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ドラマール ドブットビルとマランディン(の試作車) フランス 1884年
内燃機関を搭載した実用的な自動車の発明は一般的にはドイツのカール ベンツが1886年に発明したベンツ 3輪車ということになっていますが、フランスはこれに異を唱えています。1884年にフランスのドラマール ドブットビルと彼のアシスタントのマランディンがガソリン自動車の試作に成功しており、これが世界初の自動車だと主張しています。(これを根拠として1984年には「フランス自動車100周年」を記念する行事を開催しています) この車は2気筒4L(約8HP)エンジンを搭載し、エンジン回転はチェーンでデファレンシャルギヤの付いた後輪駆動シャフトに伝達され、その後輪駆動シャフトから左右後輪をチェーンで駆動する構造でした。
実際にこの車が特許を取得したのはベンツ 3輪車より早かったのですが、この試作車は試運転中に故障するなど信頼性がありませんでした。さらにその後に市販されるなどの実質的な進展もありませんでした。したがってこの試作車が世界初の実用的な自動車であるとのフランスの主張にはやや無理があります。自動車黎明期の実用化段階においてはフランスのプジョーなどがドイツよりも進んでいたことは事実ですが、それでも世界初の自動車を発明したのはドイツということになっています。
ミニカーはフランスが1984年に開催したフランス自動車100周年行事を記念して作られた物でした。ミニカーのディスプレイケースの台座には「100 ANS D'AUTOMOBILE FRANCAISE(フランス自動車100周年)」のラベルが貼ってあります。メーカー名はどこにも表示されていないのですが、ミニカーの箱がエリゴールの物なので、エリゴール製だと思われます。スケールモデル的にそれほどリアルな造形ではありませんが、ステアリング機構、ベルト駆動する後輪、荷台の横掛け式座席などの構造がこのミニカーから分かります。前輪は実物同様に操舵することができます。 以下はフロント/リアの画像と床下部分の画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
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ロンドンの乗合馬車 イギリス 1886年
19世紀の乗合馬車は現在の路線バスのような公共交通機関で、長距離で都市間を運行するものは駅馬車とも呼ばれました。また現在のタクシーのように使われた馬車は辻馬車と呼ばれました。乗合馬車はフランスのパリで17世紀に始まりましたが、本格的に使われるようになったのは産業が発展して料金を払って移動する人が増えた19世紀になってからでした。乗合馬車はフランス語/英語でオムニバス(OMNIBUS)と呼ばれ、これがバス(BUS)の語源となりました。自動車創世記に馬車は消え去りつつあった乗物でしたが、ミニカー(自動車ではないですが)としてモデ化されている物を紹介します。
ロンドンの乗合馬車は1829年に運航が始まりました。(参照画像→ロンドン 乗合馬車 1829年) この乗合馬車は成功し、同じような乗合馬車会社が増えました。19世紀半ばロンドンの乗合馬車は非常に混雑していた為、忙しいビジネスマンはしばしば乗合馬車の屋根に乗りました。その為ロンドンで最初の2階建て乗合馬車が誕生したそうです。乗合馬車は19世紀後半には最盛期を迎えました。ただ乗合馬車を引く馬は限られた時間しか働かず毎日給餌などの世話が必要でしたので、馬が必要ない路面電車やガソリンエンジン搭載バスが登場してくると乗合馬車は徐々に衰退していきました。
ミニカーは1993年に発売されたイギリスの老舗マッチボックス(MATCHBOX)製です。1886年に作られた最盛期の24人乗り乗合馬車をモデル化しています。これはマニア向けに作られたミニカーで、当時の定価は9000円と高価でしたが、非常に素晴らしい出来ばえです。広告パネルが再現されたリアルな馬車ボディ、よく出来た馬、御者、乗客のフィギュアなどその時代の雰囲気が良く再現されています。なお馬はダイキャスト製です。馬車のミニカーは何台か持っていますが、これが一番気に入っています。 以下は馬/馬車の拡大画像と馬車2階席の画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
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ベンツ 3輪車 (パテント モーターワーゲン) ドイツ 1886年
このベンツ 3輪車はカール ベンツ(Karl Benz)がドイツで特許を取得した世界初の実用的なガソリン自動車で、それゆえパテント モーターワーゲン(PATENT:特許)とも呼ばれます。コイル点火方式の4サイクル単気筒984cc 0.9HP/400rpmのガソリンエンジンを後輪の上に搭載しています。エンジンはベルトを介してシートの下にある後輪駆動軸を駆動し、その後輪駆動軸がチェーンで後輪を駆動します。小さな円形のハンドルは自転車のような前輪を操舵し、最高速は約15km/hでした。約25台が製造されました。
ミニカーは1978年に発売されたドイツのカーソル(CURSOR)製で、材質はプラスチックです。ダイムラー社の特注品でベンツ100周年記念品として作られたようです。1986年式となっていますが、向かい合わせのシート配置、カバーされたエンジン部、木製スポークホイールなどが最初に作られたモデルとは少し異なっているので、1987-88年頃の改良型をモデル化しているようです。自転車を発展させたような3輪車構造、初期の自動車によく見られる向かい合わせのシート配置、シート後部についたエンジン回転を安定させる大きなフライホイール、自転車のような簡単なブレーキ(後輪の前に付いたペダル状の物)などの特徴がうまく再現されてます。
以下はカーソルのベンツ 3輪車のフロント/リアの拡大画像とシート配列/底板部分の画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
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ダイムラー 1号車 ドイツ 1886年
ダイムラー 1号車は前述したベンツ 3輪車と同時期にゴットリーブ ダイムラー(Gottlieb Daimler)が完成させた4輪車でした。4サイクル 単気筒460cc(1.1HP 600rpm)エンジンを搭載し、後輪駆動軸をベルトで駆動し、その後輪駆動軸が後輪をギヤで駆動する構造でした。最高速は約16km/hで、ステアリングは前車軸全体をステアする馬車方式です。前述したベンツ パテント モーターワーゲンは自動車として認められましたが、このダイムラー 1号車は購入した馬車を改良していたので、馬車の改良といった扱いだったようです。
ミニカーは前述したベンツ 3輪車と同じカーソル(CURSOR)製で、1978年に発売されました。ベンツ 3輪車と同様にダイムラー社の特注品でベンツ 100周年記念品として作られたようです。前部シートの側面につけた灯火(ランタン)、後部シート手前に搭載されたエンジン、後部シート背後のラジエータ、底板部分の後輪駆動用のプーリ-などがうまく再現されています。これ以外のダイムラー 1号車のミニカーは、ノレブの1/18、ネオの1/43(レジン製)があります。ノレブの1/18はメカ部分が精密に再現されていて素晴らしい出来ばえです。
以下はフロント/リアの拡大画像とシート配列/底板部分の画像です。底板部分を見ると、エンジンが中央に搭載され、そのエンジン下のプーリーが後輪駆動軸のプーリーを駆動し、その後輪駆動軸がギヤで後輪を駆動するといった構造がわかります。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
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ダイムラー 最初の消防ポンプ付 消防車 ドイツ 1890年
1880年代に実用的なガソリンエンジンを開発したゴットリーブ ダイムラーは、その技術を様々な分野に活用しました。1988年にダイムラーはガソリンエンジンで駆動する消防用ポンプの特許を出願しました。当時は蒸気エンジンで駆動するポンプが一般的で、蒸気エンジンは稼働させるのに約1時間の加熱が必要ですぐに使えないという問題がありました。素早く稼働させることが可能なガソリンエンジンはこの問題を解決するものでした。消防ポンプメーカーと協力して開発した最初のポンプは単気筒(1HP)エンジンを使っていましたが、このポンプはパワー不足でした。
その後エンジンは2気筒(4HP)に改良され、数年後には10HPまでパワーアップされました。画像の消防車は1890年式ということで、2気筒3L(7HP)エンジンで駆動する消防ポンプを搭載していました。この消防ポンプは540L/minの放水能力があるとのことです。(最近のポンプ車は1000L/min以上です) なおこれには自走装置は付いていないので馬で引いて移動しました。後ろの四角い箱は消火用の水タンクでその下に見えるのクランクが付いた部分がポンプ、床下にあるのはエンジンだと思われます。後方に伸びているステップ部分は備品や消防士を載せる台のようです。座席の前のステッキのような棒は手動ブレーキでしょうか? 関連ページ 同時期の蒸気ポンプを搭載した消防車 → クリスティ 消防車
ミニカーは1978年頃に発売されたドイツのカーソル(CURSOR)製です。元々はダイムラー ベンツ社の100周年記念プロモーション モデルとしてディーラー向けに12種類セットで製作されたものでしたが、後に一般向けにも単品で販売されました。材質がプラスチックなので、車体下回りのスプリングサスペンションなどの細部まで再現されていて、1970年代のミニカーとしては抜群に良く出来ていました。(軽くて壊れやすいので取り扱い注意ですが) この消防ポンプ車はメルセデス ベンツ博物館が所蔵する実車を忠実に再現しているのですが、実車はこのミニカーのような鮮やかな赤色でなかったようです。(参照WEBサイト→メルセデス ベンツ博物館所蔵の消防ポンプ車) 以下はフロント/リアの拡大画像です。(画像のマウスオーバー又はタップで画像が変化します)
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