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ブガッティ ブレシア (T13) フランス 1921年
1881年にイタリアのミラノで芸術家の家系に生まれたエットーレ ブガッティは美術学校で教育を受けましたが、10代から自動車技術に関心を持つようになりました。彼は芸術的な才能を自動車設計に生かし、1898年に最初の自動車(T1と呼ばれる)を開発しました。その後も自主的に自動車開発を続け、1902年に設計したT2は自動車博覧会で評価され自動車メーカーから注目されました。1909年にフランスのアルザス地方に工場を構えブガッティ社を設立しました。会社設立後の最初のモデルは小型のスポーツカー T13で、当初は4気筒1327㏄(15HP)エンジンを搭載していました
1914年以降にT13のエンジンは1368cc 16バルブ(30HP)に改良されました。当時の高性能車は大排気量エンジンが主流でしたが、小型車ながら高性能小型エンジンを搭載し操縦性が優れたT13は評判となり大ヒットしました。その後T13のボディを拡大したT15(後にT22)、ツーリングカー仕様のT17(後にT23)など改良版が登場しました。第1次世界大戦の影響で一時的に販売中止となり、1921年に販売が再開されました。1921年のイタリアのブレシアで行われた小型車レースではT22が1-4位を独占しその後もレースで活躍しました。それ以後T13とそのシリーズはブレシアと呼ばれるようになりました。T13は1925年まで生産されました。
ミニカーは1981年に発売されたブルム製です。ブレシアのレース仕様をモデル化していていますが、具体的にどのレースの車をモデル化しているかは分かりません。ブガッティの特徴である独特の楕円形のラジエータグリルなど、実車の雰囲気がうまく再現されていて当時のミニカーとしては良く出来ていました。(なお初期のT13のラジエータグリルは6角形だったそうです) ブルムはブレシアのミニカーを数種類ほどモデル化しています。なおブルム以外のブレシアの量産ミニカーは2023年現在でも見当たりません。(少量生産品ならホワイトメタル製などいくつかあるようです) 以下はフロント/リアの拡大画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
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フィアット 520 スーパーフィアット イタリア 1921年
1910年代にフィアットは大衆車量産に力を注ぐようになりましたが、それ以前のタイプ 4/5/6に相当する高級車のラインナップも残していました。1919年に小型車501を発表した際には4気筒2.3Lエンジン搭載の505と6気筒3.5Lエンジン搭載の510の中級車も同時に発表しています。1921年にはロールス ロイスやイスパノ スイザなどと競合するV型12気筒エンジンを搭載する大型超高級車520 スーパー フィアットを発表しました。
520 スーパー フィアットはアメリカ市場向けに開発されたといわれています。全長約5.3m 全幅1.74m ホイールベース 3860㎜ 車重2.3tの大型車で、V型12気筒6.8L(130HP)エンジンを搭載し3段変速で最高速120km/hの性能でした。油圧サーボ付全輪ブレーキなど先進技術も採用されていました。ただロールス ロイスのような超高級車はフィアットにはふさわしくなかったようで、520 スーパー フィアットはわずかしか製作されておらず商業的には失敗作でした。その後1922年にフィアットは自社の最高級車として6気筒4.8Lエンジンを搭載した519を登場させました。なお1927年にはスーパー フィアットではない6気筒2.3Lエンジンを搭載した中級車520(1928年から521)が登場しました。
ミニカーは1978年に発売されたリオ製です。実車の写真が残されているスーパー フィアットのタウンカー仕様をモデル化しています。全長は実車のデータより少し大きめですが、ホイールベースは正確に1/43(3860㎜÷43≒90㎜)で出来ていますので、リアのスペアタイヤの分が大きめになっている理由のようです。後傾したフロントウィンドーやツートンカラーの塗分けなど実車の写真に忠実に作られています。超高級車の証として運転手に指令を伝える伝声管が運転手背後のガラス仕切りに付いています。リオのクラシックカーはシャーシやサスペンションなどのメカ部分まで再現しているのが特徴ですが、この520もボンネットを外すとV型12気筒エンジンが再現され、シャーシ、変速機、ドライブシャフト、前後サスペンションも再現されています。スーパーフィアットの量産ミニカーはこのリオ製しかありません。 以下はフロント/リアの拡大画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
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ロールス ロイス シルバー ゴースト イギリス 1922年
ロールス ロイスは1907年からシルバー ゴーストだけを作り続け、1925年までに6000台以上を販売し、その高い信頼性で「The Best Car of the World」の名声を確立しました。シルバー ゴーストは高価でしたので、顧客は王侯貴族などがほとんどで日本の皇室も1920年に2台を購入しています。
シルバー ゴーストは製造していた19年間に以下のような改良が加えられました。
1909年 オーバードライブ付の4段変速を3段変速に変更(当時はあまり変速せずに運転できるのが高級車らしかったとのことで変更)
1910年 エンジン排気量を7.5Lに拡大
1913年 変速機がオーバードライブ無しの4段変速となった
1914年 アセチレンガス式ヘッドライトを電気式に変更
1919年 スターター(電気モーター)を標準装備
1921年 木製スポークのホイールをワイヤースポークに変更
1923年 メカニカルサーボ式ブレーキを全輪に採用
初期はオープン ボディの4座セダンだけでしたが、その後密閉式のキャビンを持つセダンなども架装されました。1925年に後継車のファントム I が登場しました。
ミニカーはフランクリン ミント製の1/43クラシックカーシリーズの1つで、1990年頃に発売されました。シルバー ゴーストとしては後期のオープンカーをモデル化しています。同社の1/43のクラシックカーはややレトロな作風で独特の雰囲気があり、当時のミニカーとしては良く出来ていました。4ドアが開閉しボンネットを取り外すと6気筒エンジンが再現されています。フロントグリル上の有名なマスコット フライング レディ(The spirit of Ecstasy)は形状がわかるよう、かなりオーバースケールで再現されています。ボディサイドのスペアタイヤの白いカバーやリアのトランクに付いたRRの赤いロゴが目立つアクセントになっています。 以下はフロント(マスコット拡大)/リアの拡大画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
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フォーデン C タイプ 蒸気ワゴン イギリス 1922年
フォーデン トラック社は1887年に設立されたトラック/バス製造会社でした。1890年頃から蒸気ワゴンの製造を始め、1930年代まで製造しました。フォーデンの蒸気ワゴンは当時最も人気があったそうです。フォーデン社は蒸気エンジンをディーゼルエンジンに転換し2006年まで存続しました。アトキンソン 蒸気ワゴンの説明で蒸気ワゴンにはオーバータイプとアンダータイプの2タイプあることを説明しましたが、このフォーデン C タイプの蒸気ワゴンは蒸気エンジンをシャーシの上に配置するオーバータイプの蒸気ワゴンで、オーバータイプとしてはその最終的なモデルでした。
フロントに蒸気を発生させる煙突の付いた黒い筒型の横型ボイラーがあり、その上に蒸気エンジンが配置されていました。蒸気エンジンの出力は23HP(450rpm)で、後輪をチェーン駆動していました。最高速は25km/hぐらいで、特別な変速ギヤ設定がされたモデルでは42km/hが可能でした。蒸気エンジンはトルクが大きいので、蒸気ワゴンは変速機をもたないモデルが多く、面倒な変速機操作が必要ないので運転が簡単で大型トラックとして1920年代まで使われていたようです。
ミニカーは1984年に発売されたマッチボックス製のYシリーズです。フォーデン C タイプ 蒸気ワゴンの平ボディトラックをモデル化しています。荷台の幌に表示された「PICKFORDS」とは現存するイギリスの引越しサービス会社です。煙突が付いたフロント部分の造形は蒸気機関車にそっくりで、道路を走る蒸気機関車といった感じのトラックです。運転席にある金色のはずみ車が付いた黒い箱の部分が蒸気エンジンで、そこから長いチェーンで後輪を駆動する構造になっていました。これ以外のフォーデン 蒸気ワゴンのミニカーはマッチボックスのバリエーションが数種類とコーギーのデイズゴーン シリーズ 1/76などがあります。 以下はフロント/リアの拡大画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
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メルセデス ベンツ ディーゼル トラック 5K3 ドイツ 1923年
ドイツのルドルフ ディーゼルは彼が考案した圧縮点火式エンジン(ディーゼルエンジン)の特許を1892年に取得しました。ベンツ社の従業員であったプロスパー ロランジュ(Prosper L'Orange)はこのエンジンの開発に取り組み、必須デバイスの燃料噴射ポンプと燃料噴射ノズルを開発し予燃焼室を備えるディーゼルエンジンの実用化に成功しました。ベンツ社は5t積みトラックのシャーシにこの予燃焼室式ディーゼルエンジンを搭載した世界初のディーゼルエンジン トラック 5K3を1923年に製作し実用化試験を開始しました。このエンジンは4気筒8.8Lで1000rpmで50hpを出力しました。このディーゼルエンジン トラックは数年後に正式に生産されるようになりました。
この車の名前は厳密にいうとメルセデス ベンツではなくベンツとなります。1926年にダイムラー社とベンツ社が合併してダイムラー ベンツ社となりその時点でメルセデス ベンツというブランド名ができたのですが、ダイムラー ベンツ社ではこの車もメルセデス ベンツと称しているようです。(なおダイムラー社も合併以前にディーゼルエンジンを開発していました) ヨーロッパでは経済性から乗用車でもディーゼルエンジンが良く使われていましたが、ディーゼルエンジンを初めて搭載した乗用車は1936年のメルセデス ベンツ 260Dでした。
ミニカーは1970年代に発売されたカーソル(CURSOR)製です。このミニカーはダイムラー ベンツ社の100周年記念品として製作されたプロモーション モデルの一台でした。このプロモーション モデルは主にダイムラー ベンツ社のディーラーで100周年記念品として販売されたようですが、一般向けにも1978年頃にデパートなどで販売されました。 (参照ページ→ カーソルのミニカー) 細かいところまでリアルに再現されたプラスチック製のスケールモデルで、当時の玩具的なミニカーとは一線を画するレベルの高い出来ばえでした。荷台に「10 Jhare im Betrieb」と書かれたパネルを載せていますが、これは「10年間実用試験された」という意味のようです。カーソルは幌を付けた物や荷物を積載したバリエーションを発売しているようです。 以下はフロント/リアの拡大画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
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