TYPE D 1938 GERMANY

AUTO UNION TYPE D
(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
AUTO UNION TYPE D


BRUMM R109 1/43 99㎜
 実車諸元 画像参照
外形寸法: 全長約4.2m 全幅約1.66m エンジン 変速機: 12気筒 3L スーパーチャージャー 420HP 5段変速
性能: 最高速330km/h  データーベースでアウトウニオン タイプ A-Dのミニカー検索

アウトウニオン タイプ D ドイツ 1938年

 

 1938年にGPカー(F1)の新しい3Lフォーミュラ(排気量上限 過給3L 無過給4.5L 排気量に応じて最低重量400-850㎏)が施行され、それに対応したアウトウニオン タイプ Dが開発されました。タイプ Cをベースにしていましたが、エンジンがV型16気筒6LからV型12気筒3L(420HP)に変更されてサイズが小さくなったのでコクピットが後ろに移動して一般的なGPカーのスタイルに近くなりました。1939年にはスーパーチャージャーが2ステージ化され、485HPにパワーアップされました。

 

 タイプ Dの主な戦歴としては1937年にチームに加入したイタリア人ドライバーのT.ヌヴォラーリがドライブしてイタリア GPとイギリス(ドニントン) GPなどで優勝しましたが、あまり芳しい成績は残せませんでした。1939年のフランス GPではドライバー H.ミュラーで優勝しました。アウトウニオンのミッドシップレイアウトは操縦性に問題が多い(運転が難しい)レイアウトでしたが、第2次世界大戦後のレーシングカー設計に多大な影響を与えました。大戦後の1947年にクーパーがF3でミッドシップレイアウトを採用し、その後1960年代になるとミッドシップがF1の標準レイアウトになりました。

 

 

 ミニカーはブルム製で1984年頃に発売されました。1938年のイギリス GPの優勝車をモデル化しています。実車の雰囲気がうまく再現されていて、1980年代のミニカーとしては良く出来ていました。ただこれも前述した同じブルム製のタイプ Cと同様にデカールが経年劣化しています。ブルムは ドライバー T.ヌヴォラーリのフィギュア付でイタリア GP 優勝車もモデル化しています。これ以外のタイプ Dのミニカーは戦前のメルクリンの超レアな当時物、マーキュリーの古い当時物、ミニチャンプスのイギリス GPとイタリア GP仕様などがあります。 以下はフロント/リアの拡大画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)

AUTO UNION TYPE D 1
AUTO UNION TYPE D 2

 以下は2004年に発売されたブルム製のアウトウニオン タイプ D #22 イタリア GP 優勝 (1/43 型番S061)の画像です。1938年のイタリア GPの優勝車にドライバー T.ヌヴォラーリ(Tazio Nuvolari)のフィギュアを付けた限定生産品です。 T.ヌヴォラーリは1937年にスクーデリア フェラーリ(アルファ ロメオのワークスチーム)からアウトウニオンに移籍し、1938年のイタリア GPなどで優勝しました。彼は黄色のシャツを着てレースに臨んでいたそうですが、フィギュアはその服装や風貌などがうまく再現されています。当時はこのような軽装でF1レースをしていたのです。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
AUTO UNION TYPE D 3
AUTO UNION TYPE D 4

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MASERATI 8CTF 1939 ITALY

MASERATI 8CTF
(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
MASERATI 8CTF


BRUMM R075 1/43 109mm
 実車諸元 画像参照
外形寸法: 全長約4.1m 全幅約1.52m エンジン 変速機: DOHC 8気筒 3L スーパーチャージャー 366HP 4段変速
性能: 最高速290km/h  データーベースでマセラティ 8C/4Cのミニカー検索

マセラティ 8CTF イタリア 1939年

 

 マセラティ社はイタリアのマセラティ兄弟によって1914年に設立されました。エンジンのチューニングが専門で、ディアット(Diatto)社でレースカーの製作を始め、1926年にマセラティのブランドを立ち上げました。第1号車のティーポ 26(DOHC 8気筒 1.5L)は1926年タルガ フロリオでクラス優勝し、翌年にはイタリアのコンストラクターズ チャンピオンシップを獲得しています。1929年に8気筒エンジンを並列結合した16気筒エンジン(4L)搭載のV4が登場し、この車は世界速度記録を達成し、1930年トリポリGPで優勝しました。

 

 1930年にエンジンを2.5Lに拡大したティーポ 26M(8C 2500)が登場 エンジンを2.8/3Lに拡大して1933年までレースで活躍します。1934年から750㎏フォーミュラが始めると、メルセデス ベンツ/アウトウニオンの強力なドイツ勢の登場で、主要なレースでマセラティは勝てなくなりました。1939年に4気筒1.5Lエンジンの4CLと8気筒3Lエンジンの8CTFが登場しました。8CTFは1939年と1940年のインディアナポリスで優勝しました。4CLは1940年のタルガ フロリオで優勝しており、戦後の1948年に4CLTに発展し、1950-1951年にかけてプライベーターとしても活躍していました。

 

 

 ミニカーは1982年頃に発売されたブルム製です。1939年のインディアナポリスで優勝したマセラティ 8CTF (アメリカ人ドライバー W.ショウ)をモデル化しています。全体的な雰囲気はそこそこ似てるのですが、前輪より前のノーズ部分が長めに出来ているように感じます。(サイズ的にも全長がかなり長いですし) ブルムは1940年インディ参戦車もモデル化していて、それ以外の8Cのミニカーはシュコーが1939年インディ参戦車をモデル化しています。4Cのミニカーはマーキュリーのビンテージ物やマッチボックスのビンテージ物がありました。 以下はフロント/リアの拡大画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)

MASERATI 8CTF 1
MASERATI 8CTF 2

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TALBOT LAGO T26C F1 1948 FRANCE

TALBOT LAGO T26C F1
(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
TALBOT LAGO T26C F1


BRUMM R074 1/43 95㎜
 実車諸元 画像参照
外形寸法: 全長約4.1m 全幅約1.3m エンジン 変速機: 6気筒 4.5L 260HP 4段変速
性能: 最高速270km/h  データーベースでタルボ ラーゴのミニカー検索

タルボ ラーゴ T26C F1 フランス 1948年

 

 戦前の1920年代にSTDグループ(サンビーム、タルボ、ダラック)は、速度記録やGPレースに挑戦していました。速度記録車ではサンビーム 1000HP (1927年 327.97 km/h)、レースカーでは1926年のタルボ ダラック 1500などが代表的なマシンでした。1935年にSTDグループのフランス工場をアンソニー ラーゴが買い取ってタルボ ラーゴとなってからも、タルボ ラーゴ T150などがレースで活躍していました。(実車画像→ サンビーム 1000HP)
(実車画像→ タルボ ダラック 1500)

 

 戦後にタルボ ラーゴは戦前に開発していたT26でレースに復活しました。1948年にT26を改良したT26Cが登場しました。当時はスーパーチャージャーで過給したアルファ ロメオ 158やマセラティ 4CLTが強かったのですが、タルボ ラーゴは1949年のベルギーGPとフランスGPで優勝するなど活躍しました。1950年に始まったF1選手権でも1951年まで参戦し、マイナーなレースでは優勝していました。またT26Cの2座仕様のT26 GSが1950年ルマンで総合優勝(ドライバー ロジェ親子)しています。

 

 

 ミニカーはブルム製で、1982年頃に発売されました。1948年式でとくにどのレースのモデルというわけではないようです。(ブルム初期のモデルにはこのような考証がアバウトなものがあります) 後に作られた型番R113のT26Cは1951年ドイツGPの出場車(ドライバー J.クレス)をモデル化しています。今見ると少し物足りない部分もありますが、1980年代当時のミニカーとしてはかなり良い出来ばえでした。これ以外のT26Cのミニカーは老舗ディンキー(英)の当時物がありました。また1950年ルマン優勝車のT26 GSをイクソやスパーク(レジン製)がモデル化しています。 以下はフロント/リアの拡大画像とコクピット周りの画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)

TALBOT LAGO T26C F1 1
TALBOT LAGO T26C F1 2

 以下は1950年代に発売されたディンキー(英)製の当時物 タルボ ラーゴ T26C (1/40 型番230)の画像です。このミニカーは1985年頃にミニカーコレクター仲間から譲ってもらったもので、私が保有するミニカーのなかでもかなり古いものです。タイヤは交換されていて、塗装は綺麗なのでリペイントかもしれません。縮尺1/40ぐらいで、上記ブルム製より少し大きいです。70年ほど前に作られたミニカーですが、実車の雰囲気は良く再現されていて、排気管などの細部もそこそこうまく再現されています。ドライバーのフィギュアもいかにもそれらしい感じがします。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
TALBOT LAGO T26C F1 3
TALBOT LAGO T26C F1 4

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