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モーガン MX-4 スーパースポーツ イギリス 1923年
1910-1920年代に2輪車の部品を使って小型軽量で安価な自動車が製作されていました。単気筒/2気筒エンジンを搭載した3輪/4輪車で2輪車の延長のような車でしたのでサイクルカーと呼ばれています。サイクルカーは安価だったので簡便な自動車としてブームになり、ヨーロッパやアメリカに製作メーカーが非常にたくさんありましたが、ほとんどが弱小メーカーでした。それらの中でもフランスのベデリアやアミルカー、イギリスのモーガンやGNが良く知られたブランドでした。
しかし1920年代後半になると、イギリスのオースチン セブンやフランスのシトロエン 5CVなどの安価ながら本格的な小型自動車が登場したことで、サイクルカーは瞬く間に淘汰されました。当時のサイクルカーメーカーのなかで、現在でも唯一生き残っているのがモーガンです。同社は1909年にハリー モーガンが設立し3輪車を製造しました。同社の3輪車は高性能でレースで活躍して人気を得ました。その後もモーガンは高性能な3輪車を作り続け、現在でもクラシックな外観のモーガン 4/4(4輪車)などのスポーツカーを作っています。
ミニカーは1977年に発売されたブルム製です。ブルム初期にモデル化されたサイクルカーシリーズの1台です。モーガンの3輪車は1911年から1939年まで生産されましたのでエンジンの種類など様々なタイプがありました。これは金色のエンジンのバルブ駆動部上部に「M」の文字があるのでマチレス(MATCHLESS)製エンジンを搭載したタイプをモデル化しているようですが、このマチレス製エンジンは1933年以降に採用されたらしいので、ブルムが箱に明示している1923年式とは話が合いません。さらに箱に記載されていた実車諸元にはJAP製エンジン(空冷V型2気筒964cc)を搭載していたと記載されていて、この記載は正しいのですが、ミニカーはそれをモデル化していません。
ブルム初期のミニカーにはこのように時代考証があやふやなものがありましたので、このミニカーも正しくは1933年式ではないかと思いますが、これ以上の詮索はやめておきます。年式の件は別としてミニカーは実車の雰囲気をうまく再現していて、ラジエータの前の赤色のエンジン、その前面の金色のOHV駆動部、排気管などの細部も良く再現されていました。1970年代のミニカーとしては良い出来ばえで、車種が珍しいことからブルム初期の傑作品の一つでした。幌を立てた色違いのバリエーションがありました。 なおモーガン 3輪車の量産ミニカーはこのブルム製しかありません。(スパークもモデル化していますがレジン製で少量生産です) 以下はフロント/リアの拡大画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)













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スカニア バビス 3241 郵便バス スウェーデン 1923年
スカニア社はスウェーデンの重工業会社で、1900年に設立されました。最初に2輪車を製造しすぐに自動車製造をはじめ、1902年にはトラック(1.5t)を製造しました。1911年に同じスウェーデンの乗用?/トラック メーカーのバビス社(VABIS)と合併し、スカニア-バビス社となり、同年にスウェーデン初の国産バスを製造しました。1939年に乗用車市場から撤退し商用車に特化しました。
第2次世界大戦中は軍需対応で自動車以外に戦車も生産しました。1950年代には生産した車の半分以上が輸出されるようになり、国際的な企業に発展しました。1969?にスウェーデンの乗用車メーカー サーブ社(SAAB)と合併し、サーブ-スカニア社となりました。1995年にはサーブと分離し、スカニア社となりました。現在のスカニア社はフォルクスワーゲン グループに属し、ダイムラー、ボルボに次ぐ世界第3位の大型商業車メーカーです。1970年代までのトラックはL**という名前、それ以後はボンネット式はTやH(HAUBER)、キャブオーバー式はRやR TL(TOPLINE)という名前が付いているモデルが多いです。
ミニカーは1988年に発売されたマッチボックスのYシリーズです。通常の安価なYシリーズとは異なる専用の梱包箱に収められたマニア向けの特別仕様品でした。スカニア-バビス時代の3241型の郵便バスをモデル化しています。このバスは農村部にて郵便サービスや公共交通サービスに使われたそうです。前輪にソリを付け後輪はクローラー(キャタピラ)となっている雪上車仕様で、スウェーデンの厳しい風土を反映しています。実車諸元の参照画像と見比べてみると、実車をかなり忠実に再現していることがわかります。縮尺が1/49と中途半端なのが今一つですが、スカニア初期の雪上車仕様のバスということで、車種的に珍しく面白いミニカーです。バリエーションで同じモデルの屋根にもみの木を積んだクリスマス仕様や雪上車仕様でない郵便バスもモデル化されています。スカニアのミニカーはトラックやバスといった商用車がほとんどですが、ヘルパの1/87、ブレキナの1/87、コーギーの1/50と1/76、オックスフォードの1/76など結構たくさんモデル化されています。 以下はフロント/リアの拡大画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)


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路面電車 サウサンプトン コーポレーション イギリス 1923?年
都市内の交通機関であった乗合い馬車は、1840-50年代には道路上に敷設された線路上の車両を馬で引く路面鉄道となっていきました。路面鉄道は馬車よりも乗り心地が良く乗降りがスムーズにできるメリットがありました。その後馬の代わりに動力を蒸気エンジン、ケーブル牽引、電気モーターとする試みが行われ、1890年以降は電気モーターが主流となりました。ケーブル牽引はその名の通り地中に這わしたケーブルで車両を引っ張ります。ケーブル牽引の実例としては現在も使われているサンフランシスコ名物のケーブルカーがあります。
電気モーターによる路面鉄道(路面電車)は英語ではトラム(TRAM又はTRAMWAY)と呼び、1879?にドイツのシーメンスがベルリン博覧会で公開したものが最初でした。なお線路を必要としない自動車による乗合いバスも同時期に発達しており、有名な2階建てロンドン バスの最初のモデル(ディムラー製)が1904年に登場しています。路面電車は乗合いバスに比べて給電線/ポイント/レールのメンテナンスなどの運行システムにコストがかかるので、自動車の発達に伴い徐々に衰退していきました。なお最近は路面電車が見直され、ヨーロッパなどで復活しています。(実車画像→ ディムラー製の最初の2階建て ロンドン バス 1904)
ミニカーは1990年頃に発売されたコーギー製です。1920年代のイギリスのディック カー(DICK KERR)社製の2階建て路面電車で、イギリス南部の都市サウサンプトンのサウサンプトン コーポレーションで使われていた路面電車をモデル化しています。縮尺は1/72で、コーギーの2階建てバスや路面電車はこの縮尺で作られているものが多いです。路面電車の特徴である運転レバー、屋根上の集電器、床下の動輪/排障器などが再現されています。運転手のフィギュアが付いていて梱包箱は街並みのジオラマ風になっていますので、ノスタルジックな雰囲気のある楽しいモデルに仕上がっています。この路面電車は前後の運転席がオープンになっていますが、運転席が客室と一体化していたタイプもありました。当時の古い路面電車の画像を探すと、ほとんどが2階建て路面電車で、コーギーは2階建て路面電車もモデル化しています。コーギーはこの種のクラシックなバスや商用車を数多くモデル化していますが、それらは日本国内ではほとんど販売されていません。(日本国内ではこのジャンルのミニカーは売れないからでしょう) 以下はフロント/リアの拡大画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)


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メルセデス ベンツ タルガ フロリオ ドイツ 1924年
ダイムラー社からベンツ社に移籍してきたフェルディナンド ポルシェ博士(後にスポーツカー ポルシェ社を創立)の初仕事はスーパーチャージャー付きの新しいエンジンの改良でした。ポルシェの設計変更を受けたエンジンを積んだレースカーは、1924年のタルガ フロリオ レースに出場し総合優勝しました。搭載されていた4気筒1.99Lエンジンは過給時に120HPと高性能でした。なおこの車の名前は厳密にいうとメルセデス ベンツではなくメルセデスとなります。(1926年にダイムラー社とベンツ社が合併したことで、ダイムラー ベンツ社のメルセデス ベンツというブランド名ができたので)
1920年代後半にはGPレースの規格が毎年改定されるようになり、レース専用車の開発に費用がかかるようになったので、ダイムラー ベンツはレース専用車の開発を中止しました。専用車開発はやめましたが、ポルシェが設計した市販スポーツカーを転用したレース仕様車でレースを継続することになりました。転用されたのは6気筒7Lエンジンを搭載したメルセデス ベンツ S シリーズで、1928年にはSSとそのホイールベースを短縮して高性能化したSSKが登場しました。
ミニカーは1970年代に発売されたカーソル(CURSOR)製です。このミニカーはダイムラー ベンツ社の100周年記念品として製作されたプロモーション モデルの一台でした。このプロモーション モデルは主にダイムラー ベンツ社のディーラーで100周年記念品として販売されたようですが、一般向けにも1978年頃にデパートなどで販売されました。 プラスチック製ですので塗装していないプラモデル完成品のような出来ばえでした。プロポーションが良く細部まで結構リアルに出来ていましたので、当時の玩具的なミニカーとは異なるレベルの高い出来ばえでした。ただ無塗装のプラスチック製なのでボディの質感は今一つでした。(特にフロントグリルの上に付けた透明パーツはメッシュグリルを再現していますが、ややリアルさに欠けます) 以下はフロント/リアの拡大画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)


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オペル 4/12HP ラウプフロッシュ ドイツ 1924年
1914年に第1次大戦が勃発し、オペルは軍用車や航空機エンジンなどの軍需品の生産を行いました。1918年に戦争が終わるとオペルは戦前のモデルに手を加えたモデルを発売しましたが、戦後の不況下でそのような車は売れませんでした。そこでオペルは旧式な生産方式を止めアメリカ フォード流の流れ作業による大量生産方式をドイツで初めて採用しました。この方式で1924年に登場した4/12HPは安価で実用的な2シーターの小型車で、4気筒951cc(12HP)エンジンを搭載し3段変速機で70km/hの性能でした。この車は全てが緑色に塗装されていたことからラウプフロッシュ(LAUBFROSCH ドイツ語で雨蛙の意)と呼ばれました。
このラウプフロッシュは全く同じ発想で作られたフランスのシトロエン 5CVとラジエータグリル以外はほとんど見た目が同じでした。(証拠がないですがオペルがパクったようです) シトロエンは見た目がそっくりだということでオペルを告訴したのですが、最終的には色が違うという簡単な理由(シトロエンは黄、オペルは緑)でオペルが勝訴したそうです。4/12HPは1925年にエンジンを1018ccに拡大しホイールベースを延長した4/14HPに改良されました。ホイールベースを伸ばしたことにより4/14HPは4シーターボディを載せることができるようになり箱形のリムジーンも追加されました。ラウプフロッシュは大成功しエンジンのパワーアップなどの改良が行われ4/16HP、4/20HPに発展し、1931年まで生産され総生産台数は約12万台でした。(実車画像→ オペル 4/20HP 1929)
ミニカーは1983年頃に発売されたフランスのエリゴール(ELIGOR)製です。実車に即した緑色のカラーリングで、ラウプフロッシュ(雨蛙)というニックネームどうりであることが良くわかります。なお実車同様にミニカーも同じエリゴール製のシトロエン 5CVの型を流用して、フロントグリルだけを変更していました。エリゴールはバリエーションとして商用バン仕様など十種類ほどをモデル化していました。これ以外のラウプフロッシュのミニカーはガマの4/14HP、ドイツのミニカー付雑誌「OPEL COLLECTION」のNo.22の4/12HPなどがあります。 以下はフロント/リアの拡大画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)






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